水の記憶
波紋の写真を撮っていた。
先日とは違って、波が今ひとつ浅い気がする。
(雨粒が小さいのか、な……。)
(あと、雨が疎ら過ぎる?)
不意に、緑色感応、した。
【つかささん、かみなり、ちかいです】
【わかりました、もう、もどりますね】
長く低い音が腹に響いていた。
(雷鳴。と?)
大粒の雨滴が落ちてくる。
ひと粒、ふた粒み粒、……ぱら、ぱらぱら。
水溜りに。
深い波紋の、干渉格子。
頭の中心が熱を帯びて振動し、鼓膜を高周波に刺戟していた。
(好い、感じ)
また落ちてくる雨滴を、
水面の上にカメラを構えて、待った。
雷鳴、と共に。
ひと粒、ふた粒み粒、……ぱら、ぱらぱら。
水溜り、に。
(ワタシドモノ、キオクヲ、ヨミタマエ)
[君ノ記憶、拝見シマセウ]
僕は波紋を、連写した。
inspired:2017/10/17
written, elaborated:2017/10/29
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