![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/1e/ff1b337bf53241f64da3fb9b05261868.jpg?1725411863)
お天気お姉さん『崩壊』
【土曜日の遅い朝、ようやく浅い眠りから覚め、むっくり起き上がるつかさ。まだ半分眠っている様子で、独り言を言う】
tsukasa:ふにゃ、まりまし金魚ですか? リトル・ミーのドロンパ? ろっちかに決れれくれらいと、ライライライ、蝉人間の思う壺でしょうが!
yukari:つかささん。
tsukasa:いや、わしゃ、ショウガ焼きになりとぅ、な、ふにゃふにゃ、ばり、ねこ。。。
【布団の上に座ったまま、また眠りに落ちそうなのを、ゆかりが起こそうとしている】
yukari:つかささん!おきるですよ!
tsukasa:ふん、ぎん、まぐろ。。。はにゃはにゃ、小判こばんろ、ロイロイ、ロイ・ジェームス・こばーん、レス、ういマダーム。。。
yukari:このごろ、つかささんの、ねおきが、わるくて、こまりますね、やれやれ。ねぼけてないで、おきるです!
【ゆかり、棘で思い切りつかさを刺す】
ぎゃあああああっ!
【三十分後、洗顔等終えてすっかり目の覚めたつかさ、ネットの星占いを見ている】
yukari:つかささんは、うらないを、きにするですか?
tsukasa:良い運勢が出たら励みにして、悪いのは信じません。
yukari:それが、いちばん、ですね。きようの、うんせいは、どうですか?
tsukasa:笑いの絶えない一日になるでしょう、と。
yukari:まあ、ふふふ。それでは、ぶらんちに、しましようか。
【突然キッチンから、フクロウ執事オウルの笑い声がする。オウル、リビングに転がり込んできてバッサバッサと羽ばたきながら大笑いする】
owl:つかささん、こいつは傑作です! お天気お姉さんが、お天気お姉さんが、あっはっはっはっはっは……。
yukari:……なんでしよう?
tsukasa:?
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/1a/8219e3cd51b4c49989aad70999f050e1.jpg?1676701228)
owl:この写真送った人、はっはっはっはっはっ、昼食に焼きそば作ったってコメント送っているのに、はっはっはっはっはっ、写真の見た目はオムライスで、はっはっはっはっはっ、じゃあ、オム焼きそばかと思ったら、ケチャップで「チャハーン」って書いてるし、はっはっはっはっはっ、しかもチャーハンじゃなくて、チャハーン! ですよ、はっはっはっはっはっ、そしたら、お天気お姉さんのツボにハマってお姉さんが『崩壊』した、はっはっはっはっはっ……
yukari:なんという、あつはつはつはつはつ……
tsukasa:放送事故ですか、はっはっはっはっはっ……
owl:昼食は、『チャハーン』にしますか?はっはっはっはっはっ……
【星占い通り、今日は笑いが絶えません】
tsukasa:はっはっはっはっはっ、まいったなあ、チャハーンが頭から、離れないよ、あっはっはっはっはっはっ……
yukari:はつはつはつはつはつ、チャハーン、あつはつはつはつはつはつ……
tsukasa & yukari & owl :あっはっはっはっはっは……はっはっはっはっはっ……。
【いつまで続くのでしょう、か?】
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/9d/634884b1f0dbe4604fddd6b361003d04.jpg?1676703127)
ロウバイ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/bd/d2b2803be6fcacfbb9146b7a7d6e118e.jpg?1676191695)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/41/9dee3d2ba9f68186ac5d3f55651a16b2.jpg?1676195151)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/bd/d2b2803be6fcacfbb9146b7a7d6e118e.jpg?1676191695)
毎年この季節になると咲くのが楽しみな蠟梅があった。それが、――去年の暮れだったか、大胆に枝が切られてしまっていて、もう駄目なんじゃないか、って思ってた。
他人さまのごく狭い庭に生えていた樹だから、文句を言う義理も筋合も、全くないのが何だか無性に口惜しかった。
