情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

探偵業法の例外を限定していいのか?~共感を呼ぶ主張を!

2006-04-11 19:15:31 | メディア(知るための手段のあり方)
 自民党が今国会に提出を予定している「探偵業の業務の適正化に関する法律案(探偵業法案)」が,報道の自由を侵害する可能性があることについては,ここ←で触れたとおりだが,民放連が引用した英国における警備業法(Private Security Industry Act 2001)では,報道目的での情報収集活動のみならず,「ジャーナリズム、文学、芸術目的での情報収集活動」という広いものが除外されていることが分かった。

英国法の原文は,
(6) This paragraph does not apply to activities carried out for the purpose of obtaining information exclusively with a view to its use, or the use of information to which it relates, for the purposes of or in connection with the publication to the public or to a section of the public of any journalistic, literary or artistic material or of any work of reference.
であり,

その説明は,ここ←の1頁に次のとおり,書かれている。

■■引用開始■■

第4 条(2)から(9)にかけては、探偵業に該当しない活動が明記されており、「市場調査」、「信用調査」、「ジャーナリズム、文学、芸術目的での情報収集活動」、「公開情報に言及する活動」、「調査対象に知られた上で、もしくは調査対象に同意を得た上で行われる情報収集活動」などが同法の探偵業の定義から除かれている。

■■引用終了■■


そうすると,問題になるのは,日本で報道とは,「不特定かつ多数の者に対して客観的事実を事実として知らせること(これに基づいて意見又は見解を述べることを含む。)をいう」(個人情報保護法50条)と限定されているにもかかわらず,民放連が要求しているのは「報道目的で情報収集活動を行う者については,本法の適用から除外されることを法文上明確にさせること」というように報道目的の活動のみの除外であることだ。

すなわち,英国法で除外されている「文学、芸術目的」の除外が民放連の要求に入っていないのだ。

これでは,フリージャーナリストが独自に取材した場合,「あんたの書いているものには虚構・誇張が入っており,事実を知らせるものではないため例外扱いできません」などということになりかねない。

民放連は,表現活動に携わる者全般のことを考えた意見を言うべきではないだろうか?そうしないと,自分の利益を追及しているのみだという批判を受けることになるのではないだろうか?

 
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バスカメラでプライバシー丸裸?~国交省の再生プロジェクト

2006-04-10 23:33:10 | 適正手続(裁判員・可視化など)
国交省が,バスレーンの円滑な運行を確保するために,バスにカメラをつけて,妨害車両を撮影したうえ,使用者に通知するシステムを考案し,すでに東京都内の一部のバスでは設置ずみだという。

このシステムは,ここ←をみれば一目瞭然。バスカメラを活用して、バス専用レーン・優先レーンにおいて、バスの前方で違法走行又は違法駐車をしている車両に対して警告すること等により、バスの走行環境を改善し、バスの走行の円滑化を図るというもの。

バスは背が高いから自家用車の様子なんて丸見えだ。これを常時撮影していていいのか?

「京都府学連事件」判決は,
「警察官が、正当な理由もないのに、個人の容貌等を撮影することは、憲法十三条の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。しかしながら、個人の有する右自由も、国家権力の行使から無制限に保護されるわけではなく、公共の福祉のため必要のある場合には相当の制限を受けることは同条の規定に照らして明らかである。」
「そこで、その許容される限度について考察すると、(中略)現に犯罪が行われもしくは行われた後間がないと認められる場合であって、しかも証拠保全の必要性および緊急性があり、かつその撮影が一般的に許容される限度を超えない相当な方法をもって行われる場合である。」
としている。

また,「釜ヶ崎監視カメラ事件」1994年4月27日大阪地裁判決では,

「本件テレビカメラによる監視行為は、主として犯罪の予防を目的とした警ら活動や情報収集の一手段であり、性質上任意手段に属するから、本件テレビカメラの設置およびその使用は、警察法および警職法が当然に予定している行為の範疇に属するものであり、特別な根拠規定を要することなく行える」が,

「情報活動の一環としてテレビカメラを利用することは基本的には警察の裁量によるものではあるが、(中略)その設置・使用に当たっては、①目的が正当であること、②客観的かつ具体的な必要性があること、③設置状況が妥当であること、④設置および利用による効果があること、⑤使用方法が相当であることなどが検討されるべきである。」 としたうえ,

「特段の事情のない限り、犯罪予防目的での録画は許されないというべきである。(中略)したがって、これらの行為が行われれば原告らの肖像権を侵害したものとして違法とされるべきことはいうまでもない。」とされているようだ。

バスカメラ撤去請求訴訟がおこされる日は近い?!

