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総合芸術高校から東京芸大に行けるか

[2020年5月12日 更新]
都立総合芸術高校。
都立高校で唯一の芸術学科高校である。

普通科と併設している学校は片倉高校がある。
ここは「造形美術コース」だ。

◆東京芸大に毎年入学している


音楽、芸術系の大学合格実績を並べた。
日大は、日本大学芸術学部のみの集計でなく、日本大学の合格実績しかないため除いた。

東京芸大は国内最難関とも言われる、唯一の国立芸術大学。
今年はなんと15名も合格している。
この数はおそらく全国2位だろう。

2ケタの合格を出すのは、東京芸大附属高校を除くと見たことがない。
東京芸大附属高校は、正式には東京芸術大学音楽学部附属音楽高等学校という。
1学年40名の少人数制を敷いており、卒業生の9割が東京芸大に進む。しかも一般入試でだ。

埼玉に芸術総合高校という県立高校があるが、ここから東京芸大に合格するのは例年1~2名。ゼロの年もある。
都立総合芸術高校のすごさが分かるだろうか。

残念ながら、東京芸大の合格した学部までは記載されていない。
が、おそらくは美術学部の方が多いだろう。
理由は、
音楽学部に行きたい優秀な子は、高校受験の際に東京芸大附属高校へ進むから。
東京芸大附属高校と総合芸術高校のどっちにも行けるというのなら、ほとんどの受験生が前者を選ぶだろう。
大学進学実績を比べれば、どちらの高校の方がいいかはっきりしている。

また総合芸術高校の1学年の生徒数も
美術科 80名
音楽科 40名
舞台表現科 40名
と美術科が他コースの倍いる。

◆気になるのが数値目標
まず総合芸術高校の「令和二年度 学校経営シート」を見てほしい。

学校の目標が
 ・体験入学者
 ・説明会への参加者
である。高校卒業後の進路ではないのだ。

育てたい生徒像 
1 多様な芸術分野において、高度な表現力や創作力と優れた芸術的感性をもつ、国際的にも活躍できる生徒 
2 芸術の領域に偏らず、幅広く豊かな教養をもち、人間性や社会性に富み、広い視野に立った芸術活動を通じ た貢献ができる生徒 
3 我が国の伝統芸能を含めて、芸術文化全般への深い共感と理解、そして愛情をもちながら我が国の芸術活動 を広く支え、その向上に意欲をもつ生徒

ご覧の通り、総合芸術高校は育てたい生徒像のなかに進学についてはいっさい触れていない。
私の教え子で総合芸術高校の美術科に入った子がいる。その子は学校外の画塾に通い続けた上で、ある私立大学に進んだ。

総合芸術高校は画塾などの予備校いらずの学校ではない。他の高校よりも芸術系大学へ進みたい子が多い学校である。
そういう環境で磨かれた結果、東京芸大に受かる生徒も出てきているのだ。

東京芸大は受験準備だけでも百万前後のカネが必要になる。
特に音楽学科の受験生は、個人レッスンを依頼したりするから毎月カネがかかるのだ。

東京芸大に入れば人生安泰なんてことはない。
卒業するだけならただの人。しかも一般企業からは音楽学部は敬遠されることもある。
大学卒業後のことも考えて、高校受験を考えてほしい。

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