だからか。今年もまた無事咲いていたのを見かけた時には、心踊った。精一杯背伸びをして夢中になってスマホのカメラを向けていると、いきなり後ろから「ふ〜ん、蠟梅撮ってるんだぁ〜」という声の不意打ち。白髪頭にキャップをかぶった黒縁眼鏡の小父さんが笑ってる。
小心者のわたしは狼狽し心臓が、
♥ばく♥ばく♥ばく♥ばく♥おーわだ♥ばく♥
だったことは、内緒だ。
えだうたれ
もはやさけじと
らくたんの
われおどろかし
らふばいのさく
枝打たれ
もはや咲けじと
落胆の
我驚かし
蠟梅の咲く
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/41/9dee3d2ba9f68186ac5d3f55651a16b2.jpg?1676195151)
つかささんとゆかりちゃん、恵方巻きを大いに喰らう
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/73/76d31dbf0fb02c911dcd15d36d8e7d64.jpg?1676515490)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/45/f02f4f6316b75d39945f86bb428c6ac2.jpg?1676515699)
yukari & tsukasa:お寿司屋さんで『マグロ海鮮恵方巻き』を買っちゃったぞ〜!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/98/d5249375e08122a81243031783010b90.jpg?1676624413)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/ec/dd670b608c4796e57bc2c4411ae6b681.jpg?1676624322)
yukari:つかささん!
tsukasa:ゆかりちゃん!
yukari:とうとう、このひが、やつてきたのですね!
tsukasa:そうです、わが魔窟始まって以来の快挙ですよ。
yukari:くろぐろと、ふつとい、ごりつぱな、おすがた。
tsukasa:鈍い光を発して、堂々たる威厳に満ちたその姿の、何と、力強いことか!
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/73/76d31dbf0fb02c911dcd15d36d8e7d64.jpg?1676515490)
yukari:もう、だめ、です。くらくら、しちやう!
tsukasa:つかさも我慢の限界!です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/45/f02f4f6316b75d39945f86bb428c6ac2.jpg?1676515699)
yukari & tsukasa:お寿司屋さんで『マグロ海鮮恵方巻き』を買っちゃったぞ〜!
yukari:しかも、にほんも!
tsukasa:四千円もしちゃいましたけど。
yukari:むふふふ。それにしても、つかささんが、おすしやさんに、つてをもつている、とはおもいませんでしたよ。しかも、おむかいの、いえが、すしやの、たいしようの、うちだつたとは。
tsukasa:実は命の恩人なのですよ。
yukari:ええつ!
tsukasa:もう何年前でしょうか? 外出した時、当時飲んでる精神のお薬の副作用が出てしまって。
yukari:ふむふむ。
tsukasa:何とかこの近くまでは辿り着いたのですが、もう一歩も動けなくなってしまって、倒れてしまいました。
yukari:ふむふむ。
tsukasa:気が遠くなりかけた時に、鮨屋の女将さんが通りかかったんですね。
yukari:さっきの、こがらで、きれいなあのかたですか?
tsukasa:そうです。助けて下さいとお願いしたんです。それで肩を借りて移動し始めたのですが、わたしの力がすっかり萎えてしまっていて、なかなか進めません。
yukari:ふむふむ、ふむふむ、つかささんは、いがいと、がたいがよい、ですもんねえ、おんなのちから、では、きついかも。
tsukasa:そこに店の片付けを終わらせた大将が追い付いて、わたしを軽く抱えると魔窟まで運んでくれたんです。以来懇意にしていただいているんですよ。
yukari:そうだったんですか。
tsukasa:お正月に食べた特上寿司も大将の店のものですよ。
yukari:!、あのおいしい、おすしが! はやく、たべたいです!
tsukasa:夕飯には早いですが、早速いただきましょう!
yukari:つかささん、ことしの、えほうは?
