弁護士辻孝司オフィシャルブログ

京都の弁護士辻孝司のブログです
弁護士の活動、日々感じたことを弁護士目線でレポートします
弁護士をもっと身近に・・・

取調べの可視化

2012-04-20 13:50:03 | インポート

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厚生労働省の職員の方に無罪判決が出たと大きく報道されています。               

捜査段階では、何人もの関係者が検察官に対して、

その職員の方が事件に関与したと供述しました。

それなのに、みんな、裁判では関与していなかったと証言を翻したのです。

    

どうしてこんなことになったのでしょう?

 

警察や検察での取り調べは、密室の中で、捜査官と取調べを受ける人だけで行われます。

逮捕されていると、朝から晩まで、最長23日間も、密室の中で取り調べられます。             

そして、犯人であると決めつけられて、

いくら弁解をしてもすべて否定されて、言い分を聞いてもらえない。

ひどいときには、家族もおまえが犯人だと言っている、おまえはクズだなどと

暴言を浴びせられ、机やイスを蹴ったり、殴ったりもされるようです。

Kyouhaku

   

事件のことを何も知らなくても、捜査官が巧みに誘導して、

全く経験もしていない事件をあたかも経験したかのような調書が作られ、

これにサインしておけば罪が軽くなると言われることもあります。

 

そういう取り調べの中で、無実の人でも、絶望してしまい、自暴自棄になり、

ウソの自白をしてしまうのです。

 

近時でも、志布志事件、氷見事件、足利事件、布川事件という無罪事件では、

いずれもウソの自白がありました。

死刑判決に対する再審請求が問題になっている袴田事件でも、

捜査段階ではウソの自白がされています。

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本来、誘導や、脅迫、暴力によって得られた自白は、

”任意性” がないとされて、証拠とすることはできません。

    

ところが、取り調べが密室で行われているため、

裁判でいくら主張しても、裁判官にはわかってもらえません。

    

裁判官は、何もしていない無実の人が、わざわざ自分が罪に問われるような不利なことを

言わないだろうと単純に考えてしまうのです。

   

こうしたことを防ぐためには、密室での取調べをすべて録画しておいて、裁判になってから、

取調室でどんなことがあったのかを検証できるようにしておくことが必要です。     

  

 公正な裁判のために、取調べの可視化が一日も早く実現されなければなりません。

  

Komorebi1

    


法廷プレゼンテーション

2012-04-20 13:49:41 | インポート

   

裁判員裁判が始まって、

     弁護士もプレゼンテーションが必要といわれています。

   

でも、プレゼンテーションっていったいなんでしょう?

多くの弁護士は、原稿を見ないで、アナウンサーのように流ちょうに、

身振り手振りを付けて話すことだと思っているようです。

パワーポイントを使うことがプレゼンテーションだと思っている人もいます。

 

しかし、そうしたことは、プレゼンテーションの一つの方法にしか過ぎません。

 

   

Present1_4   プレゼンテーションは、文字とおりに ”プレゼント” です。

  話を聞いてくれている人への ”プレゼント” なのです。

 

 恋人へのプレゼントを選ぶとき、

     何をあげたら いちばん喜んでくれるかを考えるでしょう。

    

  裁判員に語りかけるときも同じです。                                   

 裁判員がいちばん聞きたいことをプレゼントしなければなりません。  

   

  

  

弁護人があげたいもの(言いたいこと)ではなく、

裁判員が欲しいもの(聞きたいこと)を語ること・・・

それが一致すれば、

弁護人は、依頼者に最高のプレゼントを贈ることができます。

   

KBS京都テレビ司法制度改革特番のドラマに検察官役で出演しました。

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YouTube: 2012年3月10日(土)午後7時~KBS京都「裁判員制度検証特別番組」のご案内

   

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【資格等】

NPO法人国際プレゼンテーション協会 理事
IPS認定 2級プレゼンテーター
IPS認定 インストラクター

【著書等】

共著:「入門・法廷戦略~戦略的法廷プレゼンテーションの理論と技術~」


裁判員制度

2012-04-20 13:49:06 | インポート

Temis

    

   

(1) 裁判員制度とは?

(2) 裁判員制度に期待されるもの

(3) わかりやすい裁判

(4) 裁判員に選ばれたら?

(5) 弁護士辻 孝司の取り組み

                                  

                               

(1) 裁判員制度とは?

