昨日はせっかく書いた記事を一瞬にして消しましたので、ベソベソと泣き寝入り…ウソウソ。
今日は消さないように、ちゃんと気をつけます。
トップは、昨日ご紹介した「なでしこ柄の大島」、ちょっと目立たないところに小穴があいてたりするんですが、
まだ着られるレベルです。柄行はちょっとかわいい目ですが、私でもまだまだ着られますね。
大島紬については、何度か書いておりますが、「証紙」についてなどのお話だったと思います。
大島にも「絣大島」「縞大島」「格子大島」など、さまざまな織り方があり、
絣の中にも「総絣」「縦緯絣」「緯双絣」などがあり、縞や格子は絣が入りません。
今回は「絣大島」の中の、有名なもの…のお話です。
まず、大島に限らず、絣柄を出すにはどうするか…
経糸と緯を別々に染めて、織るときにその染めたところがが交差するようにする…です。
言葉で言えば簡単ですが、ミリより細い単位であわせるのですから、糸の染からして大変なことです。
その糸のそれぞれの染め方とか、柄の合わせ方とか、そういったことが、それぞれの産地の絣の特色となるわけです。
今回は、そのアタリは省略して「織るとき」のお話です。
まず、大島でよくきく「マルキ」と言う言葉。
大島紬では、経糸も緯も絣糸(かすりいと:柄を出すために柄に合わせて染められた糸)と、
地色になる地糸を合わせて使います。
この、絣糸を使う単位が「マルキ」で、1マルキは「絣糸80本」のこと、
つまり7マルキといったら、7×80で、560本(正確には絣柄合わせのために少し多くなります)の絣糸が、
経糸の中に分散して入りますよと言うことです。大島の経糸は、だいたい1200から1500本くらいですから、
その中の560本が絣糸、ということになります。
絣をあわせて柄を作るわけですから、絣糸が多いほど、細かい模様で手間がかかる…のですが、
実は、ここからは「織りかた」によってまた手間が変わってきます。
まず、大島の柄は「カタス」「一元(ひともと)」「割り込み」の三種類あります。
この説明を数字を挙げて…になると、私自身がいまだに「えっと…ちょっとまってよ…」状態。
ですので、間違った説明をしてしまったら申し訳ないので、一番単純な「原型」と実物、で説明します。
まず「割り込み」はちょっとひとまず置いといて…
「カタス」と「一元」の違いのお話から…。
カタスはひとつの絣を作るのに、経・緯とも1本ずつ、2本で作ります。
一元はひとつの絣を作るのに、縦・緯とも2本ずつ、4本で作ります。
図にしてみました。コレでわかりますかしら…。
こちらがカタス、縦糸と緯が一回交差してます。本日、いつにもましてエライ雑な絵ですみません。
カタスの方は、絣ひとつが「Tの字」に見えます。(裏側はTがさかさまになります)
こちらが一元、黒い数字が緯2本、赤い数字が経糸2本です。
一元の方は「千鳥格子」のように見えます。
つまり、一元の方が、ひとつの絣の点を作るのに手間がかかるわけです。
ですから7マルキのカタスより、5マルキの一元の方が手が込んでいる…ということも起きるわけです。
もちろん、柄の種類にもよりますから、一概には言えませんが…。
では実物を見てみましょう。
実はカタスの見本になる紬が手元にありませんで、ちと見づらいのですが、
これは私が母からもらった大島のもんぺです。
下が柄の拡大写真ですが、「T」の字ですが、わかりますでしょうか。
こちらはよそ様からお借りした画像、小さい「T」が見えますよね。
そしてこちらが「一元」これはわかりやすいと思います。
元はこちら、龍郷柄です。このまま見ても、花びらの部分の千鳥格子がわかりますよね。
アップが下です。
もう一枚、これは私が30代で何を思ったか買ったジミーな大島、着物でしたが洗い張りしてあります。
下が柄の真ん中部分のアップ。
ものすごくかっちりキレイに千鳥がでてますね。機械織りの「韓国大島」です。
だから格安でした。しかもバーゲンでしたし~。でもねぇ着なきゃ何にもならないんですよね。
では、最後に「割り込み」についてです。
実は「割り込み」については、私もよくわかっていない…コラコラ…。
それと言うのも、それだけ大島の織りがフクザツだということなのですが、
たとえば上記の「カタス」「一元」などは、絣糸と地糸の組み合わせが、
「絣糸1、地糸3」とか「絣糸2、地糸3」とか、単純な繰り返しなのですが、
割り込みになりますと、この数字が「2-1-1-2」というような、繰り返し…。
つまり、より、絣柄がややこしくなるわけです。
なぜ数字がわからないかと言いますと、覚える気がない・・・や、それもありますけどね、
数字を知らなくても、柄を見れば「割り込み」とわかるから、です。
