ひかりとしずく(虹の伝言)

勉強会や講演会、上映会のレポートなど主に載せています。

原発のない世界へ  ②  (樋口健二さん編)

2013-04-18 | 季刊誌なな色メールより
2月には『報道写真家の樋口健二さんの講演会』も秋田市で知人が企画していました。残念ながら私は足を運べませんでしたが彼女が紹介してくれた樋口さんの本“クレヨンハウスのブックレット『原発被爆労働を知っていますか?』”を読んだのでここで紹介したいと思います。

樋口さんはずっと昔から原発被爆労働の被害者を撮り続けてこられた方です。写真家として労働公害問題をテーマに選んだのは彼の生い立ちによるもので信州の寒村の農家で生まれ戦中戦後の貧しい時代に育ち、成人してからは川崎の製鉄所で起重機の運転手として24時間操業の過酷な労働を体験したことから。農民も工場労働者も社会の底辺にいると感じたとあります。

高度経済成長時代の社会にいても「豊かさ」の裏にはいつも産業公害があり、公害によってからだを壊す市民や差別に苦しみながら働く労働者の姿というものをしっかりと彼は捉えていました。樋口さんの言葉「公害問題は人権問題でもあるのです。“労働者を犠牲にしながら国が栄える”という考えはまちがっています。誰も犠牲にならない社会でないと本当に「豊か」とは言えません。」

彼の写真家人生は四日市公害の取材でスタートし、原発労働者の被爆隠蔽の実態、告訴しても政府がらみで潰されている現実を取材してきました。日本国内だけでなく、台湾でも同じでした。

樋口さんは最後に、日本人の心について語っています。「目の前の生活に慣れ過ぎて保身に走っています。日本人から「人間を大事にしよう」という思想がなくなっているのです。経済最優先、利潤追求のシステムは、一度全部壊してしまってもいいと思います。国民一人ひとりが過去を学び、本当の教養を身につけること、裏の見えないものを追求する姿勢、新聞を読んで、疑問に思う力がないといけません。」とくくっています。


東日本大震災から二年が経ちました。最近ネット上の情報で知りましたが、メーカーの製造者たちの責任も問われるべきなのに何一つ全く追求されておらず、しかも、グリンピースによると、欠陥品だと当初テストでわかったものを使っていたと言うではないですか。社内隠蔽です。以下にグリンピースのホームページの文を掲載します。

「今年2月、福島第一原発4号炉の原子炉圧力容器を製造した元パブコック日立の設計技師・田中光彦氏が、当時、製造中の圧力容器に欠陥があったにも関わらず、社内で隠蔽された事実をグリーンピースに告白しました。違法だとわかっていても、法に従えば企業の利益に反するという理由で隠されたこの問題を、今回の原発事故と直接関連づける証拠はありません。しかし、何よりも安全が重視されるべき原発関連ビジネスにこのような隠蔽体質が存在することが、原発の安全性を根底から揺らがせていると いえます。

ボパール事故という大惨事の影響で原賠法にメーカー責任が明記されたインド。(1984年12月3日未明、インドのボパールで操業していたアメリカのユニオンカーバイド社の化学工場から強い毒性のある有害ガスが、50万人の住む住宅街に流れ出しました。事故直後だけでも8000あまりの人々が亡くなり、失明や呼吸困難など後遺症に苦しむひとをたくさんだしました。史上最悪の産業事故といわれたこの事故は、多国籍企業に事故の責任を取らせる仕組みが重要という教訓を残し、インドの原子力損害賠償法に大きな影響を与えました。2009年、原発にもメーカー責任を問うための法律がつくられました。)

日本でも、いまだに16万人が故郷に帰れず避難生活を送り、それ以上の人々が日々苦しみの中で生活を送っています。福島原発事故を経験した日本こそ、原賠法を変え、メーカー責任を問えるようにすべきです。原発を推進するなら、責任も伴うべきでは?その責任を引き受けることができないならば、原発をつくったり、動かしたりする資格はないのではないでしょうか? グリーンピースでは原発にもメーカー責任を問うためのオンライン署名を実施中です。」

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