いただいたコメントで、帯の裏を少し折り返す締め方…のお話がありました。
古い記事、調べたら2008年に、これを書いていますが、余りに古いので再度掲載です。
写真は、当時のものをそのまま流用です。
裏の黒を少し見せる…というのは、折り返すということなんですが、
写真は江戸時代の帯締めを使わない結び方のひとつで「ひっかけ」といいます。
トップ写真が前から見たところ。角出しとともに、庶民に多く結ばれた帯だそうです。
ほんとにちょいとひっかけただけ…です。
コメントで頂いたのは、たぶん前帯に裏の黒部分がでるように…ということだと思います。
袋帯で、裏が黒いものでしたら最初に前帯分を半分に折らずに、
これから説明するように折ればいいわけですが、後ろは普通のお太鼓になるでしょうから、
そのときは「手」がきれいにでるように、注意すればいいわけです。
最初に片側の帯端を三つ折にします。昔の帯ってみんな柔らかいんです。
いつものお太鼓をしめるときのように、肩にかけます。(コレで実際締めたら、ちょっと長かったです)。
前に回し始めたら、胴の部分は上の黒の部分を7センチくらいにして、真ん中の柄部分を広げ、
普通の帯幅(昔は幅広です)にします。下側は少し中に折りかえるわけです。
肩にまわしたほうを下に、胴を回してきたほうを上にしてクロス。
これで結びます。右に行ってるほうを、下からまわして上に出します。
下から押し上げるように通していきますが、このとき黒、つまり裏が見えるように引き上げます。
上には表側が出ます。
どんどん引き抜いていって、仕上がりの下のライン、つまりお太鼓で言うところの
「たれ」の下のラインですね、その長さを決めます。
だいぶ上が長く残ります。ここできれいに広げて整えます。
仕上がりが左くらいになるように…上の余り部分から必要な長さ(写真ではお太鼓と書いています)をとり、
お太鼓のときのように帯枕に帯揚げをかけて入れます。
これで終わりです。
これで緩まないのかどうか…大丈夫みたいですよ。化繊帯では無理かもですが。
元々江戸時代は、いまよりもっとなんでもグズグズでゆるゆるですから。
これはひっかけですが、同じ引抜で角出しを結んでもたれは裏が出ます。
ただし、今のような帯では長さがないと結べません。今風の角出しになります。
昨日の黒繻子の掛け衿も、こういった帯び結びも、江戸の庶民に使われたものです。
今「普段着物」とか「おうち着物」といわれるものは、要するに家の周りせいぜい半径1~2キロ??
いわば「家事労働着」で、おでかけ、よそ行きには、いいものを着ます。
でも、江戸の昔は、みんな毎日着物で、みんなそんなに遠くへのおでかけなんてありませんでした。
せいぜいちょっとご挨拶とか神参りとか…そんな時は、手持ちの着物でこざっぱりしたのを
着ていたわけですね。今の暮らしの中で、掛け衿やこういった折り返しの締めかたは、
現代のおでかけに合うかどうか…です。縞のお召しや黄八丈などにこんな締めかたをして、
黒塗りの下駄など履いたら、ちょいとお出かけ…にもいいかもですが、
行く場所、目的、同行のお相手など、いろいろ考えてから…だと思います。
ちなみに、この締めかたをすると、歩くたびにうしろがユラユラ揺れますので、
「ちょっと、お太鼓がはずれてますよ」なんて「お直しおばさん」に出会うかもです。
はじめまして、コメントありがとうございます。
まぁ喜んでいただけて、書いてた甲斐があるというものです。
裏は黒でなければならない…ということはありません。
イマドキは裏が黒繻子の帯は自分で作りでもしないとありません。
だいたい表に柄があって裏は同系色か
全く同じ地色だと思います。無地がアクセントになりますから、
あまり黒にこだわらなくてもよろしいかと思います。
あと、長さがないと…引き抜きがやりにくいです。
ずっと憧れていた結び方だったので、こ踊りしているトコロですヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥ♪
初心者の質問で申し訳無いのですが、この結び方は裏が黒でないと良くないのでしょうか?
