授業が始まりました。
今日取り上げるのは、たったこれだけです。
ある ところに、小さな うちが ありました。
うちの まわりに 小さな はたけが あって、
やさいが うえて ありました。
げんかんの そばに、
いつも、つりざおと 小さな ながぐつが ありました。
はんたいがわの まどの 下に、いすが 一つ ありました。
まず、
ある ところに、小さな うちが ありました。
を読みます。
そして、黒板にこんな絵を描きます。
子どもたちが
S「違~う!!」
S「先生、これじゃあ、大きな家だよ。」
S「小さな家って書いてあるじゃない。」
S「もっと、小さく書いてくれなくちゃ、ダメじゃん。」
そこで、すかさず
T「証拠はあるの?国語だから、文の中から証拠をさがさないといけないよ。」
と言います。
S「『小さな うちが ありました。』って書いてあるよ。」
S「ここだよ、ここに書いてあるよ。」
T「その中の、どの言葉が証拠なの?」
S「小さなだよ。」
S「小さなうち、だよ」
T「そうか、小さなって書いてあるね。確かに探したら証拠が見つかったね。」
T「みんなは、証拠がすぐに見つけられてすごいね。」
T「じゃあ、書き直すね。」
T「これなら、いいかい?」
S「いいよ。」
T「やっぱり、文をちゃんと読むと、どういう家かよく分かるね。」
T「じゃあ、もう少し先まで読んでみようね。」
ある ところに、小さな うちが ありました。
うちの まわりに 小さな はたけが あって、
やさいが うえて ありました。
T「畑って、この家のどこにあるの?」
と聞いてみました。
子どもたちからは、この5つの意見がでました。
さらに
S「2の意見は、違う。」
S[それじゃあ、家から出られない。」
S「玄関の所に、家に入る道がないと行けない。」
という、大合唱があり、絵はこのように修正されました。
T「これで、良いの?納得した?」
S「いいよ。」
とりあえず、この5つの中のどれが良いか多数決をとってみます。
その結果、大部分が2を選び、数人が5を選びます。
T「意見の無かった、1、3、4は消しても良いですか?」
S「いいです。」
T「このどっちですぁ?」
S「はい、はい、はい、はい・・・・」
S「2です。」
S「ぼくも、○○さんと一緒で、2です。」
S「私も、○○さんと、△△さんと同じで、2です。」
T「ちょっと待ってね。友だちの意見をちゃんと聞いていて偉いけれど、今は国語の時間だから、文の中から証拠を見つけてくださいね!!」
S「はい、『家のまわり』って書いてあるから、2です。」
S「僕も、「家のまわり』って書いてあるから2です。」
T「『家の』なの、『まわり』なの? どっちの言葉が証拠なの?」
S「まわりです。」
T「なるほど、証拠が見つかったね。」
T「でも、まわりってなあに?」
S「丸いこと。」
S「すぐ近くっていうこと。」
S「すぐ近くで、丸いってこと。」
ここで、予定では『まわり』を使って、短文を作らせることにしていました。
が、
T「『まわり』を使った短文を作ってね!」
と発問したところ
?????????????????
短文作りなどしたことがないのです。
短文作りを通して言葉の理解をさせるという手立てが挫折してしまいました。
そこで、動作化で言葉の意味をハッキリさせることにします。
T「まわりの勉強をしましょう。」
T「この通りの人たち、先生のまわりに集まりましょう。」
T「なるほど。まわりってこういうことなんだ。」
T「じゃあ、次の通りの人たち、この机のまわりに集まりましょう。」
T「なるほど。まわりってこういうことなんだ。」
T「じゃあ、次の通りの人たち、このオルガンのまわりに集まりましょう。」
T「これで、まわりの意味がよく分かったね。」
S「うん、やっぱり、何かの近くに丸くなるって事だね。」
S「小さい丸になることだね。」
ここで、もう一度、畑はどこにあるかの多数決をとります。
全員が2を選ぶと思ったのですが、
5の意見の子が一人います。
彼の意見を聞いてみます。
S「あのね、まわりは分かったけれど、小さなって書いていあるでしょ。2では大きいよ。」
なるほど、最もです。
そこで、さらに絵を描きます。
畑はどっち?
