
振り袖の写真、また使い回しです。還暦のご報告写真に来たものです。
今更ながらにハデですね。
「30を過ぎても未婚なら振り袖を着られるか」というお話しが、先日ミクシのほうのニュースでありました。
内容をかいつまんで…
本人32歳。3歳年下の妹が結婚する。そのとき自分が何を着たらいいか。
新郎の姉妹二人が既婚者で「黒留袖」なので、自分も着物にしようとしたが、未婚なので留袖は着られない。
しかし、20歳で作った振り袖は地色が赤。あまりにも派手で場にそぐわないのではないかと思う。
洋装にしようかと思えば、母親が「アチラの親族に失礼だから、未婚女性の正装である振袖を」という。
友人でやはり未婚の女性は、弟のお嫁さんが10歳年下なので、振り袖はやめて色留袖をレンタルした。
未婚者でも留袖をきてもいいのだろうか…。
本人は以前に「若くはない女性が振り袖を着ていて痛々しかった」ので、自分がそうなりたくはない。
というようなお話しでした。
こんなこと…ご本人や、その振り袖の写真も見ないで答えられませんが…。
一応の原則で言うなら、未婚者は振り袖…ですけれど、それは、少し前の結婚年齢が早かったころのお話し。
私が若いころまだ「姉より先に妹が嫁に行くなんて」というのがありましたね。
お見合いが多く、結婚の形態も意味も今とは違う時代に言われたことが、今は当てはまらない場合もあります。
30過ぎても振り袖は着られるか…独身ならどうぞ、です。ただ、その人のイメージも着物の色柄もあります。
同じ30歳でも、どう見ても20代に見える人もいれば、20代半ばでも、30過ぎに見える人もいます。
特に着物を着るときは、髪型がアップになりますから、よく言えば「大人っぽく」、悪く言えば「老けて」見えます。
かわいらしい印象の人なら30すぎても不自然には見えないとは思います。
また地色が赤、とのこと、そりゃ着物自体がハデです。20歳の人が着るにしても、やはり大人っぼい印象のひとより
チャーミングなタイプの女性向きと言うのが一般論だと思います。
母親が「未婚は振り袖だ」と言うなら、そういうことを大事に思う人なのでしょうから、振り袖でもいいとおもいます。
それがハデで、本人「お笑い芸人みたいではなかろうか」というのなら、色のシブい振り袖をレンタルするとか。
またどうしてもハデで…と思うなら、短いめの振り袖…だって考えられます。
本来、礼装の基準は本人の年齢ではなく、新郎新婦との「続き柄」「間柄」によります。
新婦の姉なら、未婚は振り袖、既婚は黒留袖、色留袖も訪問着も、原則で言うならアウトですが、ケース・バイ・ケース。
30過ぎても独身の女性が多い今の時代、原則が当てはまらないことだってありますよ。
また、最近は披露宴などの形態も変わってきています。
式は厳粛でも、披露宴はわりとカジュアルっぽい…のときは訪問着でもいい…と、昭和50年代の本に、すでにあります。
紋のことは書いてありませんが、せめて背中に一つ紋の訪問着がいいのでは…と思っています。
で、このかた、結局振り袖をきることにしたけれど、あまりに赤いのでレンタルした…とありました。
それがねぇ…「黒振り袖」…お色直しにご本人が介添えをするのでと…こっちの方がよっぽど問題です。
これも「原則」みたいなものですが、黒振り袖は「花嫁」が着るものとされていた時代がありました。
最近人気があって、白無垢より黒振り袖の結婚式を希望する人も多いそうです。
こんなんですね。以前出しました、叔母の結婚式の写真です。
黒振り袖を着るのは、ゼッタイにタブーとはいわれませんし、元々花嫁さんは、同じ黒振り袖でも、
着方も帯結びや小道具も髪型も、一目でわかる特徴的なもので独特です。
とくに結婚衣装として着るときは「お引き」ですから、参列者が黒振り袖を着ていても、
お嫁さんと間違われることはないでしょう。
ただ…例えば洋装の結婚式では、「白」は花嫁の色とされていて、参列者は白いドレスは着ないのが原則。
そのときにオフホワイトとか、バニラホワイトみたいな色のドレスだったら、純白でなくても紛らわしいでしょう。
また、友人として参列するときには、披露宴の座席の位置などから見ても「あっ身内じゃない」とわかりますが、
花嫁の介添えをするのに黒振り袖は…と、私はこちらの方が気になります。
妹さんはどうやら式も披露宴も洋装らしく、ウェディングドレスにもカラードレスにも、黒なら引き立つと思う…と
そういうお考えだそうですが…。
先日、呉服屋さんの奥さんが「問屋へ行くと、最近『紬の訪問着』が、やたら多い」と言ってました。