それにしても,この計画は発表されたはず。取材した記者は,だれも行政が市民のプライバシーを侵害することの問題点に気づかなかったのだろうか?


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朝日新聞よ,本田記者の取材テープを公開せよ~NHK新ガイドラインで隠し撮り認める

2006-04-10 05:53:19 | NHK番組改編事件
NHKが先頃,発表した新ガイドラインによると,無断撮影・録音について【取材の相手が,撮影や録音を明確に拒否している場合は,原則として撮影や録音を行わない】としつつも,【ただし,次のような場合には,所属の部長の許可のもとに取材相手の同意なしに撮影や録音を行う場合がある】として【取材相手の同意なしの撮影,録音以外に反社会的な行為を取材できず,かつ,これを放送することが公共の利益に照らして必要なとき】【事態が流動的で,取材時には撮影や録音について同意を得ることが難しいと判断し,かつ,条件が整った段階では,これを放送することが公共の利益にかなうと判断したとき】を挙げている。

これについては,事前に所属の部長の許可を得なければならないという点で,あまりに,取材する者に厳しい枠組みが課せられているが,少なくとも,実質的には,公共の利益に照らして放送することが必要な反社会的行為を取材する場合には,無断録音・撮影をしてもよいということになる。

朝日新聞がETV問題を取材した際,NHKは,次のような公開質問状を送った。

【去年8月に明らかになった、御社記者が起こした「無断録音テープ流出問題」についての御社見解によれば、「取材内容の録音は相手の了解を得るのが原則であり、取材相手との信頼関係を損なうことがあってはならない」としています。御社記者は、松尾元放送総局長に取材した際に録音する許可を得ていませんでしたので、仮に録音テープがあるのであれば、御社見解に照らした場合、取材倫理に反する行為にあたると考えますがいかがでしょうか】

【また、録音テープの有無に関わらず、記者会見前日に松尾元放送総局長が電話で質問した際に、録音テープの存在の有無をはっきり答えなかった御社記者の行為は、「取材相手との信頼関係を損なうことがあってはならない」としている御社の取材倫理に、やはり反するものと考えますがいかがですか。】

これらは,無断録音を許さないという姿勢からの質問であり,今回の新ガイドラインと真っ向から対立する。

NHKは,少なくとも,公開質問状に上記の質問をしたことについて反省し,質問を取り下げるべきではないか?

また,朝日新聞が,ETV問題において,取材したことは,今回の新ガイドラインで,NHKが自ら「放送とは直接かかわりのないNHKの予算・事業計画の国会承認を得るなどの業務にあたっても、この基本的な立場は揺るがない」とした自主自律の堅持が守られなかった事例である。

従って,新ガイドラインにおいて,無断録音・撮影,そして,その放送までもが認められる事例であるというほかない。

よって,朝日新聞は,直ちに,録音したテープを堂々と公開するべきではないだろうか?


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弁護士報酬をクレジットで受領することの正否について

2006-04-09 08:22:30 | 適正手続(裁判員・可視化など)
いま,日本弁護士連合会では,弁護士の報酬をクレジット契約によって受領することを認めるか否かで,ちょっとした争いが起こっている。

従前,日弁連は,「弁護士がクレジットカード会社と加盟店契約を締結することは相当でないと思料する」(1992年理事会承認「見解」)という立場をとっていた。

しかし,現に,数人の弁護士がクレジット会社と加盟店契約をしている実態を背景に,昨年5月,日弁連弁護士業務改革委員会が適切なガイドラインを定めることを前提としてクレジットによる支払を認めるべきであるという決議をした。

しかし,クレジットの問題にこれまで取り組んできた日弁連消費者委員会は,依頼者の秘密保持が保てない,報酬が高額化するおそれがあることなどを理由に真っ向から反対している。

