うさぎ穴便り

タラッタ、ラッタラッタ♪うさぎのように耳をたてたて、お鼻ひくひく。好奇心旺盛ぶりを「うさぎ穴」から発信!

セーラー服と機関銃 最終話 ~愛した目高組の男たちの笑顔は永遠の宝物!~

2006-11-25 02:45:05 | テレビ番組
全7話とは、ほんとにあっという間でした。
出演者の皆さん、スタッフの皆さん、エキストラさんたち、TBSさん、二ヶ月間にわたる、暑いさなかの撮影、ほんとうにお疲れ様でした!!!
 ただいま、完全に放心状態というか、魂抜き取られて肉体だけになってるみたいな感じです。
ちょっとパソコンにむかえないかな・・・と思いながらも、頭の中に文章が出始めたので、こんな時間にパソコンにスイッチ入れてしまいました。眠れるはずもなく・・・。
 佐久間さんの死に方は映画とは確か違っていたような・・・。
 でも、とても不器用なつっつん佐久間さんの人生の終わりに似合ったてた最期ですごく感動してしまいました。不慣れな営業マンを死んでいったみんなのために一人凌いで、いや、頑張っている姿に、私の母性本能は、いつのもようにはじけまくりでした^^。公園の水道で顔を洗って頑張る佐久間さんに、思わずタオルを差し出したい気分でした^^。
 あのヤクザのけんかをみつめるあたりから、もう涙ポロポロ。これで逝っちゃうのねって。
佐久間さんはもしかしたら・・・たぶん・・・先に逝ってる目高組のメンバーに早く会いたかったのかもしれない・・・なんていう設定とか、これで、あちら、ほんとうの裏の世界の浅草で、また目高組をにぎやかにやっているんだろうなあ・・・という設定をしてみて号泣にけりをつけたつもり?になっております。ほんと、かっこよすぎ!というせりふを泉ちゃんに言わせるあたり、佐久間さんの男としての魅力を刺青にしてくれたようなようなもんです。永遠に取れませんよ!!佐久間さんはやはりどんなに表の世界で頑張ってても永遠に目高組の若頭でした。丸で佐久間さんから、自分に手紙がきたような錯覚、みんなしたでしょうね^^。最後の佐久間真の文字がもうたまりません。沢渡徹さんの手紙同様、涙、涙!!!!!
 「堤さん、これで何度死んだ役やったのかしら??思い起こせば、武田信玄の息子、春信。沢渡徹。浅野の殿様、大石内蔵助、又やん、MONDAYの高木、ポストマンブルースの沢木くん、ローレライの浅倉大差。今舞台の清村盛。シークレットワルツなどなど、どの死に方も見事な美しい死に方。反対に生き残ったのは、殺しても死なない、野獣郎と、アンラッキーモンキーの山崎だけど、考えてみたら、死に役やってる作品の方がものすごく当ってるような気がします。今回の佐久間さんもドラマをこれでもか!!っていうほど、盛り上げてくれました。ほんとにテレビ界では、脇を背負って立つお方になってしまいましたね!!」
 目高組の男たちがみんな死んでしまったということだから、よけいかもしれないけど、このドラマは何回も繰り返してみたい作品です。汚れのない、目高組’Sスマイルに、今回一番感動しております。ラストのスローモーションでのみんなの笑顔は、永遠の宝物として取っておきたいくらいです。どこかで、この先、他のドラマに出演されていたら、あ!目高組のナンバー2だ!3!だと言って感激して喜ぶ自分が必ずいると思います。ほんとに思い出に変えて、です!
さよならは、別れの言葉じゃなくて、また会うための言葉なのだ!!
ラストの6人並んだ笑顔といい、ハイライトシーンといい、最後まで感動させていただきました!!
 私は、渋い男もいいですが、男の笑顔はもっと好きです。慌ただしい世の中でいつもがんばってる男たちのみなさんがホットしている瞬間をみることに幸せを感じます。男は子供でいて欲しいのです(笑)
 なので、今回のこのドラマは、やくざさん=永遠の笑顔なんていう、とんでもないイコールに予想の100倍、感動しちゃいました。
 原作は読んでないけれど、映画とは比較してTBSさんの作品の作りを観てみたかったというのがあって。私の予想では、今回の方が、いい物作って下さるんじゃないかと密かに期待してましたが、映画を大幅に上回る、素敵な作品で感激してしまいました。
 まさに目高組主役の「清く正しく美しく、まっとうな日本の男的」(ちょっと椎名誠さん風)なドラマに敬礼したい気分です。
あのカ・イ・カ・ンという名言?がなかったことが特にそう。私は映画であの言葉を女子高生の薬師丸さんが言ってるのを聞いたときに、どこが、名言なんだろう??と思っていたから。迷言としか思えなかったから。いくら敵討ちだろうと、仁義を通すからであろうと、機関銃ぶっぱなして、快感なんて私にはありえない思いだから。かの大石内蔵助が討ち入りをして気持いいはずないじゃない!あえてこんなことしなくちゃいけないなんてと思うのが、まっとうな人の思いだと思うから。
泉ちゃんの涙顔にふさわしく、言葉もない哀しい目、その泉を抱きかかえる佐久間さんの姿こそ、女子高生がいうカ・イ・カ・ンに代わる名シーンだったと思います。
 映画ではあった、薬師丸さんが、赤いハイヒールを掃いていたことや、佐久間さんとのキスシーン、佐久間さんのラブシーンなどが、なかったことで、すごくいいドラマになっている!!と思います。
最後まで、人の命の重さ、他人同士であっても家族のように守りあえる絆をテーマにしてくれていたこととは、戦さはなくとも、どこかでなんらかの諍いは耐えない今の世の中に十分うったえるものがあったように思います。
そして、超悪、黒木刑事。必ず報いは来る!罰は当るのです!後半、森廉くん、リンゴショーやめて、浜口組のヤクザになってましたね^^。
こんなドラマはいつの世でもやっぱり必要だな、とあらためて実感。名物モサイさんと、目高組の下で、バット振ってたお兄さん、お元気で、ごきげんよう^^。
笑って泣いて、感動して、放心しました^^。
 公式サイトのギャラリーと、皆さんのクランクアップの一言もとても素敵です!!ここにも男の笑顔がたくさん!!!
もうホントに目高組があったらいいのにな!って思います。
ながさわ星泉は薬師丸さんより素敵だったと思います!
 私は、続編はできるなら思いつかないでいただきたい!と思います。目高組はあの皆さんでこそ、浜口組もあの皆さんでこそ、の代表作にしていただきたいと思います!
堤さんがおっしゃってたように、誰も、命を張ってでも守れるもの感じたでしょうか?
                              守れるもんがなきゃ、張り合いがない!by金造さん


