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私立高校の単願推薦はいらない

[2020年5月2日 更新]
私立高校には「単願推薦」という受験制度がある。
端的に言うと、ある私立高校を第一志望にする場合、一定の成績を取っていればほぼ100%合格できる制度だ。

残念ながら都立高校にはない。
都立高校は第一志望の子が多いので、そんなことをしなくても入試を実施して質の高い子から合格にできるから。

残念ながら私立の難関校にはない。
例えば早稲田大学高等学院では「自己推薦入試」がある。3年生2学期の通知表の評定が40以上なら出願できる
2020年度入試では236名が受験、102名合格した。実倍率2.31倍と、落ちる受験生の方が多い入試である。
落ちた場合は一般入試も受けられる。ただし加点など優遇措置は一切ない。

私立の難関校は単願推薦などしなくても、質の高い受験生が集まる。
だからやる必要はない。むしろやらない。競争して勝てる受験生を取りたいからね。

以上から、どのような私立高校が単願推薦を行っているかが予想できるだろう。
生徒の集まらない、いわゆる底辺校は確実に単願推薦を実施している

◆私立高校が単願推薦をやるワケ
これはシンプル。
ちょっと考えれば誰でも分かる。4者にメリットが見えるからだ。
 受験生…高校受験が早く終わる
 保護者…早く安心できる
 中学教師…一般入試不合格後の面倒を見なくて済む
 私立高校…授業料を納める生徒を確保できる

しかしこの単願推薦には落とし穴がある。
これもちょっと考えれば分かること。
ガチの受験と受験勉強で成長できるチャンスをみすみすふいにしているのだ。

単願推薦は1/24には合格発表が済む。
単願推薦の受験生はその後どうするか。100%遊んで過ごす。そもそも勉強して一般入試を受けることを回避して単願推薦を受けているような子が多い。
そんな彼らが受験が終わった後も殊勝に勉強を続けると思うか。だとしたら相当おめでたい。断言するが彼らは遊ぶ。下手をすれば2か月以上遊び続け、中3の2学期よりもバカな状態で高校入学を迎える。

データではなく私の肌感覚だが、単願推薦をやったクラス40名のうち下位30%は単願推薦で入った子が占めるだろう。

高校生の学力低下や退学を減らしたいのなら、私立高校の単願推薦を廃止すればいい。簡単なことだ。

◆都立高校の推薦入試もいらない
中学受験では推薦入試はない。
どんな低レベルな学校でも(表向きは)学力検査のデキで合否が決まる。
通知表の点数はまったく関係ない。当日のテストの点が高い子から受かる。
スポーツの試合と一緒でフェアな戦いと言える。

大学入試も推薦、AO入試などは存在するが、一般入試では中学受験同様にテストの点だけで合否が決まる。国公立大学も同じ。

だけど都立高校は違う。
どんな入試形式でも通知表の点数を使うため、通知表が悪かった時点で都立高校受験が不利、もしくは絶望的になる。

私の考えは、
通知表の点数を使うのは一般入試だけにする。
むしろ推薦入試では学力検査のみにすればいい。通知表が悪くてもテストができれば上位校に入れる。その方が受験生は努力するだろう。

かつては"特別選考枠"というものがあった、
定員の最大10%を「一般入試の学力検査点のみで合格させる」制度だ。2015年度入試から廃止になった。
通知表が悪かった子の救済策になっていたのにだ。

現状では通知表が悪い子、とりわけ実技教科で3がついてしまうような子は進学指導重点校には合格しにくい。
手先が不器用で、音楽と体育と美術が苦手。定期テストはできるけど通知表の点数に定期テストを重視しない先生。こんな子はごまんといるはず。そういう子は都立トップ校は厳しいから、早稲田系などに志望校を変えたりする。本当は都立に来てくれたはずの優秀な子を除外しているのだ。

個人的な感想だが、
2015年度の入試改悪は本当にクソみたいな制度であり、都立入試倍率が下がっている原因にもなっている。
実技の点数2倍って、中学校教師以外で歓迎している大人は一人もいないんじゃないのかね。

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