ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

作り帯…古い本から

2012-09-22 21:57:28 | 着物・古布

 

トップ写真は「刺し子の生地を利用した作り帯」、これは下のほうに製図出ています。

 

なにしろ古い本が山ほどあるので、片っ端から作り帯を探してみました。

あるようでない…というより、新しいものほど似たようなもの…でして。

なかなか「これはおもしろい」というものがなくて…

とりあえず、へぇこんなふうにねぇ…というのとオーソドックスなのを選びました。

 

まずは一番古い本、昭和20年代。

頂いたコメントにもありましたように、作り帯はお太鼓部分が独立してくっついているので、

外れたり落ちたりという不安が付きまといます。

これはそれを防ぐ工夫…ボタンで留める…という作り方です。

絵が小さいので拡大してみました。

作り方は、こんな感じ。胴に巻く方の数字は間違っていると思います。

45センチでは胴に回りませんし、手が15センチでは「て」になりませんし。

とりあえずこの帯のアイデアは「胴とおたいこ」が、ズレないように「ボタン」でとめているところ。

おたいこ、の右側に「輪」ってありますね。細いひもで「ループ」を作ってあるということです。

 

   

 

こちらが「締め方」を拡大したもの。おたいこの上の両端にループをつけておき、

締めてみて、胴に巻く方のちょうどいいところにボタンをつけて、ループを引っ掛けるわけです。

実際にはもっとしたの方がいいと思いますが…。マジックテープがない時代のアイデアですね。

 

    

    

昨日も書きましたが、元々は「繰り回し」の技術…といいますか、もうそのままでは使えないとか、

洋服地などで…という「普段を楽しむ」ものとしてのワザですから、

ザクザク切る、ひもやらゴムやら縫い付ける、そういうことも惜しげなくできるわけです。

 

こちらはまるまるおたいこの中に入れてしまって、背負うだけのもの、商品化されたようです。

 

     

 

少し新しくなって「マジックテープ」がでてきました。

 

       

 

こちらは胴のほうにマジックテープを使い、おたいこにはワイヤーを入れています。

 

    

 

作り帯で、帯枕を入れる部分があまり短いと、外れたりずり落ちたりの心配があります。

それを防ぐためには、おたいこの背中側を長くとって、おたいこそのものを「輪」の状態にして、

そこに胴に巻く方を通せば、安定がいいでしょうね。ただしそれだけ「用尺」は必要になるということです。

こちらも似たような感じ。ウール地だそうです。垂れの下のフリンジは、折り目を解いたもの。

  

      

 

さて、製図ですが、これは75センチの風呂敷を二枚…というものです。

これだと、ずれない工夫には生地が小さいですから、胴におたいこを縫い付けるタイプ。

 

      

 

同じ「風呂敷2枚」なんですが、こちらは別の無地風呂敷を裏に使うので、実際には4枚です。

こちらは「帯枕を入れておたいこを作る」だけですので、ズレやすいタイプ。

それでも、無地風呂敷を裏に使うことで、裏の無地帯と、リバーシブルで使える…とあります。

こんな写真が載ってました。柄のあるほうですね。

 

           

 

      

 

これはバティックみたいな感じでしょうか、インド更紗の布…だそうです。

リバーシブルで使えるようにと、御太鼓のタックは安全ピンになっています。

 

      

 

トップ写真の刺し子手芸用の布。ワイヤーはハンガーのリサイクル、とあります。

 

     

 

さて、こちらは洋服地の92センチ幅の生地を使って作る…というもの。

用尺は図にあるように「92センチ幅で120センチ」です。

それを下のように製図してカットします。

気がつきましたか?「て」を横裁ちで20センチとってます。胴に巻く部分は100センチですね。

これだと胴にふた巻きはできません。

 

    

 

先日の私の笹柄作り帯、もう一度写真を出します。

左の脇ギリギリから巻いて、前が二重になるように巻きつけ、後ろはお太鼓にやっと隠れるくらい。

これで148センチです。(ここまでとありますが「ここから」と考えてください)

  

後ろはおたいこに隠れる位置まで。

 

作り帯の胴部分は、尺で言うと4尺2寸くらいですから、160にちと足りないくらいです。

それに近いように、うまく生地を裁ったり足したりすればいいわけですが、

上の製図だと、100センチ…どうするの?…こういう場合は、胴に一巻きしかしないわけです。

 