tsukasa:あ? 訊くの忘れた。えーと、確か南南東のはずです。
yukari:なんなんとうは、あっち、です。
それでは。
tsukasa & yukari:いただきまーす!はむはむ、ぐもぐも、はむはむ、ぐもぐも。
【マグロ海鮮恵方巻きの美味しさに思わず笑みが溢れる、つかさとゆかり】
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/98/d5249375e08122a81243031783010b90.jpg?1676624413)
yukari:あー♥おいしー!
tsukasa:赤身は漬けで中トロは山葵マヨネーズ。これが交互に胡瓜やレタスを纏ってシャリとともに口の中に描く食感と味たるや、素晴らしい!
yukari & tsukasa:たまりませーん。はむはむ、ぐもぐも、はむはむ、ぐもぐも……。
✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲✲
yukari:それにしても、おうるは、どこにいったのでしようか? なまの、さかなは、くちにあわないって、おしようがつも、おすしに、てをつけずに、どつかに、いつてましたね。
tsukasa:今回は何だか秘湯の温泉巡りをするって言ってましたけどねえ。
yukari:やまで、こおつていなければ、いいけど。
tsukasa:大丈夫でしょう、森の智慧の塊だから。
【その頃オウルは、、、一人、山で鹿と猪を狩り、その疲れを温泉で癒やしながら『特製ジビエ恵方巻き』を堪能していたのだった】
owl:猛禽類の特権、でございますよ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/21/ec/dd670b608c4796e57bc2c4411ae6b681.jpg?1676624322)
動けないつかささん
(つかさ、前屈みの不自然な姿勢で立ち尽くしている。その顔には苦悩の色が深く脂汗が滲んでいる)
yukari:つかささーん!
tsukasa:………………。
yukari:?、つかささーん!
tsukasa:……ゆ、……ゆ、……。
yukari:?、どうした、ですか? その、くのう、を、きざまれた、ひようじようは。
(つかさ、何か言おうとしているが、言葉にならない)
yukari:し、が、かけない、ですか?
tsukasa:……詩も、……詩、も……。
yukari:?しも、しも?、……でんわ、かけたい、ですか?
(つかさの顎から脂汗が滴り落ちる)
yukari:……まあ、こうじゆんど、の、あぶら、が、あふれ、したたつてる。えねるぎーもんだい、かいけつ、ですねえ。
owl︰おや、これは? つかささん、まだ買い物には行かれてないので?
yukari:なん、ですと?
owl:あ、いや、かれこれ一時間ほど前に、買い物に行かれるとかおっしゃっていたかと。
yukari:あつ💡
(さぼてんゆかり、突然閃く!)
yukari:これは、さぼてんと、したことが……!
(ゆかり、全身の棘を逆立てる。棘と棘の間を凄まじい勢いで激しく飛び交う電波と素粒子、量子。周波数4096GIGAHzが開く)
yukari:つかささん!
【つかさ】
【守護霊さぼてんゆかり】
【フクロウ執事オウル】
【の】
【天使チャネリング】
【4096GIGAHz】
yukari:つかささん いつたいなにが あつたのか このちやねりんぐで おしえてたも
tsukasa:ミシッという 嫌な音して 激痛が 腰を駆け抜け 動くに動けず 嗚呼わたしの身体は stop motion
yukari:いたむのは こしの どのあたり
tsukasa:背骨の辺りがきりきりり 腰全体が あいててて
yukari:しばらく おて
yukari:おて❌ まて⭕
owl:もしかして、これは、人間がよく患う『ぎっくり腰』なのでは?
yukari:これは、なんともはや……。
owl:半妖の肉体にはふつう起こらないとされております。
(ゆかり、棘から火花を飛ばしながら思考・計算を何度も繰り返す)
yukari:はんよー、には、『つぼ』はないのですよね。
owl:そうです。当然の事ながら、つかささんにも『ツボ』は存在いたしません。
yukari:では『ひこー』をついてみましよう。
owl:は?『秘孔』ですか?それは余りに危険かと。秘孔は位置が混み合っている上に刺激の加減が難しい。下手すると、生命に関わりますぞ。
yukari:きけんは、がつてんしようちのすけ、やつてみなきや、わかりません。みすたーおうる、ひこーいがい、なにか、いいては、ありますか?
