ほばーりんぐ・とと

ただの着物好きとんぼ、ウンチク・ズッコケ・着付けにコーデ、
あちこち飛んで勝手な思いを綴っています。

絵羽付け色無地

2008-05-05 13:18:08 | 着物・古布
連休前に「売りたいのですが」と頼まれて、購入したものです。
おばあさまのものということで、ご本人はまったく着物に縁がないからと…。
私より少し年上とお見受けしたのですが、いやーもったいない。
と言いつつ、売っていただけるならと、喜んでお引取りいたしました。

絵羽付けの色無地は、古着でもあまりでないのではないかと思います。
色無地はつける紋の数によって、格も変化するというややこしい着物ですから、
それで絵羽付け、つまり付け下げと同じで、んでもって紋がひとつで、
しかも「描いてある」となると、えーい、とりあえずただの色無地よりは上…。

色はなかなかちゃんと出てくれませんで、実際の色は、
ミルク多めのミルクティーの色、もう少し甘めの赤を含んだやさしい色です。
杉下右京さんはお好みかも、いやティーのほうですが…。
地模様はやや大きい唐草、絵羽の部分は大きくとった流水の中が「四ッ目菱」、
飛んでいる大きな丸紋は有職文様の中のたぶん「八藤丸紋系」と思います。
「有職文様」は弱いとんぼです。


        


絵羽部分、地のアップです。


       



八掛も共で「四ッ目菱」


   


背中の紋は思い出すのに苦労して、とうとう調べました。
ただの「扇に月」とも言うんですが、なーんか呼び方があったよなーと。
由来だけは知っていたのですが、名前がやっとわかりました。
「五本骨に月丸」といいます。
引っ張ったのでゆがんでるし、色も調整してないしですみません。


         



「佐竹家」の紋ですが、由来がはっきりしている紋として知られています。
「源氏系」なのですが、源頼朝が奥羽征伐に赴いたとき、
常陸の国と言いますから茨城あたりで、佐竹氏が先に来ていた…、
佐竹氏もたどっていけば、頼朝の先祖とつながるので、別に問題ないんですが、
当時源氏は「白旗」を旗指物として使っていましたから、
どっちを見ても同じ白旗、そこで頼朝が、持っていた白扇に
「まーる描いてちょん…」いやそーじゃなくて、ただの「●」を描いて、
「本日よりこれを紋と致せ」と。まぁ、頼朝クンにしてみれば、
オレが大将のつもりなのに、先に源氏の白旗揚げられて、
おもしろくなかったんでしょうねぇ。弟にやきもち妬く人だしぃ?
まぁことの真意はともかくとして、この「頼朝が佐竹に与えた」というのは
文献にも残っているそうですから、確かなことなんですね。

で、この着物を持ってこられたかたですが、おばあさまという方のお宅は、
源氏の武田系、だったんでしょうね。(武田も源氏が祖です)

家紋はもーややこしくて、到底覚えられません。
自分の家の紋だって、たぶん新潟のほうの…程度です。
ともあれ、格調高いこの絵羽付け色無地、紋がねぇ…、
よくある女紋だったら、ほしい方もいらっしゃると思うのですが。
いいものですし、ちっとお金はかかりますが紋を変えて、
仕立て直して着ていただきたいものです。
実は自分が着たいんだよねぇ、でもこんなの着ていくとことこないし…、と
またしてもはっきりしない空を眺めつつ、悩んでいるとんぼです。

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5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (陽花)
2008-05-05 20:59:44
ほんと!絵羽柄地模様の色無地とは
凝っていて珍しいですね。
紋が!!!一般的な紋じゃないところが
アララですね。
返信する
この紋ただいま製作中 (otyukun)
2008-05-05 22:22:47
偶然ですね。
珍しい紋ですが、この紋を入れて欲しいと注文がありました。
お茶の席では小紋や我が工房の遊小紋でも紋が入っていないと具合が悪いとの事。
縫い紋で上げる事に。
珍しいので紋型を起こすのに別途費用までかかりましたが、刺繍屋さんの紋鑑では「太輪に日の丸扇」
女紋なので細輪に変更しましたが由緒ある紋だったのですね。
お嬢様は遊小紋の桝見本からお母様は遊小紋の別注、なんとローケツの渦巻き文様。
作るのが楽しみ。

大名行列の彩色終りました。
蒸しが上がると顔描きの仕上げに入ります。
もう少しです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-05-05 23:18:08
陽花様
痛みも何もないのですよ、もったいないです。
なんとかならんかとか、この紋の人探すか?
もんなんぞ気にしない人をみつけるか?
いずれにしても、紋ひとつが「もんだい」!


otyukun様
おやまぁそれは偶然でしたね。
この着物の持ち主だったかたとも、
とおーーくつながっているのでしょうね。
この「月か日か」ってのは、
専門的にやっている人でも、何かと
ごちゃつくようですね。
以前聞いた話では、扇子の地紙部分が抜けて、
丸に色がつくときは「日」、地紙が色で丸が
抜けるとき(この着物のように)は「月」。
それというのも、頼朝が佐竹に与えたのは、
白扇に墨で丸を描いたものだから、だとか。
つまり黒丸は月、ですね。
また日の丸紋は単純なので、
「光の線」を描き(子供が太陽を書くときの、
まわりに出る線ですね)光の線を
「日の足」と称して「日足紋」、
にっそくともひたりともいいますが、
そうやってあらわすそうです。
12ひたりとか、16にっそくとか。
日でも月でもいいんですが、
珍しすぎて、この着物、売れまへんがな…。

渦巻き小紋、楽しそうですねぇ。
私は別の図案がうかんでしまい、
四苦八苦してます。タバコ盆、
すてがたいんやけどなぁ…。
返信する
素敵に歳を重ねたい (うっちー )
2008-05-07 13:47:33
素敵に歳を重ねて着てみたいお着物ですね^^¥凛とした感じがいいです。
返信する
Unknown (とんぼ)
2008-05-07 19:46:21
うっちー様
ほんとに凛としていますね。
白髪で束髪でも、きっとすてきだと思います。
返信する

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