トップ写真は「今朝、窓から見た空」…すーっかり、秋ですなぁ…。
いろいろな「相談サイト」があって、着物についての質問も結構あります。
着物のことって、ここまでわからなくなっているのだなぁと、それは毎度のことなんですが、
最近ちょっとこれはなぁ…と思ったのは…。
「友人の結婚式に色無地を着る予定。この帯でと言ったら
親戚に『礼装ではないから』ととめられた、本当にダメだろうか…」
というもの、あきらめ切れなかったらしく、「写真を載せて再度の質問」となってました。
とてもとてもお気に入りの帯と組み合わせ…なのだそうですが、
その帯が「染名古屋」で、黒地に大きな赤いバラが、モダンに描かれているもの。
柄だけ見たら「大正ロマン」といわれるタイプのアンティーク復刻版柄。
イヤいくらなんでも色無地にこれはないっしょ…なのですが、
それが撫松庵で、店員さんに「礼装でも大丈夫といわれた」と…おぉぉぉぉのぉぉぉぉ。
またご本人は「あとは金銀のナンタラ…しかない」と、つまりは礼装用袋帯のことが…。
だいたい…例えば洋服で、黒や紺のカッチリした飾り気のないスーツを見れば「あっリクルート」とか
「お仕事用だな」とか、感覚的に思いますよね。ピンクやブルーで、スカートがひらひらしていたり、
レースの飾りがついていたりすれば、同じスーツでもあっカラーフォーマル…って。
なんで黒地に手描き風のでっかいバラで、まわりに黄色や青がはいっているものが、
結婚式や披露宴に向く…と思えるのでしょう。どちらかというと、祝うキモチより
「すきすき、この帯」…そんな自分のオシャレ心ばっかり優先だと思いました。
問題山積ですわ。
回答者の中には、礼装なのだからきちんと「金銀キラキラでいいのだ」という、妥当な意見もありましたが、
「かわいい帯だと思うけれど、この着物で結婚式にはあわない」とか「お芝居とか見にいくならいいのでは」とか。
違うってば。
着物はそういうころがうるさい、とか何とか言いますが、じゃぁスーツを着てでかけるべきところに、
それでサンダル突っかけていきますか?スーツの中にドハデなロゴの入ったTシャツでいきますか?
その帯がどんなにかわいい柄であろうと、おめでたい柄であろうと、礼装として着る色無地にはそういう帯は締めません。
但し、名古屋でも金銀の入った、豪華なタイプのものでしたら、セーフですが…。
それとても、礼装として色無地を着る場合なら「あら色無地に名古屋なのね」といわれるのを覚悟で…。
織りの着物に染の帯。染の着物に織りの帯…は原則で、織りに織り帯、染帯、どちらも使います。
染めの着物に塩瀬の染め帯だって締めます。
でも「染の着物」でも「礼装・準礼装」には、染め帯は締めないものです。
答える側が、そういうルールを知らずに「この色柄が、結婚式向きじゃない」などと書いています。
着物を知っている人が、妥当と思える答えを書いていますから、それを読めばわかると思いますが、
なんだか、質問も回答も、読んでいてひやひやするのです。
そして何より…呉服屋がそれを「大丈夫と言ってどーする!」です。
回答者の中に、店員の中には「売り上げ」のために、ダメなことをいいといったりするものもいる。
呉服屋さんもそういう人がいるのですね」とありました。
なんだかな~~。
もうひとつ、ある方が「数年前の坂田藤十郎さん叙勲の時の、奥様扇千景さんの着物はなに?」というお話し。
どう見ても「黒地」だけど、左の肩先に柄がある、留袖ではないと思うがそれならなんだ…。
それとも上にも柄のある留袖か…という質問で、写真も出ていました。
確かに黒地のようです。比翼はついていたようないないような…と言ってましたが(写真では下が写っていません)、
伊達衿はつけていました。これ、私ショックでしたね。なんで黒やねん…と。
これも複数回答していましたが、基本的に…皇居関係は「黒留袖」はナシです。
私にとっては勲章も皇居も、遠い世界の話ですが、叙勲の際の宮内庁からの「お知らせ」には、
「色留袖、訪問着で…」とあるそうです。昔々ならともかく、これは今は「できれば」のことで、
「訪問着、つけさげ」でも特別何も言われないとか。
でも、実はこの「お知らせ」、本当は「色留か、訪問着ね、ま、付け下げでもいいけど、
なにしろ皇居の中だし、失礼のないようにね。で、黒はやめてね」…というのがホンネ。
今まで、叙勲のご主人の付き添いでこられた奥方様は、皆さんだいたい薄い色目の上品系の訪問着がほとんど。
「天皇に対して礼を尽くす」なら、五つ紋の色留袖、が正式です。
でも、色留袖に五つ紋つけてしまうと、格が高くなりすぎて、あとあとやたらと着られません。
だから色留袖でも、だいたいは一つ紋か三つ紋です。
なぜ「皇居の中は黒を着ないか」…これは「こうなんです」という明確な答えには出会っていないのですが、
言われていること…の中では「武家文化・庶民文化によって決まった礼装の色だから」というのが、
一番納得できる答えかと思います。
元々宮中では、色による格付け、は当たり前でしたし、お留め色、という「○○しか使ってはいけない色」
