コメントにいただいた「生保のシングル・マザーが、子供の七五三に親からもらった着物を着ようとしたら、
義姉にとめられた」…というお話、実は私も読みました。
要するにお義姉さんに「贅沢していると思われる、私の洋服を貸してあげるから」といわれた
ということらしいのですが…。
私は「生保」を受けるための条件とか、認められる必要経費などの詳細をほとんど知りません。
だから、普通に暮らしていくとしたら…でしか、考えられないのですが…。
まぁ文章というのは、それで全部がわかるわけではありませんから、簡単に「こうでしょ」とはいえません。
着物はぜいたく品、というのは、もう今の「着物を着ない人」にとっては、当たり前の感覚ですしね。
また世の中その「着ない人」がほとんどなわけですから、多数決の原理で、押し切られてしまう…。
相談の回答としての中に「受給審査のときに、着物は贅沢品とみなし、親の形見などは考慮するが
全部売却させるとありました。」だそうです。私そこまで読みませんでした。いやはやどうも…です。
だったら「た○んすやさん」でもどこでも、持っていって売ってみなさいって。
よほどの作家モノ、一点ものでも価値は何十分の一、何百分の一、
普通の着物なら10枚まとめて何千円の世界ですよ。ものによっては、引き取ってもくれません。
「財産」という価値で言うなら、持っていれば「コレは元々何十万」であっても、
「買ったときにそれだけしました」であって、今のお金にはならないものです。
よく、広大な土地持ちの地主さんが亡くなって、子供たちがいっせいに土地を売る…ということがあります。
私の住んでいるところも、それで売り出された土地ですが、実際に相続した土地の価格は高くても、
納める税金は「現金」ですから、その「現金」がなければお金がない、のと同じです。
着物だって、作ったときは高くても、ヒトの持ち物になったら、現金に替えたら二束三文なのですよ。
贅沢って何なのかと思います。
ただねぇ…回答コメントにもあったのですが、着物は着るだけでお金がかかる…。
結局自分で何もできなければ、美容院代、着付け代、そして終わった後の始末…
いい着物ほどすぐにしないと…です。
万単位でお金が出て行きます。それをどう考えるか…ですね。
もしこの方が、生保のお金を七五三に使うとしたら、使うお金は、当日の交通費と、
神社に支払うお金、ちょっと外食くらいなものではないかと、勝手に想像するのですが…。
りっぱな写真や、記念の大ごちそうはあきらめても、純粋に「子供の節目のお祝い」ということだけで、
それくらいするのは、親として当然のキモチだし、最低限の暮らしの中にでも、それは含まれてもいいと、
私はそう思うのですが…。
この方に限らず、今着物を着ていると、着物そのものが高いというだけでなく、着たらクリーニング、
汚れたら洗い張り、しかも着物にはじゅばんだの帯だの小物だの、洋服には要らないものが
全部ベツモノとして必要になる…そういうことを全てひっくるめて「お金がかかるもの」といわれるわけです。
だから「贅沢してる」とか、別のブログで拝見しましたが「着物きてちゃらちゃら」とか、
「優雅でいいわね」とか、着ているだけで「何かあったの?」とか…。
私なんか「ご主人が高給取りなのねぇ」と言われました。嫁入りに持ってきた化繊の小紋…。
洗濯機でガラガラ洗ってるんですけど…でした。
確かに、着物は生き洗いや丸洗いに出すと、まぁワンピースをクリーニングにだすようなわけにはいきません。
じゃ昔のヒトはどうしていたか…いい着物については、当時もプロに任せましたが、
普段着物は、みんな自分でなんとかできたわけです。縫うことも、洗うことも、仕立て直すことも、
全部自分でやるか、部分だけやってもらうか…。いずれにしても、今よりずっと「セルフ」が多かったわけです。
お金のかかりようは、今よりずっと割安だったでしょうね。
着物は今、オークションもあるし、古着もたくさん出回るようになっています。
この前の「頼まれた小紋」、5000円です。まだ汚れも何もないのに…。
需要がないだけで安くなるのは、着物に限ったことではありません。
それでも、着るなら「洗うこと」と「保管」をかんがえなければなりません。
それとても、自分であれこれ工夫して、できるところは自分でやる…という人もいますし、
着物が着たくなったので、和裁を習い始めたもという人もたくさんいます。
自己流だけど、と、少々方法は違っても、自分で丈直ししてみるとか、
