梨の木舎で有識者を講師に迎えたオン・オフラインの講座があり、ピースアカデミーという色んな社会問題を扱っているプログラムが先月からあり、友人から紹介されたので関心のある韓国ドラマで韓国の今の社会を読み解くというコースを取ることに。
歌は世に連れ世は歌に連れ、ではありませんが、“韓流映像が描いている今の韓国“という題で、文在寅時代の韓流ドラマということで、『愛の不時着』『秘密の森』『ミスターサンシャイン』を取り上げるとのこと。
今回は、ドラマ『愛の不時着』が描いている北朝鮮と南北関係~韓国と北朝鮮の社会は何が違うのだろうか。をレポートしたいと思います。
第一回の講師は李泳采(イ・ヨンチェ)教授(恵泉女学園大)でしたが、第二回目は米津篤八(翻訳家・元朝日新聞記者)でした。人道支援ネットワークで訪朝を何度もされておられるとのこと。
まず、軍事強化されている北朝鮮ですが、(戦争中なんですものね。休戦しているだけで)徴兵制ではないとのこと。軍に行かなくても罰則はないのですって。そうなんですね。軍隊にいる人は、志願しているのですね・・・。人民武力省という所に入ると、男性は10年
女性は5年の期間勤め上げるそうです。
そして、ドラマの主人公り・ジョンヒョクのお父さんの役職、最高司令官です。その高官の息子が、38度線の地区に配属されというようなことは通常あるのか、については、あるということでした。わざと名誉のために危険な所への配置をさせることは多いようです。金正日も行ったとのことでした。
軍人さんの服が、JSAの頃と違って間違い?!と思いましたが、2015年から韓国風のアーミーになったようでした。
ホテルのカフェである女性と少し雑談をした際に、その彼女は元軍人でスナイパーだったとのことでした。親の法事を出すために早く結婚しなくてはならないと話していたとのこと。独身者ではできないとか、色々あるようですね。
それから、高句麗を開国した朱蒙(チュモン)これも、大河ドラマとして十年ほど前にドラマで描かれており、感動しながら観ました。その朱蒙のお墓が北朝鮮にあるそうです。
(この朱蒙の孫にあたる人物をペ・ヨンジュンがファンタジー時代劇で演じていましたが、そちらは美化されたお話で途中リタイヤしました。)
北朝鮮の孤児(コッチェビ)は戦争の犠牲者たちの子どもで、クナの行進後に300人出て、国や地域で助け合って育てたとのこと。その中からエリートにまで上り詰める人もいるとのことでした。
実際に政治界で活躍している崔善姫(チェ・ヨンヒ)さんもそうだとか。ただ、孤児で育って、社会に復讐心を持って育ったという設定のチョ・チョルガンという主人公の敵の人物像は、ちょっとあり得ない設定のようです。孤児として育っても、そういう人は別段稀ではなく、出世したいという野望はあっても、おそらく、そういう人物であればあるほど、最高司令官である金正日の役に立とうと考えるのではないでしょうか?このあたり、資本主義的な野望の持ち方をキャラクターに設定しているのは韓国の思考回路かな?と。講座を受けて、思いましたが。
私は今、脱北者の女の子の書いた『生きるための選択』という本を読んでいます。彼女の母親が私と同い年で、思春期に成長した娘たちが北朝鮮での暮らしから逃れたいという渇望を理解して協力するものの、それまでは飢えないためにいろんな手段(違法な商売にも)を取って家族を守ってきていて、自分のことよりも家族に食べさせようとしていて、辛い日常であったこと、それと金日成を称え、お互いに監視、批判、密告が日常の社会にいるという状態が二重思考が潜在的に生じることなど書かれていて、もし、チョ・チョルガンが成長する背景にそういう事象があったとしたらあり得るのかな?とも考えましたが・・・。
