ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

生地はあるけど記事がない?

2009-11-23 21:48:31 | 着物・古布
雑事に追われてもたついているうちに、ナニを書こうかあららまとまらない…。
そんなときは生地をひっぱりだす…ごまかしかいっ!
すみませーん。

写真の生地は、ざらりんちりめん、好きな柄です。
はぎれなので着物かじゅばんかわかりませんが、
衿肩アキのあとがあります。こんなの、着てみたかったなぁ。
はい、いつものせりふで「どうして今はないかなー、こーゆーの」
しかたありませんねぇ、ないものねだりしても。
これは「糸菊」とよばれる種類でしょうか、花自体は動かないものですが、
この花びらのうねりで、とても動きのある柄になっていると思います。
染の甘いところもありまして、紺の地の色が、
花びらににじんでしまっているところもあるんですが
それをさしひいても…いい色柄です。


   

   
葉のぼかし具合なども、このころの特徴ですねぇ。
片袖分しかありませんから、何かにするにしても大きなものはできませんね。
しばらく大事にナイナイしておきましょう。

もう一枚はいわゆる「戦争柄」です。
こういうのを見ると、なんていうのか「かわいい」とか「おもしろい」の前に、
心のどこかが、チクリと痛みます。
絵が愛らしければ愛らしいほど、これを子供の身で着たひとは、
そのあとどうしただろうか、無事あの過酷な時代を生き延びただろうかと…。





戦艦は大和?わかりませんが、立派な姿です。
小さな男の子はセーラー衿の服にセーラー帽。
海軍は、ずっと男たちのアコガレだったのです。
戦争中の歌というのは、母がよく歌っていました。
おかげてけっこう覚えています「同期の桜」とか「若鷹の歌」とか…。
「若鷹の歌」ありましたわこちらに。
この柄と似たような飛行機が飛んでいます。
今はめったに見ないアドバルーンの文字は「皇国大勝利」。

こちらは汽車。子供の着物柄には、単純に汽車や自動車の柄がありますが、
このハギレの場合は、波のように揺れる「国旗」が特徴、
出征兵士を山ほど乗せて、入隊する部隊のあるところまで走るのです。
国旗を振りながら見送る人は、どんな気持ちだったのでしょう。
絵はほんに勇ましく高揚感がありますが、もうこんな見送りはしたくありませんね。


   

 
今見ると、今聞くと…なんでこんなことがおこなわれていることを
誰も止められなかったんだろうと…。

軍国少年、という言葉があります。
図柄のような小さい子が、物心付いたときからそういう環境におかれて、
自然と軍人になることに夢を抱く…なくなった実父もそうでした。
なにしろ明治の最後の生まれですから、シナ事変あたりですでにいい大人でしたが、
私にとっては幸いなことに、実父は徴兵検査で軍人としては落とされました。
胸を病んだからです。それでも父は「国の役に立ちたい」と、
特に父のアコガレは「海軍」でしたから、海軍の役に立ちたいと、
技術の方で、海軍に貢献しちまったわけです。
もし兵隊として合格だったら、きっと世界大戦の前にあの世へいっていたかもです。
私の存在はない…おとうちゃん「ひんそな体」でよかったね、です。

こんな図柄は悲しいのですが、それでもこれは、無理やり作った柄ではありません。
過去の「戦争柄の子供の着物」についての記事にも書きましたが、
「時代の流れ」というもので、みんな喜んで買ってきていたんですね。
結果が最悪に出たとき、こんな柄のものは、もう見たくもなかったかもしれません。
でも、着物にも生地にも柄にも罪はありません。
子供の着物の形のまま、長くしまわれたり、目に付かない男物のじゅばんになったり
はぎれとしてふとんや腰巻になったりして、生き延びてきました。
今、ただ色柄としてかわいい珍しいで持っていますが、
二度とこんな柄のものが作られなくていいように…。
最初の「菊柄」とは正反対ですが、ほんとにこのまま「過去の柄」として
残していけたらと思います。こればっかりは「復刻柄」もいりませんね。


