刑事司法への被害者参加をテーマとしたサイドイベントにも参加しました。
正式タイトルは、「Victim’s Participation for Criminal Proceedings and Access to Justice」
望月晶子弁護士(日弁連犯罪被害者支援委員会、NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMI代表理事)
Aarne Kinnunen氏(フィンランド法務省)
Sami Nevala氏(EU Agency for Fundamental Right⦅FRA⦆自由と正義部門統計・調査部長)
Michael O’Connell氏(世界被害者学会事務局長、オーストラリア)
の4名がスピーカーで登場しました。
望月弁護士からは、日本における被害者支援・被害者参加制度の歩み、被害者参加制度の仕組み、被害者参加に対する経済的支援、弁護士の関わりなどが紹介され、この10年で被害者参加の件数、そこに関与する弁護士の数が大きく増えてきたことが説明されました。
そして、被害者参加への経済的支援について、裁判での被害者参加については国選(政府による支援)があるものの起訴前の段階、判決後の段階においては公的支援がないこと、日弁連が$1.65millionを拠出しているのに対して、政府は$1.10millionにすぎず支援のための国費が不十分であること、日本の被害者参加制度はいまだ一部の重罪に限られていること、すべての被害者が弁護による支援を受けられているわけではなく、まだまだ被害者の支援が行き届いているわけではないとの問題が指摘されました。最後に、弁護士であり、被害者遺族である岡村勲弁護士の功績を紹介され、すべての被害者を支援していきたい、Attorney’s support for all victms! と締めくくられました。
Aarne Kinnunen氏は、フィンランドにおける被害者のための政策、EU Victim’Rights Direcitive(EU被害者の権利に関する指令)、イスタンブール条約の紹介がありました。
フィンランドでは、法務省が資金提供し、ヴィクティムサポートフィンランドというNGOに委託して被害者支援事業を行っているということでした。
また、被害者支援事業のための資金調達のため、有罪判決を受けた犯罪者から刑罰賦課金を徴収する制度、被害者が国によって人身傷害の補償を受ける制度、幅広い法律扶助制度など、日本にはない制度も紹介されました。
Sami Nevala氏からは、まず、EUにおける被害者の権利に関する法制度が紹介されました。
ただ、EU加盟国内でも、それらの法制度はまだ十分には徹底されておらず、被害者の権利が認められていても、実践されておらず、法的措置、法律以外の措置が必要であるとの問題が指摘されました。
また、FRAによる興味深い調査結果が報告されました。
調査は、身体的暴力の被害者に関するものです。
その調査結果によれば、身体的暴力を受けた被害者のうち64%の人が警察等の機関に通報をしておらす、その結果、被害者保護、支援の機会が失われてしまっているということでした。
EUにおける今後の課題として、被害者の権利に関する意識の向上、情報の通知、安心して通報できる環境づくりなど、被害者が声を上げることができるようにすることが必要であると指摘されました。
Michael O’Connell氏からもオーストラリアにおける犯罪被害者の権利の状況について報告があり、南オーストラリア州でのコミッショナー(被害者の適切な代理人)制度の紹介がありました。
報告の最後は「Justice denied anywhere diminishes justice everywhere.(どこかで正義が否定されると、あらゆるところで正義が弱体化する)」とのキング牧師の言葉で締めくくられました。