ウェネトさまの館

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「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」(松濤美術館)

2019年06月20日 06時11分17秒 | 展覧会・美術関連

観てからちと日が経ってしもうたが、渋谷区立松濤美術館「華めく洋食器 大倉陶園100年の歴史と文化」を観たのでございます。
https://shoto-museum.jp/exhibitions/183ookura/
(展示室以外は写真撮影可)


 

日本を代表する洋食器メーカー、大倉陶園の創業100周年記念の展覧会。
名窯の食器を観るのは大好きじゃからの、開催前から楽しみにしておったのじゃ。

草創期から現代までの約130点(一部展示替えあり)が、5章構成で展示されておりまする。
地下の第1会場は第2章から第4章、2階の第2会場は第1章と第5章。

なので第1章からでなく観た順の構成で、お気に入りや気になった作品はリスト順に挙げておくぞよ。
まずは地下1階、第1会場の第2章からじゃ。


 

【第2章 日本人による日本人のための洋食器】

大倉陶園は大正8(1919)年、大倉孫兵衛、和親父子によって創設されたのでございます。

《幸野楳嶺 『楳嶺百鳥画譜』》明治14(1881)年、明治16(1883)年
花鳥画を得意とした楳嶺に、孫兵衛が図案意匠の為に依頼して出版したもの。
かような本を絵付けの手本としたのじゃな。

《尾長鶏》昭和9(1934)年
リストでは第2章に記載されておるが、展示は2階の第2会場。
高さ約83㎝もある見事な尾長鶏で、磁器でこれほどの大作は極めて珍しいのだとか。

《岡染付薔薇ベリーセット》昭和7(1932)年
大倉陶園を代表する岡染めのブルーローズで、青色の濃淡が美しく柔らか。

【第3章 洋風文化の立役者】

大正時代から昭和20年代の食器が展示されておりまして、大倉陶園らしい上品なものから、アール・デコ風や中国風のものまで、デザインも色々。
老舗ホテルなどで使用された食器が興味深うござります。

《富士屋ホテル 岡染付富士絵替食器揃》昭和10(1935)年
貴賓用。岡染めで雄大な風景が描かれておりまする。

《奈良ホテル 貴賓用特別食器揃 満州国皇帝溥儀を迎えるに際し製作》昭和10(1935)年
愛新覚羅溥儀を迎える為に制作されたとの事で興味津々。
奈良の風景や植物が岡染めで描かれ、縁飾りは金蝕で細密な模様。

《資生堂アイスクリームパーラー食器揃》昭和2-3(1927-1928)年
小さめサイズの可愛い食器に、金蝕で小さく資生堂のマーク。特にコーヒーポットがお気に入り。
当時のメニュー写真もありまして、牛舌洋酒煮(タンシチュー)は金五拾銭じゃった。
100人前持ってまいれ~!(ばきっ)

【第4章 西洋へのまなざし 沼田一雅と陶彫】

マイセンやセーブルなど、ヨーロッパの名窯では陶彫にも重きが置かれていたのでございます。
大倉陶園では大正13(1924)年に初めて陶彫を発表、昭和3(1928)年には一般向けに販売。

動物、特に鳥が大好きゆえ、かような陶彫もツボなのじゃ。
リストでは第4章に入っている魚や花や一部の動物は、2階に展示されておりまする。

《猫》昭和10-20(1935-1945)年
お行儀よく座って上を向き、とんでもなく大きな口を開けてあくびする猫。

《熊》昭和9(1934)年
フランソワ・ポンポンの《シロクマ》そっくりで、ちとビックリ。

《鸚鵡》昭和3(1928)年
今回展示の陶彫の中で、最も早い制作年。
白い体に黄色いくちばし。

《鸚鵡》昭和10-20(1935-1945)年
こちらは白い体に茶色のくちばしで、舌も見えておりまする。
オカメインコの陶彫もあればよいのにのぅ。

《白熊》昭和26-31(1951-1956)年頃
《矮鶏》昭和26-31(1951-1956)年頃
この2点はリストでは第4章じゃが、展示は2階。
石膏の原型も一緒に展示されておるのが興味深うござりました。

