長旅のまえに

好きなだけ、存分に、思ったまま、怒涛のように書こう

それも才能

2023-12-14 13:43:30 | 日記
昭和30年代の夜の銀座で「狙った女は必ず落とす」と評判のお客さんがいたんだよと叔母が言った。

確かに明るくてちょっと見のいい男さ。
凄い美形より女受けがいいのは納得だったんだけどね。
私の客でもないしホステスにあれこれ言われても怒るタイプじゃなかったから単刀直入に聞いたのさ。

「絶対に落とせるわけ?」ってね。
落とせるって笑ってたわ。
そして言ったの。
「あのな、俺はねこの女は俺に落ちるってのがかぎ分けられるんだ。
落ちない女は狙わない。あんたなんかは最初から狙わないさ。落ちないだろ?」

周りがいくらあの女は無理だと騒いでもなぜか、大丈夫おとせるってわかるんだよな。
あっけらかんと話す様子が腹立たしいような、これだから鉄壁のホステスも落ちるのかと思ったような、さ。
火野正平がちょっと頭を掠めた。





まとめ買いもなぁ

2023-12-14 07:36:53 | 日記
今朝は日本茶。
甘い飲み物を毎日飲んでたら飽きたみたいだ。
ドリップでコーヒーを淹れてた時は飽きなかった。
朝の儀式のような厳かな気さえした。

今はもうないけれど焼き鳥をメインにした居酒屋があった。厳かな店であった。
下戸の私ではあるが焼き鳥の持ち帰りができたので時々、寄った。
80代と 60代のご夫婦のお店だった。

店内はさつぱりきちんと片付いてカウンターに酒瓶が並んでなけれは古いオフィスのようだ。
お酒が入るのだから賑やかではあるのだけど誰も羽目をはずさない。
どこかしんとした佇まいの店内なのだ。

マスターの料理は何気ないが美味しかった。
たらこ茶漬けが忘れらない。

ママは愛想のよい人だったがマスターは常連客が一年に三回しかわらわないんだよなぁとよく言っていた。

さっと飲んでさっと帰る。
好きなつまみで夕飯もここで済ます。
そんなファンもいたことだろう。
喫茶店のごとくカウンターの隅で読書していても誰も責めない、そんな雰囲気だった。

ママは40代、マスターは20代のとき結婚して居酒屋を始めたのだと言う。
ホステスとホストだったのだとも聞いた。

「影のあるいい男だったわよ。でもね、なんか病的なほどコミュニケーションがとれなくて無口なの。浮いちゃうのよね。かわいそうになっちゃった」

そんなこんなで結婚に至ったらしい。
まだ一度も寝たことないのよね。
死ぬまでなさそうと80代のママはさらりと笑う。

60代のマスターは確かに美しい男だったことだろう。
よく働くがどこか人間界に馴染めない異界の者のようでもある。

どちらにしろあの二人の「縁」は鮮やかに深いのだろう。
愛や恋とも違うのかもしれないけど。