というものもありました。天皇家しか使ってはいけない色の衣を、何かのご褒美で賜ったりすれば、
それはもう末代までの家の誉れ、家宝…でした。それほど「色」というものは、大切なものだったわけです。
「黒」という色は、武家が着始めた色ですし、庶民も真似をして「黒紋付」なんてものを着始めました。
「公家」である天皇家は、それを取り入れることはできない…というわけです。
明治天皇が崩御したとき、ソレまでの喪服は白でしたし、天皇家は「神式」ですから、神主も白です。
ところが、既に外国とのお付き合いが始まっていたため、列席するはずの外国の来賓のために、
いろいろ調べたところ、アチラは喪は「黒」…そこで「男性は燕尾服、女性は黒の和服」と、お達しが出たわけです。
そうなると余計に「黒は喪の色」です。そういうことから、皇居内では「黒留袖」は礼装であっても着ない…
といわれているわけです。
私は扇千景さんが、どのような意図で黒地をお召しになられたのかわかりませんが、
「黒留袖以外ならいいのだろう」だったのでしょうか。留袖であるか訪問着であるかよりも「色」が大事、ということを
あの名門の方が、ご存知ないわけはない…と思うのですけれどねぇ。
ついでのことに「ご主人様」の袴も…礼装では一応「縞」なんてすけどねぇ。なんかひかってるし…。
個人的な好みでスミマセンが、私どちらも苦手でして…。藤十郎さんのお父様はすきだったんですけどねぇ。
千景さんも、日本初のホーム8mmカメラのCMで「私にも写せます」と、やっていたころはかわいかったなぁ。
というわけで、なんだかスッキリしないまま、時間ギレ…となったとんぼです。
すこし話がちがうのですが、以前、義理の妹が、子供のお宮参りのときに振袖を着る、というのを絶対駄目と反対して私の付け下げを着せまして。そうしたら、ほかのご家族のかたで、振袖を着て赤ちゃんを抱いている若いお母さんがいらしていて。
私も振袖が着たかった、と言われてすこし悩んでしまいました。
納得できるように説明する努力も必要ですね。
私もとんぼさんを見習わないと!
「そうなった理由」というのは、ほとんどの場合ちゃんとあるわけです。
でも長い間に理由はすっ飛んでますから、あたまから「これなのよ」といわれると、
まずは「なんで」になるんですよね。
お宮参りに振袖…は風習としても聴いたことがありませんね。
まぁ全国のお話しを聞いたわけではありませんが、ちとヘンですね。
元々お宮参りでは赤ちゃんは母親が抱かないものです。
例えば祖母が遠いとかいないとかの時は、母親が抱きますが…。
その振袖の方は、介添えの妹さんかなんかじゃなかったのでしょうか。
振袖は「未婚女性の正装」です。これはもう当たり前ですが、少しヨユウを持たせて、
例えば私は嫁いですぐに、あちらのシンセキに挨拶周りをさせられましたが、
まだ若いし、きたばかりだからと言われて、振袖着るようにいわれました。
いやでしたよ、気分的に。
よく子供が生まれるまではとか、20代前半ならとか、振袖でもいい…と
いろいろ言いますが、ソレは「イメージ」とか、言われてみればまぁねぇの理由で、
結婚したら袖を留めるのは当然で、だから既婚女性の礼装は留袖というのです。
元々振袖というのは、10歳くらいまでの子供のもので、
昔は15くらいでも嫁にいったりしましたからね、
いわゆる少女と呼ばれるようになったら、袖を短くしたのです。留袖の大元。
つまり「子供卒業」ですね。
それが、だんだん嫁入り前の娘なんだから、華やかでもいいじゃない…で、
少しずつ年齢があがってゆき、とうとう結婚前なら振袖、になったのです。
子供まで産んでいて「娘」はないでしょう。
だから10代で結婚して、成人式に振袖を着るのは、
本当はズルなんですよ。まぁ今はイベント化してますから、何も言いませんが。
嫁入りに振袖を持ってくるのは、自分が着るためではなく、
いずれ娘が生まれたときに着たり、袖をつめて訪問着にしたりするためです。
振袖はただのキレイな衣装…ではないのと、実はお宮参りの主役は
あくまで「赤ちゃん」ですから、あとはみんな「おつき」ですからねぇ…。
悩むことはないと思いますよ。
頂くと、分からなくて悩む方も納得
されると思います。
折角お着物で出席されるのなら、ルール
違反にならないようにして頂きたいですね。
宮中には(禁色)っていうのがあるんですよね。
森茉莉さんの著書のどれかにありましたが、母方の祖父の葬儀にお母様は白い喪服を着て臨まれたようで、それを読んだ時、「あら、白!?」って不思議に思ったことがありましたが、そういう事だったんですね。
時代が移れば物事も流転する訳で、一等豪奢な平安貴族の装束から現在の和服の形になるまでには千年の時が流れているので、もし彼らが今の着物姿を見たら「!?」って感じでしょうね。
そんな想像するのは楽しいです。
確かな決まりごと・約束事、そして曖昧な柔らかい不文律みたいな部分と、その事柄の濫觴まできちんと把握しておこうと思えば、いつも此処にお邪魔すればいーんだわと、私、思います。
でも、イカメシク無くて楽しくお勉強が出来そう♪
いやあぁぁ、着物って深いわぁ!
