昨日のお話の続きです。
写真は「黒地」、左が「羽二重の黒紋付」、右が「黒地ちりめんの羽織」
どちらも個別に見れば、それぞれに濃くていい黒です。
黒と一口に言っても、10枚あったら10枚とも違うのが「黒」です。
あるお店のHPで、最近羽二重の喪服が減っているのは、羽二重が白っちゃけてみえるから、
というのがありました。確かに、縮緬の喪服と羽二重の喪服を並べてみると、
そこそこ黒い羽二重もなんとなく「白っぽく」見えます。
でもこれは染が悪いのではなく、糸と織り方の違いによる織物の仕上がりの違い、
つまり「素材感」ってやつで、「光沢」と「つや消し」の違いなわけです
もちろん、染めが安物でほんとに白いという場合もありますが…。
それと、羽二重は平らであるために、縮緬と比べて色変わりや色褪せが目立ちます。
長くしまっておくだけで、肩先の色目が褪せたようになったりします。
めったに着るものではないのに、貧弱に見えて、白っぽくなりやすい羽二重より、
ちりめんの方がいい…というので変わってきている…。
というのですが…なんだかなーと思って読んでいました。
ここでちょっと素材の説明を致しましょう。
「羽二重」と言うのは、平織りですが、オーソドックスな羽二重は
撚りのない糸を使い、経は二本ずつ引き揃えて織ります。
光沢があってしなやかなのが特徴です。
ちりめんは緯に強撚糸と言われる強い撚りをかけた糸を使います。
精錬することで糸の撚りが戻り、あのシボが出るわけです。
絹と言うのは、もちろんもともとの絹糸の質も問われますが、
糸の種類や本数、織り方などさまざまな状態と、あとは「重さ」で
いろいろな用途に分けて使います。
同じ「着尺」なら、原則「重い方」が高級です。
羽二重の場合は「匁」、これはトリビアかもですが、
肝心の日本で「尺貫法」によって、尺だの匁だのかが使えないと言うのに、
真珠と絹については「世界で使える共通の単位」です。単位は「mom」。
同じ羽二重でも、薄いものもあれば、塩瀬羽二重のようなしっかりしたものあります。
ちりめんは同じく尺貫の「2貫」とか「貫4」などとよばれますが、
これはいずれも問屋さんで使われる10反の重さの単位です。
私たちが通常見るときは、反物の巻き終わりのところにオレンジ色のはんこの部分。
ここに600とか750とか書いてあります。
これはグラム数です。数字がおおきいほど「重目」です。
さて、次に染めですが、黒と言う色は一回で染まりません。
何度も色をかけて「深み」を出していきます。
この最初の段階で、染めが乗りやすいように、藍や紅で染めてから、黒に染めます。
「藍下(あいした)」とか「紅下(紅下)」と呼ばれます。
紅下の方が高級とされますが、紅下は、長居年月を経て色褪せると、
俗に言う「羊羹色」になります。
今の喪服に使われるちりめんは、あのざらざらちりめんではなく、
最近のものは「壁糸」を使ってしぼを抑えているそうです。壁糸ってなんだ…ですね。
えーと、実は絹織物と言うのは、単純にたとえばちりめん、羽二重といっても、
一種類ではありません。糸の太さ、糸の本数、糸の撚りかた、経と緯の組み合わせ方…、
これで実にいろーーーんな「布」ができるわけです。
最近使われている喪服用ちりめんは、昔のようなデコデコのあるざらざらちりめんではなく
比較的平らな、ちょっとざらつく…といったちりめんです。一越のような感じ…ですかね。
水濡れによる縮みを防ぐ効果もあるそうです。
あっそれで壁糸ですが…
「片撚りの糸と、撚りのない糸をそろえて、片撚りと反対方向の撚りをかける」です。
私はこの記述を何度も読んでいるのですが、いまだに「えーっと」です。
「片撚り」は「一方向に撚る」ですが、両方に撚れないじゃん、と思いますね。
実は「片撚り」に対して「諸撚り」があるので、その区別のための呼び方でして、
「片撚り」は、右か左かの方向に撚ります。「S字撚り」「Z字撚り」とも言います。
「諸撚り」は同じ方向に片撚りした糸を二本以上揃えて、元の撚りとは逆によります。
たとえば「右撚りに撚った糸を二本あわせ、そろえて二本とも左撚りに撚る」、です。
「駒撚り」は強撚糸の片撚り糸を二本以上で、元の撚りと反対に撚ります。
今、関東の喪服の羽二重も、昔のような羽二重ではなく、
少し厚みのあるものが多いそうです。
今日は「素材のお話」だけで、時間切れです。
また続けて書いてみたいと思っています。
あぁなんて天気が悪いんだー。涼しすぎるぞー。半袖しまえんぞー。
ゆうべエアコンいれたやんか、もぉ…。
天気予報では、6月からはなんとか…だそうです。信じていいのか…。
写真は「黒地」、左が「羽二重の黒紋付」、右が「黒地ちりめんの羽織」
どちらも個別に見れば、それぞれに濃くていい黒です。
黒と一口に言っても、10枚あったら10枚とも違うのが「黒」です。
