V=4/3πr³

詩と物語を紡ぎます

Cold Moon

2022-12-13 13:30:00 | uta
Cold Moon


1.月齢 3.2

ゆらゆらと
こぎいでしふね
みおくりて
うつろひをしる
ゆふぐれのそら

ゆらゆらと
漕ぎ出し舟
見送りて
心移ひを知る
夕暮れの空



2.月齢 15.4

にじむそら
にじむがままの
いただきに
しろくにじみし
ふゆのもちづき

滲む宙
滲むがままの
天頂に
蒼白く滲みし
冬の満月




したたりし
つきのひかりに
ぬれひたり
あやしくうたふ
らくえふのこゑ

滴りし
月の光に
濡れ浸り
妖しく詩ふ
落葉の聲








written
2022/12/01〜13
photographed
2022/11/27,28,12/8,10,11
Copyright 2011 - 2022 ©Tsukasa allrights reserved



七夕 ――織姫愛歌

2022-07-07 18:15:00 | uta
 ――織姫愛歌
   全六首

ゆあみして
ゆかたあてやか
うすけしよう
いさこきいてん
あなたかもとへ

 湯浴みして浴衣艶やか薄化粧
 いざ漕ぎ出ん彦星《あなた》がもとへ


かわらさる
すかしきゑかお
なつかしく
ないてしまいし
あまのかわはん

 変わらざる清しき笑顔懐かしく
 泣いてしまいし天の河畔


ひみなりと
わかてりようりを
たいらげて
われおりいとしと
なくひこいとしや

 美味なりと我が手料理を平らげて
 我織姫愛しと泣く彦星愛しや


ひこやひこ
おりのわかまま
きいてたも
あさまてねすに
おりめててたも

  彦星や彦星織姫の我儘聞いて給
  朝まで寝ずに織姫愛でて給


ひこかほか
たれにもゆるさし
このはたに
ひこよなんしか
らくいんをおせ

  彦星が他誰にも許さじこの肌に
  彦星よ汝が烙印を押せ


きぬきぬは
いまもむかしも
さみしかり
ひこほしおりひめ
やまぬくちづけ

  後朝は今も昔も寂しかり
  彦星織姫止まぬ口付け



written:2022/07/07


春嵐と蒲公英

2022-05-04 13:36:31 | uta
春嵐と蒲公英
  
   春嵐の工事現場



ぼくとつとこうじげんばにたつぢゆうきはがねのはだをしううあらひぬ
朴訥と工事現場に屹立つ重機鋼の肌を驟雨洗ひぬ

したしみしまちなみとひとのきえはてたくうはくのちによこなぐりのあめ
親しみし街並みと人の消え果てた空白の地に横殴りの雨



   風になる


あすふあるとわりてさきたるたんぽぽのむれはゆれをりとくみなみかぜ
アスフアルト割りて咲きたる蒲公英の群生は揺れ居り疾く南風



とききたるしゆしをむすびしわたぼうしいのちのたびじかぜにたくして
季節来る種子を結びし綿帽子生命の旅路風に託して






 * written_2022/03/27,/31,04/01,17.
 * polished_2022/04/18,19,26,27,
  05/01,04.
 * photograghed_2022/04/17.

蜻蛉、百日紅

2021-08-04 21:28:29 | uta
蜻蛉

「その眼鏡
色彩がとっても
素敵です」
「どもありがとう
お気に入りなの」



どうしたの?
せっかくポーズ
キメたのに
何度撮っても
ピントズレズレ


百日紅

はらはらと
舞ひ落つ傍に
こんもりと
咲き乱れたる
百日紅哉




written
2021.08.03.〜04.
photographed
2021.08.01,03.

冬季

2020-12-01 00:30:00 | uta

みあぐれば
ふゆのはじめの
さゆるそら
きよらにてらす
けふのもちづき




見上ぐれば
冬季の初めの
冴ゆる天球
清浄に照らす
今日の満月



十一月最後の夜は、
十二月最初の朝に続いている。

すべての夜は、
すべての朝に繋がっている。


photographed:2020/11/30
written:2020/11/30,12/01