個人的には,確かに,債務整理関係の依頼者を中心に,約束したとおりの弁護士報酬を支払わないケースもあり,クレジットにしてもらえたら楽だというのは分からないでもない。

しかし,弁護士がほかの業務と同じように効率だけを考えて楽なシステムを採用していいのだろうか?業種業種によって,守るべき最低限のルールというのがあり,一般的なシステムは必ずしも妥当しないのではないだろうか。

たとえば,朝日新聞の箱島・元社長は,朝日を「普通の会社」にすると言って,経済性を重視したが,その結果,週刊朝日の連載記事をめぐり消費者金融大手の武富士から約5000万円を受領するなどの不祥事を引き起こし,退陣を余儀なくされた。

弊害はそれだけではない。箱島体制下で,朝日新聞は大きく右に舵をとってしまった。「普通の会社」であろうとすることの当然の帰結だろう。現政権との緊張関係を維持したままでは(特に長期一党政権下では),「普通の会社」にはなれないからだ。

いま,弁護士会は,司法改革の波に乗っているが,個人的には,司法改革は,弁護士を普通の事業主にすることにつながるのではないかと危惧している。

今回のクレジット契約騒動も,弁護士を普通の事業主(採算重視)としてしまうことによって,弱者切り捨てにつながるのではないかと危惧する。

司法は,民主主義=多数決=その時々の多数派による航路を定める立法,そしてその舵取りをする行政によって,多数派のための政策実現を優先する結果として少数派の人権が侵害されることを防ぐ役割を有している。

その司法を担う弁護士が「カネがないならクレジットでもして用意して来んかい!!」というのでは,少数派の切り捨てがますます進むことになりかねない。「カネがない人」のために,法律扶助という制度があるのであり,クレジット契約を可能とするよりも,法律扶助制度を拡充することを目指すべきであることは明らかではないだろうか?


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天下り先を伏せたり、不祥事職員の名前を公表しなかったり~個人情報保護法に対する新聞協会意見書

2006-04-07 23:51:12 | 匿名発表問題(警察→メディア)
日本新聞協会は7日、05年4月に個人情報保護法が全面施行されて以来、「個人情報は隠すべきだ」との誤解が広がっているとして、制度の見直しを求める意見書を、国民生活審議会の個人情報保護部会に出した(朝日新聞)。

 この部会では,政府が法の全面施行から3年をめどに施行状況を検討し、必要な措置を講じることを決めていることから、関係団体の意見を聞いている。

 意見書は、同協会編集委員会の委員社57社の協力でまとめた実態調査の結果を踏まえたもので、ここに記載されている。

 意見書は,「個人情報は隠すべきだ」との誤解がまん延し、社会活動のあらゆる分野において、深刻な委縮現象や混乱が目立っていると指摘して教育現場の混乱,地域社会の連携の弱体化について触れたうえ,【さらに問題なのは、法律の拡大解釈とも言える行政の情報非開示の動きである。従来は公表していた幹部の天下り先を伏せたり、不祥事を起こした職員の名前を公表しなかったり、幹部公務員の経歴を省略したりするケースが少なくない。当然公表すべき「公共の利害」に関する事項さえ、「個人情報の保護」を理由に情報の隠ぺいが進んでいる実態は、法律が想定した保護範囲を大きく逸脱するものと言わざるを得ない。行政の透明性確保を目的とした情報公開法の趣旨にも反するものである。】としている。

 権力は情報を集中しようとする。市民をコントロールするために必要だから…。自民党は新憲法案に被害者の人権を掲げたのは,権力が情報をコントロールしてあげるよ…という甘言の一環だし,昨年末の犯罪被害者等基本計画も被害者の匿名という形で,情報のコントロールを強める道具としている。

 私たち市民が,この流れをせき止めない限り,情報流通がさらに阻害されることになり,民主主義は名ばかりのものになる…。まずは,これらの方に情報流通の大切さを訴えよう。

 権力が情報を管理することの怖さは,ブッシュのCIA情報疑惑からも明白だろう。特に,戦争という異常事態を市民に納得させるには,相当の情報操作が必要になるということを直接的にではないにせよ,伺いすることができるケースだ。

 もっと,情報を!


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国籍差別をする人権擁護法案って?!

