最初に「織りの三原組織」というお話しをしました。
大元になるこの三つの織りかたの糸のかけ数を変えたり、組み合わせたりして、
様々な柄を織り出すわけですが、このほかにもうひとつ「捩り織り(もじりおり)」というのがあります。
「搦織(からみおり)」とも言われます。捩りは「ねじること」、搦むは「からませること」、
なんだか字を見ただけで、こんがらかりそうですね。
これは私観ですが「捩り織り」は、織る、というより「編む」または「組む」という感覚に似ていると思います。
捩り織りの代表的なものは「絽」、そのほか「紗」「羅」もそうです。つまり「間があく」織り方ですね。
季節外れですが「絽」です。
では、どんな織りかたか…といいますと、
これがまたややこしいのですが、普通の織り方との違いは、
通常の織物では、経は緯を通すために上下に動くわけですが、捩り織りの場合は、
この「経」の方も左右に動いて、隣へ行ったり戻ったりするわけです。
この場合、絽と紗は隣り合った二本の経が交差します。羅は三本以上が交差します。
以前使ったイラストですが、例えば「絽」だとこんなふうに
経が途中で交差して、左右にいったりきたりします。
緯、この図では「黄緑っぽい色」が3本ですが、これだと「三本絽」、5本なら「5本絽」です。
上の写真の、ミシン目のような白い部分が、図で言うと交差しているところです。
これで例えば「絽」の場合、前回お話した「強撚糸」の糸を使うと「駒絽」とよばれ、少し厚みを感じます。
このように糸と織りのコラボで、同じ絽でも感触が変わるわけです。
紗は似たような感じですが、緯は1本です。
ずっと一段ごとの繰り返しなので、絽のように何段かで穴が開くようにはならず、
全体に薄くシャリ感のある織物になります。
羅になるとたいへん複雑になります。
よそさまのサイトの写真を参考に図を描きましたが、描いててもわからなくなりまして…。
要するに、絽や紗より更に複雑に絡んでいます。右側の大きく開いたところが、柄になるわけですね。
こういう組織図を見ると、下から織るよりも、上から組んでいったほうが早いんじゃないか…なんて思います。
たいへん複雑ですが、それだけに柄として映えるものが織られるわけです。
残念ながら「羅」のものを持っていませんので、写真ナシで失礼します。
羅というのは、薄物の代表ですが、元々が大きく穴の開いた柄になる織物ですから、
元々は中国で身分の高い人の上着の上に更に羽織るもの、として使われました。
日本では主に「冠」関係に使われました。貴族の被る烏帽子などです。
ただ織り目が複雑で、普通の機では織れないため、技術の伝承も難しく、
やがて冠にも紗が使われるなど、不遇な織物ではありました。
経と緯の組み合わせの複雑さもさることながら、例えば紋織りなどの場合、
経をたいへん複雑にするために、柄どおりに「経」を操作する人と二人がかりの機もありました。
今は機械化されて「ジャガード」という機械が中心です。
また舞妓さんの帯などを織る機は、通常の倍の幅(丸帯)のため、機も幅の広いものを使います。
糸、機、そして「人」…地べたにすわってごくシンプルないざり機で、
地味な麻糸をせっせと布に織っていたときから、2000年のときをかけて、今があります。
すごいものですね。
本来織物の話をするなら、「機」そのもののお話しもしなければならないのですが、
一つには、機というのはたいへん精密な機械で、また種類も多くて説明が難しいのと、
私自身が「機」についてはそれほどくわしくないため、
このきものばなしでは「機」についての記述は致しません。不勉強をお許しください。
織物のフシギやスゴイはまだまだありますが、基本的なお話ということで、
これで一度終わりにさせていただきます。
次回からは「染めること」のお話しです。
トップ写真は、何もなかったので、ちりめんの男物襦袢「鏡と勾玉柄」です。
ありがとうございます。
知らなくてもいいようなことばかりなんですが
知ってたら楽しいかな…のあたりで
書いています。
パソコンも、ひやひやしつつですが、
なんとか言うこと聞いてくれています。
少しずつ書いていきますので、
よろしくお願いいたします。
普通の布だと、織り目はなかなか見えませんが
羅の帯などは、たどっていけると思います。
ぜひご覧になってください。
織りってほんとに細かくておもしろい手わざです。
色鉛筆で塗るときは「消せない!」と、
ものすごく慎重になります。
終わるとやっぱりグッタリです。
原理的には当然くみひもと同じですが、
どっちもたいへんな手間です。
日本人ってすごいですね。
「染め」編も楽しみにしていますので、パソコンのご機嫌を伺いながら、ぼちぼちお願いします(^^♪
絽、紗、羅の織りがこうなってるとは全く知りませんでした
勉強になります
羅の織はすごく複雑なんですね
ひとつ母の羅の帯があるので一度じっくり観察してみたいです
こういう図も綺麗に描かれますね。
私はこういう絵や図は本当に苦手で
描いている途中で疲れてしまいます。
捩じったりからませたり、綾竹台で
組む方法と本当によく似ていますね。