ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

カンタンに着られる着物

2010-08-08 19:46:04 | 着物・古布
もう何年も前のことですが、ずっと「障害者でも着られる着物」について
いろいろと考えていました。いや、今でも考えるだけは考えているのですけれどね。

障害というのは、みんなそれぞれ少しずつ違います。
全部に細かくあわせることはなかなか難しいことですが、
たとえば「下半身に不自由があって車いす」の人は、
立って着物を着せ付けられませんから、二部式に分かれているものがいいですし、
同じ車いすでも、背もたれがかなり低いものを使っておられるかた
(バスケット選手用などは、その典型ですが)は、
半幅で少し高めの文庫くらいだったら帯も普通に締められます。
逆に背もたれがどうしても高めに必要な人は、帯が邪魔になります。
また、立つことはできる、という方なら着せ付けるのは二部式でなくともいいわけです。
そんなこんな、イロイロあれこれ考えていたのですが、
まだ「絵」の段階で、ちーとも実行に移せていないのです、でへへ…。

前置きが長くなりました。
そんなわけで、実際に着物広げてあれこれやっていたそのころに、
たまたまネットで見つけたので「お試し」に買ってみたものです。
といっても、これは特別障害者用、として販売されていたわけではありません。
要するに「カンタンに着られますよ」の着物です。

まず、この着物、二部式ではなく一枚です。広げたところです。
通常の帯をする位置に太いベルトのように別布がついていて、上下をつないでいます。
おはしょりも背中の緩みもここでギャーザー処理されてるわけです。
左脇の内側に大きなマジックテープ(薄いピンクっぽいところ)があるので、
ここに右前の端についたテープを体にあわせてとめます。
右の赤丸の位置には「ホック」があります。

     
        


左脇の外に後ろに回るゴムのベルトが挟んで縫い付けてあります。
ベルトが別布であることがわかるように外に向いてますが、
これをウエストの後ろにまわします。
         


後ろからまわしたベルトの先にホックがありますので、左前のホックにとめます。
     
        


この着物の感心なところは、ちゃんと下前の褄も上がる位置にテープがありますし、
衿もちゃんと抜いて着ることができるところ。
前のギャザーは極力少なくしてあります。

お福ちゃんでやってみました。正面の様子です。
赤い線が左身頃の真ん中の幅広い部分。


       


ゴムのベルトを後ろから回して、ホックを止めた状態。赤丸がホック位置。

        


つまり「最初から揚げをした着物」と、原理は同じなのですが、
揚げだけだと処理が面倒な部分が、腰の太いベルト部分でできあがっている、というわけ。
実際着付けてみましたが、欠点は当然腰から下のフィット感です。

ギャザースカートを履いているとは申しませんが、腰や太ももなど、
一番自分で体に添わせて着たい部分が「できあがって」いますから、
あまり細い人だと、下半身は着物が浮いてしまうと思います。
それでも、そこそこ見られますから、着慣れない人にはいいかもです。

実はこれを見つけたころ、母が着物を着るのがしんどい、と言い出していました。
まだお正月くらいはなんとか着ていましたが、体が縮んでおはしょりは多くなるし、
やせて身幅も合いにくいし、背中の丸まりで着せ付けにくいし、
手の力がなくなってお太鼓を結ぶのがしんどいし…と、
次から次へと「面倒材料」が増えてきました。だったらこんな風になっていたら、
母でもパッと着られるかな…と思ったのですが…。
実際には、みせたとたんに「なんやこれは、こんなにしてまで着とぅないわ」と言われそうで、
見せるところまで行きませんでした、いまやこれも着られない状態です。

これは普通の二部式と違って「帯」を締めるのが原則ですから、
着物を着づらい人に、これで半幅でも締めてあげたら、ラクかなーなんて思うのです。
まだ改善の余地あり…だと思っていますが。

実は、入手してから、着物を入れるところとは別のところにいれっぱなしておいたら…
縮みましたがな。あっ書き忘れましたが、これは綿紬、ちゃんと反物を裁ってます。
ちょっと絹っぽい艶もあるので、交織かなとも思います。思いっきり安かったし…。
丈が縮みまして、裏地がタブッてしまいました。
「フキ」が1センチくらいになっちゃいました。
これは解いて洗うなんてのは無理なので、洗って、裏地の方を縮めるようですかね。
元々小さかった上に、あのころから更に私の方が育ったので、えぇ太ったので!
着られませんから、見本として形を整えておこうかと思います。



