いやなんだか、着物にちっともさわってないし、話題もあちこち飛びっぱなしですね。
まぁ年の瀬ですので、お許しいただきたいと思います。今年の着物話題は今日までですかね。
トップ写真が、この前持って帰ってきた母の着物の「袖」部分アップ、「紬」です。
黒に見えますが明るいところでよぉく見ると、黒に近い焦げ茶、これかな?
横段に節のある織りですが、薄くてしなやか、光沢があるので、
光の当たり具合で茶色が勝ったり、黒になったり…たぶん十日町。
お正月に着ようかと思ったのですが、この前の黒い塩瀬帯が戻ってきましたしね。
なにより調べたらサイズが…えぇどうせね、太めだし…。
そんなわけで、この着物はしまおうとしたのですが、ふと「おっかけ」だなぁと思いまして…。
本日突然に?「追いかけ柄」のお話しです。「追いかけ」「おっかけ」といわれる柄。
反物の状態で柄が均一に飛んでいなくて、片側から反対側にかけて偏ったりしているもの。
縞だったりただの色のグラデーションだったり、小紋だと柄の飛びの密度の変化だったりします。
この柄の難しいところは、柄の向きで、着物の雰囲気がガラリとかわること。
これは、母が着たところの写真が残っているのですが(たぶん70台半ばかと)、
アイ・マスクしてるみたいですみません。
既に背が縮んでいておはしょりが多くなってしまい、なんとかごまかして着ています。
当時少し脚が弱りつつあって「着物着てコケたらいややし…」と、このあたりから着なくなりました。
本当は背中などもちと丸まり始め、オシャレだった母は「着姿」を気にしたのでしょう。
「追いかけ」の着物を仕立てるときは、まず「衿」と「おくみ」にどちらを持ってくるかを決めます。
これは、仕立てるために裁つとき「衿」と「おくみ」は半幅になりますから、
例えばこの着物だと、薄いブルーの入っている半分と、黒地の半分、それが衿とおくみになります。
つまり、衿が決まると、おくみはその残り…ということになります。
色柄によりますが、衿は顔に近いですからそちら重視…。母は濃い色を持ってきました。
こんな感じ
下前のおくみは、左の縫い目と合わせてブルー部分をだしています。
上前のおくみは、はっきりわかれるように黒をあわせていません。
赤い線がおくみの端です。
ちょっと途中までムリな色塗りしました。雑ですけど、衿が薄い色になると、感じがかわりますね。
後ろはこんなです。左側が薄い色になるように、順序良く並んでいます。
この仕立ても「追いかけ」です。
ちょっと紙に絵の具を塗ってやってみました。キレイに塗ろうとしたら、かえってクッキリしてわかりにくいので
ザーッと、筆を流しました。大雑把ですのであまりキレイじゃなくてすみません。
一番基本的なのが「追いかけ柄」を「追いかけ」に仕立てる…それが母の着物です。
紙でやってみると例えば…全部後ろから見たところです。これがおっかけ。母の着物と反対になってしまいましたが。
背縫いのところで、前後を入れ替えて真ん中は濃く、脇に白にするとこんな感じ。
袖も中側に白を向けました。
逆に真ん中を白く、脇を濃く。
これで前の衿の置き方、前の置き方も変わるわけですから、組み合わせはいろいろなんですね。
そして更に気をつけなければいけないのは、着物は反物で見ているときは全部反幅そのままですが、
裁って仕立てるときは、脇の縫込みや肩の縫込みなど、中にはいってしまうところがあるということです。
上のお試しは紙ですから、置いたそのままで縫込みを示していません。
母の紬もそうですが、元々色の薄いところの幅が狭いです。この薄いところが縫込みに入る分量が多い仕立てだと、
全体に色の濃い着物になるし、薄いほうを多く出せば「二色」の着物という印象が強くなります。
「紙着物」のすぐ上の写真で見ても、背縫い部分の薄青の部分と、脇の薄青の部分の量が違いますね。
袖つけの部分も、薄青の部分が細くなってほとんど出ていません。
だから全体に黒地が多くなっています。もう一度出しますね。
着物は本来「何度も解かれ、何度も縫い合わされるもの」です。
長く着られたものは傷んだところを中に隠して、きれいなところを表にしてあわせることもできます。
究極ですが…裾が汚れて擦り切れたら、腰の帯に入ってしまう部分(内揚げ)で上下を切り離し、