あるお店のHPで、最近羽二重の喪服が減っているのは、羽二重が白っちゃけてみえるから、
というのがありました。確かに、縮緬の喪服と羽二重の喪服を並べてみると、
そこそこ黒い羽二重もなんとなく「白っぽく」見えます。
でもこれは染が悪いのではなく、糸と織り方の違いによる織物の仕上がりの違い、
つまり「素材感」ってやつで、「光沢」と「つや消し」の違いなわけです
もちろん、染めが安物でほんとに白いという場合もありますが…。
それと、羽二重は平らであるために、縮緬と比べて色変わりや色褪せが目立ちます。
長くしまっておくだけで、肩先の色目が褪せたようになったりします。
めったに着るものではないのに、貧弱に見えて、白っぽくなりやすい羽二重より、
ちりめんの方がいい…というので変わってきている…。
というのですが…なんだかなーと思って読んでいました。
ここでちょっと素材の説明を致しましょう。
「羽二重」と言うのは、平織りですが、オーソドックスな羽二重は
撚りのない糸を使い、経は二本ずつ引き揃えて織ります。
光沢があってしなやかなのが特徴です。
ちりめんは緯に強撚糸と言われる強い撚りをかけた糸を使います。
精錬することで糸の撚りが戻り、あのシボが出るわけです。
絹と言うのは、もちろんもともとの絹糸の質も問われますが、
糸の種類や本数、織り方などさまざまな状態と、あとは「重さ」で
いろいろな用途に分けて使います。
同じ「着尺」なら、原則「重い方」が高級です。
羽二重の場合は「匁」、これはトリビアかもですが、
肝心の日本で「尺貫法」によって、尺だの匁だのかが使えないと言うのに、
真珠と絹については「世界で使える共通の単位」です。単位は「mom」。
同じ羽二重でも、薄いものもあれば、塩瀬羽二重のようなしっかりしたものあります。
ちりめんは同じく尺貫の「2貫」とか「貫4」などとよばれますが、
これはいずれも問屋さんで使われる10反の重さの単位です。
私たちが通常見るときは、反物の巻き終わりのところにオレンジ色のはんこの部分。
ここに600とか750とか書いてあります。
これはグラム数です。数字がおおきいほど「重目」です。
さて、次に染めですが、黒と言う色は一回で染まりません。
何度も色をかけて「深み」を出していきます。
この最初の段階で、染めが乗りやすいように、藍や紅で染めてから、黒に染めます。
「藍下(あいした)」とか「紅下(紅下)」と呼ばれます。
紅下の方が高級とされますが、紅下は、長居年月を経て色褪せると、
俗に言う「羊羹色」になります。
今の喪服に使われるちりめんは、あのざらざらちりめんではなく、
最近のものは「壁糸」を使ってしぼを抑えているそうです。壁糸ってなんだ…ですね。
えーと、実は絹織物と言うのは、単純にたとえばちりめん、羽二重といっても、
一種類ではありません。糸の太さ、糸の本数、糸の撚りかた、経と緯の組み合わせ方…、
これで実にいろーーーんな「布」ができるわけです。
最近使われている喪服用ちりめんは、昔のようなデコデコのあるざらざらちりめんではなく
比較的平らな、ちょっとざらつく…といったちりめんです。一越のような感じ…ですかね。
水濡れによる縮みを防ぐ効果もあるそうです。
あっそれで壁糸ですが…
「片撚りの糸と、撚りのない糸をそろえて、片撚りと反対方向の撚りをかける」です。
私はこの記述を何度も読んでいるのですが、いまだに「えーっと」です。
「片撚り」は「一方向に撚る」ですが、両方に撚れないじゃん、と思いますね。
実は「片撚り」に対して「諸撚り」があるので、その区別のための呼び方でして、
「片撚り」は、右か左かの方向に撚ります。「S字撚り」「Z字撚り」とも言います。
「諸撚り」は同じ方向に片撚りした糸を二本以上揃えて、元の撚りとは逆によります。
たとえば「右撚りに撚った糸を二本あわせ、そろえて二本とも左撚りに撚る」、です。
「駒撚り」は強撚糸の片撚り糸を二本以上で、元の撚りと反対に撚ります。
今、関東の喪服の羽二重も、昔のような羽二重ではなく、
少し厚みのあるものが多いそうです。
今日は「素材のお話」だけで、時間切れです。
また続けて書いてみたいと思っています。
あぁなんて天気が悪いんだー。涼しすぎるぞー。半袖しまえんぞー。
ゆうべエアコンいれたやんか、もぉ…。
天気予報では、6月からはなんとか…だそうです。信じていいのか…。
ややこしいと思いますが、組紐で考えると
S字もZ字もあるんですから、置きかえれば
いいんですよね。
奈良は日中汗ばむ陽気でしたが、そちらは
気温が低かったんですね。
一日で春と夏ほど気温が違うと調子狂います
ね。お気を付け下さいね。
そうですね。組みひもの糸を撚るのと同じですね。
くりくりとなるのも戻るのも、現物を見ていると
わかりやすいですね。
今日はなんとかお天気でしたが、まだ気温が低めです。
ほんとにこのまま入梅ですねぇ。