情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

法務省の二枚舌は,共謀罪用だけではない~永田偽メールよりも問題が根深い「入管法改正」答弁

2006-04-04 23:14:05 | 適正手続(裁判員・可視化など)
共謀罪の根拠とされる国連の「越境組織犯罪防止条約」が作成される過程で,日本の法務省が,共謀罪のような法律は日本では受け入れがたいという趣旨の意見を述べていながら,いったん,条約を批准すると,掌を返してしまい,条約を謙抑的に法律化するのではなく,恣意的な適用を可能とする法律としようとしていることは,あちらこちらで批判されているとおりです(例えば,日弁連意見書)。

舌が二枚あるかのような答弁をよくするなぁと思っていたら,何と,何度か問題にした「顔写真指紋データ収集法案」こと入管法「改正」案でも,法務省は同様の答弁をしていることが分かった。

下記引用するのは3月28日に行われた衆議院の法務委員会の様子。高山議員が,アメリカの顔写真・指紋データ収集システム「US―VISIT」について,日本政府は,アメリカから出国した際,直ちに廃棄するように求めていたにもかかわらず,今回の入管法「改正」案については自ら取得したデータを80年も保有すると答弁したことを矛盾だと追及している場面だ。


■■引用開始■■

○高山議員
 まず、これは外務省に伺いますけれども、このUS―VISITの導入時に日本政府として、アメリカ政府に旅行者に対する配慮ですとかこういったことを何か要望されたと思うんですけれども、それは何か要望されましたか。

○木寺政府参考人
 お答え申し上げます。
 日本政府は、日米規制改革イニシアチブの場などにおきまして、US―VISITプログラムにより取得された生体情報につきまして厳格かつ適正に管理するよう米国政府に対して求めてきております。これに対しまして米国政府は、日本政府の懸念を十分に理解するとしつつ、生体情報が不適切な形で使用されないよう厳重に管理していることを説明してきており、規制改革イニシアチブの成果に関する首脳への報告書でもその旨明記しております。
 政府といたしましては、今後も引き続き米国政府に対しましてUS―VISITプログラムによって取得されました生体情報を厳格に管理するよう求めてまいる考えでございます。

○高山委員
 引き続き、外務省に伺います。
 私、これは外務省の方からいただいたもので、日本政府から米国に対しての要望事項、それに対する返事、またもう一回要望して返事がと、毎年のやりとりを全部いただきましたけれども、こういう要望事項をつくるときは、これは外務省だけの判断なんですか。それとも、国内の関係省庁と相談した上で外務省が、これは外交のことですから、代表して持っていくという形をとられるのか。どちらですか。

○木寺政府参考人
 お答え申し上げます。
 関係省庁と十分相談して米側に要望を提出しております。

○高山委員
 引き続き、また外務省に伺います。
 そうしますと、このUS―VISITの指紋の取り扱いあるいは生体情報の取り扱いに関して十分注意をしてくれ、これは法務省と外務省の方で事前に協議をして、その協議結果をアメリカの方に外務省としては伝えた、こういうことでよろしいでしょうか。どこの省庁と協議したということをお願いいたします。

○木寺政府参考人
 お答え申し上げます。
 そのとおりでございます。

○高山委員
 これはまた引き続き外務省に伺いますけれども、そのときに、このUS―VISITのことで法務省から、米国政府にこういうことを要望してくれと、どういう具体的なミッションがあったのか教えてください。

○木寺政府参考人
 お答え申し上げます。
 基本的には、US―VISITプログラムによりまして取得される生体情報について厳格な管理を米側に要望するというものでございます。

○高山委員
 要約するとそういうことになるんでしょうけれども、これは二〇〇四年の六月に返ってきた報告書でしょうか、この中に、この個人情報のことで、米国を出国するときに云々というようなくだり、細かいものがありますけれども、この報告書の方にはこれは何て書いてありますか。

○木寺政府参考人
 お答え申し上げます。
 個人情報は当該個人が米国を出国する時点で消去されるべきであるという日本国政府の立場も十分に理解するというくだりがございます。

◆注:ここで,高山議員は外務省から,外務省が法務省と協議した上で,米国に対し,入国時に採られた顔写真などのデータを出国時に消去するよう求めた…との答弁を引き出した。


○高山委員
 今度は法務省に伺います。
 去年かおととしの時点で、大臣は当時、もっと官邸にいて、当然こういう報告書にも目を通された立場だったと思いますけれども、これは出国した時点で消去することを要望しているじゃないですか。これは法務省内で何かどこか意見が変わったんですか、この二年間の間に。