初心者は尻込みしそうなくらいです。
でも、着物熱は下がらないみたい。
とんぼさま、これからもよろしくですっ
里帰り出産した娘に読んだら
着物に疎い娘も口をあんぐり開けていました。
まぁ 若い娘という年齢では無いですけれど
お宮参りは一般的には旦那様のお母様が抱くとのいう事の様ですね。
振り袖ですが 華子様が結婚後も着ていらっしゃった記憶があります。
皇室もありだから ありか?と書かれた記事を読んだ記憶もあります。
かなり昔のことですが はてさて???
親が伝えてくれるということがなくなりましたから、
好き勝手にされたら寂しいなと思います。
結局、恥をかくのは自分なんですものねぇ。
ありがとうございます。
喪服が白というのは、今ものこっているとこがあります。
昔はお葬式は人が亡くなってから、経帷子もぬったものだそうです。木綿の反物があればいいわけですから、
だいたい昔はみんな貧乏でしたからね。誰もが喪服を持っているわけではありませんから、
喪主だけなんてことも当たり前だったと思います。
なんでも今の暮らしを基準にしてしまうと、何で?ということがたくさんあるんですよ。
庶民にとって喪服が黒になったことは、汚れや変色がめだたなくて、
かえってよかったのだと思います。
そうでなければ、それは「広まらない」ものですから。
元々着物は自由なものなのですが、ゼロから覚えるとなると、
なんだか難しいように構えてしまうんですよね。
洋服だって、礼装の時はちゃんと気を遣います。オシャレ着ならTPOを守る中で、自由にすればいい…。
おんなじなんですよね。
楽しんで着てほしい…いつもそう思っています。
私でわかることでしたら、いっしょうけんめいお答えしますので…。
こちらこそ、よろしくお願いします。
いくらなんでも…ですわ。
だいたい、お姑さんが抱っこしますよね。
我が家はアチラの母親がダメでしたので、
母が抱っこしました。
華子様の場合は、一種の演出ですかねぇ。
サービス…といいますか。
まぁ皇室のなさることを、あれこれ取りざたしすぎるのも…と、思います。
喪服の白は早くに無くなってしまったところと、結構最近まで残っていたところがあるようですね。私の知り合いの方で(かなりのご年配のかたですが)ご主人のお葬儀に白をお召しになったという方がありました。
それで興味を持って喪の色のについて調べたことがあるのですが、これも変遷があるようですね。
物事が変化していくのは自然だし、そうあるべきだとも思うのですが、それをどう考えるべきなのかといつも思います。
大島なども以前は振袖や訪問着などなかったように思うのですが、今はありますよね~~
このあたりもどう考えるべきなんだろう??
確かに高価なものではあるけれど、お値段とは別物と思ったりするのですが??
ただ「んんん。。。。?」と思うことは洋服の時も結構あります。暫く前のことですが息子の卒業式にオニューで高価なものでしたがジャージを着てきた子がいて、まあそれが好きなんだろうなあとは思いましたがやはり違和感を感じました。そんなフォーマルな場で感じることが時々ありますね~~
ほんとにいろんな難しさを含んでいると思います。
例えばおっしゃるところの「大島紬の振袖や訪問着」。
地元が「地の産物」ということで、成人式などでも販売して着ているわけですが、
私は「いかがなものか」と思っています。
今はとにかく情報過多の時代ですから、なんでもすぐに報道されます。
ああいったニュースも、単純に「大島の地元では、特産品の大島紬の振袖で成人式を」と
カンタンに報道しますが「実は紬は礼装には向かないのだが、ここは産地なので…」
なんていう「但し書き」みたいなことはいいません。
だから知らない人は「私もほしい」になる…。
「高価でもジャージ」も、同じで、ジャージはどこまでいってもジャージでしょ、
という「線引き」をしていかないと、
何でもかんでもOKになってしまいます。
芸能人のパーティーなど、場所を選べば、大島の訪問着も着ても許されると思いますが、
あくまでも「ゆるしてもらう」立場のものだ、ということを、理解してほしいと思います。
売る側、作る側にも、問題があるのですよ。買わない私たちも責任はあるのですが…。
着物の格は、売値価格ではないんですよね。