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詩と物語を紡ぎます

戻り梅雨、いない蝉、守宮さん

2022-07-13 23:00:00 | daily tsukasa
戻り梅雨、いない蝉、守宮さん

yukari:つかささん!
tsukasa:ゆかりちゃん!
yukari:ああ、また、あめが、ふつてきたようです。
tsukasa:蒸し暑いですね。
yukari:おてんきおねーさんが、もどりづゆ、て、いつてました。
tsukasa:典型的な戻り梅雨の形ではありますね。
yukari:でも、ふべんですね、もどりづゆつて。『めんつゆ』のほうが、つかいかつてが、いいです。
tsukasa:……そうですね。納豆にも使えますものねえ。



tsukasa:ゆかりちゃん!
yukari:つかささん!
tsukasa:蝉の声を全く聞かないし、姿も見ないんだが。
yukari:さあ。ひしよ、にでも、いつてるんじやあ、ないですか?
tsukasa:なら、いいんだけれど。ただ、抜け殻さえ見ないというのが、気になって、ねえ。
yukari:……うわさ、なんですが、えいがの『シン・ウルトラマン』に、でてた、せいじん、は、みんなほんもので、しゆつえんりよう、がわりに、『せみ・てんぷら・ていしよく』を、たべていた、とか、いない、とか。
tsukasa:……ゾクゾクするねえ。
yukari:つかささんも、いかがです?、『せみ・てん・てい』おひとつ。
tsukasa:……遠慮、して、おきます。
yukari:では、おやすみなさい。
tsukasa:おやすみなさい。
owl:……江ノ電は、速いよう!……zzz
yukari:びつくり、した。  
  
yamori:ああ、今夜も魔窟は、平和だねえ、よしよし。







梅雨明け

2022-06-27 16:00:00 | daily tsukasa

梅雨明け


yukari:つかささん!
tsukasa:ゆかりちゃん!
yukari:まくつが、たいへんなことに、なっています!
,

tsukasa:なんですとっ?、31.3℃?

tsukasa:ゆかりちゃん!
yukari:つかささん!
tsukasa:天気がたいへんなことに! 六月なのに関東・甲信が梅雨明けしたと見られるそうです。

yukari:をを、わたくしの、かみさま、ですよ!

owl:あの、つかささん、熱中症対策にはどうしたって、エアコンは欠かせないかと思うんですがね、その一方で節電対策云々と、、、
tsukasa:矛盾してますね。
yukari:どーします?
tsukasa:我々がニンゲンの問題に口を出す義理はありませんよ。
owl:お、クールですね。
yukari:そもそもしょくりょーとか、えねるぎーとか、くそプーチンとマトモにしょーばいした、ことが、うましかだったってことですね。
tsukasa:そう、風の谷ですよ。
owl:♫風の谷のー♬ウマーシカー♫
yukari:……あれ? みなみのそらを、なにか、とんでいる。
tsukasa:なんと、なつかしい!しらけどり、ですよ。
owl:あちゃー、しらけましたよ。
yukari:ニンゲンなんて、ラララーららららら
owl:我々の力では、涼しくはならないってことがよくわかりましたね。
tsukasa:それにしても、しらけどり、よく飛んで来たなぁ、、、

むきつゆ

2020-09-19 23:00:00 | daily tsukasa
 我が魔窟から徒歩五分のところに浄土宗のお寺と観音堂があり、その傍らにはお寺の掲示板が立っている。
 以前は標語みたいなモノとか、お寺の行事案内とか、貼り出されていた気がするのだけれど、今はただ一枚のポスターが貼ってあるだけ。つかさの記憶が正しければもう二年ほども経つような。


yukari:つかささん、むきつゆ】て、なんですか?
tsukasa:?【むきつゆ】
yukari:ほら、【むきつゆ】、て。



tsukasa:……ええと、【生きる力】、ではないですかね?
yukari:えー? 【むきつゆ】て、ひびき、の、ほうが、かわいいのに。
tsukasa:ふむふむ、【生きる力】だと確かに、ちと構えた、ごつごつ感がありますね。
yukari:それに、ゆかり、より、じがへた、ぢゃないですかー。
tsukasa:行書風の文字表記、ですからね、上手下手の基準も変わってきます。
yukari:つかささん、まんねんひつ、かしてください!