それから、あの朝鮮半島を、北朝鮮では当たり前に“朝鮮半島”と呼ぶが、韓国サイドは“韓半島”と呼んでいるし、お互いに分断しない領域をそう呼んでいるのだとか。やはり統一するのも、簡単ではないのでしょうね。国連で日本の政治家が「ノースコリア」と失言し、朝鮮民主主義人民共和国の人が憤慨したとか。英語ではThe Democratic People’s Requbic of Koreaなので、略してもDPRKらしいです。そうなんですな。“民主主義“っていう言葉が入るんですね。
韓国(大韓民国)を創設した李承晩は朝鮮という地名も使わないように変え、民族名まで分断された歴史があり、同じ民族なのに本当に複雑ですね。
兵士たちが居た村ですが、社宅村といって前方部隊の家庭持ちの将校たちが持てるようで、独身者は本来は寄宿舎とか、でも主人公は高官の息子だから家を持てていたのかも、という話でした。そして、宿泊検査は、やはりスパイを見つけたり、民間人の動きを管理していなければいけないので行われるものですが、保衛部が主体で行います。旅行も自由ではなく、引っ越しもです。与えられた場所に住まなくてはいけないと。社会主義国家ですから。その代わり、無医村は無いとのことです。ただ、だからと言って安心できません。社会全体が貧しいので、薬も包帯もなく、市場で買って持ち込まないと治療も満足に受けられないのです。(これは、パク・ヨンミさんの本から)
ドラマで停電のシーンがありましたが、家庭用発電機や村で風力発電を取り入れているところもあるようで2000年台後半までは平壌以外の地域へは電気を分けて送電していたとのことです。列車も途中で停電するので、テントで野外宿泊が必要なシーンもありましたね。あのシーンの撮影はモンゴルの平原を走る列車を使って撮っていて、商売をしに物を持って押しかけてくる人々はモンゴルの人々がエキストラだそうでした。
そして、列車内で歌や踊りを披露する商団がいましたが、脱北者の人で芸能人になった方だそうです。よくニュースで見かけるようなすごく楽し気に歌う姿がリアルでした。
リ・ジョンヒョクが用事で平壌へ一人で行った際、宿泊検問が行われることになって、高級車ジャガーで交通整理を優先してもらって飛ばして帰ってきてくれるシーンがあります。あの車は、存在するそうです。ただ、ナンバーは“727”で、戦勝記念日・・・。(ドラマでは729でしたが。)戦勝記念日と言っても、休戦した日で、韓国側では統一できなかったことをがっかりしたのに対し、北朝鮮側では、アメリカに勝利したのだと喜び、祝日となっているとのことです。あの車に乗れるのは、最高総司令官、金総書記くらいだとのことですが、あんな飛ばし方はあり得ず、優先してもらって走る唯一の車は、朝、豆乳を積んで子供たちのもとへ走るトラックだということでした。これまた愛すべき優先車!
それから、言葉について、開城(ケソン)が舞台で、しっかり北の訛りでしたが、元々は韓国側の土地であり、あの地域の人たちはそこまで言葉は違わないのでは?と講師の米津さんの意見でした。脱北者の協力で完璧な朝鮮マルでした。
言葉の使い方が、韓国の一般的な話し方と違うと感じたのが、「大丈夫。何でもない。」とリ・ジョンヒョクは口癖のように何度も言いますが、それが、『イロ オプソ』이로오뿌소ですね~。セリの前で強がって?!普通なら、「ケンチャナヨ」ですよね?
後、これは、韓国ドラマファンのコミュで教えてもらったのですが、ジョンヒョクは、『サランへ』ではなく、『サランハオ』(사라ㅇ하오)💛💛💛なんか萌えますね!