○杉浦国務大臣
 官邸にいたときにそういうことは、私は承知しておりません。
 米国政府とのやりとりの中で今外務省が申されたような経緯があったわけでございまして、具体的に日本側から要望事項として挙げてはいないというふうに承知しております。

○高山委員
 これは、私が何かガセネタだとかそういうことでやっているんじゃないですよ。これはそちらから出していただいた資料を今外務省の方が読んだものですので、それは大臣の事実誤認じゃないんですか、今は明らかに。だって、これは消去されるべきであるという日本国政府の要望を踏まえということを言っているわけですよね。では、アメリカがおかしいということを言いたいんですか。ちょっと大臣、これはきちんと説明してください。

○杉浦国務大臣
 我が国は、米国政府に対しまして、在米邦人企業を含む経済界や在米邦人等からの要望も踏まえまして、先ほど外務省が申されたとおり、米国入国時に採取される指紋情報に関し厳格に管理するよう言及してきていると承知しております。
 日本政府としては、そのような経緯も踏まえた上で、国民の生命と安全を守るために本システムの導入を決定したものでございます。

○高山委員
 大臣、全然今、質問とは関係ないでしょう。私が今聞いているのは、これは二〇〇四年の時点では、自分の日本国民に対しては、アメリカに行って指紋をとられたら出国後直ちに消去しろと要望していて、海外の方が来たのは、最大八十年ですか、論理的に八十年もとっておく、あるいははっきり期間は言えないと、これはちょっと国際協調の観点からもおかしいじゃないですか。自分たちはすぐ消去しなきゃ問題があるというふうに思っていたんじゃないんですか、二年前は。何か法務省は考え方を変えたんですか、そこを説明してください。

○杉浦国務大臣
 その文書は法務省が要求したと書いてあるんですか。(高山委員「いえ、政府ですよ、政府」と呼ぶ)政府。私どもは、米国政府とのやりとりの中で米国政府による個人情報管理の厳格化のための具体策をとるように求めておったところでございまして、その一案として個人情報の出国時の消去について言及があった経緯はあるようでございますが、具体的に日本側からの要望事項としては挙げられていないというふうに承知しております。

○高山委員
 いや、大臣、だから、私がさっき外務省の方に、こういう個別のことをやるときに必ず法務省と協議するんですかと伺いましたら、当然協議してから言っていますと。それはそうですよね。外務省だけの判断でできることではないと思いますので。
 その上で、アメリカにしてみれば法務省と外務省が違うことを言っているなんというんじゃ困りますから、日本政府としてこういう意見でございますと、これは外交交渉では当たり前ですよね、一元化してくるわけですから。その意見が、個人情報は当該個人が米国を出国する時点で消去されるべきという日本政府の立場ということでありますけれども、これは要求しているわけですよね。とにかく、この矛盾についてきちんと説明してください。

○杉浦国務大臣
 具体的に日本側からの要望事項として挙げられたものではないというふうに承知いたしております。

○高山委員
 意味がわからないですよ。
 ちょっと委員長、これはおかしいですよ。意味がわからない。だって、これは私が出してきている資料じゃないですから。これは外務省の資料ですから。

◆注:まさに意味が分からない…。
   以下,意味の分からない答弁が続く

○石原委員長
 高山君の質問に、法務省はどなたでも結構でございます、責任を持ってお答えいただきたいと思います。

○河野副大臣
 日本政府が米国政府に公式に要望しているのは、個人情報管理の厳格化でございます。そのやりとりの中で、例えば出国時に消去をするというようなことを例示したことはあるんだろうと思いますが、日本政府から正式に要望しているのは、厳格に管理をしてくれということでございます。米国政府がそのやりとりの中で言及されたことについて申し述べたことはあるかもしれません。

○高山委員
 今の副大臣の御答弁ですけれども、例えばということで、出国後直ちに指紋を消去するという提案を日本がしたということでしょうか。

○河野副大臣
 そのやりとりの中でどちら側か、そういう厳格管理をする一例のやり方としてそういうやり方もあるねということが協議の中で恐らく話し合われたんだろうと思いますが、日本政府からの公式な要望は、個人情報を厳格に管理してくれということであります。

○高山委員
 いや、河野副大臣、この報告書によれば出国後直ちに消去されるべきだという日本政府の立場と言っているんだから、これは日本政府が言っているに決まっているじゃないですか。これはこの文章の読み方だけの話で、だから、この文章と今の法務省の見解に矛盾があるんじゃないんですかという質問をしているので、この文章そのものはもう変えようがない事実なんじゃないんですか、副大臣。

○河野副大臣
 日本政府の要望は、あくまでも個人情報管理の厳格化を要望しているわけであります。その中で一例として出国時に消去をするという方法も恐らく検討をアメリカ政府がしたんだろうと思いますが、日本政府の要望は、あくまでも個人情報の管理の厳格化であります。