お次は2階の第2会場へまいるぞよ。


 

【第1章 大倉陶園のお誂え食器】

大倉陶園のお誂え食器の歴史は、大正13(1924)年にさかのぼりまするが、この章では昭和34(1959)年から後の皇室の食器が並んでおるのじゃ。
皇室の食器は普段目にする事などできませぬからのぅ、気品溢れる食器にテンションも上がるのでございます。

《岡染めベアー 食器揃 天皇陛下(当時の徳仁親王殿下) お箸初めの儀 東宮御 所御用食器》昭和36(1961)年
お箸初めという事で、優しいクマちゃんのお顔が、小さめの食器に控え目な大きさで描かれておるぞよ。

《上絵那須之花 絵替り皿 昭和天皇陛下80才の御生誕御祝として、上皇 上皇后両陛下が御献上になった御品》昭和56(1981)年
12枚のお皿に、それぞれ違う植物が1輪、縦にすっきり描かれておりまする。
その向かい側には、同じような絵替り皿「香淳皇后陛下80才の御生誕御祝として、上皇 上皇后両陛下が御献上になった御品 昭和58(1983)年)」が並んでおるのじゃが、昭和天皇陛下80才の御生誕御祝のほうが好みじゃった。

【第5章 日本の洋食器を追い求めて-戦後~現在】

戦後から現在のお誂え食器など。

《赤坂迎賓館食器揃》昭和49(1974)年
赤坂迎賓館は何度か行ったことありまして、食器も観たことありますぞ(どんな食器だったかは忘れてしもうたがの)
このセットは、中央の果物の絵と、周囲に使われたルビーレッドが印象的で、たいそう華やか。

《オテル・ドゥ・ミクニ  12ヶ月のプレート》昭和60(1985)年
開店した際に、雑誌の企画として百木春夫がデザインしたプレートで、展示は6月《紫陽花》と7月《七夕》の2点。
わたくしの誕生月の7月は、青色のお皿に水色の天の川が流れ、金で白鳥座や琴座が描かれておりまする。
12枚全ての写真も展示され、6月のお皿に魚料理が盛られた写真もございましたが、お料理を盛るとお皿がより生き生きいたしますのぅ。

《一本のバラ プレート》平成2(1990)年
約30㎝のサービスプレートが3枚と、20㎝のケーキ皿が2枚。
金の縁飾りの白磁に、美しい蕾のバラ1本が、大皿には右側に、中皿には左側に、縦にすっきり描かれておって、たいそうお気に入り。
バラの色は、赤と紫と黄色がございます。
百木春夫《一本のバラ プレート》のためのデザイン画が一緒に展示されておるのも良いですのぅ。

赤いバラのサービスプレートとケーキ皿、セットで欲しいぞよ~!
ケーキを山ほど乗せて、優雅にティータイムを楽しみたいぞよ~♪(山ほど乗せる時点で既に優雅とは言えないw)
てな訳で、販売されておるのか帰宅してからググってみるも、お値段見て断念(涙)

以下の2つは、2階の特別展示。
《テーブルセッティング 百花譜》平成30(2018)年
創立100周年記念の《百花譜》がテーブルの上に。

《陶板 メリーゴーランド》平成30(2018)年
岡染めの美しい青に金で、夢のようなメリーゴランドが描かれており、ディズニーの世界を思い浮かべたぞよ。

1階ロビーでは、大倉陶園の直営店限定商品など販売されておりまする(写真撮影OKなのは確認済)


 

《バラの実》
バラの花ではなく、「実を結ぶ」縁起の良い実が描かれておりまする。
ちっちゃな赤い実、可愛いのぅ。


 

《うまくゆく 回転木馬》
馬が9頭で「馬九行く(うまくゆく)」とな?(爆)
こちらも縁起の良いカップじゃ。


 

会期は7月28日までじゃが一部展示替えあり、前期は6月30日まで、後期は7月2日からでございます。
ご興味ある方はぜひ。