それから、平壌のキムチはあんまり辛くないのだとか・・・。
平壌には特権階級の出自が良い者たちが住むようになっており、高層タワーのマンションがあり、エレベーターもついていますが、できるだけ普段は階段を使っていて、一階に官僚や偉い人たちが入っているということでした。
11課対象という人物は実際あるか・・・ある。盗聴も日常的で、でも、ドラマの中で誰が担当しているかがわかられていたのはおかしいとのことでした。
留学生のピアニストが亡命して脱北した事があったようで、今厳しくなったようです。留学は自費なので出身成分が良いこと、海外に親戚が居ないことなど制限があるとのことでした。
あのチャンマダン(野外市場)の様子が本当にリアルだったらしいです。南から密輸ですよね?入った商品もカーテンで隠してこっそり売っているのはあるとのことでした。
あの北朝鮮での生活にセリが馴染んでいくさまが何だか可笑しくて古き良き時代を感じて微笑ましかったのですが、本当はもっと監視、密告、批判という仲間なのに信じきれないところがあるのが本当だと思われました。ちょっと美化してると・・・。
やっぱり、夢物語ですね。お相手は辛うじて死神やトッケビ、宇宙人でなく人間なのですが。
歌は世に連れ世は歌に連れ、ではありませんが、“韓流映像が描いている今の韓国“という題で、文在寅時代の韓流ドラマということで、『愛の不時着』『秘密の森』『ミスターサンシャイン』を取り上げるとのこと。
今回は、ドラマ『愛の不時着』が描いている北朝鮮と南北関係~韓国と北朝鮮の社会は何が違うのだろうか。をレポートしたいと思います。
第一回の講師は李泳采(イ・ヨンチェ)教授(恵泉女学園大)でしたが、第二回目は米津篤八(翻訳家・元朝日新聞記者)でした。人道支援ネットワークで訪朝を何度もされておられるとのこと。
まず、軍事強化されている北朝鮮ですが、(戦争中なんですものね。休戦しているだけで)徴兵制ではないとのこと。軍に行かなくても罰則はないのですって。そうなんですね。軍隊にいる人は、志願しているのですね・・・。人民武力省という所に入ると、男性は10年
女性は5年の期間勤め上げるそうです。
そして、ドラマの主人公り・ジョンヒョクのお父さんの役職、最高司令官です。その高官の息子が、38度線の地区に配属されというようなことは通常あるのか、については、あるということでした。わざと名誉のために危険な所への配置をさせることは多いようです。金正日も行ったとのことでした。
軍人さんの服が、JSAの頃と違って間違い?!と思いましたが、2015年から韓国風のアーミーになったようでした。
ホテルのカフェである女性と少し雑談をした際に、その彼女は元軍人でスナイパーだったとのことでした。親の法事を出すために早く結婚しなくてはならないと話していたとのこと。独身者ではできないとか、色々あるようですね。
それから、高句麗を開国した朱蒙(チュモン)これも、大河ドラマとして十年ほど前にドラマで描かれており、感動しながら観ました。その朱蒙のお墓が北朝鮮にあるそうです。
(この朱蒙の孫にあたる人物をペ・ヨンジュンがファンタジー時代劇で演じていましたが、そちらは美化されたお話で途中リタイヤしました。)
北朝鮮の孤児(コッチェビ)は戦争の犠牲者たちの子どもで、クナの行進後に300人出て、国や地域で助け合って育てたとのこと。その中からエリートにまで上り詰める人もいるとのことでした。
実際に政治界で活躍している崔善姫(チェ・ヨンヒ)さんもそうだとか。ただ、孤児で育って、社会に復讐心を持って育ったという設定のチョ・チョルガンという主人公の敵の人物像は、ちょっとあり得ない設定のようです。孤児として育っても、そういう人は別段稀ではなく、出世したいという野望はあっても、おそらく、そういう人物であればあるほど、最高司令官である金正日の役に立とうと考えるのではないでしょうか?このあたり、資本主義的な野望の持ち方をキャラクターに設定しているのは韓国の思考回路かな?と。講座を受けて、思いましたが。
私は今、脱北者の女の子の書いた『生きるための選択』という本を読んでいます。彼女の母親が私と同い年で、思春期に成長した娘たちが北朝鮮での暮らしから逃れたいという渇望を理解して協力するものの、それまでは飢えないためにいろんな手段(違法な商売にも)を取って家族を守ってきていて、自分のことよりも家族に食べさせようとしていて、辛い日常であったこと、それと金日成を称え、お互いに監視、批判、密告が日常の社会にいるという状態が二重思考が潜在的に生じることなど書かれていて、もし、チョ・チョルガンが成長する背景にそういう事象があったとしたらあり得るのかな?とも考えましたが・・・。