○高山委員
 いやいや、これはたまたま今私、ここを取り上げて言っていますけれども、こういう提案を日本側がしたけれどもアメリカ側としては結局受け入れられないでそのまま保存しているという、これは私がきょう出した毎日新聞の「出国時の消去要請へ」という新聞、これに事のてんまつは書いてありますけれども、新聞よりも正確を期するために政府の報告書を今外務省の方に読み上げてもらっただけですので、これは日本側から提案しているんですよ。そこは副大臣、全然争いにならないと思いますよ、申しわけありませんけれども。
 私が今問題にしているのは、その当時の日本政府の考え方と今の法務省の見解と何か変わったんですかということを聞いているんですけれども。副大臣でも結構ですよ。

○河野副大臣
 当時の日本政府の公式な要望は、個人情報管理の厳格化であります。

○高山委員
 いや、個人情報の管理の厳格化なんというのは当たり前ですよ。それはそういうふうに要望するでしょうし、今も、我々が今度導入しようとしている日本版のVISITも個人情報を厳格にしますというのは当たり前で、そうするために、では具体的にはどうなんですかということで、今、出国したときには指紋情報を消去したらどうでしょうかということでやりとりがある中で、日本政府としても以前これはもう提案しているじゃないですかという話をしているんですけれども、では、この当時の日本政府からはこういう提案がなかったということを今副大臣はおっしゃりたいんですか。ちょっとそこだけまず答弁をお願いします。

○河野副大臣
 当時、交渉の中でのやりとりについては私存じ上げませんが、公式な要望は個人情報管理の厳格化でございます。
 今回の入管法の改正に当たりまして、我々法務省は、個人情報管理を厳格にやりたいと思っております。

○高山委員
 ちょっと、さっき聞いたら、委員長からですよ、法務省の方で責任を持って答弁される方と言ったら副大臣が手を挙げられて、それで答えられて、当時のこの要望書の要望事項の中には、定かではないが、やりとりの中でその指紋の消去についてもあったんじゃないかという答弁をされたのに、今個人的にはと言いますけれども、どういう立場で答弁しているんですか、副大臣は。全然立場が変わっちゃっているじゃないですか。個人的な意見なんて全然聞いていないですよ。
 昔の法務省と今の法務省と、私から見るとこの指紋の即時消去ということに関して矛盾があるじゃないか、おかしいですねと言っているのに、個人的にはそう思いますということを言うんだったら、こんなの全然質問できませんよ、委員長。しかも、委員長の御指示にも全然従っていないです。おかしいと思いますよ、これは。だから、責任ある答弁をもう一度させるか、あるいはここでちょっと、これ以上は続けられません、これでは。

○石原委員長
 それでは、誤解があるといけませんので、高山委員が御指摘をされました政府の、外務省の文書でございますか、もう一度木寺大臣官房審議官からそこのくだりにつきまして読ませて正式な見解を聴取し、その後、法務省を代表して責任ある御答弁をお願いしたいと思います。

○木寺政府参考人
 お答え申し上げます。
 アメリカ側の報告書でございますが、「個人情報は当該個人が米国を出国する時点で消去されるべきであるという日本国政府の立場も十分に理解する。」と記載されております。

○杉浦国務大臣
 それはアメリカ側の文書のようでございますが、それは木寺審議官のおっしゃったとおりだと思います。具体的に日本側から要望事項として挙げられていないというふうに承知しております。

○高山委員
 先ほどから言っていますけれども、この要望のやりとり、今ここだけじゃなくて全部やりとりがあるわけで、これは公表されていることで、それも見て新聞記者の方も書かれたんだと思いますよ。これを日本から要望していないというのは、大臣、そこは明らかにおかしいですよ。要望したんでしょう、これは。日本から要望もしないのに何でこんなのが入ってくるんですか。おかしいですよ、これは。

○杉浦国務大臣
 アメリカ側の文書にそういう記載があることについては木寺審議官が説明したとおりでございますが、日本側から正式に要望した事項としてではないというふうに私どもは理解しております。

○高山委員
 先ほどの副大臣の答弁ですと、正式に要望した事項は個人情報の厳格化ということでしたけれども、その具体例として出国時の指紋の消去なども話し合われたというような話がありましたけれども、そこがすごく問題なんですよ。
 ですから、ちょっと、杉浦大臣、これは確認してくださいよ。これは私たちでは確認しようがないですよ。どういうやりとりを日米間でやったのか。しかも、それが今の日本の法務省の政策と全然矛盾していないならいいですけれども、これは大矛盾じゃないですか。出国後、直ちに指紋を消去するということを要望しておいて、今この委員会で、先ほど三十分前に話したのでは、指紋を、運用上どうなるかわからないけれども、最大、論理的には八十年もとっておくかもしれない。全然、これは矛盾していると思いませんか、大臣。まず、今のこの二つは矛盾していると思いませんか。どうですか。

