写真はたぶん30才くらいのお正月。つまり30年前です。実家に里帰りで隣は主人です。
私の色無地は、元は母のもので、ごく淡い水色でした。大きな波の流れのような地紋です。
帯も母からのもの、黒地にかなり大柄な、唐草のような柄だったかな。
見えてませんが、帯揚げと伊達衿がごくうすーいオレンジ、肌色みたいないろですかね。
帯締めは、コレも帯と一緒にもらった白地にはめ込みの錦織があるものです。
ジミハデ、こりゃもう、難しいことですので、話の中で何かご参考になるようなことがあれば…です。
「洋服のジミハデと和服のジミハデは違う」ということ、コレは言葉で説明するには、とても難しいことです。
「相違点」もあれば「共通点」もあるんですから、とてものことに「ジミはこうです」とは一口にはいえません。
とりあえず最初に洋服と和服の違い…というところからお話してみましょう。
洋服と和服は、いろいろなところで正反対のことがたくさんあります。
まず、一番大きな違いは、洋服は「人の体の曲線に合うように布を裁って縫い合わせる」、
和服は「長方形の布を直線で縫い合わせる」です。
これの結果が、先日来お話ししている「洋服にはデザインの自由がある」ということです。
デザインが自由であれば、例えば同じ黒やグレーの生地でも、若い女性、中年、高齢者と、
それぞれの体型やイメージに合ったデザインにすることができます。
着物は逆に、デザインは一つです。どんなにジミだろうと、おばさんくさかろうと、
カタチはみんな同じですから、サイズさえ合えば誰でも着られます。
今、お若い方が、ばばくさーい色目のものを着ている場合、
それは若い人が、おばあさんの洋服を着ているのと同じです。
洋服にもアンティークがあって、1950年代の服などを着る場合もありますが、
それとても、上から下まで全部それではなく、あわせて着るものや、アクセサリーなど、
今の時代や自分の年代にあったものをあわせるでしょう。それで年代やオシャレの工夫がつきます。
着物でもそれをやればいいのに、なぜかおばあさん着物におばあさん帯におばあさん小物。
だからただジミなだけでなく、一揃いおばあさんからの借り着、みたいになってしまうのです。
若い方は見ただけで若いのはわかっています。だからと言って全部ジミでも若く見えるかと言ったら
そうではなくて、若いのにばばくさい…になる可能性がある…ということです。
着物はおばあさんのものでも、ちゃんとコーデすればぴったりに着られて、
若い人がジミなのを着るのもいいわね…となるのです。ここは洋服と同じです。
着物は形は同じですから「色柄と着方」で個性を出すわけです。ここが洋服とは大きく違うところです。
元々着物は「柄on柄」が当たり前のものです。コレは大きく違うところ。
洋服の場合、トップとボトムを別々の柄ものであわせるというのは、なかなか難しいです。
たいがいスカートやパンツが無地か、ボトムが無地…が多いですね。
両方とも無地なら、その色合わせと同時に「挿し色」を使います。
それがベルトだったりスカーフだったり、上着だったり、アクセだったりするわけですね。
着物はとにかくどこにでも柄がある…女性用の長着で「染」の柄がないのは、
色無地と喪服、あとはお好みで振袖…。
よく「披露宴で、色無地はちょっと寂しい」といわれるのは、それ以外の着物はみんな柄の洪水で、
華やかな中では、無地の着物はアッサリしすぎて影がうすくなるからです。
体を覆う面積が大きい分、柄がないとジミというより「つまらない」のですね。
だから、慶事に着る色無地は、地模様の華やかなものや、色目の明るいものかわいいものを選びます。
帯は年齢よりハデめの豪華なものをあわせると、着物のおとなしさをカバーしてくれます。
次に帯…帯は大昔はともかく、今は単なるベルトではありません。ベルト代わりなら伊達締めで十分。
帯は着物の真ん中に、ベルトより面積広く存在します。胴をきちんと締めると同時に、
洋服でいえばトップのかわり、ボトムのかわりになりえるものです。
例えばブラウスのときのスカート、パンツのときのセーター。
つまり大切なアイテムであって、アクセントでもアクセサリーでもないのです。
「アクセントにきかせる小物」は半衿、帯締め、帯揚げ、八掛、足袋、「アクセサリー」は帯留め、帯飾りなどです。
着物はデザインが同じだからこそ、色柄を洋服目線で考えないほうが、発見があるんですね。