 *yukari、心を開いてtsukasaの万年筆を二本の棘で持つ。そして何枚もの紙に【むきつゆ】と書き続ける。その百回目。

yukari:……む……き…………つ……ゆ……!



yukari:こんしんの、【むきつゆ】、です。
tsukasa:ゆかりちゃん、とうとう、やりましたね。
yukari:……はい。

 *見つめ合う、tsukasaとyukari。その視線がtsukasaのエコバッグに注がれる。

tsukasa:……ミスター・オウルに頼まれてた……
yukari:……まつちや・あいす……
tsukasa:……ちゃぷちゃぷ、音がしてるんですけど。
yukari:あ、……あみださんに、よばれてる……、ゆかり、てんそー!

 *Johdoへ逃げたyukari。独り取り残され、頭上にオウルの羽ばたく音を感じて戦慄するtsukasa……。




written 2020/09/19
photographed 2020/09/19

明けない梅雨と猫の昼寝

2020-07-24 21:30:00 | daily tsukasa
 *買い物帰り、どんよりと曇った空を見上げて歩いている、tsukasaとyukari。

yukari:つかささん。
tsukasa:ゆかりちゃん。
yukari:あまぐもあんてなに、はんのうあり、です。とげが【ぴりぴり】するので、かみなりさんがなるかも、です。



tsukasa:ああ、あの辺りの雲、龍神さんの目、みたいですね。あと五分、待ってくださいね。
yukari:にもつを、とらくたーびーむで、ひきます。
tsukasa:ありがとう。

yukari:つかささん。
tsukasa:ゆかりちゃん。
yukari:つゆが、あけません。
tsukasa:そうですね、今年の梅雨は、長いですね。
yukari:どうしたのでしようね。
tsukasa:梅雨がいつ明けたかわからないことは珍しいことではないんですよ。
yukari:ええつ! そうなんですか?
tsukasa:今度ニュースを注意して聞いてみてください。気象庁の発表は必ず「どこそこが、梅雨明けしたとみられる」と言います。これ、あとから天気図を見直して、訂正することがあるからなのです。場合によっては、梅雨入り日も梅雨明け日も不明、なんてこともあり得るんですよ。
yukari:へえー! しりませんでした。

tsukasa:ゆかりちゃん。
yukari:つかささん。
tsukasa:駐輪場でご臨終らしき光景が。



tsukasa:【お猫さまの死体】、が。
yukari:【お猫さまの死体】、ではありませんよ。おねこさまがしたい、ことしてる、だけです。
tsukasa:【死体こと】
yukari:【死体こと】、したいこと。ひるねです。
tsukasa::しかし、ぴくりとも、動きませんぜ。



yukari:よ〜く、ごらんください。おねこさまの、おはな、ひくひく、しておりますよ。
tsukasa:あ、ホントだ、よかった!

 *お猫さま、ふいに目を覚まし、大きな欠伸をする。

つかさとさぼてんの
連歌歌会

tsukasa:むしあつきーぃ、ごごやりすごすーぅ、ひるねねこーぉ、
yukari:したいとみまがうーぅ、つかさなるかなーぁ、

蒸し暑き
午後やり過ごす
午睡猫
つかさ
死体と見紛う
つかさなるかな
ゆかり


 *魔窟の玄関に辿り付いたとき、大粒の雨が降り始める。

yukari:おお! 龍神さんが、待ってくれましたね。
tsukasa:ナイスタイミング、でした。

yukari&tsukasa:ただいまー。
owl:お帰りなさい! ああ、また降ってきましたね……。


photographed
2020/07/22,23,24

written
2020/07/24


布団干し

2020-05-16 21:00:00 | daily tsukasa
♫るーるるるーるー♫
♬きょーもいいてんきー♬

 *魔窟の書斎に突如、光が出現。独特の輪郭が形を成していく。

yukari:じやあああん!【守護霊免許、第二種限定解除、所持!】さぼてんゆかり、こーりん!しやきいいいん!
みなさん、おつはよう、ございました!……つかささん?……おうる?

