ちょっと珍しい色目の羽織です。シミのもようつき…あらら、です。
私の好きな色のうちの「一色」…といっても、まんまではないのですが「系統」ってことで。
実際にはもう少し明るさがほしいところです。私の好きなのはいわゆる「ピーコックグリーン系」。
青が強い緑が好きです。これはちと暗いのですが…モニターでは色も正確に出ませんねぇ。
柄は「雀」、和柄の雀といえば、相方は「笹」か「稲」、「雪」が定番です。
これにも細かい、地をはうような笹がありますが、もう少し遠景でとらえた「山の中」という感じですね。
なかなか動きのある雀さんです。ごらんのように、シミも一緒に飛んでます…惜しい。
もう一羽はこちら。カラスに警戒中かな?
これはもう地色に惹かれて入手したものですが、すでに着こまれていて、薄くて軽い軽い…。
ごらんのようなシミがあり、薄汚れがあり、ヤケがあり…どないすんねん…のものなのですが…。
まぁ部分取りでも、なんとか「カタチ」のあるものにはできるでしょう。別布と合わせてでも着たいですけどねぇ。
紋錦紗です。柄は「源氏香に光琳菊」、よく「みかん」に間違えられる柄です。○描いてチョンの菊です。
さて、これの行く末はおいおい考えるとして…好きな色は似合う色か…。
私もおしゃべりなどで「そうではない」などといいますが、ちゃんと言うと好きな色が似合うとは「限らない」。
でも、そもそも「似合う色」ってなんだ…ですよね。
ファッション、メイク関係のプロが教える、いわゆる「チャート」などを使った「その人の似合う色」というのは、
個人で違う肌の色をキャッチして「こういう系統が似合う」…というもの。
実際同じ日本人でも、地黒、色白、いろいろいますから。でも、日本人はとりあえず髪や瞳は、本来「黒」ですよね。
ちっと古めかしいお話からいたしましょう。
最近はともかく、私が子供のころの「花嫁さん」は、ほとんどが和装でした。
そして「白塗り」…今でも和装用メイクで、お嫁さんは普段よりは少し明るいめに白っぽくしますが、
昔はあんなもんじゃありませんで、結構白く塗りました。
今でも舞妓さんや日本髪のかつらをかぶるような芸者さんは、白塗りですが、アレは昔のままを再現しているもの。
同じ芸者さんでも、今風のアップに結い、着物も現代の着方の芸者さんは、あんな白塗りはしませんね。
ではなぜ昔は白塗りだったか…いえ別にみんなが白塗りだったわけではないのです。
江戸の女は、ちょいと浅黒いほうがいい、なんていわれていたころもあるのです。
元々日本の化粧は「白・黒・赤」の三色です。白く塗って、眉は黒く、目元と唇は赤。
これは、まず家の作り、日本の家屋はほぼ夏向き仕様ですから軒が深く、襖や障子で仕切られています。
昼間でも薄暗い、まして夜に集まるところ、つまりは酒席や遊郭ですね、そういうところは、
もちろん盛大に百目ろうそくなどを使いますが、それでも今の照明からしたら薄暗いです。
芝居小屋も同じ、舞台の前にずらりとろうそくを並べても、やっぱり薄暗い…。
その中で、芸者や遊女、或いは役者が、自分の顔をハッキリ際立たせるには、
「白に黒と赤」が、一番わかりやすかったのですね。
いまどきの青いシャドウだの、ラメだの使ったら「妖怪」です。だから芝居の悪役や幽霊は「青」を使う…。
欧米では、いわゆる「白人」と呼ばれるくくりでも、肌の色も髪や瞳の色がさまざまです。
金髪碧眼、といっても、ほんとに金色の髪、という人は、それほどいません。
金髪、栗色、とび色、赤茶、茶…それに合わせて「瞳」の色も変わります。
外国の小説などを読むと「そのモスグリーンのセーターは、彼女のとび色の瞳によく合っていた」なんて
そんな表現が出てきます。つまり…欧米の女性は、肌の色だけでなく、自分の髪と瞳の色も考えて、
自分に似合う色を選んでいるのですね。
日本は、なにしろずーっと真っ黒け…ま、多少の濃い薄いはあったでしょうけれど…。
つまり、黒い髪と瞳、それに大きく結った髷、それを引き立たせる色や柄が「着物の文化」になったわけです。
元々黒という色は、よく「喪服を着ると誰でも美人」といいますが、誰にでもあうし、どの色にも合うのです。
逆に言えば、黒髪黒い瞳には、本来、どんな色でも合うはずなんです。
インドの身分の高い、たとえばマハラジャの一族などがお祝いに着たりするサリーなどは、
見事な原色です。ショッキングピンク、赤、黄、緑…。薄い淡い色…というのがあまりありません。
はっきりした原色は、浅黒いインドの人の肌の色や、くっきりとした目鼻立ち、そして暑い気候によく合います。
つまり…衣食住の文化は、当然、その地に暮らす人や状況に合うように育つわけで、
黒髪黒い瞳の日本人には、それに一番しっくり合うように着物が育ち、成り立ってきたわけです。
戦後、アメリカのものがどっと入り込み、日本はあっというまに欧米の暮らしに近い状態になりました。