元々もうかなり古いから、思い切って洗ってみようとか、そうやって着物にもっともっと近づいてくる人も
たくさんいるのです。でも、まだまだ「反対側」の人もいるもので、
着ているだけで何か言われる…。わたしなんぞは見られてナンボと思っていますし、
「うらやましいからジロジロみるんでしょー」なんて、勝手に思ったりしています。
でも、ここに「生保」と入ってくると、ブランド物のバッグを買ったのと同じくらいの感覚になってしまうのでしょうねぇ。
お義姉様が、服を貸してあげるから…といったそうですが、それを言うなら、親族で少しずつでも集めて、
着付け代くらいは出してあげるから…とでも、言ってくだされば…なんて、勝手に思っています。
人が何を言おうと、きちんと説明できればいいわけでしょう。
大切にするのは何か…ほんとは子供の気持ちですから。
「アナタの七五三はね、おかあさん、すっごくたいへんなときだったんだけど、おばちゃんたちが
みんなで助けてくれてね、お母さんもアンタもおばあちゃんが用意してくれてた着物で、やったんだよ」と、
たとえ写真館のものでなくても、ケータイのスナップ写真でも、残してあげたらいいなあと…。
なんだか、ぎすぎすした世の中ですね。
「親としてはやってやりたいのに」という気持ちもわからなくはないですが、
実際にその一日のためにいくらかかるか…それは、逆に役所の人にしてみれば
「範囲」とか「常識」とか、そんなことがチラチラするんじゃないでしょうか。
親御さんの気持ちも、お義姉さんの気持ちも、それくらいいいじゃないという人の気持ちも、
やめたほうがという人の気持ちも、なんだかみんなわかるんです。
もし、彼女が手持ちのスーツで行くといったら、こんなことにはならないのでしょう。
着物って、おかしなところで損するんですよねぇ。
私なんか「今年のゆかた」とかなんとかで、たとえフルセット5000円でも、
まるでTシャツ感覚で買われて、一夏着られて、後は押入れでカビるか、捨てられるか…
そんなことの方が、よっぽどゼータクだとおもうんですが。
あっ大切に何年も着られる方もいらっしゃることはわかっておりますですよ。
確かにそういわれると、って感じがしますが、着物って何なんでしょうねえ~
日本人にとってあまりに特殊な衣装になってしまったんでしょうか!
日常着として生きる道はないのかなあ~
とても寂しいですね。
戦後の話で、質に入れて…とか読むと、価値がある、と言うかちゃんと流通できるものだったんだなあと思います。
今はもう全然変わってしまっているのに、お役所の査定はその頃のままですから、この辺も時代遅れは改めて欲しいなあと思うところです。
普段着が着物の時代なら、それこそ七五三でも柔らかものじゃなくてお召しか何かのちょっといいもので、ということだと目くじら立てられることもないんでしょうが、今は着物といえば礼装用のいいものしかないですし…。
そのお母さんは、もしかしたらお仕事もいまはオフィスカジュアルとかでスーツなんかなくてもいい時代ですから、ちょっといい服装というと親に作ってもらった着物しかなかったのかも、と思ったりもします。
月に数日行っている大手企業の事務方で完全な内勤ですが、男性はスーツなのですが、女性は冬でもカーディガン程度、ジャケット姿すら見たことありません。
制服のあるようなお仕事なら、ほんとうに普段着だけで済みますし、人目を憚るなら「服を貸してあげる」も正しいのかもしれません。
親が作ってくれた着物を着るのに人目を憚らなければならない、と言うのは問題だと思いますけど、お役所がそういう規定だとその方が安全かもしれないかなあと思ったりはします。
結局、時代に合わない基準に問題があるんですよね。
自分で着て、ベンジンで手入れしておいて、子供の行事に何回か着たあとで丸洗いに出す、くらいなら洋服とかかる費用は変わらないんじゃないかと思ったりもします。
愚痴みたいになってしまいましたけど。
なんともはや 世も末!ですね!
もともと 着物は日常着!だったはずですよね!
うちの祖母や母なんか 着物までをき着て
帯締めくわえて走りながら帯を結んでましたよ
で・・・玄関を出るころには ちゃんと綺麗な姿で
すましておでかけ!なんてことはしょっちゅう!
お宮参りや七五三 入学式の母の着物姿は なんだか 晴れがましく 写真とともに 脳裏と心にちゃんとインプットされて わたくしの心の栄養になってる気がします!
