トップ写真は「刺し子の生地を利用した作り帯」、これは下のほうに製図出ています。
なにしろ古い本が山ほどあるので、片っ端から作り帯を探してみました。
あるようでない…というより、新しいものほど似たようなもの…でして。
なかなか「これはおもしろい」というものがなくて…
とりあえず、へぇこんなふうにねぇ…というのとオーソドックスなのを選びました。
まずは一番古い本、昭和20年代。
頂いたコメントにもありましたように、作り帯はお太鼓部分が独立してくっついているので、
外れたり落ちたりという不安が付きまといます。
これはそれを防ぐ工夫…ボタンで留める…という作り方です。
絵が小さいので拡大してみました。
作り方は、こんな感じ。胴に巻く方の数字は間違っていると思います。
45センチでは胴に回りませんし、手が15センチでは「て」になりませんし。
とりあえずこの帯のアイデアは「胴とおたいこ」が、ズレないように「ボタン」でとめているところ。
おたいこ、の右側に「輪」ってありますね。細いひもで「ループ」を作ってあるということです。
こちらが「締め方」を拡大したもの。おたいこの上の両端にループをつけておき、
締めてみて、胴に巻く方のちょうどいいところにボタンをつけて、ループを引っ掛けるわけです。
実際にはもっとしたの方がいいと思いますが…。マジックテープがない時代のアイデアですね。
昨日も書きましたが、元々は「繰り回し」の技術…といいますか、もうそのままでは使えないとか、
洋服地などで…という「普段を楽しむ」ものとしてのワザですから、
ザクザク切る、ひもやらゴムやら縫い付ける、そういうことも惜しげなくできるわけです。
こちらはまるまるおたいこの中に入れてしまって、背負うだけのもの、商品化されたようです。
少し新しくなって「マジックテープ」がでてきました。
こちらは胴のほうにマジックテープを使い、おたいこにはワイヤーを入れています。
作り帯で、帯枕を入れる部分があまり短いと、外れたりずり落ちたりの心配があります。
それを防ぐためには、おたいこの背中側を長くとって、おたいこそのものを「輪」の状態にして、
そこに胴に巻く方を通せば、安定がいいでしょうね。ただしそれだけ「用尺」は必要になるということです。
こちらも似たような感じ。ウール地だそうです。垂れの下のフリンジは、折り目を解いたもの。
さて、製図ですが、これは75センチの風呂敷を二枚…というものです。
これだと、ずれない工夫には生地が小さいですから、胴におたいこを縫い付けるタイプ。
同じ「風呂敷2枚」なんですが、こちらは別の無地風呂敷を裏に使うので、実際には4枚です。
こちらは「帯枕を入れておたいこを作る」だけですので、ズレやすいタイプ。
それでも、無地風呂敷を裏に使うことで、裏の無地帯と、リバーシブルで使える…とあります。
こんな写真が載ってました。柄のあるほうですね。
これはバティックみたいな感じでしょうか、インド更紗の布…だそうです。
リバーシブルで使えるようにと、御太鼓のタックは安全ピンになっています。
トップ写真の刺し子手芸用の布。ワイヤーはハンガーのリサイクル、とあります。
さて、こちらは洋服地の92センチ幅の生地を使って作る…というもの。
用尺は図にあるように「92センチ幅で120センチ」です。
それを下のように製図してカットします。
気がつきましたか?「て」を横裁ちで20センチとってます。胴に巻く部分は100センチですね。
これだと胴にふた巻きはできません。
先日の私の笹柄作り帯、もう一度写真を出します。
左の脇ギリギリから巻いて、前が二重になるように巻きつけ、後ろはお太鼓にやっと隠れるくらい。
これで148センチです。(ここまでとありますが「ここから」と考えてください)
後ろはおたいこに隠れる位置まで。
作り帯の胴部分は、尺で言うと4尺2寸くらいですから、160にちと足りないくらいです。
それに近いように、うまく生地を裁ったり足したりすればいいわけですが、
上の製図だと、100センチ…どうするの?…こういう場合は、胴に一巻きしかしないわけです。
普段帯なら「それでもいい」わけで、芯を厚めにして、更に帯板を入れれば、
