ずっと欲しくて探していて、やっと入手できた一枚。音源の方はMP3が流通しており、聴いてはいたので内容が良い事は事前にわかっていたが、レコード盤はある時にはあるのに、無いときは全くでない(当然か)。ウクレレをフィーチャーした50年代スヰングのハワイ・インスト音盤である。
このアルバムはLPのフル・アルバム(LP-3423)だと12曲入りで、先のMP3で全曲聴く事ができるのだが、やっと入手した拙宅の盤はその抜粋版に相当する7インチシングル(EP 46)で、片面に2曲ずつ、4曲収録しているもの。選曲違いで同じ体裁・タイトルの7インチ盤が他に2種類あり、(EP44、47)全部揃えばコンプリートなのだが、わざわざ7インチ盤3枚に分割したものがLPと別に存在するのはジュークボックス向けだったかもしれないと推測する。
レーベルの49th State Hawaii Recordは、ホノルルのレコード店Maestro Record Store が地元ハワイ音楽の需要隆盛を見て取り1946年に設立。本盤のJohn Kameaaloha Almeidaや、 Gabby Pahinui、Genoa Keaweなど後にハワイ音楽のレジェンドとみなされるローカルのアーチストを多く吹き込みを行った。正確なリリース年が例によって不明ながら、カタログナンバー前後から推測して本盤も同様に50年代の作品とみて間違いないだろう。
本作の主役John Kameaaloha Almeidaは1897年生まれ、盲目のマルチ楽器奏者・作曲家で、戦前1930年代のラジオ全盛時代から戦後1985年に亡くなるまで300曲以上もの楽曲を生み出し活躍したハワイ音楽の重要人物の一人。多くの楽器をこなしたが、元々は天才ウクレレ少年として知られるようになり、ハワイの伝統音楽と教会での西洋音楽の双方から音楽的影響を受けながら成長し、10代で自らの楽団を率いやがてハワイ王室からも声がかかる程になった。戦後は若手後進の発掘育成にも尽力し、Genoa Keaweなどを世に紹介した。本盤は『ウクレレを弾きませう』といった意味のタイトル通り、ウクレレによるハワイ風スヰング・ミュージックといった内容である。裏ジャケットにはFor Dancing or Your Listening Pleasureとある事からダンス音楽としての需要も意識した吹き込みだったことが伺える。
A1 Hawaiian Town - Lovely Sunrise Haleakala
A2 Ho'Oluana - Na Pua Like Ole
B1 Pua Carnation
B2 Aloha Kuu Ipo Aloha
A2 Ho'Oluana - Na Pua Like Ole
B1 Pua Carnation
B2 Aloha Kuu Ipo Aloha
A面は2曲ともウクレレをフィーチャーしたミドルテンポのスヰング。B面はスチールギターがリードを取りウクレレがバックにまわる。楽団はクラリネットやビブラフォンを配したスイング・バンド編成である。
9月よりまた平常運転に戻り、隔週での更新。いよいよ偉大なキャリアの頂点に達する2000年代以降のオータサン音盤の軌跡を辿ってゆこう。