   

裁判員制度は、一般市民から選ばれた裁判員が、裁判官と一緒になって、

刑事事件について被告人が有罪なのか無罪なのか、

有罪だとすればどのような刑にすべきかを判断して判決を下す

という新しい刑事裁判の制度です。

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(2) 裁判員制度に期待されるもの

 

裁判員制度には、二つの重要な意義があります。

「民主主義の実現」 と 「刑事裁判の再生」 です。

  

「民主主義の実現」

市民が、国家機能の一部である裁判に参加するということは、民主主義そのものです。
  

France_2 フランスでも市民が裁判に参加する制度がありますが、それは、

フランス革命の際に生まれました。

国王による不公平な裁判を打ち砕いたのです。

 

裁判という国家権力の行使に市民が参加する裁判員制度には、

市民によって国家権力の行使を監視するという重要な意義があります。

   

「刑事裁判の再生」

もうひとつの意義は、「絶望的」とまでいわれている日本の刑事裁判を

再生するための起爆剤となりうるということです。

   

刑事裁判では、「無罪の推定」という大原則があります。    

しかし、日本の刑事裁判では有罪率99.9%

裁判になってしまえば、被告人は自ら無実を証明できない限り、

無罪にはならないという悲惨な現状があります。  

 

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本来、刑事裁判では、検察官が有罪であることを合理的な疑いという高い

ハードルを超えて証明しなければ有罪にはならないはずです。

ところが、実際の裁判では、被告人・弁護人が無実であることを

裁判官に確信させなければ無罪とはならないのが実情です。

 

       
Hitojiti また、「人質司法」と言われるほど、安易に逮捕・勾留が行われ、

自白しない限り保釈も認めてもらえないという状況があるため、

憲法で認められている「黙秘権」を行使することもままなりません。

被疑者・被告人になると常に自白を強要されることとなります。

  

         
こうした刑事裁判の問題を打開するためには、誰よりも、裁判の主宰者である

「裁判官」が変わらなければなりません。 

しかし、「裁判官」は長年の経験と蓄積、伝統、そして官僚組織体制のために

身動きがとれず、容易に変化することはありません。

      
 

でも、裁判員が加われば、必然的にこれまでの悪しき慣習に疑問が呈され、

市民の純粋かつ常識的な判断によって、刑事裁判が行われることになるはずです。

裁判官も、裁判員の視線、感覚を意識して、変わらざるをえません。

  

裁判員制度は本来の裁判の姿に取り戻す契機となります!

   

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(3) わかりやすい裁判

    

これまでの裁判は、検察官と弁護人が裁判官に対して話しかけています。

つまり、法律の専門化同士で裁判が行われてきました。

したがって、そこで交わされる言葉は、法律の専門用語を駆使したものとなります。

   

また、職業として法廷を主宰する裁判官には、検察官や弁護人が何を言おうとしているのか、

その意を汲み取って、理解することまで期待されていると言えます。

 

理解できないのは法律専門家のくせに勉強不足だと、

その理解できない人間が非難されます。聞き手に理解すべき責任があるのです。

    

ところが、一般市民である裁判員を同じように非難することはできません。

もし、裁判員が理解できないことがあるとすれば、それは、

裁判員に対して話しかけた法律専門家の話し方、説明の仕方が悪いのだと

非難されることとなります。

    

一般市民である裁判員に、自分の意見を受け入れてもらおうと思えば、まず、

裁判員にわかりやすい論理を、わかりやすい言葉を使って、わかりやすく説得的な方法で、

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語らなければならないのです。

そして、長時間の裁判でも、裁判員に飽きさせることなく、

審理に集中してもらえるように工夫することが必要です。

   

                                                  

(4) 裁判員に選ばれたら?

   

① 自分の意見をきちんと言いましょう。

  

これまで裁判に何の縁もなかった一般市民が、初めて裁判に臨むために

何が必要とされるのでしょうか。

    

裁判員裁判が、あえて、法律専門家ではない市民に裁判に参加してもらう制度である

ということを考えれば、専門的な法律知識を準備するようなことは

全く期待されていないというべきです。     

  

いや、もっとはっきり言えば、むしろ専門的な法律知識は邪魔とされているのです。

(法律では、法律専門家は裁判員になれないこととされています。)

   

裁判員は、これまでの生活で身につけた常識、経験則のみを拠り所として、

それぞれが心の中に持っている自分の基準、価値観にしたがって判断すればいいのです。

 

Iken_2 そして、裁判では、その自分の意見を、自信を持って言うことが

何よりも大切なのです。         

もしかすると、自分の意見の理由をうまく説明できない

かもしれません。

   

しかし、それは、これまで討論などしたことのない、ほとんどの一般市民にとっては

むしろ当然のことです。

「理由をうまく説明することはできないけれども、でも、そう思うんです。」

そう言うだけで十分です。

  

その理由を、裁判員からうまく聞き出すのは裁判官の仕事です。

裁判員が理由をうまく説明できるように、理由の説明の仕方を教えるのは

検察官、弁護人の仕事です。 

 

