越前そばが届いた。
美味しい。大好きだ。
と、手放しで絶賛したいが嫁姑話が絡むと素直にそうは言えない。
姑は越前うまれの越前育ち。
もちろん、越前がご自慢だった。
私も越前を美しいと思う。
一乗谷などため息とともに吸い寄せられた。
こりゃ、朝倉氏がお家に帰りたい病にとりつかれても仕方ないとさえ思う。
けど、けどなのである。
東京なんて京都から遠いし洗練されてないとかは言わないでほしいものだ。
あんたはお公家さんか?
お公家さんだって口にだして相手を貶めまい。
ここには紫式部も暮らしてたんだと自慢する。
関東のうどんは黒くて不気味で品格がない。
蕎麦汁は塩辛い。
越前蕎麦は最高だと褒め称える。
越前蕎麦を食べる度に美味しいなという気持ちと沸き上がってくる悔しさ。
素直にただもう美味しいなと味わえればいいのに。
江戸の蕎麦も信州の蕎麦も越前の蕎麦も日本の誉れではないか。
美味しいものはどこにあっても嬉しく、楽しく、美味しく愛でたい。
いや、私の心が素直になればすべて解決するのか、だよね。
姑ももう彼岸の人となった。