○杉浦国務大臣
 外交交渉といいますか、アメリカとの話し合いは外務省がやったものだと思います。法務省は恐らく立ち会っていないんじゃないかと思うんです。
 合議した時点では厳格にやってもらうという点について合議しているわけで、話し合いの中でどういう話し合いが行われたのか、そこに記載されているのは、どういう経緯でそこに記載されたかは木寺審議官がおっしゃったとおりだと思いますが、私どもとしては、厳格に、適正に管理してほしいという要望事項以外はないというふうに承知しておるわけでございます。

○高山委員
 これは委員長にも要望いたしますけれども、これは政府側の正式な報告書なんですよ。それと今の答弁との矛盾が見られるので、私としては、では一体、だれが要望した話なのか、そこでどういう返事があったのか、この事実関係をまず明らかにしていただきたいと思います。
 それがなければ、他国に対してこんなことを言っていて、自国では全然違う法案を通しているなんて、審議をこれ以上続けることはできませんね、ここをまず明らかにしてもらわないと。私としては、すっかり、昔はこうだったけれども、考え方が変わりましたと言うのかと思ったら、まずこの時点からお認めにならないのでは、これでは、これ以上審議を続けることはできません。
 ですから、ここをまず、法務省と外務省の方で、どういう事実関係だったのか、これを明らかにしてください。

○河野副大臣 要望は、個人情報管理の厳格化であります。これが日本政府の公式な米国政府に対する要望でございます。そのやりとりの中の話について、米国政府が米国政府の出す報告書にどう書くかは、それは米国政府の方針でございますので、法務省とは矛盾することはございません。

○高山委員 今の副大臣の答弁はおかしいですよ。だって、日本政府がこういう立場だということを米国が書いているわけですよね。では、米国が、日本が別にどういう立場をとっているか、全然違う、これは百八十度違いますよ。出国時にすぐ指紋を消去するという立場と、今大臣や副大臣が答弁されたように八十年も人の指紋をとっておくというのは百八十度違う立場じゃないですか。こんな間違いをしますか、米国政府が。だったら、クレームをつけないといけないですね、米国に。
 副大臣、どうぞ。

○河野副大臣
 米国政府がやりとりの中で日本政府の立場をどのように推しはかるかは、米国政府が推しはかるわけでございますから、その推しはかった日本政府の立場について、米国政府が米国政府の出す報告書についてどう記載するかは米国政府の自由だと思いますが、日本側の公式な米国に対する要望は、個人情報管理を厳格化してくれということでございます。
 その当時の個人情報を厳格に管理しなければいけないという立場と、今回の入管法改正に当たりまして、法務省がとっている個人情報をしっかり厳格に管理しようという立場に、何ら変更はございません。

○高山委員 だから、個人情報保護を厳格にするという立場ではそれは同じかもしれないけれども、ではそれをどうやってやるんですかといったときに、即時指紋を消去するというのと、いや、それよりもテロの危険を優先して何十年も指紋をとっておくんだ、全然違う立場じゃないですか。
 ですから、私は、ここに日本政府がそういう指紋消去をすぐやってくださいという立場だということが書いてあるので、当然法務省としても、法務省というか日本政府として米国にそういう要求をしたんだろうなと、この報告書を読んだら通常の人は思うと思いますよ。
 ですから、これは、どういう経緯で二〇〇四年に交渉して、そして、今もし考え方が変わったのであればどういう理由で変わったのか、法務省と外務省で、政府で統一した見解を出していただかないと、全く政府の方はどういう方針なのかわからないですね。
 だから、これでは質問に入れないと思いますので、委員長に、委員長も今聞かれていてあれっと思った部分が多々あると思いますので、政府が統一してきちんとした説明をすることを要求していただきたいと思います。

○石原委員長
 それでは、若干議事を整理させていただきます。
 政府側、法務省の答弁は、当時は、厳格な運用を行ってほしいということで終始一貫した御答弁をいただいております。
 しかし、外交文書等々につきましてこの場で明らかにすることは、資料また答弁者がおりませんので、後刻、理事会協議、先ほどの文言の整理ということとさせていただきたいと思います。
 高山君。

○高山委員
 とにかく、時間が参りましたので、これはちょっと、質疑の前提となることですので、まずこれをはっきりさせていただかないと次の質疑に移れないなということを申し上げつつ、私の質問は終わります。