だから当然自分の子供の晴れの時には良い着物を着るし もちろん息子たちも自分の子供の晴れの席には妻が着物を着るのは当然だと思っているし・・・
着物DNAはこうして受け継がれていくものだと思うのですがね・・・
先週の土曜日には 当然のように 花火大会に4年生の男の孫と三人で浴衣で出かけて行きましたよ!
孫なんか それまでの兵児帯を 短めで細めの角帯を 何回も何回も巻きつけて 浪人結びにすると したり顔で 満足そうに 鏡をちらっとみて出かけて行きました!
しめしめ この子にも 着物DNAはちゃんと繋がってる!と ばぁばの至福の時です!
その時はユニクロ浴衣を着物風に着ていて、「そういうあなたの洋服のほうがお金かかってるでしょ…」と思いましたが。しかもその方、お茶をやっているにも関わらず、着付けはいつも人にやってもらうんだとか…私は自分で着てますよ…(ユニクロ浴衣を着るのに何千円もお金払って着付けしてもらうのは主婦には抵抗ありますしね)
作家の佐藤愛子さんと群ようこさんの対談を読んだことがありますが、佐藤さんが借金で大変だった時期にいつも着物を着ていたら、借金取りに「優雅に着物着て、お金を隠してるんじゃないか?」と疑われたそうです。ご本人は「母の着物があるから、買わずにすむから着てただけ」とおっしゃってましたが。(しかも親の着物=古着なのに昔のものだからかえって上質で、それでますます誤解されたらしい)
昭和でも、もう世間の見る目は「着物=贅沢品」だったんですね。
まぁ私もやっぱり、着付けなどを有料で人に頼まなければならないのは、「贅沢」の範疇に入ると思われても仕方ないな、と思いますが。
(だから自分は木綿やウール・化繊等の自宅洗いかせいぜい洋服と同じクリーニングで済むものばかり着ています)
ちなみに、少なくとも佐藤さんの時代は、
対談からは、少なくとも佐藤さんの時代は借金を負うと、着物も家や家具などと同じように差し押さえられて、自分で勝手に売ったり処分したりできなかったそうです。(でもある物を使うことはできたわけです)
また、群ようこさんのお話では、今でも着物は土地・家屋・貴金属などと同じ「財産」扱いで、税金の滞納の時などには「売って税金納めなさい」ということになるんだとか。
もっとも実際は「税務署だって、着物を押さえたって困るでしょう」「今は着物よりもブランド品なんですね、きっと」という結論(?!)でしたけど。
お役所の決め事ってほんと時代遅れですよね。私の中国製の激安洋服地で自作した「なんちゃって」きものなんて、どういう扱いになるのか想像すると笑っちゃいます。
ほんとにわびしいです。
着物って、ただの着るものなのに。
ネットのおかげで、少しずつ知られてきてはいるんですが、
肝心の私以上のひとがねぇ…。難しいです。
着物を着なくなって、着物に関する暮らし方もなにもかも、
わからなくなってますから、ただお金がかかるとしか
思ってもらえないんですよ。
私なんか、よそ行きの洋服が要りませんから、
スーツもワンピも、いいものなんて、何年も買ってません。
ブラックフォーマルだけですわ。それもイチキュッパ…。
ブランド物買ったり、海外旅行行ったり、
それよりずっとかからないと思いますけどねぇ。
計画立てればいいんですから。
お役所もアタマ固くて困ります。私がもしそうなったら、
母親にもらったものだけ残しますって、全部残してやるっ!ほんとにそうだし。
せめて身近で着物を着て暮らしている人がいれば、
自分が着なくても、情報がインプットされるんですけどね。
私なんかが最後のその時代ですわ。
近所のおばちゃんが、ウールのきものに引っ張り着て…。
たまーに小紋なんか着てると「あっあおぢゃんおでかけ!」なんて。
そういう記憶がないばかりか、最近の着物話題は成人式の振袖ばっかり。
贅沢…なんていわれるのは、ほんとに悲しいです。
着物DNAは、やっぱりしっかり植えつけないとですー。
ほんとに「価値」がかわってますからねぇ。
なんか情けないです。
着物を差し押さえて、売りに行ったら10枚で1000円。
ははは、これでいいですかって、査定してもらいたいものです。
生保についても、昔に比べればクーラーなどはおけるそうですし、
少しずつ改善されてはいるようですが、大事なのは「気持ち」なんですよね。
きめが粗いのは毎度のことですが、着物に関して言えば、
どちらもが、着物のことをよく知ってもらいたいと思う次第です。