9月にご紹介した「まだらっこ帯」、ついつい日延べしてましたが、やっとおくらせていただきまして、
本日無事帰って参りました。
「染工房 遊様」は、以前にも修正はお願いしておりますので、心配はまるでナシ。
ただもうキレイになって帰ってくるのを待っておりました。
それにしても、スッキリシャツキリで、新品になってのお戻り…。
心なしか帯が「帰ってきてあげたわよ、大事にしなさいね」といばっているよーな…。
実は、当初人形の白いところの汚れ(カビ)を落とし、消えている竿などの描き込みを…とお願いしたのですが、
調べていただいたところ、そうは簡単に行かないことがわかりまして、メールを頂きました。
この帯、かなり古いものでして、地色の黒は「三度黒」といわれる植物性染料。
ログウッドと呼ばれる樹木から取れる染料で「三度」というのはまんま、三度引き染をした黒。
昔はこれの黒が多かったそうですが、今の黒は化学染料が多いです。
で、まずはカビ落としのプロのところで「三度黒」はカビ落とし薬品で変色してしまう…と言われました。
そこでまず帯を解きまして、シワやら折りグセやらみんな取りまして、
薬品が地の部分に散らないように…とまぁ、これはプロのシゴトで私にはわかりませんが、
とにかくやっていただいたわけです。
ところが、やはり「地を避けてカビ落とし…」は、なかなかとことんできないんですねぇ。
難しいものだと思います。黄色のカビの色はほぼ落ちたのですが、完全には真っ白にはならない…。
それでもよくやってくださったと、あのまだらのしみを思えば、ほんとにありがたいことでした。
しかーし、染のプロ「遊」さんとしては、これじゃおもしろくない…プロの意地もありますれば…。
そこで、今度は顔や体の白地から直し…で、胡粉を吹き付けてから、眼などを新たに描き入れる…
ということになったわけです。どうせならキレイにしてあげたいですし。
それではご覧頂きます。
まずは…顔も体も、持ち主より「シミだらけ」でしたのに…。
カビを薬品で落とした状態。これでも結構白くなりましたが。
それでもなんとなく黄ばみが残っています。
そして遊様の渾身の「全面描き直し」。
なんと色白、玉の肌…色の調子が違っていてすみませんが、前掛けの金も
烏帽子の金線も描き直していただいてます。顔つきもちょっとやさしくなりました。
落ちた藁クズのようにボケていた釣竿も、はっきりくっきり。
(カゴがゆがんで見えるのは写真を撮った角度によるものです)
もう一度、使用前使用後?チガイマス、直しの前とあと
一皮も二皮も剥けた感じです。
遊様のところは、お野菜果物でいうなら「産地直売」…(ほかに言い方はないのか…)
とにかく「直(ちょく)」ですから、お手入れの価格も良心的、ついついなんやかやと相談持ちかけては、
ややこしいワガママを聞いていただいています。
黒地も少し褪せている…といわれて、元々そうは思っていたのですが、人形が真っ白にきれいになったら、
褪せた黒も、きれいに見えます。おめでたい柄ですしねぇ、お正月にいい柄ですねぇ。
実は今日、パソコンの先生とお正月着物のお話になって「とんぼさん、あと10日ですよ」といわれて、
あらためて「あら、そーだわよ!」と…。
例によって、ま、いっか明日で…とやっていたら、ゼッタイまたいい加減になるし。
この帯を…と考えて見ますかね。着物は…薄い明るい色…あったっけ。
紬は思い出すのに、小紋はめったに手を通さないものだから…うわぁほんとにあせらなきゃイカン!
七難隠す を地でいってらっしゃるのかしら
なんてね。
手を入れてまで 物を大事にされている
とんぼさん 素敵です
それにしても全面描き直しとはスゴイですね。
ふくふくしたお顔にめで鯛柄、お正月はこの
帯に決定?ですね。
人の手技のすばらしさに、おどろきます。
すばらしい!
ほんとに色白ですー。
今日、たまたま呉服屋の奥さんがきて、
カビお年や描き入れの価格を聞いて
「…商売できなーい」と嘆いていました。
それくらいお安いです。
縫い直し、染め直し、着物ってすごいです。
見事なものですよねぇ。
送り出す前に、あっそうだと思って、
細かく写真を撮っておきました。
比べると、別物のようです。
お正月に、いいですよね、この柄。
で…着物が…探さなきゃなんですー。
こういう技術が、どうかなくなってしまわないようにと、
本当にそう思います。
すごいですよね。