カタスや一元と同じように、織りあがった絣柄に特徴があるわけですね。
割り込みは、拡大してみると、違う絣の集まり…といいますか、連続性が違います。
実物はこちら、あの「なでしこ大島」がこれでした。
「T」とも「千鳥」とも違いますね。拡大は下です。
もう少しアップしてみましょう。なんとなく「E」とか「I」とかの組み合わせに見えます。
ちょっと黄色でなぞってみました。
「ヨ」もありますね。こんな感じで、細かい井桁の崩れたような、そんな感じになるのが「割り込み」です。
もう少し現物を…これは昨日のハギレです。大島には珍しい小花柄。
下がアップです。
いかがですか、近寄ってみると、Eとかヨとかでしょう。
こんな風に、大島の代表的な織り方は、織り目を見るとわかるのです。
ちなみに大島風に見えるフツウの紬はこちら、織り目が下ですが、フツウの中のフツウです。
こういう織り方ではない大島ももちろんあるわけですが、
大島というものに出会ったら、眼を凝らして見てみてください。
こういう柄が見えたら「カタス」「一元」なんてわかります。
ひとつ「総絣」について記述しませんでしたが、「総絣」と言うのは、経糸全てが絣糸になるもので、
コレはさらに手間隙のかかるものですが、柄に立体感もあり、染でいうところのぼかした感じなども織り出され、
離れて見ると描いたように見えるほど、緻密で繊細な柄になります。
今、数多いのは「カタス」です。大島の中では手間が少ないのと、機械織りでもしやすいから。
もうひとつは「職人さん」の激減です。割り込みなんていうのは、採算もありますから、
今はとても貴重なものになっていると思います。後継者がいるのかどうか、そこまではわかませんが…。
「トキ」や「クジラ」もダイジだは思うんですけどね、こちらの「絶滅危惧種」も、なんとか保護してもらえないものかと
着物好きとしては、切に願っているんでありますわ。
「よこそ」は経糸に絣がはいっていない…だけなのに、
違った感じに見えますよね。
いかに「織物」ってすごいかわかります。
大島も手の込んだものは、手が出ない…になっていきますねぇ。
なんとかならんもんでしょうか。
大島は糸の染め方、締め機という下織りの仕方など、
その手間を聞くと「価格」が納得できます。
あまからさんでお誂え…いいですねぇ。
仕上がりが楽しみですね。
そう言えば、頂き物で「よこそ」の大島があるのですが、多分両方とも70年代の着物。
あれはまた物知らずな私などには「これってホントに大島?」という感じがします。
今までどうもよく判らなかったのです。
この度はそうかあと納得!
しかし大島というのは凄いものですねえ~
改めて感心いたしました。
そして「あまから」さんが話題に出ていてびっくり。
実はいま注文を出しているのですー主人のものですがネットで仕立てまで注文するのは初めてなので実はドキドキなのです(笑い)。
母から譲られたものは、柄もクラシックです。
でも、しなやかさはやっぱり違いますね。
このなでしこさんは、ちょっと穴もあるのですが、
着てみたいと思っています。
八掛がちとぼんやりなんですよね。
「あまから」さんのHPは、時々「??」と思うことがあると、
いって勉強させていただいてます。
ずっとなくならないでほしい「わざ」ですねぇ。
以前「大島の着物」といって、いただいたものを
長くそうだと思っていたのですが、
これを知ってから見たら違いました。
そんなこともあります~。
割と見てわかることなのですが、
あまり知られていないようです。
昔のものほど手が込んでいてきれい泣きがします。
見てみてください。
以前よりはブログ機能がよくなったので、
今回は自分のポカだとおもうのですが、
ほんとにがっかりしますよね。
この3種類は見ればわかりますから、じっくり見てみてください。
素敵な龍郷のお着物ですね
大島紬は本当に色々あって・・・
昨年割り込み式の龍郷の古い羽織を値打ちにオークションでゲットしましたが
すっかり忘れていました
総絣についてはあまからさんで知りました
→http://www.amakara.jp/judge_ohshima/mekiki_02.html
面白いですね~)^o^(
すごく分かりやすかったです。
もう一度手持ちの物を分類して見てみたいと思います。
ありがとうございます\(^o^)!
割り込みというのも聞いたことがありますが、
(割り込みの意味は知りませんでした)
カタスに一元は初めて聞きました。
細かい話ですね!
次回大島を見たらこれでまた楽しみが増えます。
感謝ですm(_ _)m
織り目をじっくり見る事が無かったのですが、
こうして見せて頂くと本当に織り目がよく
分かりますね。
「カタス」に「一元」「割り込み」の特徴が
よく分かりました。