 *かっと目を見開き、眠っているオウル。

owl:Zzz……Zzz……えへらえへら、江ノ電は新幹線より速いねえ、へらへらへら、……zzZ……zzZ

 *敷きっぱなしの布団。つかさの姿が見えない。

yukari:あら? つかささんはどこへいつたのでせう? おせんたくしないと、いけないつて、ゆうべいつていたのに。(カーテンを開けると物干し竿に干されている洗濯物)……ををつ、してあるじや、ないですか。やるときは、やりますね、ふつふつふつ。これで、おふとんまで、ほしてあつたら、まんてん、なのに。まあ、それが、つかささんの、かわいいところ、ですが。
それにしても、はやおきは、さんもんのとく、ですよ、『みすたー・ぱんち・あみだ』さんから、いいおはなしを、きけました。ようりよくその、しんぴ、こうごうせいのみなもと、につこうが、しんがたころな、を、かつどーていしに、おいこむ、ぱわーを、ひめていた、とは! につこうにあたると、しんがたころなも、『いちころつな』です。おてんとさまは、いだい、ですよ。それでは、
につこう・しようどく
はじめましようか。

 *ゆかり、布団をひょいと二本の棘でで持ち上げ、持ちやすく畳みながら、

yukari:おふとんを、につこう[ひえー、ぐぎばぎっ]しようどく……、ん?、いま、なにか、おとが?、したような。

 *ゆかり、恐る恐る布団揺すってみる。が、何も音はしない。

yukari:……きのせい、でした、か?

 *ゆかり、棘を、十数本伸ばし、布団を竿に掛ける。

yukari:そうそう、はたかないと、ですね。

 *ゆかり、背中の棘で、布団はたきを使いつつ、メインの二本棘で、掃除機をかける。

 ういー〈ぱーん、ぱーん〉ん、がーご〈ぱーん、ぽよん〉[おわっ]ーがー、〈ぱーん、ぱーん〉ういーん、う〈ぽよん、ぽよん〉[あひー]いーん、ごーごーおー、ういー……んんん

yukari:?、なんか、へんなおとが、してますね?
owl:ゆーかーりーちゃーんー……
yukari:うわつ、びつくりしたあ! なんですか、おうる、【志村!、後ろ!】みたいなことして。……あつ、ちようどよかつた。この、そうじき、なんだか、へんなんです、よお。
owl:それどころじゃありません! もっと面妖奇っ怪なことが……。
yukari:めんよー、きつかい、なこと?
owl:物干し竿をご覧なさい。
 *物干し竿を見るゆかり。
yukari:……ええつ?
owl:一体誰が、こんなだいそれた事を。

 *物干し竿にふたつ折りに干されている、つかさ。抜けかけた魂が、『ぴちぴち』と空中を跳ねている。


owl:ああ、魂が抜けてしまう!
yukari:つかささーん、あばれちや、だめですよお!
owl:何か、何か捕まえるもの!
yukari:はいはいつ、これ。

 *つかさの魂を捕まえようと、ゆかりは洗面器、オウルはざるを手に右往左往する。

owl:えんやっ、の、こらさっ、と。
yukari:どつこいさの、こらさつ、と。
owl:これでどうじゃ? へい、こっちへ追い込んで!
yukari:あーん、こんどは、そつちですう!
owl:猛禽類の名にかけてっ、貰った!

 *魂にざるをかぶせるオウル。魂、ざるの編み目からすり抜けようとする。

owl:いかん、洗面器、洗面器!
yukari:あー、みー、まー!
owl:やった! 魂返しの術を!
yukari:おおつ、しやきいいいん!
【えくな・ど・えぎーふ、えくな・ど・えぎーふ、あゔぉと・きほ・つ・かやーはー、ししふーつ】……はつ!

 *魂、ふらふらとつかさのからだに戻る。

owl:……何とか。
yukari:……もどりましたね。
tsukasa:……うーん、うーん。
owl:……つかささんを、取り込みませんと。
yukari:……はいつ。

=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-==-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=

yukari:さぼてん、としたことが。つかささんごと、ふとんほし、しちやつて。
tsukasa:……はい、畳まれ叩かれ干されてました。大炎上の気持ちがわかりましたよ……。
 *衰弱しているつかさ。
owl:つかささん、気付薬ですよ。くいっとやってください。
 *それは、オウルが大切にしている18年もののスコッチである。つかさ、くいっとスコッチを飲み干し目を閉じる。
owl:つかささん、つかささん、しっかり。大丈夫ですか?
yukari:うわーん、つかささーん。
tsukasa:……あいーん、……あいーん。
owl・yukari:?……あいーん?
tsukasa:気付薬、旨あアイーン、もっと飲みたアイーン。

owl:……こりゃほっといても、
yukari:……だいじょうぶだあ。



written
2020/05/15,16
improved
2020/05/17,18
inspired by Ken Shimura
志村けん氏の四十九日に寄せて。
合掌