法廷映像の不使用要求 QAB映画 裁判所、制裁を示唆
2013年7月27日 琉球新報
米軍のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)建設に反対する東村高江の住民らを追った、琉球朝日放送(QAB)ドキュメンタリー番組「標的の村」の劇場版映画をめぐり、那覇地裁と福岡高裁が法廷内と裁判所敷地内の映像の使用は「目的外使用に当たる」とする見解を示して映像の不使用を求め、使用した場合には「何らかの対応をする」と、制裁ともとれる内容を伝えていたことが、26日までに分かった。
裁判所側は琉球新報の取材に「見解は伝えたが、不使用の要請や制裁の意図はない。報道の自由を制限する意図は毛頭ない」としている。
映像は許可を得て撮影したもので、テレビ番組で一審の映像を放送した際は裁判所からの指導はなかった。QABは映画で、一審判決と控訴審口頭弁論の代表撮影、国に訴えられた住民らが裁判所に入る映像を使おうとした。
だが7月12日に那覇地裁から「そういうこと(映像使用)のないようにしていただきたい」と言われた。裁判所側は発言について「正確な表現は記憶していないが、映像使用を認めたとするわけにはいかない旨の発言はした。映画の内容に口を挟む趣旨ではなかった」と弁明している。
QABは映像を使用した場合に「何らかの対応をする」と伝えられ、撮影申請を認められなくなるなどの制裁も想定したという。
裁判所側は対応について話したことは認めながら「裁判所の見解を説明する必要があると考えた」として、制裁ではないとした。
琉球新報が19日に、那覇地裁と福岡高裁に質問を出すと、裁判所側は23日になってQABに、映像の削除を求めてはおらず制裁の意図もないと説明してきた。使用した場合も「不利益な措置や制裁は取らない」と伝えてきたという。
同訴訟の弁護団長を務めた池宮城紀夫弁護士は「裁判所が目的外かどうか線引きすること自体が規制となり、報道の自由への介入につながる」と批判した。
(沖田有吾)
米国防総省高官が糸数氏3選を分析
2013年7月24日 沖縄タイムス
【平安名純代・米国特約記者】米国防総省高官は21日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する糸数慶子参院議員が3選されたことについて本紙に対し、「自民党が大勝した中で、沖縄では逆の結果が出たことは非常に興味深い」と述べた。
同高官は、自民党候補の安里政晃氏の選対本部長を仲井真弘多知事が務め、安倍晋三首相が2日間にわたって応援演説で沖縄を訪れるなど「党を挙げた応援ぶり」に対し、糸数氏が社民党から比例代表で出馬した山城博治氏と連携し運動を展開していた点を指摘。「自民党は基地問題に言及しなかったが、オスプレイと辺野古に反対する二人との戦いでは、基地問題は明確な争点だった」との見方を示した。糸数氏は、2007年の参院選では、自民党候補に約12万7千票差で勝利したが、今回は約3万3千票差だった。
米誌フォーブスは同日の電子版で、安倍首相が16日の訪沖時の演説で、普天間の危険性を除去する必要性を強調しながら、日本を取り巻く安全保障環境が激化し、日米同盟が地域の治安維持に貢献していると訴えたことについて、「安倍氏と自民党の信念だが、東アジアの地理戦略的な現実ではなく、(安倍氏らの信念を)信じる沖縄の人々も少ない」と指摘。県内移設反対を訴えた糸数氏が勝利した理由を分析した。
防衛省が鉄柵設置 普天間基地・野嵩ゲート
2013年7月23日 琉球新報
【東京】日米両政府は22日の日米合同委員会で、米軍普天間飛行場の第3ゲート(宜野湾市野嵩)にフェンス(境界柵)を設置することを承認した。垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ初配備をめぐり、昨年9月に配備に反対する住民らが座り込みなどで第3ゲートを封鎖し、飛行場から市内への出入りができなくなったのを受け、米軍が日本政府に対し柵の設置を要請していた。防衛省は22日午後8時ごろ、工事に着手。ゲート前で抗議行動をしてきた住民らが反発し、作業員ともみ合うなど現場は度々、騒然となった。
フェンス設置に抗議する住民らと、それを抑えようとする警察官=22日午後11時48分ごろ、宜野湾市の米軍普天間飛行場野嵩ゲート
オスプレイ配備に反対する関係団体からも批判の声が上がっている。柵は第3ゲートに隣接する国道330号の歩道沿いに約20メートルにわたり設置され、従来のフェンスと道のスペースをなくす予定。
工事費用は約200万円。「基地を提供する責任から必要」(防衛省)とし、日本政府が施設管理測量等工事費として支出する。
防衛省によると、随意契約を結んだ業者が1週間ほどをかけて工事する。
防衛省は「米側から第3ゲートからの出入りに当たり、支障が生じていることから、通行確保のためのフェンスを設置してほしいとの要望があった。日本側も検討した結果、合意した」と述べるにとどめた。この時期の工事着手の背景には、8月上旬の追加配備を控え、住民運動への懸念や参院選への影響を避けたいとの思惑があるとみられる。
県の又吉進知事公室長は「トラブルが起きているのかも含めて、事実確認をしたい」と述べた。