昨日おとといは伸子張りをしたのですが、今日は曇り空、
本当は今日みたいな日のほうが、伸子張りにはよかったんですけどね、
ちょっと鉢植えをいじったり、枯れたものを掃除したりしておわってしまいました。
本日の収穫?これで今年の風船カズラは終わりです。
暑かったときだけバッと咲いて、さっさと実って膨らんで、あっという間に枯れました。
ものすごく省エネ?種の数も少なかったですが、大きさはまぁまぁです。
来年はこれを蒔きましょう。ほしいかた、少しならお分けできますよー。


     


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8 コメント

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Unknown (陽花)
2010-08-08 20:50:03
障害があっても簡単に着られるようにとか
舞台で早技で着替えられるようにとか、
何処をどう改善すればいいかと考える人は
スゴイと思います。

それにしても、上手く仕立ててありますね。
高齢になると背中が丸くなったり、腰が
曲がったり確かに着物が着にくくなります
からそんな時にもこういうのがあるといいですね。
返信する
Unknown (香子)
2010-08-08 21:58:01
先日は過去記事の参照ありがとうございました。
大変助かります。
調布の図書館にはなかったのですが、オークションや古書店など地道に探してみます。

簡単に着られる着物、早着替えに良さそうですね。
私のお茶の稽古仲間は、私を除いて計算すると、平均年齢75歳くらいの高齢者集団なので、二度ほど「つけ帯」(お太鼓の形にして4カ所縫い留めるアレです)講座をやってみましたが、もともとはみなさん着付の上手な方ばかりなので、あまり浸透している気配がありません。

で、身体の自由がきかなくなってどうにも着られなくなると、着付の工夫をされるよりも、洋装でいらっしゃることが多くなってきます。

「昔は脚が丈夫な人が多かったのにね」という話しが出たときに、「そうじゃなくて、そこに至るまで寿命が長くなかったのではないか」という意見の人がいました。

毎日たくさん歩いて脚を鍛えたり、骨密度を維持したり、健康に年を重ねるのも簡単ではなさそうですね。。。
返信する
Unknown (くう)
2010-08-09 09:40:31
おはようござます。

障害を持っている方、ご老人、さまざまな方が対称になりますね。一言で合理的です。短時間で着れる。ひとりでも着れる。私のマキスカートと同じです。着物業界が、もっともっと公開すれば良いのにと、思いました。貴重な情報に感謝です。
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Unknown (とんぼ)
2010-08-09 21:43:33
陽花様

私も息子のおかげで、そういう方たちの
着るものの悩みを知りました。
洋服では結構考えられているのですが、
和服ではまだまだなんです。

これはもうちょっと整理したいところもありますが、
基本的には、年取ったら便利だなと
そんな風に思います。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-08-09 21:48:07
香子様

本、みつかるといいですね。

昔着物しかなかった時代は、
それで年よりもすごしていたのですから、
要するに「慣れ」と「崩し」だと思います。
明治のおばあちゃんの写真なんか見ると、
グズグズなんてもんじゃありません。
若い女性なら「襲われたのか」とおもうくらい
すんごい着方で「記念写真」におさまっていたりします。
堅苦しくしてしまったのは、洋服という
ラクなものを知ってしまったからでしょうね。
母も、足元が危なくなって、着物をやめましたが
もんぺはけばいいんです。
ただ、母の年代は「もんぺ」にはいい思い出がない…。
防空壕に入るときにはいたし、はきたくないと
いってましたねぇ。
戦争ってこんなとこまで影を残してる?!

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Unknown (とんぼ)
2010-08-09 21:49:52
くう様

呉服業界の視野の狭さは、上のほうほど…
ですからねぇ。
もっとこういうものにも目を向けてほしいです。
それでなくたって「高齢者増加」驀進中、
なんですからねぇ。
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こんなカンタン着物も!? (みやざ)
2010-08-10 22:02:01
とんぼさま

こんばんは。
今回の「簡単きもの特集」でそこそこ、
探したり、見たりしましたが、
これは、見たことがありません。
本誌にも書きましたが、ねーさまがおっしゃるとおり、
「規格外体型」だと、お端折り付きはむしろ、
不便になりますね。
性格規格外の場合は……
いえ、お互い問題ないと思います(爆)。
いえいえ、
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Unknown (とんぼ)
2010-08-10 22:50:03
みやざ様

これ、府奥で見つけたんですが、
古着屋さんのブースでして、
製造元というわけではなくて…。
確か4枚くらい同じような柄のが
あったように思います。
どこかのデッドストックだったのかなぁと
今になって思っています。

性格規格外…そうそう!ほぉんとにあたしたち、
ひょぉじゅん、フツー、だもんねぇ~。
(あっ千さんがズッコケた…)
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