ただいま古着の整理中のため、いろいろ出てまいりますー。
今日は古い帯が出てまいりましたので、帯のお話を・・。
これは戦前のものと思います。で、どういう帯かといいますと「丸帯」です。
丸帯というと、花嫁さんが締めたり留袖の帯だったりと
何かと豪華な印象がありますか、普段帯でも「丸帯」はありました。
ちなみに丸帯というのは、幅70センチくらいの布を半分に折ってとじたもの。
裏表同柄、染めなどの場合は同じもようが全体に描かれています。
で、礼装用は豪華な分、ズシリと重いわ、厚いわ、おまけに高価・・で、
結局「袋帯」に移行していったのも、そういう理由もあると思います。
さて、この帯ですが、実はこれ「引き抜き帯」です。
地方によっては逆に「抜かず帯」とも言われるようですが、
今の人からいうと「抜かず」の方がわかりやすいかも・・。
引き抜き帯をご存知ない方のために写真をば・・。
わかりにくいのですが、上の薄紫の色紙の中の柄が逆さまです。
向かって左の真ん中ちょっと下、「橋」が架かっているのですが、
黒いチョンチョンが橋げたです。その右側は花ですが、それも逆さま。
このままおたいこに結ぶと、おたいこの柄がさかさまになります。
真ん中の色紙の橋がさかさま、上の白い色紙の松もさかさまですね。
これを「引き抜き帯」の結び方で結びますと・・・、
今度はちゃんと橋が架かってますね。
いえ、実際は結んでいませんが、要するに「こういう柄の出方になります」、
という写真です。
眼のいい方、気が付きましたか?上の写真と比べると、
「たれ」のところ(一番下)、模様が替わっていますね。
どうしてこうなるのか、これが引き抜き帯びの特徴です。
本当は誰かにホディをやってもらうといいのですが、
「手ごろ」なのがおりませんで?イラストに致します。
わかりやすいように「表を薄紫・裏を黄緑」に塗りました。
お分かりいただけましたか?こういう状態に結ぶので、
柄が逆さまについているわけです。そしてたれの一番下は裏の柄が出るわけです。
この締め方は、ときどきお話してます「昔の角だしは帯締めを使わなかった」の
あの結び方です。絵の状態から、左の「て」とおたいこになる部分の
結び目に近い根元のほうを、中でひと結びします。
また、江戸時代の庶民(女性)の結び方としてポピュラーだった
「ひっかけ」という結び方、これはたれを短めに残し、
上から下ろしたおたいこ部分の長さを決めたら、帯枕で山をきめ、
あとはそのまま、つまりうしろでおたいこになるはずだった「たれ」が
ゆらゆら揺れるわけですね。
この結びでは「て」は短めに、また三折くらいに細くして左下に伸ばしたまま。
時代劇などで芸者さんが結んでいる「だらりの帯の片方だけ」みたいなの、
あれは「柳」といいますが、基本的には、この「ひっかけ」と同じです。
こればっかりは、文章で書いてもわかりにくいと思いますのでやめておきます。
こういう結び方なので、柄の付き方が今の帯とは違うということと、
これは腹合わせ帯や昼夜帯で結ぶと、たれの色柄とおたいこの色柄が違うので、
「粋」とされていました。最近は「腹合わせ」もほとんど見ませんね。
本来「丸帯」は袋帯などと同じ長さがありますが、古着などで買うと、
たとえば丸帯を壊して裏に別布をつけたものとか、傷んだところを切ったものとか
そういったもので、長さがたりないものもあったりします。
とりあえず、おたいこになるところを、上下ひっくり返せばいいわけですね。
私の手持ちの帯には、あまりにも「更生」しすぎてどうにも短く、
柄をちゃんと出そうとすると、胴に一巻きしかできない、なんてのもありました。
ところで、実際には引き抜かないのに、なぜ「引き抜き帯」というのか、
つまり、普通のおたいこは完全に一結びしてしまってからおたいこを作りますが、
これはおたいこになる部分を引き抜いて作るから、だと思います。
元々帯締めを使うことの少なかった江戸時代の帯結びは、
形をどう結ぶか、というより結んだあと「たれ」をどうするか、だったわけです。
たとえば今、私たちはお祝い事の振袖や留袖以外は、
ほとんど「一重たいこ」しか結びません。せいぜい浴衣などで小さい文庫とか、
かわり太鼓といっても、ちょっと上から「たれ」や「て」を使って作った
「部分」を覗かせる・・といった程度で、基本的に「おたいこ」です。
昔は「立て結び」「矢の字」「島原」「後見」「重箱」など、
時代はもちろんのこと、年齢や職業によってさまざまな帯結びをしていました。
引き抜きで結ぶものもあれば、文庫の型から発展するものもあれば、
男の締め方から転じたものもありました。
「引き抜き」というのは、そういう中で「こんなふうに引き抜いた先を
こうしてああして、という結び方・・」という意味だと思います。
現代のおたいこは、結んで全部引き抜いてしまうわけですから、
今なら逆に「引き抜かず帯」のほうが合ってるような気がします。
こういう結び方のできる帯があれば、今でも結べるわけですが、
とにかく「柔らかい帯」であること、です。
たとえ全通柄、上下ナシ、の帯でも固かったら「角だし」やっても
細かい結び部分ができないと思いますし、むりに締めれば帯がいたみます。
写真の帯は、ぱっとみたところ綺麗なのですが、
実は全体にくすみもシミもあり、締めて外歩くのはちょっと・・です。
もったいないですがいいとこ取りか、このまま資料として残すか・・ですね。
わかりやすいイラスト!!
