情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

【転載熱望】誰が取調の可視化(録画化)に反対するのか、しっかりと確かめ、しっかりと意見を述べよう!

2008-06-04 05:44:14 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 ついに大きな一歩が刻まれた。【取り調べの全過程を録音・録画(可視化)するよう警察や検察に義務付ける刑事訴訟法改正案が3日、参院法務委員会で民主党など野党の賛成多数で可決された】(※1)のだ。与野党逆転がもたらした効果がよく分かる議決だ。法案の舞台は衆議院に移る。

 この可視化の法案(※2)は、【昨年の臨時国会で民主党が議員立法として提出していた】(上記※1)で、【取り調べの様子すべてをビデオカメラなどで記録することを義務化。弁護側が被告に有利な証拠を見つけやすくするため、検察側に公判前手続きでの証拠リストの開示も義務化した。富山や鹿児島で相次いだ冤罪(えんざい)事件の防止につなげる狙いがある】(上記※1)。

 諸外国では、当然のシステムだ。そもそも、警察が、「おまえ、脅迫しただろう。おとなしく言わないと徹底的に調べて10年は出られないようにしてやるぞ」などと脅して自白をとる図は、ある意味、喜劇だ。取調べ自体が脅迫なんだから、犯罪者の更生なんて望むべくもない。

 警察は正義感でやっているって?。警察自身が「目的は手段を正当化する」なんて言い出したら、世のルールは何の意味もなくなる…。

 自由な意思で署名できない状況下での契約に問題があるのと同様に、自由な意思で話せない状況の下での取調にも問題があるのは当然だ。

 6月1日の毎日新聞で、土本武司元最高検検事が、最も早くから全面可視化を導入した英国では、

①責任能力の不存在などは被告人側に責任がある、
②有罪可能性が50%を超えれば起訴できる、
③被疑者が黙秘したら捜査側は被疑者に不利益な推論ができる、
④通信傍受、おとり捜査、潜入捜査、司法取引が頻繁に活用されている

から自白に頼る必要性が低いと主張している。


 ところが、日本だって、

①は、事実上被告人側に立証責任があるのは、先日、裁判所が医師の鑑定を無視して責任ありとしたことからも明白だ。

②は、検察官が100%有罪を目指して勝手にがんばっているだけで、検察自らが無罪が出てもかまわないということで手続きを進めればすむことだ。

③は、事実上、同じだ。捜査段階で、黙っていたら、「やっているから黙っているんだろう。やってないなら説明できるはずだ」という推認のもと、がんがん取り調べられてしまう。

④は、本当にそういう捜査方法が必要であれば、後で導入すればいいだけのことだ。捜査方法がないから可視化をしないで、人権侵害をし続けるなんて、どういう理屈だ。そもそも、最近報道される殺人事件なんかは、土持氏が言うような捜査手法では対処できない。どういう犯罪類型でどういう手法があればこのようにできるという具体的なものを示してもらわないと(しかも、その犯罪類型での摘発の状況ともし状況が悪いとすればその原因も)、判断できない。

 土本氏は、鹿児島の志布志事件を例外だという。しかし、警察は、志布志事件を反省してはいない、ばれないようにやるべきだったと言っているようにしか思えない報告書(※3)をまとめている。そんな状況で「例外」だと言われても何の説得力もない。

 民主党が提出した可視化法案は、衆議院に送られた。果たして、衆議院の法務委員会で誰がいかなる理由で反対するのか、みんなできちんと見届け、反対した議員には、その反対理由について、徹底的に問い詰めよう。訪問、電話、FAX、メール、あらゆる手段を使って、立法者としての責任を果たさせよう。少なくとも、きちんと、市民は見ているよっていうプレッシャーを与えることが必要だ。

法務委員の名簿は、こちら(→※4)にある。いまの時点で、「人権侵害を続けることに手を貸すな」という趣旨のFAX、メールなどだけでも送ってはいかがでしょうか。送付先は、村野瀬さんのブログにある(→※5)。

 
※1:http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20080603dde041040020000c.html

※2:http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_gian.htm

※3:http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/14165ad6102455728ec00c8edf58bf59

※4:http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_honkai.htm

※5:http://muranoserena.blog91.fc2.com/blog-entry-4.html


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★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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