ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

誰が袖柄の羽裏つき羽織

2012-01-20 11:16:30 | 着物・古布

 

 トップ写真は、表地の羽織です。キンキラリンです。

「誰が袖」柄の羽裏です。

この柄の着物は持っていないのですが、今もし「留袖」とか「訪問着」を、誂えていい…

なぁんてユメのようなことをいわれたら、誰が袖柄にしたいものだと思っています。

一柄の並びはこんなです。

 

            

 

「誰が袖」は「誰袖」とも書きますが「誰かの小袖」…つまり着物のことです。

古今集に出てくる…とよく言われますが、もともと小袖のことでしたが「匂い袋」の別称になりました。

平安時代から、日本では「香り」というものを大切にしてきました。

外国は香水ですが、日本は「香」を焚き染める方法。

まぁこれを言うと興ざめですが、フランスなどでも「体臭消し」の目的もあったといわれています。

生活習慣や食生活も違う日本人は、さほど体臭は強くなかったかもですが、なにしろ洗髪とか入浴とかが、

今とは違いますからねぇ…。汗臭いとか、垢じみてとか、いまよりずっとアタリマエだったと思います。

あぁ、なんかシラケますね、すみません。

とりあえず、そうやって「香」を焚いていたものが、やがて「小さな袋に入れて袂に入れる」など、

「匂い袋」というカタチになりました。この「匂い袋」のことを「誰が袖」と言ったわけです。

柄においては「誰が袖柄」といえば、この羽裏のように、衣桁に美しい小袖がかけられているもの。

これはたくさん掛かっていますが、一枚だけ大きくかけて屏風などに作られもしました。

また三本足で、角が丸くカットされている棚、最近のコーナー用家具みたいなかんじですね、

ああいう感じのものを「誰が袖棚」といいました。お茶室などで使われたそうです。

 

袖、というのは、奈良の昔は手より長いもので、それをたくし上げていたわけですが、

袖を振る…というのは、自分の思いを伝えることでもあり、魂を振るということでもありました。

大切なものだったのですね。

着物の形の変遷から、江戸前までは船底型だけで袖の長いものはありませんでしたが、

だんだん振袖になっていったわけです。長い袖は着物にすると本当に豪華ですよね。

ちなみにいつも言っておりますが、小袖は小さい袖、ではなくて、

手首がつまっていて手がでるだけの袖口のもの。対して袖口がフルオープンなのが十二単などの「広袖」です。

「大袖」とも言います。

 

さて、この「誰が袖」、どんな小袖が掛かっているかと申しますと…

通常「誰が袖」と呼ばれる着物のかけ方はこちら。波頭柄の着物。

 

      

 

衣桁の間には巻物や硯箱が置かれています。

こちらの方、上の段は追っかけのカタチで重ねてあるのでしょうか。

左下の着物、好きだわー。

 

             

 

ぽんぽんとたたんでならべてあるもの。

 

       

 

縞はちょっとイレギュラーですが、きれいだからいいっ!

「誰が袖」柄と言うのは、一枚の着物の中で、いろんな柄が楽しめる「ゼータク柄」ですねぇ。

              

さて、この表地なんですが、もう一度出します。黒地の一つ紋羽織です。

「金糸入りの変わり膨れ織」…というややこしい地でして、これがキラキラひかっちゃうわ、

ズームすると赤黒くなっちゃうわで、うまく出ないのですが地は花柄。

よく見えないんですけれど、真ん中の下が「花一個分」です。

膨れているところは、黒一色ですが、下地が金糸たっぷり…。

 

         

 

ご想像どおり「地厚」でふわふわでして、羽織の衿の真後ろ、どうしてもきれいに折れてくれなかったのでしょう、

わざわざスナップでとめるようになっていました。仕立てもさぞかし縫いにくかったろうと思います。

さっさと解きましたが、これはかえって着物用のストールなんかの方がいいんじゃないかと思います。

地厚のわりにはシナッとしていますし。

背の低い方だったらしく、返しが多くて羽裏ケチってる??ので少し羽裏も短めです。

それでも、キラリンがあるとしてもこんな黒の一つ紋羽織を、さっと脱いだらこの羽裏…。

オシャレだなぁと、思います。

残念ながら、シミや薄汚れなどもあるのですが、元々羽裏ですから少しくらいダメージあっても…で、

一応自分で洗ったのですが、いずれプロに頼んで、折り線の黒いのを少しでも薄くしてもらおうかと…。

羽裏ばっかりいろいろ集めても、オモテにする羽織を作る予定がない…というより「作れない」…。

まっそのうちね…という羽裏が何枚あることか。

 

 

余談ですが…ただいま雪が降っております。大きなぼたん雪…。

これって積もりにくいカわりに水気が多くてシャーベットみたいになって、夜になると凍結するんですよね。

坂道だらけのこのあたり、事故がないようにと祈っています。

あたしは一歩も出たくないっ!


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2012-01-20 15:46:45
またまた素敵な羽裏ですね~
表地は本当に変わった織り方ですね。
紋入りで金糸も織り込んであるという事は
御目出度い時用の、贅沢な羽織だったので
しょうね。

雪予報が出ていましたが、やはり予報どおり
降りましたか。
積もったり凍ったりしなければいいですね。

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おだいじに。 (えみこ)
2012-01-20 20:56:02
風邪っぽさもあって、引きこもりまくってたら
雪で…。
明日どうしても外出で、なんなんかなぁ。
完全装備で行きます!
とんぼさんも、小とんぼさんも、おだいじに。
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Unknown (とんぼ)
2012-01-21 02:04:23
陽花様

実物は、キラキラが押さえられていて、ほんとにステキです。
お祝いごと専用でしょうから、贅沢な羽織ですよね。

雪は幸い。長時間の割には水気が多かったので、積もりませんでした。
ただ、朝は凍結しますね。外、出るの怖いです。
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Unknown (とんぼ)
2012-01-21 02:06:11
えみこ様

ありがとうございます。
雪予報が出ていましたから、もう冬ごもりを
決め込んでました。
乾燥がひどかったので、水ッ気はありがたいですが、
寒いのはいやですねぇ。
おでかけ、くれぐれも気をつけてください。
明日はゼッタイ「凍結」ですから。
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