勧められても「着る機会が」と言うと、問屋さんが「今は結婚式だって着られる」なんてことを言う。
そうではなくて「訪問着は幅の広いものだから、こういうものはお芝居見に行くとか、クラス会とかに、
いいですよ」と勧めてくれないと、なんでもいいになっちゃう…と。
何度も書いていますが、着物には「かえていいこと」「かえなくていいこと」
「かえたほうがいいこと」「かえちゃいけないこと」があると思うのです。
売れればいいのだから、これなら売れるから…に走っているようなら、
着物業界が、自分で自分の首を絞めているようなもの…と思います。
「ダメ」ではなく、これはこういういきさつでこうなっていますから、こうしたほうがいいと思いますよ、という
方向みたいなものを、ちゃんと示してほしいと思うのです。
お嫁さんの介添えにレンタルしたという黒振り袖、貸す側も何もいわなかったのでしょうか。
このニュースのコメントには、やはり「黒振り袖ってお嫁さんの衣装でしょう」という意見がありました。
逆に「友人が私の結婚式に黒振り袖きてきたけれど、違和感なかった」という意見もほかで見ました。
全ての意見が全部同じ方向を向くことはありませんが、だからこそ「線引き」は、
必要なことではないかと思うのです。
30過ぎても振り袖はOKだと私は思っていますが、芸人のように見えたり、
ご本人の言うとおり「ムリしていて、見ているのが痛い」なんてときには、独身でも身内なのだから、
色留を着ることも、訪問着を着ることも、今の時代は「アリ」だと思います。
そうやって、必要に応じて緩めたり、守ったりする知恵こそ、伝えなければならないと思うのです。
それにしても…なんでウェディングドレスが多いんでしょうかねぇ。
もう一度着られるとしても、私は着物がいい!こんどこそ「黒振り袖」(まだ、着る気かい…)。
でも、昔だとて地方により違ったりしてたのですから遠距離結婚の場合は「あらまっ!嫁さんの姉さんがあれ?!」などというのもあったのかも知れませんね~。
昨今は、既婚の姉妹などは色留を着ることも結構多いようですけれど。
あまりにも、多様化しすぎてますよね。
古いことばかり押し付けるつもりもありませんが、
変化のスピードが速すぎて、現場が混乱する??
列席者のほとんどが、まーったく気にしてないけど、
お舅さんたちの年代だけが「なにあれ」なんていったり。
友人が、デザインではなくて、息子のお嫁さんが、
お色直しを3回するとかで、披露宴はファッションショーじゃないっ、
なんていってました。
一方で、簡素化の流れがあったり、難しいです。
一応のラインはあるけれど…でいいんじゃないかと思います。
私に妹がいて、私より先に嫁くことになって自分が30過ぎてたら…
やっぱ失礼して色留にしますわ。
向うもご理解くださるでしょ、妹さんが先だしねぇって。
おっしゃる「昔の遠距離」だったら、おおいに「えっ?」てのはありえますね。
「お姉さんがあれ?」なんて。
お葬式のほうですが、義母の葬儀にごく近い身内が綸子に地模様(しかも花柄)の
テカテカ光る黒の着物を喪服として着てきたのがおりまして、全員「えっ?」…。
あれは「喪服ではない」と、語り草になりました。
地方ではなく東京の人で、横浜での葬儀ですー。
義妹の結婚式に、新婚早々だった私はピンクの色留袖をレンタルで着ました。比翼がついてましたね。義父は私の結婚式の前に亡くなっていたので、夫が妹の保護者という立場だったので、堅苦しいかな?と思いながら色留袖を着たのですが、会場では、オバサマのチャイナドレスありの、なにやらがありので、東京もんは違うもんだと思いましたよ。義妹関係は全員和服でした。
私なんぞそのトバ口に差し掛かったばかり。
今からメゲてちゃいられない。
で、ひとつお聞きしたいんですけど未婚女性の第一礼装として振袖はわかるんですが、半衿がやたらと色物で目立たせてあるようなんですが、基本白じゃないんでしょうか???
フォーマルでしょ???
襟元があんなにゴチャゴチャの色彩の氾濫は下品な気がするんですけど。
そうそう、紬の訪問着って素敵でした。
最初はでも一瞬「え!?」でしたよ。
紬で訪問着ってどーゆーこったいって。
でも、なんでもありっぽくなっているんですね。
とんぼさんがおっしゃるように確かな線引きがなされなければ、収拾選択を誤ってしまって、歌舞伎座に浴衣姿で平然と出かける危ない若いコが出現するって訳ですよね......。
私も無知だけど、流石に現代の歌舞伎座に浴衣はないわぁ.....。
。
我が家の娘もうかうかしていられません。すぐにその年代になりそうです!!!