■■引用終了■■

…こういう無責任な答弁をすることの方が永田メール問題などよりもよっぽど悪質だ。なぜ,メディアはこういう無責任答弁を追及しないで,永田メールのような下らない問題を取り上げるのだろうか…

共謀罪クイズ~東京新聞(旧聞だけど…)

2006-04-03 23:04:27 | 適正手続(裁判員・可視化など)
東京新聞の特報面で共謀罪の危険性を分かりやすく解説した記事が掲載されていたので紹介します。もう,知っている人も多いと思いますが,まだの方もいると思うので,少しでも多くの方に知ってもらいたいという意味で転載します。まずは,次のクイズを…

■■引用開始■■


キョウボウザイ・クイズ(入門編)

問1 キョウボウ罪、漢字で書くと

 (A)凶暴(B)共謀(C)狂暴

問2 キョウボウ罪は、「団体」が犯罪をやろうと話し合って合意するのを罰するもの。対象となる犯罪はいくつ?

 (A)約20(B)約180(C)約620

問3 キョウボウ罪が対象としている「団体」はどんな団体?

 (A)暴力団だけ(B)暴力団とテロリストだけ(C)すべての団体

問4 キョウボウ罪が対象とする「団体」は何人以上の集まりでしょうか?

 (A)2人以上(B)5人以上(C)10人以上

問5 話し合いに加わって合意した人が罪に問われない場合があるのはどれ?

 (A)合意から抜けたとメンバーに宣言する(B)警察に「こんな合意をしました」と自首する(C)みんなを説得して犯罪の実行をやめさせる

問6 話し合ったことが犯罪になると知らなかった場合はどうなるでしょう?

 (A)罰せられない(B)罰せられる(C)罪が軽くなる

問7 次のうち、キョウボウ罪の対象とならないのはどれでしょうか?

 (A)脅迫の相談(B)万引の相談(C)CDを数枚コピーして売る相談

■■引用終了■■

この回答と解説はhttp://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060331/mng_____tokuho__000.shtmlまで。ちゃんと考えてから,答えを見て下さい。

もし,記事がすでに抹消されていたら,こちらをご覧下さい。


紙面に掲載されていた4コマ漫画も面白いので,できれば図書館で答えを確認して下さい。


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国の非常勤職員給与980億円、大半「物品費」で支出~東京地裁「道具を取り替えるのとは訳が違う」

2006-04-03 22:55:59 | 適正手続(裁判員・可視化など)
読売新聞によると,【中央省庁が正規の職員とは別に雇用している「非常勤職員」に対し、2005年度、少なくとも計約980億円の給与が支払われて】おり,計約13万6000人にも上る非常勤職員の給与の多くは、【物品購入などに充てる「庁費」の名目で予算要求されており、これまで総額は明らかにされていなかった。】という。

 記事では,総務省に対する取材の結果,【自衛隊員や国会職員などを除く一般職員の国家公務員は05年7月現在約30万人で、人件費は年間3兆284億円。定員や人件費は、総定員法や政令などで年度ごとに決められている】が,【非常勤職員については、各省庁の長の承認で自由に決めることができる。予算上、「非常勤職員手当」の名目で支出されているのは全体の2割(約201億円)程度で、大半は本来、物品などの購入に充てられる「庁費」で要求されていた。中には「家庭用品等試験検査費」や「感染症流行予測調査費」などの名目もあり、予算書からはその実態がうかがえない。 】というのだ。

また,【非常勤職員の扱いを巡っては以前から、外部から監視が行き届かないため癒着を生む可能性が指摘されてきた。01年の外務省の外交機密費流用事件では、詐欺容疑で逮捕された外務省職員の知人が非常勤職員として雇用され、週2回の勤務で月約50万円という破格の待遇を得ていたケースも明らかになっている。】という。

確かに,恣意的な運用から,利権の一部になっているともいえよう。しかし,他方で,1年間の有期雇用で非常に身分が不安定な状態で長期間働かされたうえ,簡単に解雇されるという事例も多い。

先日,ここで,有期雇用の職員に対する再任拒否について損害賠償を認める判例が出たことを紹介した。

この判決の中で,裁判官は,いみじくも,物扱いするな!と,次のとおり,苦言を呈している。

【思うに、非常勤職員といっても、任用更新の機会の度に更新の途を選ぶ
に当たっては、その職場に対する愛着というものがあるはずであり、それは更
新を重ねるごとにましていくことも稀ではないところである。任命権者として
は、そのような愛着を職場での資源として取り入れ、もってその活性化に資す
るよう心がけることが、とりわけ日本の職場において重要であって、それは民
間の企業社会であろうと公法上の任用関係であろうと変わらないものと思われ
る。
 また、非常勤職員に対する任用更新の当否ないし担当業務の外注化の当否に
ついては方針もあろうが、任用を打ち切られた職員にとっては、明日からの生
活があるのであって、道具を取り替えるのとは訳が違うのである。
 これを本件について見るに、国情研においては、原告●ら非常勤職員に対し
て冷淡に過ぎたのではないかと感じられるところである。永年勤めた職員に対
して任用を打ち切るのであれば、適正な手続きを践み、相応の例を尽くすべき
ものと思料する次第である。】