2006-04-07 22:36:27 | 人権擁護法案(原則必要派)
読売新聞によると,【杉浦法相は7日午前の閣僚懇談会で、人権擁護法案の今国会提出を断念し、内容を大幅に見直して次期通常国会で再提出を目指すことを報告した。今後、省内に法相を長とする検討チームを設置する。】という。

同紙によると,法相は記者会見で、「法案は大幅に手直しをする」としたという。そして,【人権問題に携わる人権擁護委員に国籍条項がなく、外国人でも委員になることができることについて、「修正が必要だ」と述べたほか、メディア規制条項についても「マスコミとの協議の場を設けて意見を聞きたい」と話した。】らしい。

 前から言ってるが,国籍差別を前提とした人権擁護法案ってそれ自体,矛盾していないだろうか?人権機関は,弱者,少数者の人権を守るために設けられるのであって,強者がさらに都合のよい世の中にするために設けられるのではないはずだ。

 杉浦さんは弁護士出身のはず。民主主義の犠牲になる者を救うことの大切さはよく分かっていると思うのだが…。


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民主党憲法改正国民投票法制大綱HPに掲載~対話集会開始に向け

2006-04-07 21:50:11 | 憲法改正国民投票法案そのほか
民主党は、日本国憲法の制定から60年を迎える今年、憲法についての対話集会を以下の通り全国主要都市で開催することとし,HPに,憲法提言憲法改正国民投票法制大綱を掲載した。

集会では,枝野幸男衆議院議員ら民主党憲法調査会役員が昨年10月末に党憲法調査会で取りまとめた「憲法提言」について報告した後、フォーラム形式で参加者と意見交換する予定だという。

第1回は,四国集会で,4月22日(土)午後1時~4時,シビックセンター徳島ホール(会場定員:200人)で行うという。弁士は, 枝野幸男民主党憲法調査会長及び仙谷由人衆議院議員(徳島1区選出)ら。

民主党の憲法改正国民投票法制大綱は,一括投票方式をとっていないこと,メディア規制がなく,運動規制が限定されているなど,民意が反映されやすいシステムになっていると思われる。

【衆院憲法調査特別委員会(中山太郎委員長)は6日、理事懇談会を開き、憲法改正の手続きを定める国民投票法案に関して各党から出た主張、意見を「論点整理」としてまとめた。与党側はこれをたたき台にして法案作成に向けた具体的調整を進めたい意向だが、参院側では依然として慎重論が強いこともあり、法案化への見通しは不透明なままだ。】(西日本新聞)という状況の中で,これに与党が乗ってくるかどうか…。

また,民主党案で改正すべき点は何か?今週末,憲法提言や憲法改正国民投票法制大綱をゆっくり読んでみませんか?


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探偵業法で取材活動に制約?!~民放連が申し入れ

2006-04-07 02:51:13 | メディア(知るための手段のあり方)
 民間放送4月3日号によると,民放連・報道委員会は3月20日から22日にかけて,自民党が今国会に提出を予定している「探偵業の業務の適正化に関する法律案(探偵業法案)」に対し,報道目的で情報収集活動を行う者を適用除外とするよう,自民,公明,民主各党の政調会長あてに文書による申し入れを行ったという。

 申し入れた理由は,同法案が,探偵業務を「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞き込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」としたうえ,探偵業務を行おうとする者に対し,営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会に届出義務を課しているからだ。

 確かに,テレビ局の下請けプロダクションや週刊誌の依頼を受けたフリージャーナリストなどが行う取材活動は,「他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞き込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」であり,そうだとすると,このままでは,そういう行為を行う者は公安委員会への届出義務を負い,公安委員会の監督を受けることとなる。

 例えば,法案は,第十三条(報告及び立入検査)で,「公安委員会は、この法律の施行に必要な限度において、探偵業者に対し、その業務の状況に関し報告若しくは資料の提出を求め、又は警察職員に探偵業者の営業所に立ち入り、業務の状況若しくは帳簿、書類その他の物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。」としている。

 民放連の申し入れは,英国における警備業法(Private Security Industry Act 2001)で,報道目的での情報収集活動が適用除外となっていることを指摘したうえ,「報道目的で情報収集活動を行う者については,本法の適用から除外されることを法文上明確にさせることを強く申し入れる」としたという。