セーラー服と機関銃第6話 ~ヒデ君&ケン坊も美しい特攻隊! ~

2006-11-18 06:19:44 | テレビ番組
 こういう人を守っての壮絶な死に方は、「武蔵」の『又やん』以来でございます。
又やん、思い出しながら観てしまいます。この又やんに負けず、目高組の人たちは一人一人、今回は一度に二人ですね。
 しかし、3週連チャンでみんながかくも潔く、人のために命を投げ出すドラマは、お初ではないでしょうか・・・?
 ちょっと、今回のヒデ君とケン坊の死には、丸で息子が特攻隊になって散った気分になっております。昔、息子さんを失った人たちは、こんな気持だったんでしょうか・・・?。悲しいよりも苦しくなるシーンでした。
戦さ、戦争。実際にこんな風に多くの人たちは散っていかれた。その上に自分たちが生まれて生きていることをちゃんと受け止めるためには、こんなドラマをきちんと観る必要があると、私は思います。
  ヒデ君、のダイナマイト、体に巻いてただけで、もう十分の迫力でした。なのに、目高組に運はなし!!!
 ケン坊の血でライターに火がつかないなんて。でもドラマ的には、ダイナマイトで爆死するより、ヒデ君は刺されて死んだ方がカッコ良かったんじゃないかと思うところあります。ほんとは死ぬのは怖い。当たり前だよ。
 ヒデ君を守って撃たれたケン坊は、やはりさすが、金造さんの甥っ子!あっぱれな19歳でした!!めだかだって、さめやくじらにかみつくことができるんだ!そうだそうだ!! 人が人を守りあう姿は圧巻でした!
 若くても佐久間さんを殴ってまで命を投げ出した二人は地獄にいくはずがないじゃありませんか。金造さんや武さんと目高組作って佐久間さんを待っていてあげてください。
 今週は、実際に死んでいく場面よりも、佐久間さんを含めて三人で決意するあたりのほうが、ジーンと涙出ちゃいました。
今回、このドラマの良さは弱い人たちがしっかり決意していくあたりの人の心をちゃんと描いてくれている、いい作品だと思いますが、この作品を大したことないだろうと観てない方々、あとで再放送でも観て、見ればよかったと必ず思うんじゃないでしょうか?今クール、大穴なドラマのはずです。
 公式サイトでも、一回目からみとけば良かったという声がわんさかです。
 かくいう私も、堤さんが若頭でなければ観てないかも知れないもん!!TBSさん、ごめんなさい!!
 コトー先生贔屓してるのは私でした。関係ないけど、今回コトー先生ではなく、泉谷しげるさんに毎回泣かされて大変でなんです。私は、木曜日にも泣いてるんです。そんで、金曜日にも泣かなくちゃいけないいんです。そんで、月曜日には、竹中さんのウィーンフィルのマエストロも真っ青になりそうなほどの素晴しいタクトの振りで、クラッシックを聴きながら、この目高組の悲しみを癒しているんですぞい。
私が思うに今クール、一番感動させてくれているドラマはコトー先生ではなく、このドラマだと思います。
 みんなで、花火をしながら告白大会なんて、やくざがやりますか??笑顔がこんなに素敵なやくざさんがいますか?
 線香花火が好きだなんて、言うからもっと、切なくなるじゃありませんか!!私もあれが一番好きですけど。
ポトッって、ポトッて落ちたし。
 人のために生きて死ぬ。人として一番高度な人生だと思います。だから目高組の人たちはとても可愛くて綺麗です。とっても共感できる部分です。
 ここまで来ると、もうほんとに、やくざだから巻き込まれたとかいう問題じゃないですね。このお話って。
すでに国家問題に発展してますよね。大問題です。大量のヘロインなんて。しかも警察が国会議員とグルなんて大問題です。たぶん原作よりも深い作品になってるんじゃないでしょうか?
 それにしても、本来のやさしげな表情で少し笑いながら、冷酷な人を演じる小市慢さん、スゴすぎ!!今回小市さんの悪役ぶりにも感動しました。あんたが一番怖いって言ってあげたい気分です(笑)
 でもでも、やはり、一番切ないのは、一人置いてけぼりくらって、みんなの死を見届ける羽目(これが一番辛いはず!)になった佐久間さんの悲しみが一番、胸にこたえました。瀕死状態のケン坊と最後の会話をする佐久間さんは綺麗でした。
久々にテレビで堤さんの美しさを観ることができました。しかも、今回の佐久間さんは、やくざの役だからなのか、男の色気が出すぎてて、クラクラになりそうです。ふだん堤さんの美に酔いしれている、このあたしが、色気にきちゃうほどだから、佐久間真は男の中の男ということなんだろうなあ。
「命をかけてお守りします!」この使命感が男の色気になって出ているような気がします。やってくれます、堤さん。ドラマアカデミー、助演は必ず取っていただきます!!
色気と言えば、先週の金造さんだって、色気ありましたもん!ヒデ君だって色気ありましたもん!
福井君、堤さんの事務所の若手さんなんで、実力派に間違いなさそうですね。目ェつけちゃいます。鈴木浩介さんといっしょに応援しちゃいます。
 ほんとに来週最終回、しかも佐久間さんは・・・佐久間さんらしく・・・。
 結末知ってるだけにオヨヨヨヨ~~。泉ちゃんは、気が狂いそうでしょうね・・・。