読売の公務員断罪記事の裏側では,裁判官が救ったような事例も多くある。公務員に対する一方的な批判はまったく的はずれというしかない。
   

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メディア資本集中化促進へ~規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)

2006-04-03 08:07:18 | クロスオーナーシップ問題
3月31日に閣議決定された「規制改革・民間開放推進3か年計画(再改定)」によって,メディアの資本集中化が促されることになりそう。また,NHKが番組制作をする際に子会社をはさまないと受注できないというトンでも制度は廃止される見込み。

メディアの資本集中についてはここに次のとおり書かれている。

② 複数局支配規制の一層の緩和【平成18 年度検討・結論】
放送普及基本計画(昭和63 年郵政省告示第660 号)において県域を中心とした放送対象地域が、また、放送局の開設の根本的基準(昭和25 年電波監理委員会規則第21 号)等において放送事業者の複数局支配に係る規制がそれぞれ規定されている。
こうした県域単位を基本とした放送対象地域の設定は、地域に根ざした情報発信メディアとしての存在により地域性を確保する趣旨で行われているものであるが、国民の生活圏の拡大、衛星放送・インターネットの普及に見られるメディアの多様化等を踏まえ、実態に即して見直していくことは必要である。また、県域という限定された範囲での事業活動となるため、地方の民放は経営基盤が脆弱であり、特に番組面ではキー局に依存しがちとなるという指摘もある。
そこで、上記の変化を踏まえ、放送事業者の経営基盤を強化し、放送内容の充実等を促すため、異なる地域間の複数局支配に関する規制の一層の緩和について検討し、結論を得る。(ⅢITウ32b)

…複数局支配が進み,メディアの資本が集中すると,政府の監視能力が削がれることは間違いない。新聞をみると,地方紙の方が比較的リベラルだが,これがなくなると思うと…。放送でも同じではないのか?政府にたてつくメディアをなくすための集中化促進だと思う。

また,NHKの番組制作についてはおなじところで,下記のとおり,書かれている。

なお、番組制作委託のすべてが随意契約となっているのは、放送番組の制作が番組ごとにすべて仕様が異なるという特殊性を持つからであり、一方、これらの契約がNHKの子会社等との取引であるのは、外部の番組制作会社に委託する場合、NHKの編集基準に沿った番組制作を行うため、NHK側プロデューサーの下で制作を行うこととし、委託契約はNHKから制作の委託を受けたNHKの関連団体が行うとしているためであるとされている。しかしながら、NHKの編集基準に沿った番組制作を担保するために関連団体を介する合理性は必ずしもないことから、NHKにおいて、現行の慣行を改めるとともに、番組制作業務委託については、番組の企画提案手続を透明化・明確化する。(ⅢITウ30b(b))

…NHKが番組制作発注の際,子会社をかますのは,天下り先にカネを分配するためだけであり,全く不合理なシステムだった。少しは改善されるだろうか…。


なお,NHKのスクランブル化については,【地上波デジタル放送のスクランブル化の是非を含む受信料制度の在り方、業務範囲等、将来を見通した公共放送の在り方全体の見直しを早急に行い、平成18 年度早期に一定の結論を得る。】と書かれているが…。

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伊東律子NHK番組制作局長(当時)は,陳述書の書き換えに応じるのか?~永田証言を無視するのか?

2006-04-02 11:49:51 | NHK番組改編事件
女性国際戦犯法廷に関する番組をめぐる民事訴訟に関連して,NHK側は,いったん,提出した伊東律子番組制作局長の陳述書を訂正しようとしていることは,ここでお伝えしたとおりだが,永田証言が訂正前の陳述書と一致していることが分かった。

変更する内容は,問題の番組放送前に,安倍・中川らのグループが発行した,慰安婦は強制的に慰安行為をさせられたものではなかったと主張する書籍を伊東律子局長が持っていたか否かという点。当初,伊東局長は,番組放送前に買ってきてもらって資料として持っていたと述べていたが,それを否定することにしたという。

この点について,永田チーフプロデューサーの証言内容は以下であることが分かった。

■■引用開始■■
1月26日辺りじゃないかというのが,私の記憶です。伊東番制局長の部屋に呼ばれて,この本を伊東さんがご自身で持っておられました。呼んだことある?とかいうことで聞かれて,ありませんというふうに言いました。分厚い本ですけれどもこの中の最後のほうに,「『日本の前途と歴史教育を考える若手疑委員の会』委員一覧」というのが名簿の形で載っています。

