ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

緞子の羽裏二種

2005-11-17 01:23:28 | 着物・古布

先日お約束の「緞子」の羽裏です。緞子(どんす)というのは、
綸子のいいもの・・といいますか、細かく説明するとなると、
織るときの糸が本練だとか、繻子織りだとかいろいろあるのですが、
要するに繻子織りを使って光沢を出した重厚感のあるものです。
花嫁さんの帯を「金襴緞子」といいますね。
緞子でも一重のものは白生地で着物に使われますが、綸子より重厚な感じです。
とりあえず、緞子の羽裏は、普通の羽裏(平絹など)よりも厚地で、
「織り」でもようを織り出した手の込んだものです。

で、この羽裏ですが、使われているのは「黒と金」だけ。
朝焼けか夕焼けか・・太陽の光を受けてキラキラと輝く水面を
大きな帆をあげて船がゆく・・・。ちゃんとヒトも乗っているんですよ。
遠くにはかすかに陸が見え、近くには、別の船の帆が見えます。
描いた絵のようですね。写真にはキンキラに写っていますが、
少し茶色っぽい沈んだ金なので、落ち着いた図柄です。
残念ながら、表地の羽織の方が少しよごれがあって、
このままでは着用できません。でもクリーニングすれば今でも十分着られます。



2枚目は右上、金色の色紙に「日吉山王神社」と織り出してあります。
日吉山王・・と呼ばれる神社は全国にたくさんあります。
この「色紙」の最初のところに「日枝、また比叡、吉をえと読む」とあります。
「ひよし」「ひえい」と書いて「ひえ」と読む・・、私は関東在住なので
ひえといったらやはり東京の「日枝神社」を思い出しますが、
東京の日枝神社は京都の「新日吉(いまひえ)神社」の分霊社、
で、その「新日吉」の方は、滋賀の「日吉神社」から神様をお迎えした、
でもってその滋賀の日吉神社は「比叡山 延暦寺」の守り神様・・。
とまぁ、えらいややこし話しですがな。
調べようと思って、あまりのややこしさにここで断念しました。
とにかく、日本全国「日吉山王さん」はぎょーさんおます・・ということで
ご勘弁いただきます。(バチアタリな結論を・・・)

で、結局この「船の上のおみこし」が、どこの山王さんのお祭かわかりませーん。
よく見ると、船上によろいを着けたヒトが3人、全員「坊主アタマ」なのです。
一人は、僧侶の被り物をかぶっています。
ほかのハダカの人達は、ちゃんと「マゲ」も織り出してあります。
ということは、このよろいの人達は比叡山のお坊さん?
延暦寺の守り神さんのお祭なので、日ごろのご恩返し?
これは海ではなくて「琵琶湖?」
(ちなみに延暦寺は、京都の町の「鬼門」とされる北東にあり、
京の都を、鬼門から入ろうとする「魔」から守っているのです)

バチあたりなことばかり言っておりますが、ふざけているわけではありません。
こういうものを見ているとつぎからつぎへと??がいっぱい。
それでも別に詳しいことがわからなくてもいいんです。
着物の柄や、羽裏の図、そういうものからいろいろなことを思い浮かべ、
これはどんなヒトが着ていたのかなぁ・・と思いをめぐらせるのが、
古い着物を手にする楽しみでもあるのです。


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