上下や左右を入れ替えることができます。追いかけ柄は、そういう時も表情をいろいろかえます。
たとえばバラバラにすればこんな感じにも…。(後ろ側です)
お粗末に「見本反物?」で作りましたので、実際のイメージはまた変わります。
とりあえず、こんなふうに組み合わせる方法がいーっぱいあるよ…というお話です。
追いかけ柄は、実はとても難しい柄…といえます。
つい渋いほうがいいから…と、濃いところばかり出すと、着たときに、薄い柄部分が中に入ってしまって、
思ったより渋すぎる着物になったり、衿に明るいのを持ってきたら、衿ばっかり浮いて見えたり…。
元々、着物って反物で見ていたときと、実際に着物になったときとで、印象が変わるものもあります。
追っかけはその典型ですから、反物だけで見てすてたきだーと、あわてないこと。
ちゃんと広げて、衿とおくみの基本、縫い込んだら色や柄の見え方がどうなるか、
実際に反物を広げて織り込んだりして、確かめたほうがいいです。
逆に古着で追いかけの場合、解いて組み合わせ方を変えたら、
感じの違う着物になる…という楽しみもありますね。
さて、いよいよ残すところあと三日。さしてオオゲサにお掃除などするつもりはないのですが、
ある程度はねぇ…とりあえず今日はお飾り関係は済ませました。
越してきたばかりのとき、まだ三輪車にのっていたような、ご近所のお子さんやお孫さんが、
網戸洗ったり玄関はいたり…あぁここでのお正月も15回目なんだ…としみじみ思いました。
若いときはそれで良かったんですが、中年太りになったら、中心の色の薄い部分がハイライトのように浮き出て見え、余計太って見えまして。
はて、仕立て直し???(セール品でしたが千聰なんです~もったいないよ~あれ?漢字は合ってますか?)
結論。素直に追い掛けで仕立てれば良かった(ーー;)
お母さま、粋な着姿ですね(^^)
年末年始は寒いようですね。お風邪など召しませんように。
よいお年をお迎えくださいませ。
お久しぶりです。お母様、素敵です。
日本で主人と、白無垢と、黒引き振袖で写真を取って参りました。まだブログには乗せていません。アメリカ人の主人の袴姿、意外にも似あっていて、着物は男性を凛とさせるなとおもいました。白無垢の時のかつらと白無垢の重さにはびっくりしました、でもお母様の時代はこの倍くらい重かったんですからがんばってください、と言われました。とてもいい一生の思い出になりました。
そして、いい色ですね~。
追っかけの着物の良さ、面白さがよ~くわかりました。
今年は沢山勉強させていただきました。
ありがとうございました。
来年もよろしくお願いします!
(ガンガンガン速さん、おめでとうございます。
結婚4年でも今さらですが、日本帰国の際、結婚記念写真だけ撮りたくなりました!)
知りませんでした。
しかしお母様、素敵ですねえ~~
本当にお着物がお似合い。
着物が体に沿っていますよねーーうーん、羨ましい。
私が着物を着るとなんか着物で包装されているみたいなんですよねえ。。。
やっぱり太めが問題かなあと思うのですが!
ああ、来年こそ痩せなくちゃ!と年の瀬に思いました(笑い)。
私は体がちいさいこともあって、大きな柄や、はっきり分かれる柄はだめだと、
今まで着なかったのですが、最近「いいんじゃない?」と、
この着物も、サイズ治して着ようと思っています。
難しいので、このままのおっかけで…。
押し迫ってきましたね。
なにするわけでもないのに、なんかお尻が落ち着きません。
佳いお年をお迎え下さい。
写真、よかったですね。おめでとうございます。
白無垢や黒振袖は、本当に美しいです。
最近はなんでも洋風、ですけれど、
日本人には日本人の晴れ姿が、
やっぱり似合いますね。
母をおほめいただき、ありがとうございます。
着物で育った年代ですから、いろいろコダワリがありましたね。
私は、母を見て育ちましたから、やはり母と同じようなことをしています。
お正月は着たいですわ。
こちらこそ、来年もよろしくお願い致します。
コメントありがとうございます。
母は、私が子供のころには苦労続きでやせておりましたが、
中年から晩年は、ほんとに体型の変わらない人でした。
私もそうなるものと思っていたのに、
そこだけは似ませんでした。
困っています…。