伊東さんは,この本の516,517頁(名簿)をわざわざ示して,それで私にちょうど中川昭一さんのところを指さしながら,言ってきているのはこの人たちよ,というふうに言いました。

必ずしも26日に,確かにその日ですという記憶はないんです。ただ,私が当時受け止めたことではっきり覚えているのはこの人たちだけど頑張るというか,そのことにめげずにしっかり放送を出すんだという受け止め方でした

■■引用終了■■

ということからして,放送前であることは明確…。

この点,従前の伊東局長の陳述書も,【確かこの25日ころだったと思いますが,場組制作局企画開発の職員が「歴史教科書への疑問」という500ページくらいの厚い本を書店で購入しました,と届けてくれていました。本の編者を見ると,「日本の前途と歴史教科書を考える若手疑委員の会」という長い名前のグループでしたが私は知りませんでした。あまりに厚いのと時間がなかったので結局放送が終了するまで読みませんでした。自分では読んでいなかったので結局室を訪れた吉岡部長らに対して「こういった本もあるけど読んだことはあるか」と尋ねたことはあったように記憶しています。】となっており,放送前に資料として持っていたこと,それを放送前に吉岡部長らに示したことについては,完全に一致している。


永田チーフプロデューサーは,法廷で,伊東局長について,次のように述べている。

【伊東さんについて言えば,僕はやっぱり30日(放送当日)の,言葉を発せず,泣きそうな顔で私を見ていた顔が忘れられないんですね。で,この話題を伊東さんと2人ですると,必ず伊東さんはぽろぽろぽろぽろ泣くんです。だから伊東さんは今でもいろいろな形で苦しんでいるんじゃないかなと】【伊東さんに対してはずっと経緯を持っていますし,今回のことについても,伊東さんなりの痛みをずっと抱えておられるんじゃないかなということを言いたかったんです】


…伊東局長は,永田チーフプロデューサーの敬意に応えることができるのだろうか…。


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永田処分を迫る山本議員質問,完全?再現!~見よ,全NHK職員!!

2006-04-01 02:09:12 | NHK番組改編事件
永田氏らの処分を迫る山本議員の質問を下記のとおり,再現しました。

3月30日 参議院総務委員会

◆自民党 山本順三議員:
  実は,先般3月22日、東京高裁におけるNHKの永田浩三氏,当時のチーフプロデューサーというふうにうかがっておりますけれども,この方の証言でですね、昨年1月12日に朝日新聞の報道が出たその直後に,1月14日でございますけれども,NHKの幹部の皆さんが集まって対応を協議した。そして、松尾元放送総局長と野島元総合企画室担当局長との間で、安倍晋三議員に呼びつけられたのではなくこちらから出向いたことにしようとの口裏合わせがあったことを、話し合いに参加した上司から聞いたと,こういういう記事がありました。これは、NHKにとって由々しき問題だろうというふうに思います。そこでまずは,事実確認をさせてください
1月14日にNHKの幹部,協議があったのかどうか? あったとしたらどういうメンバーが集まったのか? 永田氏の言うとおり,松尾氏・野島氏も出席していたのかどうか? 加えて,話し合いの内容はどうなのか?永田氏はその場にいた上司から聞いたといってらっしゃっていますが,それを聞いた上司とはいったい誰なんでしょうか,そのあたりのことを聞きたい。

◆NHK理事 原田豊彦:
  今言われた協議とは、1月14日の話し合いのことだと思いますが,この話し合いは1月12日に朝日新聞の記事が掲載されました、13日にはNHKの職員が記者会見をしたことを受けまして朝日新聞の記事のどの部分が間違っているか、その後の対応、記者会見で説明すべきかどうかを協議するために行われたものでございまして,松尾放送総局長、伊東番組制作局長らが出席しておりました。この場に、裁判の証言で安倍氏のところに出向いたことにしようと提案したとされる野島元担当局長は、そもそもこの話し合いに参加はしておりません。当日、この話し合いに出席致しました関係者から事情を聞気ましたけれども、ご指摘のようなすり合わせのような話はなかったということでございます。

