ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

海老さんじゅばん

2011-06-14 01:08:06 | 着物・古布

 

先日、BSだったかで「ロブスター・マーチ」を見ました。

バハマの海に住む「アメリカイセエビ」という大型のエビで、嵐の前になると海底に移動するのですが、

そのとき、何匹ものエビが一列になって行進していく「自然界のフシギ?」。

行進する海の底は砂ばかりで身を隠す場所がありません。危険回避に列を成していくわけです。

私が見た番組のとは違うのですが、動画がありましたので…

余計な字幕入ったり、途中魚に襲われてえさにされる無残な場面もありますが…こちらです

 このエビの行列、長いもので2キロにもなり、それで50キロも移動するのだそうです。

自然って厳しいですよね。

 

さて、やっとじゅばんのお話です。

「エビ柄」もおめでたいので、よく使われます。形からいって、男物が多いし、

女性の場合は使われてももっと小さい絵が多いのですが、これはなんとも大胆な大エビで女物です。

エビの白地のところは、ちょっとうすく変色したりもしています。

けっこううまい絵だと思います。小さいエビ欠けちゃってますけどかわいいですね。

 

     

 

実はこのじゅばんは「繰り回し」です。柄からいって花街系の方のものかと思います。

お気に入りだったのでしょうね。何度も洗い張りし仕立て直しで、小さくなっていったのでしょう。

まずは背縫いの左右でついでます。見づらいのでついでいるところに矢印入れました。

この「ツギ」はもちろん、上から下までずーっとです。

 

     

 

そして後ろ身頃の裾、裏側は、もうパッチワークですね。

できるだけ柄の近いところをうまく組み合わせてはいますが。8枚でついであります。

 

     

 

それでもいいですよねぇ…。地はシボの細かいちりめん、錦紗の一歩手前くらいでしょうか。裏は紅絹です。

それゆえの、お決まりのような「脇の汗による色移り」もしっかりありました。

これだけまっかっかなのに、間の悪いことに「エビさんの白いとこに」です。

 

     

   

それにしても鮮やかな赤です。まぁデジカメでは正確な色はでていませんのですが、

もう少し「朱」ではなく「赤」なんです。黒に映える赤、ですね。

こういうのを着たいですねぇ。傷みはそれほどないのですが、これだけのツギハギだと

仕立て直すのも一苦労…でしょう。

このまま丸洗いで、寸法はなんとか「ごまかし揚げ」とかでしのいで着たいですね。

 

 

大きなエビの話というと…思い出しました、また「昔ばなし」…。

あるとき鳥の王者「鷲」が「アナタは陸の王様だから、海を渡ってあちら側につけば海の王者にもなれる」と

そそのかされて陸を飛び立ち、どんどん飛んで行きますが次第に陸も島も見えなくなり、だんだん疲れてきます。

「海というものはほんに広いものだ」と感心していると、海面に木の枝が出ているのを見つけます。

一休みしようとその枝に降り立つと、突然その枝がグラグラと動きました。

それは枝ではなく、大エビのひげでした。エビは怒って鷲を弾き飛ばします。

鷲は「世界というものは広いものだ、自分は陸の王者だと思っていたが、海にはもっと大きいものがいる」と、

そう言って、陸へ戻っていきました。

これを聞いたエビは「あんな小さいのが陸の王者か。それなら私は海の王者だ」と、

大いばりで海の中を行きました。そのうち疲れてきたのであたりを見回すと、ちょうどいい洞穴がありました。

そこへ入って一休み…とおもったとたんに、グラグラと地震のように揺れが始まり、

「誰だ、ワシの中入り込んだやつは」と、大声がし、大エビはいきなりものすごい力で吹き飛ばされました。

洞穴だと思ったのは、クジラの潮吹き穴だったのです。

大エビはそれを見ると「いやいや世界は広い、私より大きなものがいた」と、こそこそと海底に沈んだそうです。

大エビはクジラに吹き飛ばされたとき岩に激突し、エビの腰はそのときから曲がってしまったんですと…。

 

結局、その「曲がった腰」が、人間界では「腰が曲がるまでの長寿」ということで、

めでたいものになったわけですから、おもしろいものですね。

それにしても、あのロブスター・マーチの「先頭をいくエビ」は、ダレがどう決めるのでしょうね。

なんか歩き始めると、そのへんから出てきたのがあとにつく…という感じですから、

真っ先に「行こう!」と決めて、走り出したのがリーダーってことなんでしょうね。

私だったら、せっかちですからまず飛び出して…

先頭きって、後ろダレもついてないの気がつかずに暴走しちゃいそうです。

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2011-06-14 09:38:40
これだけ素敵な襦袢は、繰りまわしても
使いたくなる気持ち分かります。
最後はうそつき袖にでもしたい、色と柄
ですね。

返信する
海老柄のスタジャン (ききょう)
2011-06-14 18:31:45
先日某局の旅番組で見たのですが
地元の若者に人気のお店で
海老柄のスタジャンを売ってました。
定番の売れ筋だとか。

ちなみに蟹はないそうです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2011-06-15 02:48:09
陽花様

ほんとにいい色です。
袖も中も、真ん中はついであるのですが無双です。
胴貫きでもうそつきでもいいから、襦袢で着たいですね。
もったいなくて切り刻めませんわ。
返信する
Unknown (とんぼ)
2011-06-15 02:52:06
ききょう様

スタジャンにエビ…ですかぁ…。
アメリカザリガニかなんかのほうが、ぴったりしそうですけどねぇ。

蟹柄は、和服でも、夏物とあとは昔話柄(サルカニ合戦)くらいで、
襦袢などではあまり見ませんね。
スジャンに「毛蟹」なんて、けっこういいかもなのに…?!
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