拝見して頂けることを祈って…
宜しくお願い致します。(_ _)
はっきり決まっているわけではないようですが、
裏が黒いものは「鯨帯」といわれたようです。
表が明るくて裏がくらいものを「昼夜帯」、
違う柄のものや、どちらも使えるような色柄などを、
腹合わせと読んだようです。
今はごっちゃになってますが。
私も黒繻子だけの反物など見つけると買っておくか、
表の柄はさほどでもないけど、
裏はよさそうだと思うとつい手が出ます。
繻子は弱いので、届いてからダメかぁなんてのも
あるんですけどね。
お七のだらりは、まんま「お七結び」ですね。
コレも締めかたを書いた記事があったはず…。
昔はいまみたいに「カンペキ」をめざしませんし、
モノがなかったですから、帯揚もなしで腰紐のようなもので、
結んでいた場合もあったと思います。
帯時代も絹のすべるものより、すべらないものが
多かったと思いますし、緩んだらちょいと手をつっこんで、
きゅっと締めなおせる締めかたですしね。
いまよりずっとらくーに着ていたのでしょうね。
手持ちでも古着のもので、表裏とも花柄で、薄黄色と黒のものがあります。
短めの袋帯くらいの長さがあり、袋帯扱いでした。
黒繻子のもいいなあと思うのですが、さすがになかなか見つかりません。
作るのが早いくらいかも。
歌舞伎なんかでも、腹合わせ帯でちょっと折り返して裏も見せているの、たくさんありますね。
八百屋お七の絵とか、だいたいそういう感じでだらりの帯を結んでますね。
浮世絵で見かけるあの結び方は引っかけと言うんですね。
帯枕や帯揚げを使ってないような感じの絵もありますが、なくてもちゃんと締まってそうですね。
江戸時代には、何十種類もの帯結びがあります。
昔は帯締めを使わないほうが多かったですから。
前がこういう締め方のものは他にもあると思いますよ。
「お銀さん」は、テレビでほとんど見ていないのですが、
私がPCで見たのは「貝ノ口」でした。
鳥追いの姿ですとテレビ的には「角出し」になりますが、
鳥追いが全てアノ格好だったわけではありません。
この帯のように、最初から引き抜きで結ぶ帯、
ちょっと古い帯では、ちゃんとその部分だけ、
柄がさかさまになっているものを見かけます。
今のものなら引き抜かなければいいわけですから、
角出しそのものは、今の袋帯でも結べます。
引き抜きで締めたいときは「柄に上下がない」か
「あっても目立たない」総柄の袋帯にすれば締められます。
過去記事です。ご参考になるといいのですが。
こちらが昔の引き抜きの方。
http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/eb969db372fece18bbbdac87f5f6097b
こちらが今様です。
http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/bd86035a5adeb0fafe244d96666664dc
名古屋帯などの場合
http://blog.goo.ne.jp/tombo624/e/56f3045ac8aff29c4c1b18a8d0d499ea
時代劇には「ウソ」がたくさんあります。
見る側が、楽しく心地よく見るための工夫ですが、
水戸黄門や暴れん坊将軍などの、娯楽時代劇は、
話そのものが荒唐無稽ですから、
時代考証もなおのこと無視される場合が多いです。
リアルにすればするほど、画面がジミで汚くなりますから。
後ろはこんな風になっていたのですね。
前ばかり見ていて、分かっていませんでした。
水戸黄門のお銀さんの結び方は、角だしになるのでしょうか?
帯締めって、していないんですよね。
今度、時代劇見るときはよ~~く観察してみよう。
毎日着物生活が出来るようになったら、結んでみたいです。
でも、お太鼓の柄はこの結び方だと、今のものとは逆になるんですよね。