おまけのハナシですが「汽車」を見ていて、昨夜見た番組を思い出しました。
「熱中時間」という番組なのですが、昨夜は「鉄道」に熱中している人大集合。
私「鉄道マニア」というのは、まず「路線や列車」が好きで、
時刻表片手に乗りまわる人、とか、車両が好きで写真取りまくる人くらいしか
思いつかなかったのですが…。
実はいろいろいるもので、線路のみが好きな人は、路線が隣り合わせて
並んでいて、しかもきれいにカーブしているところとか…。
或いは「台車(車輪の付いた部分)」だけが好きだとか…。
まぁコレクターというのは、それに興味のないヒトから見れば、
「なんでこんなものを」と思うものなのだとは思いますが、
趣味のために本物の線路敷いて、本物の汽車走らせちゃったり、
写真撮るために、何百キロも旅したり…。
いゃあ…私が奥さんなら…あっ私もコレクションあったし…
この際「おあいこ」ってことで、みなさんがんばってぇ…と、
おもわず言ってしまった深夜でございました。

コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 母の誕生日 | トップ | 年賀状、届いているんですが…。 »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2009-11-23 22:46:54
ほんと!動きのある素敵な糸菊ですね。

戦争の図柄はこういう事が現実にあった記憶として残しておくべきかもしれませんね。
>誰も止められなかった・・・やっぱり
今でいう洗脳されていたんでしょうか。
心の中で戦争反対と叫んでいても村八分や
非国民にされるのが怖くて言えなかった
のもあるでしょうね。恐ろしい事です。
返信する
物欲しがり~ (りら)
2009-11-24 01:08:33
の血が疼く~です。
糸菊の布、地色と菊と葉の色のバランスがなんとも言えませんねぇ・・・・
赤が全く入らない、と思ってよく見ましたら、花びらの周囲の線は橙色っぽいでしょうか?
いつも布を見せていただくと「何にしたら素敵かなぁ?」などと楽しませていただいていますが、これはもう羽織ですよね~。

戦争柄、こういう文化というのは珍しいのではないでしょうか?
勿論、何処の国でも戦争を始める時には大義名分があって国策として始めるんでしょうが、着るものの柄に、しかも今残っている物でもこれだけあるというのがすごいなぁと思います。
そのまんま戦争柄だけでなく、隠された意味のあるものもあったりして、興味深いです。
返信する
菊・・・ (蒔 糊美)
2009-11-24 13:17:11
 松ブームをひきずりながら、菊もブームを迎えてる私です。   (謎)
ステキですねぇ。地色の紺がまたイイです♪ 復刻柄~・とかいって出るべきですぢゃっ。
 ヤフオクなんかでも、黒地に菊の帯・なんてのはお高くなっちゃって
私なんて出る幕ナシで・・・みなさん、お好きなんですなァ。

 菊の横顔&うなじもスキです。・・・持ってませんが(汗)。
とんぼさんコレクションには有りそうですがどうですか? ヂュルヂュル

 
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-11-24 21:02:17
陽花様
ほんとに、言いたくてもいえない…って
たくさんあったでしょうね。
「お国のために、りっぱに死になさい」なんて、
きっと「ほんとはそうじゃない!」って、
心のそこでは思っていたはずです。
のけ者にされる…お互いがお互いを
けん制しあうとか、
そんなことも戦争の生んだ悲劇ですよね。
平和な時代になってから生まれて、
ほんとに良かったです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-11-24 21:08:19
りら様
いい絵ですよね。
おっしゃるとおり、花弁の輪郭のみ
「褐色」で、描かれています。
これが羽織分あったら、もぉぉぉぉ
もだえますわ。

戦争柄は、ほとんどモスかと思っていたら、
けっこうりっぱな着物にも柄として
使われていたりしたんですね。
かわいいのにブキミだったりします。
確かに珍しいですよね。
集めたいとは思うのですが、
これもいい柄だと、ぼろぼろなのに高い…。
やっぱり「記録」としての価値も
たかいのでしょうね。
返信する
Unknown (とんぼ)
2009-11-24 21:27:26
蒔 糊美様
まずは「よだれふき用てっしゅぺぇぱ」をば…。
菊は単一の柄としては、桜や朝顔などより、
長く着られますし、おめでたいものでも
ありますから、けっこう見ますね。
「菊の横顔・うなじ」、これって
ありそうでないです。
小さい柄だと、あっここ…なんていう程度に
見え隠れしますけれど。
ちっさー…ってのならありますよ。
うなじはないかなー…ところでうなじって…
(と、ケンメイに想像)
返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事