
再び、過去の作品です。
「酒布と厚手木綿のポシェット」です。
今日たまたま、酒布がオークションにでていたもので、思い出しまして・・。
「酒布」というのは、お酒を作るとき「もろみ」を入れて絞るのに
使われる袋のことで、しーっかりした木綿の袋に柿渋を塗ったものです。
お酒の種類や、さまざまな条件で茶色の具合が微妙にかわるそうです。
使い込まれた酒布は、あちこち穴を繕ったあとがあったり、
大きなツギあてがあったり、なかなか味があるものです。
とても丈夫なので、ボストンバッグなどには最適ですが、地厚なので
縫い合わせるのがタイヘンです。ミシンでも針を気をつけないと「ポッキリ!」
この酒布は不思議な布で、自身はごっつい木綿、しかもシゴトに使われた
いわば「たくましい」布なんですが、これに何か合わせて作ろうとするとき
木綿の絣であっても、はんなりした友禅柄であっても、更紗、紅型でも、
けっこうな~んでも合うんです。質的な硬さ厚さの違いは
芯を貼るなどしてのカバーは必要ですが、色合いとか、柄とか、雰囲気とか、
それは、ほんとに相手を選びません。ゴツイのに柔軟で、とてもいい子です。
写真のものに合わせたのは、紺地の厚手木綿です。
いちばんオーソドックスな組み合わせ、というところでしょうか。
木綿の着物の片袖分しか残っていなくて、状態のいいところを切り出したら
ご覧のような「フタ」分しかありませんでした。
片側の袖そのまんまのカーブが、かえっておもしろくなったかなと思っています。
酒布の方はもともと袋状のものですから、下の方を切って使いました。
酒布の在庫はまだあるので、今後は大きいバッグを作ってみたいと思っています。

ひとつじゃ寂しいので・・??
こちらは、この時期によせばいいのに「夏物」・・

実は「酒布」クンと正反対で、扱いにくかったコです。
夏物単、紗のような感じで、なんとなく見えている「縦線」は銀糸です。
当然ペラペラの布ですから、芯地に麻の帯芯を使ったのですが、
それでもシャンと立ってくれませんで、すぐしなを作ってよりかかるぅ~!
内側にハリのある銘仙を使いましたが、それでもまだスネて・・。
更にプラスチックの持ち手をつけたら「箸より重いモノもったことな~い」と
くしゃーんと倒れてしまうのです。この写真を撮るのに、
見えないように持ち手2本をセロテープで張り合わせ、バッグの中には
大きさをあわせた箱をいれ・・と苦労しました。
それでもすぐに持ち手がクシャッと倒れてしまうので、
一人が持ち手を支え、私がカメラを構え「せーの」でパッと離し、パッと撮る、
これでなんとか写しました。柔らかシナコちゃんではありましたが、
底はしっかり作りましたし、バッグとしては別になーんのモンダイもないのです。
それでも作りながら「もぉ~、このコはっ!」と手を焼きましたので、
いざ売るときになったら、なんか逆に手離すのが惜しい???
手のかかるコほどかわいいと言いますしね。
結局売り出す前に、掲載用の写真モデルに使ったりしているうち、
夏もの時期が終わりまして、私の手元に残りました。
来年の夏は、しっかり使ってシゴいたる!!
菖蒲柄が描かれていて一目ぼれでしたが、その当時の私にとっては結構なお値段でした。
使う内に模様が薄くなり、縫い目の綻びだし・・・ でも捨てていないはず。
今度の休みに探しだそう!!!
思い出させてくれて有難う。
そーそー「酒布」で作ったものって
けっこうなお値段なんですよね。
大きなバッグなんて、革のバッグとかわりゃしない。
でも、味があっていいものです。
私も10年くらい使っている「めがね入れ」が
あるんですが、こすれるところがしらっちゃけて、
金具も少し緩んでて、それでもまだ使えるー。
使い倒そう!