普段帯なら「それでもいい」わけで、芯を厚めにして、更に帯板を入れれば、

ヘナヘナで折れることはありません。

見た目に「本来、前は帯が二重になるものが、一回しか回っていない…ヘン」…。

それはもう自分しだいです。着にしないで締められれは、それでOK。

ダレもヒトノ帯を、そのつど覗き込んで二重になっているかどうかなんて、調べたりしませんしね。

帯地が薄いと、視覚的に貧弱…というのはあることですから、別布足しても厚めにするとか…。

究極「真ん中だけ二重」という方法もあります。

現物を持っていたのですが、今ちょっと見つからないので絵にするとこんな感じ…。

簡単に描きすぎて、トクホン貼ったナメクジみたいになってますが…

要するに、脇か、それより少し内側のところだけ、同じ帯地をカットして内側に縫いつけると、

胴に巻いた前はちゃんと二重に見える…というわけです。

    

 

というわけで…とりあえず今日は、こんな作り方がありますよ…のお話しでした。

 

著作権が気になるところですので、図だけの抜粋ですが、一応書いておきます。

「主婦と生活」「主婦の友」「婦人生活」の付録本、「装苑シリーズ24 一年中のゆかたとウールのきもの」

「新しい和裁全書(永岡書店発行、第32版 昭和49年度)」などからの抜粋です。 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こちらこそ (とんぼ)
2017-02-24 01:29:37
Unknown様

はじめまして。コメントありがとうございます。
お名前がございませんでしたので、
そのままで失礼いたします。

服地の帯もまた雰囲気がかわっていいものですね。
お役にたつことがあって何よりです。
「トクホンなめくじ」…でも、ほんとにそうみえますでしょう?
アップしてから、あーもうちょっとちゃんと描けばよかったと思いつつ、
自分で笑っちゃいました。
このところアップがなかなかできずにおりますが、
少しずつまた着物記事を増やしたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。

返信する
Unknown (Unknown)
2017-02-23 18:02:34
こんばんは、はじめまして
ずーっと服地で帯を作りたいと思っていて、訪問しました。
すごく参考になったのですが、
「トクホンはったなめくじ」がツボすぎて途中から読めなくなってしまいました笑
楽しいひとときをありがとうございます。
またおじゃまします
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-09-30 00:00:42
石田まゆ様

刺し子は素朴でいいですね。
作り帯は、それほど難しくありません。
針をもたれるならできますから、ぜひトライしてみてください。
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Unknown (石田まゆ)
2012-09-29 00:01:52
作り帯そのものより、刺し子の帯がとても気になりました。
お裁縫は苦手なのですが、母の影響で刺し子は好きなんです。
夏の帯、いくつか持っていますが、どうも渋いのが多くて、年齢に合わないので、自分で刺し子して帯を作るのも良いかな、と思いました^^
あ、刺し子はできるけど裁縫は苦手なんでした。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-09-23 21:10:33
陽花様

あのころは、とにかく「たんすをいっぱいにして」みたいなところ
ありましたからねぇ。
いまだに使ってないものがいっぱいです。

トップの帯は、刺し子用の布なので幅が半端みたいです。
小ぶりでかわいいですね。普段帯にはいいですね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2012-09-23 21:08:43
惠様

涼しくなってくれて、ほっとしています。
まだ「ダラダラ」の時間を多くとっていますので、
大丈夫です。ありがとうございます。

私嫁入りにもって来ましたが「とりあえず数のうち」みたいな?
さしてじっくり選んだものでもなく、それっきりですー。
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Unknown (とんぼ)
2012-09-23 21:06:05
まあや様

いえいえ、私も作り帯にしたいものがありますので…。
ちょっとした手間…が今は惜しまれます。
針を持つことを面倒がらずにいたいと思います。

急に涼しくなりました。単衣ももう少しでシーズン終了ですね。
楽しくお召しください。
返信する
Unknown (陽花)
2012-09-23 09:21:59
私もこういった形作った文化帯お嫁入りに
持ってきました。
母が亡くなってからあまりにも締めにくかった
喪の帯を文化帯を真似て作り帯にしました。

トップの作り帯は極力生地を使わずに作る
感じですね。

返信する
Unknown ()
2012-09-23 00:34:03
沢山の調べ物をして下さって 
こちらとしては とても有難いのですが 
体調は完全に復活したのでしょうか。
無理をしないで下さいね。

それにしても 昔から作り帯があったのですね。
それも 作り方が沢山あって どれが自分に良いのやら

私も 40年以上も前の二十歳のお祝いにと 
ご近所の方から 作り帯を頂いた事を思い出しました。
二十歳のお祝いを頂くほど親しくしていた訳ではないので
私の好みをご存知なかったのか どう考えても私は締めないだろうという帯の為
未使用で 実家の箪笥に眠っているはず

今度 どの様になっているのか 確認してみますね。


返信する
ありがとうございます (まあや)
2012-09-22 23:38:23
古い本まで、この様に沢山調べてくださって、感謝申し上げます。

夏帯を工夫して,来年は少しでも多く、着物で日常を過したいと思います。

明日こそ,単の細を着るぞ!
返信する

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