大学は商学部だった。高校・大学と建築の勉強をしなくて良かったと思っている。私は頭が建築学や建築数学で構成されてはいない。あくまで理想はあってもお金がなければはじまらないじゃん...と経済学の観点で建築を見つめている。
独学できるほど才能がないのでハウスメーカーのサラリーマンになりお給料をしっかりいただきながら実践勉強もした。年間500棟受注する会社の熊谷営業所に勤務した。とにかく働いた。大晦日と元旦以外は仕事をしていた。
朝6時前に起床。シャワーを浴びて、6時半には家を出て朝食は車の中。帰りは深夜1時~3時があたりまえだった。週に一回の休みはお客様のために銀行融資の手続き、役所を廻り調査聞き取り、CADでたまっている図面を書く.....でもある意味、充実した毎日でもあった。
私の勤務していた会社はデザインや建築部材にかなり規制があった。現在は本当に自分の納得したものばかりつかって建築をしているので満足している。私は自分自身が施主だったことが数回あるので、新しく家を建てる人の心理はわかるほうだとは思う。でも嫌気がさすことも多々ある。自分の器の小ささに嫌気がさしたり。お客さんのわがままを許せない小さい時分にも嫌気がさす。私は愛想笑いはしない。お客様にはっきりモノ申し、ときには説教までしてしまう.....バカな自分を責めても後の祭りなのだが.....
娘夫婦の図面を書いた。25坪弱の小さな家だ。リビング内にミシン部屋兼書斎を2畳、赤ちゃん・こどもお昼寝畳スペースを2畳つけた。この空間は将来の個室居酒屋空間にもなる。
洗濯干し場と自転車置きは雨対策が施してある。トイレはひとつだけだ。3~4人家族で不自由はあるまい。
とはいっても気に入るかは....わからなかったが、たいへん気にいってくれた。まだ若くて年収の少ない娘夫婦が無事に土地を購入して新築の可愛い高性能な家が手にはいるように頭をつかった....25坪の家。娘夫婦は『充分すぎるほどです』と話している。住宅ローンは借りなきゃ借りないほうが良いに決まっている。贅沢を言えばきりがない....
現在、娘夫婦のために200万~300万の土地を探している。実はけっこうある。ただし条件は当然悪い。人間の妥協点はむつかしい....
娘夫婦が多くを望まない足元を見れる人間でよかったと思っている。「もっと、いい土地がいい!!」とか「もっと広い家がいい!」とか言ったら「年収を人並みにもらい、自己資金もたくさん用意しなさい」と冷ややかに言っていただろう....
私は家を建てる仕事を営んでいる。
楽しくもあり.....苦痛でもあり.....幸せでもあり.....晴れのち曇りときに雨って感じです。
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