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伊那谷の境界域から見えること、思ったことを遺します

花籠

2020-09-21 23:07:54 | 民俗学

 

 「花籠」について『日本民俗大辞典』(2000 吉川弘文館)には次のように記されている。

 葬具の一種で、多くの場合、割竹で籠を編み、編み残しの割竹の部分を長く残して束ね、放射状に広げたもの。これを竹棒の先につけ、残したひごには、花型や三角などに切った色紙を張り付ける。籠の中には紙吹雪や小銭を入れ、葬列の途中などでこれを振る。高齢者の葬儀の場合、長寿にあやかろうとこの小銭を争って拾うという地域もある。(後略)

 この表現を読んでイメージできる人は、花籠を見たことがある人である。この花籠、義理の祖父の葬儀の際に振られた記憶がある。さらに近年では義父の葬儀の際に、「花籠」とは言いがたいが、籠に小銭を入れて会葬者に持って帰ってもらった。明らかに「花籠」の名残りである。『日本民俗大辞典』にもあるように、長寿にあやかろうとする意図であることは確か。

 民俗の友人に誘われて、伊那市下川手の公民館脇の堂に付随した倉庫に納められていた葬儀道具を見させてもらった。公民館立て替えのため、堂を解体するということで、葬儀道具も処分されるということで、処分される前に確認させてもらったわけである。この道具がいつごろまで使われていたのかははっきりしないが、使われなくなって久しく、その存在を知る人も少なくなっているよう。倉庫の中には、葬儀道具のみ納められていることから、そのために造られた空間とわかる。平成初期の封筒が道具とともに保管されていたことから、最後に利用されたのは30年くらい前なのだろう。以来この空間に明かりが入ったことはほとんどなかったのだろうが、比較的乾燥している場所だっただけに、時を経ても黴が出ていることなく、よく保存されていた。

 道具が納められた木箱の中に、ミスズ竹で編んだと思われる花瓶がいくつも納められていて、花籠代わりに使われたもの、と想定したが、それにしては冒頭の説明にある花籠とは形状が異なる。葬列に加わる「持ち花」をこれに入れて送ったのかどうか、イメージに合わない感じだ。とすると、「花籠」なのか、とも思うが、これに花を入れても深すぎて花をまくにはひっくり返すしかない。篭の上に吊るすように紐が付けられているから、竹の先に吊るしたように考えられる。果たしてどのような使われ方をしたものか。ちなみに木箱に葬列の順が記されていた。

先導
先大旗(赤)
先灯篭(2本)
先小幡(白、2本)
先花籠(2本)
先幡
先竜頭(さきたつがしら)
奠湯(てんとう)
奠茶(てんちゃ)
遺影
野掛(のがけ)
香炉
霊膳
位牌
霊棺(れいかん)
棺付(かんつき)
天蓋
紙華(しか)
墓標
後竜頭
後幡(あとはた)
後花篭
後小幡
後灯篭
持ち花
後大幡

 

龍頭


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