長旅のまえに

好きなだけ、存分に、思ったまま、怒涛のように書こう

素直に味わう

2023-12-23 13:40:26 | 日記
越前そばが届いた。
美味しい。大好きだ。
と、手放しで絶賛したいが嫁姑話が絡むと素直にそうは言えない。

姑は越前うまれの越前育ち。
もちろん、越前がご自慢だった。
私も越前を美しいと思う。
一乗谷などため息とともに吸い寄せられた。
こりゃ、朝倉氏がお家に帰りたい病にとりつかれても仕方ないとさえ思う。

けど、けどなのである。
東京なんて京都から遠いし洗練されてないとかは言わないでほしいものだ。
あんたはお公家さんか?
お公家さんだって口にだして相手を貶めまい。

ここには紫式部も暮らしてたんだと自慢する。
関東のうどんは黒くて不気味で品格がない。
蕎麦汁は塩辛い。
越前蕎麦は最高だと褒め称える。

越前蕎麦を食べる度に美味しいなという気持ちと沸き上がってくる悔しさ。
素直にただもう美味しいなと味わえればいいのに。
江戸の蕎麦も信州の蕎麦も越前の蕎麦も日本の誉れではないか。
美味しいものはどこにあっても嬉しく、楽しく、美味しく愛でたい。

いや、私の心が素直になればすべて解決するのか、だよね。
姑ももう彼岸の人となった。







リトアニアリネン

2023-12-23 10:18:42 | 日記
冬の日の快晴。
たいした量の洗濯物もない。
洗濯機を回すのも勿体ないなと思う。
でも竿いっぱいに広げて大好きなリネンクロスを干したい。

リトアニアリネンは色が綺麗だ。
すぐに乾く。
台所のシンク脇にフックで引っかけて使っている。

食器を洗っていると大判リネンのクロスはえらく邪魔だ。
邪魔は本音なのだが古るびた台所に色どり美しいこのキッチンクロスがあることが私の幸せ心を満たしてくれる。

青い空と大好きな冬の大気のなかに竿いっぱいに広げて干す。
何が楽しいの?と誰かに聞かれてもそれは理屈ではない。

私は楽しい。

叔母の初恋

2023-12-23 06:46:51 | 日記
おにいちゃんは一回り年上だった。
私はいつから恋してたんだろうね?
チビスケの頃からなのは確かだね。

おにいちゃんは上智大学に行ったんだよ。
そこしか入れなかったのさ。
今は知らないけどあの当時は戸籍書類を提出するからね。
おにいちゃんは芸者の私生児で認知もされてない。
だからどの大学からも門前払いだったんだ。
私生児はお断りの時代だった。

だけどね、キリスト教の理念のもと上智大学だけは皆が公平であるってんで入れたんだよ。

大学は私生児だからって入れなかったのに社会に出たら
「あの方の息子さん」ってことで出世街道をばく進できた。
若い頃は純粋にそんな世の中に傷ついてたおにいちゃんもさ、なんか図太くなったよ。

「俺は親父よりたくさん女を作ってやる。親父を越えてやる」が口癖になってた。
本気なのか自虐なのかわかんないけど確かに女癖は悪かったよ。

おにいちゃんの母親が亡くなって何回目の法事だったかな。
おにいちゃんが指差して言ったんだ。
「あそこでさ、休んでこうよ」
それはご休憩はご休憩でもラブホテルだった。

おにいちゃんの頭ひっぱたいてプリプリしながら帰って来たよ。
後ろから「おーい、そんなに怒るなよ」っておにいちゃんの笑い声が聞こえたけどね。

初恋の思い出はぶち壊しだよ。
あれからおにいちゃんには会ってない。
法事にも行かないしね。
でもさおにいちゃんの記憶の中の私は綺麗な女のままなんだと思うと嬉しいんだよ。

女心は複雑である。