それから、あの朝鮮半島を、北朝鮮では当たり前に“朝鮮半島”と呼ぶが、韓国サイドは“韓半島”と呼んでいるし、お互いに分断しない領域をそう呼んでいるのだとか。やはり統一するのも、簡単ではないのでしょうね。国連で日本の政治家が「ノースコリア」と失言し、朝鮮民主主義人民共和国の人が憤慨したとか。英語ではThe Democratic People’s Requbic of Koreaなので、略してもDPRKらしいです。そうなんですな。“民主主義“っていう言葉が入るんですね。
韓国(大韓民国)を創設した李承晩は朝鮮という地名も使わないように変え、民族名まで分断された歴史があり、同じ民族なのに本当に複雑ですね。
兵士たちが居た村ですが、社宅村といって前方部隊の家庭持ちの将校たちが持てるようで、独身者は本来は寄宿舎とか、でも主人公は高官の息子だから家を持てていたのかも、という話でした。そして、宿泊検査は、やはりスパイを見つけたり、民間人の動きを管理していなければいけないので行われるものですが、保衛部が主体で行います。旅行も自由ではなく、引っ越しもです。与えられた場所に住まなくてはいけないと。社会主義国家ですから。その代わり、無医村は無いとのことです。ただ、だからと言って安心できません。社会全体が貧しいので、薬も包帯もなく、市場で買って持ち込まないと治療も満足に受けられないのです。(これは、パク・ヨンミさんの本から)
ドラマで停電のシーンがありましたが、家庭用発電機や村で風力発電を取り入れているところもあるようで2000年台後半までは平壌以外の地域へは電気を分けて送電していたとのことです。列車も途中で停電するので、テントで野外宿泊が必要なシーンもありましたね。あのシーンの撮影はモンゴルの平原を走る列車を使って撮っていて、商売をしに物を持って押しかけてくる人々はモンゴルの人々がエキストラだそうでした。
そして、列車内で歌や踊りを披露する商団がいましたが、脱北者の人で芸能人になった方だそうです。よくニュースで見かけるようなすごく楽し気に歌う姿がリアルでした。
リ・ジョンヒョクが用事で平壌へ一人で行った際、宿泊検問が行われることになって、高級車ジャガーで交通整理を優先してもらって飛ばして帰ってきてくれるシーンがあります。あの車は、存在するそうです。ただ、ナンバーは“727”で、戦勝記念日・・・。(ドラマでは729でしたが。)戦勝記念日と言っても、休戦した日で、韓国側では統一できなかったことをがっかりしたのに対し、北朝鮮側では、アメリカに勝利したのだと喜び、祝日となっているとのことです。あの車に乗れるのは、最高総司令官、金総書記くらいだとのことですが、あんな飛ばし方はあり得ず、優先してもらって走る唯一の車は、朝、豆乳を積んで子供たちのもとへ走るトラックだということでした。これまた愛すべき優先車!
それから、言葉について、開城(ケソン)が舞台で、しっかり北の訛りでしたが、元々は韓国側の土地であり、あの地域の人たちはそこまで言葉は違わないのでは?と講師の米津さんの意見でした。脱北者の協力で完璧な朝鮮マルでした。
言葉の使い方が、韓国の一般的な話し方と違うと感じたのが、「大丈夫。何でもない。」とリ・ジョンヒョクは口癖のように何度も言いますが、それが、『イロ オプソ』이로오뿌소ですね~。セリの前で強がって?!普通なら、「ケンチャナヨ」ですよね?
後、これは、韓国ドラマファンのコミュで教えてもらったのですが、ジョンヒョクは、『サランへ』ではなく、『サランハオ』(사라ㅇ하오)💛💛💛なんか萌えますね!
それから、平壌のキムチはあんまり辛くないのだとか・・・。
平壌には特権階級の出自が良い者たちが住むようになっており、高層タワーのマンションがあり、エレベーターもついていますが、できるだけ普段は階段を使っていて、一階に官僚や偉い人たちが入っているということでした。
11課対象という人物は実際あるか・・・ある。盗聴も日常的で、でも、ドラマの中で誰が担当しているかがわかられていたのはおかしいとのことでした。
留学生のピアニストが亡命して脱北した事があったようで、今厳しくなったようです。留学は自費なので出身成分が良いこと、海外に親戚が居ないことなど制限があるとのことでした。
あのチャンマダン(野外市場)の様子が本当にリアルだったらしいです。南から密輸ですよね?入った商品もカーテンで隠してこっそり売っているのはあるとのことでした。
あの北朝鮮での生活にセリが馴染んでいくさまが何だか可笑しくて古き良き時代を感じて微笑ましかったのですが、本当はもっと監視、密告、批判という仲間なのに信じきれないところがあるのが本当だと思われました。ちょっと美化してると・・・。
やっぱり、夢物語ですね。お相手は辛うじて死神やトッケビ、宇宙人でなく人間なのですが。