ヘナヘナで折れることはありません。
見た目に「本来、前は帯が二重になるものが、一回しか回っていない…ヘン」…。
それはもう自分しだいです。着にしないで締められれは、それでOK。
ダレもヒトノ帯を、そのつど覗き込んで二重になっているかどうかなんて、調べたりしませんしね。
帯地が薄いと、視覚的に貧弱…というのはあることですから、別布足しても厚めにするとか…。
究極「真ん中だけ二重」という方法もあります。
現物を持っていたのですが、今ちょっと見つからないので絵にするとこんな感じ…。
簡単に描きすぎて、トクホン貼ったナメクジみたいになってますが…
要するに、脇か、それより少し内側のところだけ、同じ帯地をカットして内側に縫いつけると、
胴に巻いた前はちゃんと二重に見える…というわけです。
というわけで…とりあえず今日は、こんな作り方がありますよ…のお話しでした。
著作権が気になるところですので、図だけの抜粋ですが、一応書いておきます。
「主婦と生活」「主婦の友」「婦人生活」の付録本、「装苑シリーズ24 一年中のゆかたとウールのきもの」
「新しい和裁全書(永岡書店発行、第32版 昭和49年度)」などからの抜粋です。
はじめまして。コメントありがとうございます。
お名前がございませんでしたので、
そのままで失礼いたします。
服地の帯もまた雰囲気がかわっていいものですね。
お役にたつことがあって何よりです。
「トクホンなめくじ」…でも、ほんとにそうみえますでしょう?
アップしてから、あーもうちょっとちゃんと描けばよかったと思いつつ、
自分で笑っちゃいました。
このところアップがなかなかできずにおりますが、
少しずつまた着物記事を増やしたいと思っています。
今後ともよろしくお願いいたします。
ずーっと服地で帯を作りたいと思っていて、訪問しました。
すごく参考になったのですが、
「トクホンはったなめくじ」がツボすぎて途中から読めなくなってしまいました笑
楽しいひとときをありがとうございます。
またおじゃまします
刺し子は素朴でいいですね。
作り帯は、それほど難しくありません。
針をもたれるならできますから、ぜひトライしてみてください。
お裁縫は苦手なのですが、母の影響で刺し子は好きなんです。
夏の帯、いくつか持っていますが、どうも渋いのが多くて、年齢に合わないので、自分で刺し子して帯を作るのも良いかな、と思いました^^
あ、刺し子はできるけど裁縫は苦手なんでした。
あのころは、とにかく「たんすをいっぱいにして」みたいなところ
ありましたからねぇ。
いまだに使ってないものがいっぱいです。
トップの帯は、刺し子用の布なので幅が半端みたいです。
小ぶりでかわいいですね。普段帯にはいいですね。
涼しくなってくれて、ほっとしています。
まだ「ダラダラ」の時間を多くとっていますので、
大丈夫です。ありがとうございます。
私嫁入りにもって来ましたが「とりあえず数のうち」みたいな?
さしてじっくり選んだものでもなく、それっきりですー。
いえいえ、私も作り帯にしたいものがありますので…。
ちょっとした手間…が今は惜しまれます。
針を持つことを面倒がらずにいたいと思います。
急に涼しくなりました。単衣ももう少しでシーズン終了ですね。
楽しくお召しください。
持ってきました。
母が亡くなってからあまりにも締めにくかった
喪の帯を文化帯を真似て作り帯にしました。
トップの作り帯は極力生地を使わずに作る
感じですね。
こちらとしては とても有難いのですが
体調は完全に復活したのでしょうか。
無理をしないで下さいね。
それにしても 昔から作り帯があったのですね。
それも 作り方が沢山あって どれが自分に良いのやら
私も 40年以上も前の二十歳のお祝いにと
ご近所の方から 作り帯を頂いた事を思い出しました。
二十歳のお祝いを頂くほど親しくしていた訳ではないので
私の好みをご存知なかったのか どう考えても私は締めないだろうという帯の為
未使用で 実家の箪笥に眠っているはず
今度 どの様になっているのか 確認してみますね。
夏帯を工夫して,来年は少しでも多く、着物で日常を過したいと思います。
明日こそ,単の細を着るぞ!