そういえば振袖も成人式と卒業式にきただけですねーーなんかもったいない(笑い)。
しかし息子も結婚しそうもないし心配する必要もないかーー何とも寂しいです~~
でもこの問題は考えなくてはなりませんね。
読みながら、じゃあ何がいいのかなと考えながら読んでいました。一つ紋の訪問着ですか。
なるほどと納得しました。
ご主人様が父親代わりなら、尚のこと、
かたくるしくなんかありませんよ。
まぁお相手の…というところがねぇ…。
昔は何の心配もなく、みんな既婚者は留袖、
ちょっと離れた身内は訪問着…みたいに、
きているもので見当付いたんですが、
最近はもう…ですね。
東京は…というより、なんというか、
地方の方がしっかり形ができていて、
わりと守っている…保守的といわれればそうですが、
私は、こういうことは保守的なところから、
少しずつ動かすべきだと思いますねぇ。
振り袖、というより「礼装用の半衿は白」が原則なんです。
ただそれも、いつのころからかといわれたら、それほど古くはない…。
いつのまにか、礼装の半衿は「白の刺繍」になりました。
元々刺繍半衿は、礼装もしくはそれにちかいものに使われたのですが、
最近は小紋とか紬にも使います。
私自身は刺繍半衿はボリュームを感じるので、礼装以外は「染の柄半衿」です。
ソレとても、今は自由です。
振り袖に色半衿を使うのは、要するにファッションとして豪華、と言うことだと思います。
もともと振袖って豪華なものなのですから、衿元の寂しさをカバーするなら、
白地に白の刺繍で十分、と、私も思います。
売る側、着せ付ける側、そういう人たちが、着物を着るひとに、
そういうことを説明しない、といいますか、要は「ファッション」ととらえて、
「この方がきれい」「この方がかわいい」で、なんでもゴテゴテにしてしまう気がします。
半衿に限らず、あのテンコ盛りヘアも、衿や帯揚げにレースを挟むとか、
帯締めもなんだかくねくねとさせて、いろんな帯飾りをつけたり…。
豪華、ということが、洋服のようにアクセサリーをいろいろつけることと同じ感覚、
と言う気がします。
こんなこと書くと、また「古い」とか思われちゃうんですけどね。
歌舞伎座では、浴衣の日みたいなこともやってるとか聞いたのですが…。
ま、どこの世界も「お客様にきてもらうためには」があると思いますが…。ペケですね。
今の時代、着物、特に振り袖を譲るということがないんです。
親や姉の振り袖を、娘が、妹が着る。そのあとはイトコだの姪が着るだの、孫が着るだの…。
誰かに伝わる…これが今はないんですね。
だから成人式と、友達の結婚式と、正月と…と、数えるほどしか着ない、もったいない。
と、そうなるんですね。
私は自分の振り袖は袖を切って訪問着で着ましたが、
このあとは色からいってコートにでもなるか、最終的には「ふとん??」
何人ものヒトに着てもらう、或いは何回も形を変えて使う、
それが着物の本来の一番の自然な形なんですね。
お嬢さんの振り袖、いつか何かにしてください。
一つ紋の訪問着は、無紋より格が高いですから、礼装としてはいいとおもいますよ。
出遅れ感たっぷりですが~
四半世紀以上昔のお話。
悪徳呉服屋と言われて数年前に倒産した関西の呉服屋さん
(その当時は地元ではさほど評判も悪くなかったんですが…大阪南のビル壁面には着物がデザインされていた、と言えばわかる人にはわかるお店)で
母は今は懐かしい月賦…社員が集金にきてました…で朱赤の鹿の子絞りに御所車の描かれた振袖一揃いを買ってくれました。
父のお給料は同居の祖父母にすべて渡していたようなので生活費の中から少しずつ払ってくれていたようです。
私と妹が順番に成人式、結婚式と数回着用して
妹の子供が再来年成人のため着用予定です。
彼女は背が高いし腕も長いので初めて洗張して胴裏を交換して仕立て直しました。
裾と袖口にふき綿をぷっくり入れてもらいました。
彼女が何度着てくれるかわかりませんが…
帯も文庫に結んでほしいそうな…極端な変り結びは帯が痛むのでイヤなんで…
と、我が家の振り袖事情でした。
ステキなお話しですね。
私の10代のころの晴れ着は、イトコの間を転々としました。
最後はどこにいったやら…やすいものでしたけれど、
そうやってたくさんのヒトに使われて、着物も嬉しかったと思います。
大切にする、というのは、しまいこんでおくことではなくて、
たくさん着て、着られなくなったらなにかにして…という、
その着物の歴史を作ってあげることだと…。
そんなことがなくなった今、しみじみ思います。
妹様のお嬢様、きっとステキに着てくださることでしょう。
イマドキのチャラペラ振り袖のなかで、きっと輝くと思います。楽しみですね。