お年玉購入…いえ、お年玉ったって「へそくり」ですけどね。
いいお顔でしょう。男物襦袢です。広幅なので、顔の真ん中に縫い目はありません。
この紅顔の美少年は「桃太郎さん」です。ん~凛々しいこと。
もうちょっと引いて写すとこんな感じ。
バックの柄も楽しいです。全部わかりますかしら。
左上から「打出の小槌」「栗」「猿」「石臼」「竜宮城」「斧」「餅つきウサギ」「宝物」「蓑」「亀」
下は「玉手箱」「柴と火打石」「桃」「ハサミと雀」「くくりざる」「竹藪」「舟」「おにぎりと蟹」
どれがなんのお話か…ちょっと書いてみましょう。
打出の小槌、これはいろんなお話に出てきますね。「桃太郎」「一寸法師」。
その右は「栗」です。栗は何に出てくるでしょう…「猿蟹合戦」ですね。その右が猿。
お猿さんは猿蟹合戦では「敵役」ですが、桃太郎では「桃太郎のお供」です。
その右は石臼ですが、これも「猿蟹合戦」にも出てきますし、もうひとつ、マイナーなお話ではありますが、
「塩吹き臼」のお話。誰もが一度は読んだことがあると思いますが…。
因業な兄と勤勉誠実な弟、兄は弟の貧乏な暮らしに援助することもなく、お金とモノに執着しています。
弟は年越しの支度にと兄に少しばかりの米を譲ってくれとたのみますが、兄は追い返します。
途方に暮れた弟でしたが、途中で老人の難儀を救い、石臼をもらいます。
右に回してほしいものを言うと、なんでも出てくる、左に回して「止まれ」というと止まる…。
弟は、この石臼で裕福になり、村のほかの人にも福を分け合いますが、
急に裕福になった弟を怪しんだ兄は、弟が石臼を回していろいろなものを出しているのを知ります。
夜中に弟の家に忍び込んだ兄は、石臼と、そばにあった菓子を盗み出し、
船に乗って海に逃げます。ほっとしてお菓子をたらふく食べた兄は、しょっぱいものがほしくなり、
石臼を回しながら「塩でろ」と言いますと石臼はシャリシャリと塩を出します。
ちょっとなめて「もういい」、と言いますが、石臼はとまりません。
左に回して「止まれ」というのを知らなかったからです。
塩は際限なく出続け、やがて船は兄と石臼と一緒に沈みます。
今でも石臼が回り続けているので、海の水はしょっぱいのです…というお話。
猿蟹合戦の絵本の臼は、石臼ではなく木の臼であることが多かったように思いますから、
こちらの絵は「塩吹き臼」の方かな…なんて思っています。
竜宮城は「浦島太郎」、斧は「金太郎」、「餅つきウサギ」はそのまんまですね。
「宝物」は、これもいろいろなお話で出てきますね。サンゴがあるあたりは、やはり海系のお話かな。
「蓑」は、いわゆる「宝尽し」の柄にも使われています。
「天狗の隠れ蓑」のように、これをかぶることで姿が消える…つまり見なくても人の心を読んだり
行動を知ることができる…ということから「洞察力・観察力」を持てるように…というような意味です。
早い話が「知恵とか徳」といったほうですね。
亀と下の左端の「玉手箱」は当然「浦島太郎」、柴と火打石は「カチカチ山」、
桃は「桃太郎」、ハサミと雀は「舌きり雀」、くくりざるはそのまま「猿」でいいのかな、
竹藪は「かぐや姫」「舌切り雀」、船は「カチカチ山」、最後はまんま「猿蟹合戦」ですね。
こんなところでどうでしょう。
小さな子供が身近にいませんから、現状はよくわかりませんが、
外国のアニメが氾濫し、キャラクターものが氾濫する現代、いわゆる「三太郎」というような昔話、
舌切り雀、わらしべ長者、おむすびころりん、花咲じじい…など、
教訓やしつけなどをわかりやすく教えるためのお話、もうしていないのでしょうか。
ごく小さい子には、絵本は見られているのかなぁ。
このところ「かわっていく」ということを書いていますが、日本の昔話、確かに出てくる人間や動物、
その行動や設定、そしてなにより時代背景が、どうにも現代とは合わないのはわかります。
でも昔話が子供に伝えたいことは、実はシンデレラでもアナ雪でも、根本は変わらないのですよね。
キレイなコスチュームのかわいい女の子たちが悪意というものを消すために力を合わせる、
それはそれで、子供には受け入れられやすいのでしょう。
それでも私は、腰みのつけた浦島さんが亀に乗って海にもぐったり、
観音様のおかげで長者になったり…そんなことも、合わせて伝えられたらいいと思うのです。
さて、この桃太郎さん…帯にするには柄が大きい、道中着にするには生地が薄い…
こうして私は、お年玉で「悩み」を買ってしまったのです。めでたくなし、めでたくなし…(-_-;)。
まぁお越しいただいて、ありがとうございます。
昔の男物襦袢には、ため息出るような、いい柄が
たくさんあるのですが、今それをほしがるのが
外国の人…なんか悲しいです。
これは柄が大きいので、帯にしてはもったいないですから
なにか大きく使えるものに…と考えています。
むずかしいですねぇ。
やっと拝読しました
大きな画面で見ると スマホよりもずっと素晴らしい作品であることがわかりました
もも太郎さんも いいですが そのバックも相当工夫されているのですね
日本の芸術といったところでしょうか~
これを どうリフォーム(?)されて利用されるのか
興味津々であります
人間やお人形の柄のときは「顔」がいいもの、
というのが私の趣味なんです。
これはいいでしょう、もうりりしいっ。
芝居仕立てで描いてあるので、大人っぽく見えますよね。
鉢巻きも、陣羽織もないけど、肌着の「桃の柄」がきいてますね。
どうしても桃太郎とういと子供着物に多い柄で妙に可愛いものが多いように思いますが、この桃太郎は確かに大人の桃太郎ですね。
素敵です!
最初子供の着物だと思いました。
今は男の人が着物を着ませんから、
こういうものが作られなくて、残念です。
ニマニマしながら眺めています。
桃太郎さん以外にこんなに物語の柄が
入っているなんて・・・
眺めているだけでも楽しくなりますね。