<ねろねろ坊や 今すぐねんね ココがやって来て 食べちゃうぞ>。スペインの「ナナ」(子守歌)にこんな歌詞があるそうだ。「ココ」とは正体不明のおばけのことらしい▼鵜野祐介さんの『世界子守唄紀行』によると、どこの国の子守歌にもおばけがよく登場するようだ。東北地方の「モッコ」、韓国の「トッケビ」、スコットランドの「クリスティ・クレイク」、フランスの「狼(おおかみ)男」。早く寝ないとおばけが来るよと子どもをおどかすのは世界共通か▼この人が貼り絵で描いたおばけは子どもをよく寝かしつけたが、そういうおどしとはまるで関係がない。だから、あのおばけは子どものよい友人になれたのだろう。ロングセラー『ねないこ だれだ』などの絵本作家せなけいこさんが亡くなった。92歳▼せなさんの絵本を寝る前に読んでもらい、あるいは子どもに読み聞かせた方はどれぐらいいらっしゃるか。赤いお口の愛きょうのあるおばけが懐かしい▼「おばけの せかいへ とんでいけ おばけになって とんでいけ」-。『ねないこ だれだ』は最後、夜ふかしをした女の子がおばけと夜空へと飛んでいく▼子守歌の「食べちゃうぞ」のおどしじゃなくて、おばけと一緒に空を飛ぶという楽しい気分や夢心地が、子どもを眠りの世界へと上手に誘(いざな)うことができたのだろう。せなさん、おばけと夜空にいらっしゃるか。
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