今日は、湘南モールカルチャーの朗読クラスがありました。
いまこちらでは、新美南吉「手袋を買いに」を読んでいます。
このお話は朗読ファンにとても人気があり、朗読会で最もよく読まれている作品の一つだと思います。
カルチャーでは「発表朗読」のお稽古をしているので、ある程度広い場所のお客様の前で朗読する前提で読むことになります。
ライブで読む場合と、録音で読む場合は、聴く方の環境も違うので、読み方も変わるわけですね。
今日は冒頭部分を一人づつ読みました。
このお話のナレーション部分は、状況を実況中継で説明している。
中継者は、狐の親子を愛情のあるまなざしで観ている。
そこで、読み手は、心の中の明るい面をベースにして読み続けることになります。
冬の夜、雪がたくさん降っているところに行ったことがありますでしょうか。
その雪は真夜中過ぎにやみ、明け方にはすでに太陽が輝き、子狐がほら穴から出た時は、
眩しいほど雪に反射して輝いていました。
何時ころでしょうか。
冬だから日の出は遅いですね。
太陽がすっかり顔を出すのは7時過ぎにはなるでしょう。
こんな風に、できるだけ具体的に物語の情景を描き、自分の頭のスクリーンに映します。
「母ちゃん!目に何か刺さった!抜いて頂戴!早く早く!!」
「!」は私が付けました(笑)。
きっとすごく痛かったのです。
まだ1歳にもならないので、経験も少なく、「痛い」→「足の裏にとげが刺さった」的な反応なのでしょうね。
だから「目に何か刺さった!」と、とっさに思ったわけです。
足にとげが刺さった時はいつもママが抜いてくれて、痛みが取れるから、この時もとっさにお母さんを呼びました。
―と、こんな風に、一行づつ物語を読み解いていくのですね。
「まっしろなゆきが、どっさりふった」のところは、韻的なリフレインを生かすと生き生きと表現できます。
「すっと」映る虹、「どたどた、ざーっ」と上から落ちてくるパウダースノー、落ち切る前に舞うさらさらした雪が「ふわーっ」と降ってくる。
擬音は思い切りよく、おなかに力を入れて表現するとリアリティを増しますね。
こんな解釈だけが正しいわけではないですが、このお話を読むときにはご参考にされてください。
朗読の楽しさは、一人ですべてを演出できることではないでしょうか。
丁寧に読みこむほどに、物語のなかにはいって、一緒に遊ぶことができるように思います(^O^)