
詩人・童話作家・農業指導家・教育者であり多くの作品を残した宮沢賢治が
昭和8年(1933年)9月21日に急性肺炎で死去しました。享年37。
『銀河鉄道の夜』 『風の又三郎』『注文の多いレストラン』などが広く知られているが
どの作品にも自然に対する畏敬の念、あるいは畏怖の念が感じられる。
賢治が生前に出版した唯一の作品集『注文の多い料理店』に収録されている
童話『狼森と笊森、盗森』は自然と人間が会話をし協調していく不思議な話です。
小岩井農場の北に、黒い松の森が四つあります。

いちばん南が狼森(オイノもり)で、

その次が笊森(ざるもり)、

次は黒坂森、

北のはずれは盗森(ぬすともり)です。
この森がいつごろどうしてできたのか、どうしてこんな奇体な名前がついたのか、
それをいちばんはじめから、すっかり知っているものは、
おれ一人だと黒坂森のまんなかの巨(おお)きな巌が、ある日、
威張ってこのおはなしをわたくしに聞かせました・・・と話が始まっていく。
森への感謝を忘れると人間は森から報いを受ける。そこで森と人間の仲立ちを岩手山がする。
それ以来、人間は森へ感謝の意をこめて「粟餅」を捧げる。
しかし、不作のため粟餅がだんだん小さくなっていくのだが、
森も「それはしょうがないないなあ」と受け止めている。
自然と人間がお互いの状況を尊重しあっている。
そこがとても面白い。
それにしても37歳は若すぎる。
宮沢賢治が生きていたら今の日本が賢治の考えていた理想郷に近づいている
のだろうか?ぜひ聞いてみたいものだ。
自然から大きな報いを受ける日が近づいている気がする。
その時仲立ちは誰がしてくれるのだろうか?
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