今度は全員で
S「1の絵!!」
と小さい畑を選びます。
T「まわりって言う言葉も大切だけど、小さなという言葉も大切だって分かったね。」
T「じゃあ、ここまで、もう一度読んでみよう。」
ある ところに、小さな うちが ありました。
うちの まわりに 小さな はたけが あって、
やさいが うえて ありました。
T「だめ、ダメ。それじゃあ、今の勉強が生きていないよ。」
T「小さなが大事って分かったから、小さなを小さな声で読まなくっちゃ!!」
ある ところに、小さな うちが ありました。
うちの まわりに 小さな はたけが あって、
やさいが うえて ありました。
子どもたちの読みが、生き生きとしてきます。
わくわく、楽しそうに読み出します。
T「わあ、だんだん、読みが本物らしくなってきたね!!」
T「じゃあ、もう少し先に行くね。」
うちの まわりに 小さな はたけが あって、
やさいが うえて ありました・・・・
と言いながら、畑の上にリンゴとミカンを書き入れます。
S「ちが~う。」
S「リンゴは、野菜じゃない。」
S「みかんも、野菜じゃない。」
S「野菜って書いてあるじゃない。」
T「野菜って、なあに?」
S「野菜類ってこと。」
S「野菜の仲間って事」
S「例えば、人参とか..」
S「例えば、大根とか...」
S「例えば、トマトとか...」
S「例えば、ピーマンとか....」
S「例えば、キャベツとか...」
S「そういう、野菜類のことが、『野菜』ってことばだから、リンゴやミカンはだめだよ。」
S「リンゴや、ミカンは果物だよ。」
T「なるほど、そういう野菜を、だれが植えたの?」
S「おばあさん!!」
T「よし、もう少し先に行こう。」
T「『小さな』が何度も出てくるから、気を付けて読んでね!!」
ある ところに、ち い さ な うちが ありました。
うちの まわりに ち い さ な はたけが あって、
やさいが うえて ありました。
げんかんの そばに、
いつも、つりざおと ち い さ な ながぐつが ありました。
はんたいがわの まどの 下に、いすが 一つ ありました。
S「また、小さながあったよ、」
S「今度は、小さな長靴だね。」
T「いつもってなあに?」
S「毎日ってこと。」
S「いつでもってこと。」
S「雨の日でも、雪の日でも、それから晴れていてもっていうこと。」
S「毎日、ねこが釣りに行くんだよ。」
S「だから、毎日持って行けるようにおいてあるんだ。」
T「ところで、小さな長靴はどこにあったの?」
T「1 げんかんの横」
「2 げんかんからちょっと離れたところ。」
「3 げんかんなら、離れたところ。」
S「げんかんのすぐ横だよ。」
S「証拠は、『そば』だよ。」
S「そばって、すぐ近くという意味だよ。」
S「2や3だと、玄関のすぐ近くじゃないからちがうんだよ。」
.......
こうして、あっという間に1時間が過ぎます。
すごい授業を期待された皆さん、ごめんなさい。
こんな当たり前の授業しか出来ませんでした。
でも、全員が発表したし、子どもたちの発言が途切れずに続きました。
「周り」「小さな」「野菜」「いつも」「そば」の言葉が身につきました。
授業の終末
T「じゃあ、最後に、だれか2人組で、今日勉強したところを読んでくれますか?」
T「聞いている人たちは、劇場の観客みたいになって、し~んとして、注目して聞いてね!!」
T「主役の二人が目立つようにしてあげてね。」
ある ところに、ち・い・さ・な うちが ありました。
うちの まわりに ち・い・さ・な はたけが あって、
やさいが うえて ありました。
げんかんの そばに、
いつも、つりざおと ち・い・さ・な ながぐつが ありました。
はんたいがわの まどの 下に、いすが 一つ ありました。
代表が、素晴らしい読みをしたところで
「終わりましょう!!」
代役の、参観会の授業が終了です。
浜松授業研究の会の御案内をいたします。 | |||||||||||||||||||||
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1年生の子どもたちの言動がいきいきと伝わってきます。よい授業ができてよかったね。
子どもたちや保護者に感想を書いてもらうとよかったね。