◆山本議員:
  となると、ホントにこれおかしげな話になるわけです。そこで,もう一点お伺いしたいのですが。NHKの公式的な考え方としては、安倍議員に呼び出されたのではなく、事業計画の事前説明のために出向いたとおっしゃっています。一方では永田氏の控訴審の証言があります。
永田氏は現在、衛星局の担当部長だとうかがっておりますが,担当部長ということはまさにNHKの幹部の一人だと私どもは解釈します。そういう人方がNHKの公式見解があるにも関わらず,会社の名誉に関わると思うのですが,口裏合わせということを伝聞に基づいて裁判の席上で証言するということは大変由々しきことだと思いますし。NHKのガバナンスが問われる問題だと思います。
  そこで,会長としてどういうふうにお考えなのか、また,NHKの信頼を守りぬくためにどのようにけじめをつけるつもりなのかご所見をお聞きしたい。

◆橋本会長:
この職員の証言が伝聞に基づくということで,大変根拠が無いことについて証言したことに対して、私大変遺憾に思っています。そういう中でNHKの姿勢というものはこの裁判を通じて,公けに明らかになる裁判の中ではっきりとしめして参りたいと思います。また,この職員についての人事上の扱いについては、適切に対処したいと考えております。

◆山本議員:
その適切とはどういうことなのかということについてお伺いしたいところですが、なかなか答えにくいところだと思いますので。実は,朝日新聞の方は、調べましたら,NHKに政治介入という記事を書いた記者は現場から外されたというふうなことも聞いておりますし。また,関連資料流出の責任をとって、編集局長と社会部長とが職務の任を解かれたことも聞いております。
そういったことと比較するとNHKの対応というものが後手に回っているのではないか。甘いのではないだろうか。私どもはつくづく感じているところです。
そもそも発端になったのは長井さんというデスクが、信頼できる上司から、これまた伝聞に基づいた政治的介入があったというふうなところから、この話が始まったわけであります。永田氏にしてもそうです,長井氏にしてもそうなんですが、NHKとして、そういったいろんな話が出ておりますけれども、NHKの内部調査がどのように進んでいるのか、その辺りの実態をぜひお聞かせいただきたい。

◆原田理事:
  NHKといたしましては、この問題、今、裁判が進行している途中でございますけれども、これまであえて編集過程の詳細まで踏み込んで事実関係を整理して視聴者の皆さんにも説明責任として公表して、私たちの基本的な考え方を示してきたところでございます。当時,NHKの中でも、一部の職員の間で事実関係はどうだったんだろうということで、関係者の一部から話を聞くという動きがございました。ただ、そのことは全体の、関係者全員の話を聞いて総合的に事実関係を特定したものではございませんので、ま,一部の関係者の思い込みであるとか、あるいは事実誤認などが多く含まれておりまして,不完全な内容であると考えております。
  そうしたことが背景となって、証言の食い違いになっているというふうに思っておりまして,その辺り、私ども,どういうことでこういうことになったのか、調査をしているところでございます。

◆山本議員:
  最後に,要望だけしておきたいんですけれども,私,なんでこのような質問をするかと言いますと,NHK、公共放送を一手に抱えて頑張っていらっしゃる,それはぜひともその姿を国民に見てもらって,早く信頼回復をしてもらいたい。その一つとして,これに関連した記事が出てくるんですが、その記事一つ一つがNHKの信頼回復と逆行してしまう。そのことを大変に心配しております。
  是非とも、毅然とした態度で、これからこの問題をしっかり内部調査して、早くに解決できる,国民に説明責任を果たす,そういうことを、是非ともやっていただきたい。NHKの自浄能力に大いに期待しながら質問を終わりたいと思います。



ちなみに永田さんのこの点に関する証言は下記のとおり。

【「非常にびっくりしたのは,吉岡さんも含めてですけれども,伊東さんと松尾さんと野島さんと4人で集まってのことです。で,政治家の介入がもういろいろ記事なんかでも盛んに取り上げあげられ始めていた時期ですけれども,松尾さんが安倍さんのところに行ったのは,呼びつけられたのではなくこちらから出向いたということにしようということに,松尾さんと野島さんのやりとりの中でそういうふうになっていったということを吉岡さんから聞きました」】


この点,永田氏が証言の際,内容が正しいことを確認したNHK有志作成の時系列表には吉岡部長(当時)の発言として次のように書かれている(ここ参照)。

■■引用開始■■
 1月14日,松尾元総局長に呼ばれ,4階に集合した。1月12日の朝日新聞の記事への対処を話し合う場だった。野島元担当局長(現理事)伊東元番組制作局長(現顧問)白髪頭の人がいた。宮下理事も10分くらい顔を出した。松尾氏が記者会見を行う相談だったが,「やる」という決断はくだらなかった。野島氏から松尾氏に「1月29日は安倍氏に呼びつけられたのではなく,こちらから説明に行ったというゆうに話して欲しい」と要望があった。松尾氏は苦りきった顔で「よく覚えていないという回答ではどうだろうか」といい,そこに落ち着いたようであった。
■■引用終了■■


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