大雑把に言うと、着物の場合、柄は細かいほうがジミ、丸っこい柄よりも直線的なほうがジミ、
例えば、こんな柄があります。やじろべいさんですね。かわいい柄です。
このやじろべい柄、左のような状態で反幅だったら、結構柄としては大きいですね。でも実は反幅で写すとこんなです。
手持ちの染見本でこんなのがありました、昭和30年代でしょうか。
すごくハデに見えますが…順番に手の上、下において、離れて…のイメージの写真です。
すぐ近くで見たものと、少し離れて見たもの、遠く離れたもの。
着物は手にとって見ますから、その時は手の上で柄が大きくはっきり見ていますね。
かわいいとか大きすぎるとか、地のもようがオシャレとか…。
ところが上の写真の柄は、近くで見れば網目のような柄でも、
離れれば離れるほど、まとめて雲がたなびくように濃淡がハツキリしてきます。
ためしにモニターから少し離れて見てください。
洋服を買う場合、鏡の前であててみるとき、顔うつりとデザインをメインに見ますね。
着物は「柄」を見ます。
まず、古着なら羽織って、反物なら肩から前にかけて、鏡から50~60センチ離れます。
これが、あなたがその着物を着たとき、お友達や家族と話をしたりする距離。
鏡ですから、当然倍の距離で1メートルくらいですね。
次に2~3メートル程度離れます。これは、あなたがバスや電車を待っているときとか、
お店に立ち寄って品物を見ていたり…それを比較的近くで見た感じ。
最後にできれば4~5メートル以上離れてみてください。
これは、遠くから見られている感じです。横断歩道の向う側とか…。
もう一枚、
手元で見ると、一本ずつの線が 竹になっているのがわかりますね。
手に持ってみたとき「こってるなぁ」と思います。でも実際には 離れて見ると右側です。
着物を選ぶときは、ぱっと見ただけで選ぶと、着たときに印象が変わるかもということを、
アタマにいれておかなければなりません。
あのCMの薄い淡い着物、たぶん1枚ずつ近くで見れば、かわいい花柄がつまっていたり、
波とか雲とか、幾何柄とかいろんな柄が入っていると思います。
でも、映像では全身が写るように少し離れて写してますから、ただ白っぽい、ピンクっぽい…
なんか縞っぽい、絣っぽい…になってしまうわけです。
だからこそ帯が重要で、少し主張する柄のあるほうが、今度は帯で引き締めて着物で和らげる…になります。
帯はお添え物ではありません。時には帯を主役にするために、着物をおとなしい目にしたりします。
そして小物は、帯留着物の組み合わせをバックアップするアイテムです。
また八掛の色(袖口と振りも同色)はけっこう目立ちます。
古着では無理な場合もありますが、着物と八掛、両方ジミ目の色合いだと、益々沈みます。
帯を年代引き上げに役立ててください。
まだまだ思いついたことはあるのですが、やたら長くなるのが「ボクの悪いクセ(杉下右京ふうに)」。
今日はここまでと致します。
随分違って見える事、私も経験しました。
近くで、ちょうどいい大きさに見える柄でも離れると細かくて地味に見える。まるでマジックみたいですね。それ以来、着物の柄を選ぶ時は離れて見るようにしています。
一番下の写真では柄自体まで変わって見えますね。
慣れてくると、割とわかるんですが、あまりいい柄だと、
考えずに飛びついたりして、失敗もしますよね。私もやりました。
着物になってから、なにこれーって。
一番下の、実物があったら着たいですー。
急に肌寒くなってきたので、単衣の紬にするか、袷の紬にするか迷いましが、
単衣の焦げ茶色の紬に決めました。帯は木綿のパッチワーク帯、帯揚げ・帯締めは紫の葡萄色。
焦げ茶色と葡萄色って以外と合います。衿はピンク、帯揚げの葡萄色で色が引き立ちます。
母が着物好きだったので、母のコーディネートが私のお手本でした。
おばぁちゃんの様な地味過ぎる組み合わせは、私の頭の中にはないですねf^_^;
着物ジャックも定着してきたようですね。
金閣寺では、街の中心部より少し気温が低いでしょう。
こちらは今日も25度くらいです。
その日の気温によりけりで、着るものを考える時期ですから、
お風邪など召しませんよう気をつけてください。
昔は何でも母親から教わり、そこから外に目を向けて、
自分流を確立していったものなのですが…。
いまや、先生の言うことと雑誌の写真が頼りですから、
タイヘンといえばたいへんなのでしょうね。