ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

さっそく伸子張りで…

2010-01-22 19:00:11 | 着物・古布
気温はグッと下がりましたが、お昼ごろからは日も照りだして…だったので、
昨日の着物を、さっさと伸子張りをしました。
乾燥していて少し風もありましたので、乾くのが早い早い…。
解いたときは糸くずいっぱい、縫い折れのくせでクシャクシャなんですけどね…。
これは衿の部分です。


    


張ると糊ナシでも、ピンとなってこんなです。


    


ほんとに洗い張りというのはフシギな効果がありますね。
昔の人の知恵の深さを思います。

昨日コメントで「長じゅばん」というお話しがあって、あっそれいいかもと思いました。
ちょっとシミが…とお話ししたとおりで、ほんとにちいさいものですが、あります。
伸子張りすると、ピンと張るので細かいところまでよく見えます。
この着物を出品したかたはとても丁寧なかたで、汚れの大きいところ、
といっても小さいんですが、黄色い○シールを貼ってくれていました。
それだけでも5箇所くらいありましたが、それ以外にもあるんですわ…。
こんな傷も…見えますか?横や斜めに入っている線。
光って見づらいので明るくしました。
一箇所に集中していまして、けっこうな本数なんです。もったいないですね。


    


じゅばんなら見えませんから、汚れだけ落としてきれいにすれば着られますね。
この前から「着物は、着物として作られても、そのあと何かに作り変えることが前提で
作られている」と書いております。それは、布を裁つときから始まるわけで、
着倒したら傷んだはしっこだけ切り離し、少しずつ小さいものに作り変える…。
この技が、今はあまり使われなくなって、着物の立場も微妙になりましたねぇ。

さて、先日「おつうさま」のブログで、東京の「昭和のくらし博物館」が紹介されました。
たまたまでしょうか、ここ数日何回かあちこちのテレビで紹介されていました。
いつか行ってみたいところでして、実はオットが中学生まで過ごした家のすぐそば…。
「ナビは決まった」と思ったら「地図描いてやるね」…(連れて行く気はナイわけだ…)
博物館といっても、昭和に建てられた家一軒、なのですが、表側だけでも、
私などには懐かしいつくりです。
ここの博物館保管の映画が放映された…というのをニュースで見たのですが、
お母さんはみんな割烹着に姉さんかぶり、こまごまと実によく働いています。
このテープの中には、伸子張りの様子もあるそうで…。
たくさんの希望があれば、DVDにして発売が…というお話です。
ずぇひほしいです!

私が伸子張りをしていると、外を通る方がよく声を掛けてくださいます。
年齢が私以上の人は「懐かしい・よくなさるわね」なんですが、
少し下だと、知識としては知っている…で「こんな技術をもっているなんてすごい」
という言い方をなさいます。それがどうにもおかしくて
「いえ、そうじゃなくて」とつい説明をしてしまいます。
「これは私の親くらいまでは、普段の家事仕事として当たり前のことだったのです」と。
特別な技術でもなんでありません。道具さえ、あっ場所もですが、
それがあれば、今でも誰でもできることです。
伸子の打ち方とか糊の具合とか、そんなことも、普段の家事と同じことで慣れだけです。
あっ私みたいに、どうしてもうまくできなくて、本来下から刺す伸子を
上から刺すという横着モノもおりますが…(アタシだけか…)
もちろん、プロにはプロの技がありますから、色の濃いものや、絞りだ刺繍だという
高価なものは、そちらにおまかせすればいいわけです。

伸子張りは、アイロンのかわりと、幅だしと、おおざっぱな汚れ落としが目的です。
シミは素人で取れるものもあれば、ダメなものもあります。
特に古着の古いシミや汚れは、素人には限界があります。
自分の着物を、どんな風に着るのか、どんな風に繰り回すのか…、
それによって自分でできる手入れをできるところまでする…ということは、
知っていて損はないと思います。
いよいよ洗い張りかな、と思う着物があったら、まず「解き」をしてみてください。
それだけでもお金は少し節約できますよ。

さて、あとは幅の狭い衿の分が残っています。
風がなければ明日きれいにして…やっぱじゅばんかなー。
いえ、実は販売するつもりだったんですが…どうしたもんか…。
欲が深いんだアタシって…






コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 解く前に・・・ | トップ | オークション泣き笑い… »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2010-01-22 22:04:33
伸子張りをした後ってピンとして
ほんと、気持ちがいいですね。
光沢とシュルシュル感モニターからも
伝わってきます。
返信する
はぁぁ~ (りら)
2010-01-23 01:35:18
昔に生まれなくって良かった~!なぁどと不埒なことを思ってしまいました。
こうやって、伸子張りの様子を見せていただくたびに、洗い張り&仕立て直しにあれだけのお金がかかるのも当たり前なんだなぁ、と思わされます。
でも、ご自分で着物をすっきりきれいにできるって、気持ちが良いでしょうね~。
この着物も、心なしか柄がすっきりはっきりしたように見えます。
返信する
普段からあったこころ遣いに...。 (akkomam)
2010-01-23 11:17:45
  育ってくる過程ではよく見た風景でも、それは見ていただけの
  世界、自分の世界ではなく、大人の女性の仕事でした。

  いつしか世の中がかわり、住宅事情がかわり、若さゆえか、
  新しい文化を取り入れたり、知ることに夢中でしたし、
  それなりに楽しかったのです。

  着物文化もそうです。結婚衣装は洋装が主流になり、
  お色直しで着た着物は今でも思い出としてしまっているだけ。

  これって多分、私の暮らしが和服、洋服を着分けて楽しむ
  ほどの余裕がなかったのかもしれません。

  が、年をかさねた今、母たちが着ていたり、嫁ぐとき
  持たせてくれた着物に接していると、見ているだけで
  手にしているだけで心が落ち着きます。

  でも、悲しいかな、街着として出かけることはありませんし、
  手入れを考えると...になってしまいます。
  
  とんぼさんのように常のかかわって、着物を愛しんでいる
  のが本来の姿なのだと思います。
  そんな姿を読ませていただくたびにあの頃の陽ざしや
  庭での会話の合間に、干しあがったとき、板からはがす
  音などが聞こえてくるようです。

  忙しい!!と思ってきた自分の人生のどこかに
  残してきたかったことだったと振り返っていますが、
  それだけ歳をかさねたということでしょうか。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-01-23 18:34:40
陽花様
ほんとにフシギですね。
何もしないのにつやが出るのも、
糸がそろうからなんでしょうかねぇ。
昔の人の知恵に感服です。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-01-23 18:38:59
りら様
なかなか自分ではできなくなりましたからねぇ。
それにプロに頼むと、やっぱり違いますしね。

ざっと水洗いとかブラシ洗いだけですが、
なんていうか古着特有の手触りが変わります。
すっきりしますよ、ほんと。
返信する
Unknown (とんぼ)
2010-01-23 18:42:01
akkomam様
私の場合は、たまたま母が着物を着る人で、
しかも「娘にはなんでも伝えなきゃ」という
頑固なところがありましたから、
そのおかげだと思っています。
年を取るまでは、そんなことも別に
なんとも思わずにきたのですが、
今になって、私は幸せだったのだと、
あらためて思っています。

このごろ私も「昔こんなだったなー」などと、
日常生活のアレコレを、思い出します。
そういう年齢ということなのか、
それとも今の暮らしが忙しすぎるのか…。
新しい道具類も、使いこなせない私がいます。
あせるばかりです。
返信する

コメントを投稿

着物・古布」カテゴリの最新記事