owl:……いいえ、ありません。
yukari:ゆかりが、ひこーを、つきます。ぎつくりごし、に、きく、ひこー、は、……
owl:義栗快復孔、ですね。
yukari:つかささん これからひこー つきますよ ちといたいかも がまんしてたも
tsukasa:お手柔らかに
(ゆかり、棘で義栗快復孔を突く)
yukari:あーたたたたたたた!
tsukasa:いーててててててて!
(つかさ、その場にがっくりと膝を付き、くず折れる)
yukari:つかささん!
owl:つかささん!
(つかさ、ぴくりとも動かない。ゆかりの後ろからあみださんがひょっこり顔を出す)
amida:♬マイファニーバレンタイン
yukari:うわつ、あみださん! びつくりしたな、もう。
amida:よお、ゆかりちゃん、ひさしぶりやな。
yukari:なにしに、きたですか?
amida:うん?ご挨拶やなあ。近所にお迎えがあったんでな、そのついでにちょっと寄ってみたんや。つかさ、死んどるんやないか?息してないで。
yukari:いいえ、しんでません。
amida:そうか?秘孔は侮れん。義栗快復孔のすぐとなりの秘孔な、保栗安楽孔いうねん。一発でぽっくり逝っちゃうねんけど、間違えなかったか?
yukari:それは……。
amida:つかさ、な。わしはすっきゃ。たまさか半妖に生まれついたが故に、普通の人間と違う事に気付いてしまって。いつも独りぽっちで悩んで、悩んで。せっかく出来た仙人掌の友達にも先立たれて。
yukari:あみださん、やめてください、つかささんは、しんでなんかいない。
amida:Johdoが池の畔でつかさの様子、一緒に見てたやろ。毎日泣いて泣いて。死にたいって。
yukari:わすれません、しゆごれいめんきよをとつたのは、つかささんのそばに、ずつといるために……えぐつえぐつ。
amida:よしよし、ちゃんと、Johdoまで連れてったる。未来永劫、供養は絶やさへんから。
yukari:だいじよーぶです、しんでませんから。つかささんはしなないです。しぬはずないです。つかささんは、ゆかりといきると、やくそくしたです。だから、かつてにしなないです。ぜつたい、つかささんは、しなないのです!
(あみださん、倒れているつかさの腰を二度三度撫でる。何事もなかったかのように起き上がるつかさ。泣き出すゆかり)
amida:うんうん、あの秘孔は難しいんや。ゆかりちゃん、よう頑張った。最後の一撃だけがほんの0.5mmずれたんやな。泣かんでええ、泣かんでええ。チャレンジがなければ、前に進めへん。わしからつかさへの還暦祝いや。ほなまたなあ。
♬わしのーおちゃめなバレンタイン
(西の空に消えていくあみださん)
🎶わたしのおちやめなばれんたいん……
朝早くからゆかりちゃんが歌っている。フクロウ執事のオウルがバタバタと朝餉の用意をしている。
つかささん、あさですよ、おきてるですか? かお、あらうですよ。
つかささん、おはようございます。今朝の朝餉は、ご飯、浅蜊と和布と豆腐の具沢山味噌汁、梅干、です。それでは自然の恵みに感謝していただきましょう。
どうしたですか?つかささん、なにか、いいことでも?
何だかすごい夢をね、見ちゃったんですよ。
今日も、一人の半妖と一体の守護霊と一柱の精霊は街の片隅でひっそりと、でも面白可笑しく暮らしているのです。
……そんなわけで、つかさは腰痛に見舞われながらも、本日還暦を迎えました。
皆さん、ありがとうございます。
writenby 2022/07/18
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