弁護士辻孝司オフィシャルブログ

京都の弁護士辻孝司のブログです
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シンプルに話そう! ~弁護技術を生活に Vol.16~

2012-11-20 22:40:37 | インポート

       

「それでは、早速ではございますが、まずは、私のほうから、こういったあたりの問題点につきまして、ご説明をさせていただきたいと思っております。」

 

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はじめて法廷に来た裁判員

裁判のことも、法廷のことも、事件のこともわからず、

多くの傍聴人を前に緊張しています。

そんな裁判員に、冒頭の文章ように語りかけたら、ますます混乱してしまうでしょう。  

法廷で話をするとき、シンプルで、わかりやすい表現をしなければなりません。

  

「この問題点について説明します。」

言いたいことは、これだけの言葉でも十分に伝わります。

  

ところが、世の中には冒頭のような複雑な言い回しをする人がたくさんいます。

どうして、そんな言い回しをしてしまうのでしょう?

人前で話すときには特別な言葉遣いがある

敬語を使わないといけない

婉曲に言う方が品がいい

どうやら、そんな風に考えて、多くの人が複雑な言い回しを自然に使っています。

  

しかし、それは誤解。

複雑な言い回しをすると、わかってもらえない、伝わらないというだけでなく、

何か不都合なことがあるから誤魔化そうとしているのではないかと疑われたり、

早く本題に入れよ!と怒りを買ってしまうこともあります。
(心の中で怒った経験のある人は多いと思います。)

出来る限り無駄な表現を削ぎ落としてシンプルに話すことこそ、
聞き手のことをいちばん考えた、親切で、わかりやすく、優しい表現なのです。

そして、聞き手に、力強さ、自信を感じさせることも出来ます。

      

「もうすでにあなた様はお亡くなりになっておられるのではないかと、私は考えさせていただいております。」

ではダメですよね。

やっぱり、

「おまえはもう死んでいる。」 ですよね! 

あたたたたたーーーーーーーっ!!

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これからの忘年会シーズン。

人のスピーチを聴いたら、無駄な複雑表現を探してみてください。