当然のように、洋装に合う茶色や栗色の髪で、パーマやカットなど洋装に合う文化に染まりました。
オシャレ染め(髪)が広まったのは、たぶん私が二十歳くらいのころからと思います。
それまでは「髪染め」といえば「白髪隠し」しかありませんでした。
最近は「漆黒の髪の乙女」を探すほうが難しい?「髪はカラスの濡れ羽色」なんて言葉、通じませんかね。
あるサイトでみつけた記事で、外国の人が「なぜ日本女性はみんな髪を染めるのだ」と不思議がったそうです。
なんで黒じゃいけないの?…よく「黒い髪はきつい」とか「重たい」「暗い」といわれます。
確かに黒々とした髪は、重さを感じるかもしれません。はっきりしすぎているかもしれません。
それをきちっとまとめたり、結い上げたりするより、明るい茶色の髪にして、
パーマをかけたり、軽さを感じるショートとか、なんとかカットとか、風になびくロングヘアとか、
洋装に合う髪色や髪型が当たり前になりました。メイクもかわりましたし、ツメも最近はすごいですねぇ。
成人式に振袖を着るときだけ黒髪ってわけにいきませんから、結局は茶髪で盛り髪とかいう、
和か洋かわからない髪形になり、簪も髪飾りも洋装にもつけられるようなもの…。
洋装のメイクにデコのツメには、黒地の古典柄の振袖は、なんかどっちつかずに見える気がします。
先日の「仰天七五三チラシ」…毎年、ものすごくカラフルだったり、
レースやフリルに飾られたドレス風だったり、男の子がギンギラ袴にウェスタンハットにブーツだったり…。
そういう写真の場合、必ずといっていいほどハーフか外国人の子供のモデルで、
いつも「七五三は日本古来のしきたりなのに、なんでこんなカッコで、なんでハーフ?」と疑問でしたが、
ああいうものには「黒髪、黒い瞳」の日本の子供より「合う」からなのだと、やっと気がつきました。
つまり、洋装風の「キモノ」には、黒髪、黒い瞳のいかにも日本の女の子、は合わないのですね。
逆にすみっこに写っている「昔ながらの古典的な」、いわば私たちから見れば当たり前の色柄の着物で、
かわいらしい日本髪っぽく髪を結い、花簪や手柄をかけた写真の場合は、ほとんどが「日本の女の子」で黒髪です。
結局それがわかっているから、自然とああいう写真の使い分けになるのですね。
成人式も、今風のお嬢さんには、とにかくお花いっぱいのピンクや赤やわーっと柄の飛んでいる着物のほうが、
あの髪色や髪型に合っているのでしょう。
成人式に備えて、しばらく染めないか、逆に濃い栗色くらいに染めるかして、
日本髪っぽい結い方をして、メイクもごくシンプルにしたら、やっぱり古典柄の着物のほうがしっくりくると思います。
似合うとか似合わないとか…それは今の時代、髪を何色に染めているか、
どんなメイクをするかも、関係してくるのですねぇ。
まぁ私なんぞ、その前にパンダ・ヘアをなんとかせー、です。あー染めなきゃ白髪。
当たり前に思って気を抜いていると、絶滅危惧種になっていたなんて >_<
私に何が出来るか、せいぜい和服を着て暮らすことだけなのですけど。和服好きが、どんどん増えるといいですよね。
私は派手目より地味目 もう少し落ち着いた色でも良いなぁ
白髪の割合が多くなってきて 似合っていたと思う色に違和感を感じ始め
似合わない色が 似合うかも なんて思っている今日この頃
でも 誰も気にしてくれませんけれどね
私も好きです。おまけに大好きな雀ーーシミが残念ですね。
色と日本人のお話ー興味深く読ませていただきました。
なるほど今はカラーコンタクトまでありますものねえ~
私も若いころは、メイク用品などもあれこれ使いましたから、
若い方がオシャレに血道をあげるのは当たり前だと思います。
それでもなんだかドギツイお化粧を見ると、あなたはなにになりたいの?
なんて思ったりします。
日本の美は日本人が守りたいものですね。
年とともに…の変化で、好みも似合うものも変わりますね。
最近は白髪染めが面倒で面倒で…。
いっそ早く真っ白になってくれないかと思っていますが、
ものすごくふけてみられるのもなぁとか…。
ここまできたら、60も70もかわりゃしない…と、なかなか居直れないです。
いい色なんですが、よけいな「もよう」つきですー。
こういう柄も珍しいかと思います。
今は茶色っぽく染めるのが当たり前みたいになっていますが、
そうなると今度は、みんな一律同じに見える…個性ってなんだ?と思いますねぇ。
どうせいずれはみな白髪…なぁんてひがんでる私です。
紫や茶や緑の色味が多いというのも日本ならではなのでしょうねぇ。
それが・・・一体いつからあのド朱色やド黄緑が横行するようになってしまったんでしょう・・・
淋しいことですよねぇ。
なんともいえない色味があるのに、今、なんでないんだろと、思いますね。
ビビッド、とか、ハステル、とかいう表現ではない色、それがほしいと思います。