そんな風に書けたらいいですね。
私は着付け習っていた時どうしても
うまく書けないで、帰ってから復習
しようとしても自分の絵がへたすぎて
わからないことがよくありました。
上手に書かれるのうらやましいです。
いまだに私はへたなままで~す。
ありがとうございます。
けっこう苦労して描いてます。
下書きがたいへーん、今日の帯なんて、
描いてるうちに自分でわかんなくなっちゃって、
「ちょっとまて、こっちだよ・・」とか
ブツブツ言いながらやってました。
誰が見ても判る絵を描けるのって、凄いと思う
こういうのしか、描けないんです。
絵を描くのはすきだったんですが、
油絵の具の匂いがだめで、もっぱら水彩・・。
それももうウン十年、書いてません。
デッサン力、ないんですー。
というより、うらやましい。
イラスト描けないので、
こうして、引き抜きも苦労してます。
http://umacco.at.infoseek.co.jp/obimusubi/nagoyahikinuki1.htm
それにしても、なぜ、引き抜かずでなくて、
引き抜きかと言うことがわかりました。
そちらも感謝です。
写真のほうが、ずっと親切!
私三脚も買ってなくて固定できないし、
あんなふうにアップできない!
(それを今習ってるとこなんですー)
もしよろしければ、このHPのこと、
追記で載せさせていただいてもよろしいですか?
引き抜きについては「だと思う」なんですけど、
引き抜かないのに「引き抜き」はないですよね。
この結び方は楽なので、宣伝してますが、あまり広まりません。
帯選びますからね。でも全通なら問題ないんですけど。
というわけで、他のページもちゃっかり書かせてもらいました。
(恥を知れと言われそうですが・・・)
http://umacco.at.infoseek.co.jp/obimusubi/hikinuki.htm
http://umacco.at.infoseek.co.jp/obimusubi/tunodasi.htm
http://umacco.at.infoseek.co.jp/obimusubi/nagoyahikinuki1.htm
http://umacco.at.infoseek.co.jp/obimusubi/nagoyahikinuki2.htm
http://umacco.at.infoseek.co.jp/obimusubi/hikinukitunodasi1.htm
自分で作る帯はすべて引き抜き用です。
(たまに失敗して、模様が逆に・・・)
http://umacco3.exblog.jp/3914720/
大変御無沙汰しておりました!!
とんぼさんもお忙しい日々が続いていたのですね~!!本当にお久しぶりです(^^)
前のシックな感じのテンプレートから明るい感じにリニューアルですね素敵☆
丸帯・・・アンティークのお店で店員さんにお勧め頂いたことを思いだしてちょっと前の記事のコメントを・・。柄まではみなかったのですが、付け下げに合う帯をさがしていたらとても勧めてくださいました。
今では珍しいらしい・・。もってみたらずっしり重い・・・。お値段も重い・・(笑)迷いましたが・・・丸帯断念・・。でも「引き抜き帯」なんていうんですね~。イラストとても分かりやすくて勉強になりました~!!帯結びのイラストも楽しみにしてます~☆
私の「忙しい」は、やることがのろいからなんですー。PCもなかなか覚えられないしー。
丸帯は今でもありますし、付け下げなどにはぴったりあいますが、おもいですからねぇ、袋帯のほうが、使い勝手はいいと思います。お稽古事でおいそがしそうですが、しっかり食べて、体力つけてがんばってくださいね。
どうもありがとうございます!
コメントありがとうございます。
お返事遅くなってすみません。
なにかしらお役にたつことがあればと思っていますので、
喜んでいただけて、私もうれしいです。