これといってテーマにあった写真がないので、手持ちの帯締めです。
まるで関係ないようなのですが…。
まずは上の帯締めの、組目アップです。
陽花様に組んでいただいたもの、大のお気に入りです。きれいでしょう。
これは両方とも母からもらったもの。どうやって組んであるのかさっぱりわかりません。
さて、なんで帯締めと血管?
実は、あるリポートを見ていましたら「絹糸で人工血管を作ることにチャレンジしている」というお話しでした。
我が家でも「血管詰まり」は、義母もそれで倒れましたし、今父も、そのリハビリをしています。
年をとれば、誰にでも起こりうる「病気」です。思わず手を止めてみてしまいました。
まだ実験段階なのですが、とても期待できそうです。
リポートによれば…現在の人工血管は化学繊維で、問題は6ミリ以下の細いものは詰まってしまうのだそうです。
そこである教授が「絹」に眼をつけた…と言うわけです。
絹糸は、手術の縫合などには既に使われていますが、それは、いずれ体の中で解けてしまうから…。
これは私も聞いたことがありました。絹糸はたんぱく質ですから、人体にもなじみやすく「毒」にならないのですね。
ところが「解けてしまうのでは血管になっても役に立たなくなる」わけです。
これをいろいろクリアしたわけで、確かに解けていくのだけれど、絹糸は自分が解けてなくなっていくと同時に、
もともとの細胞を再生する力を促すのだそうで、実験の映像写真では、いつの間にか血管の細胞が再生し、
もともとの絹糸はそれを待つかのように少しずつ消えていくのです。
まずはそういう働きがいい遺伝子を持つ「蚕」から開発する、つまり遺伝子組み換えです。
そういう能力の強い蚕を作り出して…と、そこから始まるんですね。
それだけでもすごいと思ったのですが、更に、この糸を使ってとりあえずニットの要領で、
細い人工血管を作って実験したわけです。
ところが伸縮性がある分、今度は血圧、つまり、心臓から送り出される血液の力に押されると、伸びて戻らなくなる…。
血管は常に、膨らんだり縮まったりしなくちゃなりませんので、これはペケ。
どうしたものかと考えていたときに、教授が思いついたのが「組紐」だった…と。
私くらいの年齢のかただと、昔のアイロンや炊飯器の太くてうねうねのあるコードを覚えていらっしゃると思います。
たいてい黒地に赤や黄色、白でちょこちょこと柄が入っている…あれも組紐の組み方なんですよね。
古くなってもいきなり切れることはなく、少しずつゆるんでバラけていく…。
とても丈夫な組み方なんですね。あれの組み方を使ったわけです。
結果は見事に「いつまでたってもちゃんと伸縮を繰り返す血管」になりました。
まだ開発段階で、実用化はされていないのですが、6ミリよりもっと細い血管ができたなら、
今まで治療困難だったところも、もっといい治療ができるようになるのでしょう。
チームに協力している「実践側」、つまりお医者様が「医者は『絹はいつか解けてなくなる』という概念だから」と
そうおっしゃいました。それが覆される絹糸の底力…ってところでしょうか。
糸の研究をしている教授は「蚕は体内の液体を口から出して糸に替える。素晴しい力を持っている」と言いました。
蚕そのものも、あの繭をつくったとき、そのなかで自分の体をあの「蛾」にするために、
一度はもともとの体を全部壊して組み立てなおすわけですから、人間には計り知れない、
ものすごい力を持っているのですよね。
「組紐」の説明の時、どこかの組紐をなさっている老夫婦が互いに向き合い、真ん中に組紐の台を置き、
鮮やかな糸の玉を、実に小気味よく動かしてゆく…という映像が流れました。
一定のリズムでトントン、トントン…と、あやまたず規則正しく、糸の玉を順番に動かしてゆく…。
一つ間違えても、一呼吸遅れても、ちゃんと組めないわけです。あれもまたヒトの技のすごさを思いました。
大写しになった紐の組み目は、あの「アイロンコード」の組み目でした。
人間の英智というもののすごさを思いました。自然の生き物のすごさを思いました。
とかく「化学・科学」が崇拝されがちですが、元々人間は自然の一部、
体のために使われるものは、やはり自然のものが一番良いんだな・・・と、
そして学問も大切だけれど、それをどう使うのかは、もっと大切なんだなと…
ごくごく単純なことを、改めて思った次第です。
して使われているという事は以前に聞き、
思いもよらない所に組紐が使われている
事を教えてもらいましたが、絹糸の組紐で
血管を考えること事態がスゴイ事ですね。
帯締め大のお気に入りと伺って嬉しいです。
アップに耐えられましたかね(笑)
絹の自然力と組紐と言う人間力の融合ですね。
絹の能力は摩擦以外は他の自然繊維を圧倒しています。
蚕が自分を保護する為に作り出した繊維ですから凄いのは当り前なんでしょうが。
陽花様の編まれた組紐綺麗ですね。
糸がぼかしに染められ、左右非対称になっている様です。
お洒落!
組紐は確かに優れた構造だと思います。
伸縮力つまり弾性があって強力。
炭素繊維のナノチューブを組紐の様に編めたら最強の紐が出来そうです。
ほんとに思わぬものが…で驚きました。
組紐という手わざも、世界に誇る職人技だと思います。
堂々アップでOKですよー。
色の具合とぼかしの具合がなんとも好きで…。
茶系でもう一本ほしいなぁなんて思っています。
蚕が命を守るためのものですからねぇ。
ヒトには考えられない自然の驚異です。
ステキな帯締めでしょう?
色も組み方も、とてもすきなんです。
組紐のワザは、戦道具からだそうですが、
ヒトの命を守る…と言う点では、同じなんですね。
なんだか時を越えての不思議さを感じます。