 英国の警備業法をざっとみたが,どのように例外が定められているのか,よく分からない…。ご存じの方はお教え下さい。
 
 いずれにせよ,探偵業法を利用したメディアに対する立ち入り調査などが行われないようにするにはどうしたらいいか,真剣に考えないと,また一歩メディアが押し込まれることになりかねない。


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世紀のガセネタ~アメリカのイラク侵略理由

2006-04-06 02:30:32 | 有事法制関連
シンスゴさんが,マスコミ市民4月号のコラムで,偽メールの永田議員に辞職を求める人が60%以上に上る一方(読売新聞調査),「フセインは大量破壊兵器を隠し持っている」という世紀のガセネタを利用してアメリカの侵略戦争を支持し,自衛隊をイラクに派遣した小泉を批判しないのはなぜか?と苦言を呈している。

【民主党による一連の説明に納得できないという77%の人たちは,小泉首相の大量破壊兵器に関する説明には納得したのか?】

【メールの信憑性は高いなどと言い続けた前原代表の対応が不適切たっだという78%の人たちは,大量破壊兵器は必ず見つかる,フセイン大統領が見つからないからといって,フセイン大統領が存在しなかったとは言えないなどと言い続けた小泉首相の対応は不適切だと思わないか】

【メール問題がコム民の政治不信を強めたと思う人は68%もいるが,ガセネタを使ってイラクでの殺戮に荷担した小泉政権に不信を抱く人は少ない】

…もっともな指摘である。

1月31日,朝鮮半島から強制的につれてこられた抗夫約200人が亡くなった長生炭鉱水没事故の追悼式が行われた。
長生炭坑水没事故とは,【1942年2月3日未明、宇部市西岐波の長生炭鉱で水没事故が起こりました。そのとき構内で働いていた抗の犠牲者200名(現在183名確定)が、当時、朝鮮半島から強制的につれてこられた抗夫でした。その後、犠牲者は一人として遺体を引き上げることなく、冷たい海底に眠ったまま現在にいたっています。事故にあった2月3日前後には、毎年、韓国からご遺族をお招きして追悼式を行なっています。(「長生炭鉱水非常を歴史に刻む会」追悼式のご案内より)】というものだ。

北朝鮮による拉致はそれ自体,許されざる犯罪であることは間違いない。しかし,他方で,まだ,歴史にはなっていない(遺族が存命している)日本の犯罪について,私たちはどの程度知っているだろうか?そして,知ろうとしているのだろうか?


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朝日改革~「部制の枠組み」を廃止ってどういう感じ?

2006-04-06 00:55:58 | メディア(知るための手段のあり方)
朝日新聞社によると,同社は昨年8月に発覚した虚偽メモ事件など、一連の不祥事を契機に、編集部門を総点検し、改革案をまとめた。4月1日付で組織と取材態勢を変更し、「読者の求めに応え、時代の羅針盤として頼りにされる新聞」を目指すという。

最も大きな改革は,社会部,経済部,政治部といった部制度を廃止することだろう。

朝日新聞社によると,【「社会部」「経済部」といった「部制の枠組み」を廃止します。新しいテーマ、ニュースに即応できるよう、柔軟で機動的な組織にするためです。呼称は当面変えませんが、年内に組織を再編し、名称を変える予定です。】ということだが,今ひとつ,イメージが湧かない。

朝日の右傾化を危惧する者としては,単に社会部廃止を狙ったものではないか?と勘ぐってしまう。2004年2月1日に導入された生活部も,社会部を弱体化するものであるという見解もあった。

以前,大阪読売には,黒田軍団と異名をとった社会部記者たちがいた。彼らは,弱者の視点に立って,素直におかしいと感じることを徹底的に取材することを目指していたように思う。

その結果,革新・左派色が強いと見られ、黒田社会部長は渡邉恒雄の意を呈した上司に干されるようになり,1987年退社。「黒田軍団」も内部で「戦犯」視され、散り散りになった(ウィキペディア参照)。

今回の東京朝日の改革は,そのデジャブではないのだろうか?杞憂ならいいのですが…。

今回の改革の一環として,「特別報道チーム」なるものを発足させるという。是非,このチームに,東京新聞の特報部のように,豊かな紙面を与え,権力監視という視点からの特ダネを連発して欲しい。


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