裁判員は、自分の思うとおりの意見を言うことが大切なのです。     

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② 刑事裁判の基本ルールを知っておきましょう。

    

裁判員には法的知識が無用だと言いましたが、それでも常識として、

最低限知っておいてもらわないといけない刑事裁判の基本ルールがあります。

 

サッカーでは手を使ってはいけない、野球ではバットでボールを打つというのと同じように、

刑事裁判にも基本的なルールがあります。

  

「無罪推定の原則」  「無辜の不処罰」  という2つのルールです。

   

刑事裁判では、被告人は無罪であることが推定されています。

裁判を受ける段階では、まだ被告人は無罪なのです。

検察官が、被告人が有罪であることを 「合理的な疑いを超えて証明」 できない限り、

無罪とされなければなりません。

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「合理的な疑いを超える証明」 というのもわかりにくい言葉ですが、

もし、すべての審理を終えて、有罪なのか、無罪なのか

迷いが残るようなことであれば、

それは無罪にしなければならないということです。 

    

はっきりしないのであれば、被告人に有利に判断しなければならないのです。

   

そして「無辜の不処罰」 とは、たとえ10人の犯罪者を処罰できないこととなっても、

万が一にも、たとえ一人でも絶対に無罪の人を処罰してはならないというルールです。

  

こうしたルールは、これまでの長い歴史の中で人類が多くの過ち繰り返してきた結果として

生まれてきました。

多くの罪のないの人たちが、有罪とされ、自由や命を奪われてきたのです。

そのような過ちを繰り返さないために、人類が悲しい歴史の末にたどり着いた英知が、

「無罪推定の原則」 「無辜の不処罰」 というルールなのです。

    

残念なことに、この刑事裁判の基本的なルールは、

今の刑事裁判で守られているとは必ずしも言えません。

裁判を受けることとなれば、有罪と推定され、99.9%が有罪とされてしまうのが現状です。

   

裁判員裁判に期待されるのは、刑事裁判が本来のルール、

人類の英知を再確認し、そのルールにしたがって裁判をすることです。

                                                                                                                                 

(5) 弁護士辻 孝司の取り組み

   

裁判員裁判での、わかりやすい裁判を実現するため、

法廷プレゼンテーションの研究・実践に取り組んでいます。

NPO法人国際プレゼンテーション協会、立命館大学「法と心理研究会」

などの協力を得て、法廷プレゼンテーションを研究し、

裁判員裁判に備えています。

  


裁判員の気持ちを惹きつけ、理解してもらい、説得し、賛同を得ることは、

これまでのような法律専門家だけを対象とした弁護活動では対応できません。

 

弁護人は、裁判全体の構成、シナリオ、表現方法等の戦略を立てて、

裁判に臨まなければなりません。

これまでに日本の弁護士が誰も経験したことのない新たな法廷戦略を立て、

新たな説得技術を磨かなければなりません。

   

裁判員裁判に対応したプロフェッショナルの弁護活動を提供します。

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刑事弁護 ~ なぜ犯罪者を弁護するのか? ~

2012-04-20 13:41:25 | インポート

   

本当に悪いことをしたかどうかはわかりません

  

警察に逮捕されても、新聞で犯人のように書かれていても、

その人が本当に犯人かどうかは裁判で有罪となるまではわかりません。

それどころか、裁判でも間違えて、無実の人を犯人としてしまうことがあります。

    

そんな間違いが決して起こらないように、弁護人が必要なのです。

          

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悪いことをした人でも法律に基づいて正しく裁かれなければなりません。

   

どんな犯罪を犯した人でも、法律に基づいた公正な手続きで裁かれなければ、

私たちは裁判を信頼することができなくなってしまいます。

  

公正な手続で裁判が行われているか、

            チェックするために弁護人が必要なのです。

       

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真実に近づくために。

   

警察・検察といった捜査機関は、犯罪を摘発し処罰を求めることが役割です。

しかし、犯人を追及する立場の捜査機関側の言い分だけを聞いていたのでは、

決して、真実はわかりません。

事件に、様々な角度から照らすことによって、はじめて、真実が浮かび上がってきます。

 

事件の本当の姿を知るために弁護人が必要なのです。

   

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京都産業大学法科大学院

2012-04-19 16:33:39 | 受験・学校

京都産業大学法科大学院で春学期が始まり、今年度初めの講義をしてきました。

科目は「刑事訴訟実務の基礎」

今日のテーマは、刑事弁護の心構え、国選弁護・当番弁護士制度、被疑者との接見でした。

興味を持って参加し、熱心に質問してくれました。

この学生の中から将来の法曹が生まれてくれることを楽しみにしています。

Sandails

http://www.kyoto-su.ac.jp/graduate/pro/lawschool/