先日、BSだったかで「ロブスター・マーチ」を見ました。
バハマの海に住む「アメリカイセエビ」という大型のエビで、嵐の前になると海底に移動するのですが、
そのとき、何匹ものエビが一列になって行進していく「自然界のフシギ?」。
行進する海の底は砂ばかりで身を隠す場所がありません。危険回避に列を成していくわけです。
私が見た番組のとは違うのですが、動画がありましたので…
余計な字幕入ったり、途中魚に襲われてえさにされる無残な場面もありますが…こちらです。
このエビの行列、長いもので2キロにもなり、それで50キロも移動するのだそうです。
自然って厳しいですよね。
さて、やっとじゅばんのお話です。
「エビ柄」もおめでたいので、よく使われます。形からいって、男物が多いし、
女性の場合は使われてももっと小さい絵が多いのですが、これはなんとも大胆な大エビで女物です。
エビの白地のところは、ちょっとうすく変色したりもしています。
けっこううまい絵だと思います。小さいエビ欠けちゃってますけどかわいいですね。
実はこのじゅばんは「繰り回し」です。柄からいって花街系の方のものかと思います。
お気に入りだったのでしょうね。何度も洗い張りし仕立て直しで、小さくなっていったのでしょう。
まずは背縫いの左右でついでます。見づらいのでついでいるところに矢印入れました。
この「ツギ」はもちろん、上から下までずーっとです。
そして後ろ身頃の裾、裏側は、もうパッチワークですね。
できるだけ柄の近いところをうまく組み合わせてはいますが。8枚でついであります。
それでもいいですよねぇ…。地はシボの細かいちりめん、錦紗の一歩手前くらいでしょうか。裏は紅絹です。
それゆえの、お決まりのような「脇の汗による色移り」もしっかりありました。
これだけまっかっかなのに、間の悪いことに「エビさんの白いとこに」です。
それにしても鮮やかな赤です。まぁデジカメでは正確な色はでていませんのですが、
もう少し「朱」ではなく「赤」なんです。黒に映える赤、ですね。
こういうのを着たいですねぇ。傷みはそれほどないのですが、これだけのツギハギだと
仕立て直すのも一苦労…でしょう。
このまま丸洗いで、寸法はなんとか「ごまかし揚げ」とかでしのいで着たいですね。
大きなエビの話というと…思い出しました、また「昔ばなし」…。
あるとき鳥の王者「鷲」が「アナタは陸の王様だから、海を渡ってあちら側につけば海の王者にもなれる」と
そそのかされて陸を飛び立ち、どんどん飛んで行きますが次第に陸も島も見えなくなり、だんだん疲れてきます。
「海というものはほんに広いものだ」と感心していると、海面に木の枝が出ているのを見つけます。
一休みしようとその枝に降り立つと、突然その枝がグラグラと動きました。
それは枝ではなく、大エビのひげでした。エビは怒って鷲を弾き飛ばします。
鷲は「世界というものは広いものだ、自分は陸の王者だと思っていたが、海にはもっと大きいものがいる」と、
そう言って、陸へ戻っていきました。
これを聞いたエビは「あんな小さいのが陸の王者か。それなら私は海の王者だ」と、
大いばりで海の中を行きました。そのうち疲れてきたのであたりを見回すと、ちょうどいい洞穴がありました。
そこへ入って一休み…とおもったとたんに、グラグラと地震のように揺れが始まり、
「誰だ、ワシの中入り込んだやつは」と、大声がし、大エビはいきなりものすごい力で吹き飛ばされました。
洞穴だと思ったのは、クジラの潮吹き穴だったのです。
大エビはそれを見ると「いやいや世界は広い、私より大きなものがいた」と、こそこそと海底に沈んだそうです。
大エビはクジラに吹き飛ばされたとき岩に激突し、エビの腰はそのときから曲がってしまったんですと…。
結局、その「曲がった腰」が、人間界では「腰が曲がるまでの長寿」ということで、
めでたいものになったわけですから、おもしろいものですね。
それにしても、あのロブスター・マーチの「先頭をいくエビ」は、ダレがどう決めるのでしょうね。
なんか歩き始めると、そのへんから出てきたのがあとにつく…という感じですから、
真っ先に「行こう!」と決めて、走り出したのがリーダーってことなんでしょうね。
私だったら、せっかちですからまず飛び出して…
先頭きって、後ろダレもついてないの気がつかずに暴走しちゃいそうです。
使いたくなる気持ち分かります。
最後はうそつき袖にでもしたい、色と柄
ですね。
地元の若者に人気のお店で
海老柄のスタジャンを売ってました。
定番の売れ筋だとか。
ちなみに蟹はないそうです。
ほんとにいい色です。
袖も中も、真ん中はついであるのですが無双です。
胴貫きでもうそつきでもいいから、襦袢で着たいですね。
もったいなくて切り刻めませんわ。
スタジャンにエビ…ですかぁ…。
アメリカザリガニかなんかのほうが、ぴったりしそうですけどねぇ。
蟹柄は、和服でも、夏物とあとは昔話柄(サルカニ合戦)くらいで、
襦袢などではあまり見ませんね。
スジャンに「毛蟹」なんて、けっこういいかもなのに…?!