 このドラマのおかげで、特攻隊を実際にみたことから徳川家康を書いたという、山岡荘八さんの「太平洋戦争」もきちんと読まなければならないと、思っています。やくざさんの話から、戦争問題へと、私の心は動いて行くのだ・・・。





やくざを超えてる目高組!!討ち入りじゃ!第5話 ~金造さんの華~

2006-11-11 03:40:43 | テレビ番組
「こらえてやってください」
 この言葉はもうきけないんだね。
 扇子にあの立派な文字が入ることもないんだね。
 あの笑顔も観れないんだね、金さ~ん!!!!!
 「老いぼれに華、持たせてやってください」と書き残し、立派な最期だった金造さん。まさに仏の金さん、戦士でした。
悲しく切なくきこえる♪めだかの学校のBGMと、おじちゃん!おじちゃん!と閉まった工場の扉の前で叫ぶケン坊。(涙)
 今回は、Dr.コトーより視聴率が高ければいいのにな、と思ったくらいでした!!
 佐久間さんではなく、こちらの方が泣いてしまったじゃありませんか!!
 先週はタケシさんに一人でいくなよな~などと、書いてましたが、泉の大切な人は自分が守りたいという言葉や、みんなに迷惑かけたくないから一人で行った金造さんの大きな優しさに共感できる部分もありました。
 金造さんが死んだから涙したというのもありますが、宝のように大事なケン坊のために盾になった金造さんの姿に感動して涙が出ました。
 もう番組間違ってない?っていう感じです。時代劇だよ、もう!
 どこかのおとりつぶしになりそうな年老いた武士が未来のある息子を守るために、最後の力振り絞って戦に出かけて討ち死にしたようにしか見えません。立派すぎです、おっきすぎです金造さん!!!でっかい華でした。
 まとい持って行きたかったです。
 じいは、立派な最期でした、殿!って報告したい気分です。ほんとうに金造さんの男観ました!!
 山本さんお疲れさまでした!
 いや、ほんと、山本さん人気でますよ、今度はどちらで出会えるかな。この間NHKで見かけました^^。
 金造さんだけでなく、目高組の戦士を演じたかたたちは存在感高めましたよね。。福井さんもいいです!
 金造さんが倒れてる頃に事務所で待ってるみんなの雰囲気がとても切なかったです。
 おまけに、今回金造さんと夜中に話してるときの佐久間さんの目尻の皺がなんとも愛しくて。いい皺だわ、もうほんとに!
 もうほとんど後半は、大河ドラマ観てる感覚で観ようと思ってます。
 今は、残された目高組の戦士たち、よ思いっきり闘って散ってくれ!と思います。私も腹くくりました^^。
 佐久間さんと一緒にとさかに血ィ上りました。あなご(変換ミスついで)、いや、姐御になりやす!!
 止めんじゃないよ、みんな!!・・・・誰も止めてない??第2話からもうとさかにきてましたね、あたし。
 以前から佐久間さんの表情は、黒木を信用してなかったけれど、やはり感覚はするどい佐久間さん。さすが若頭です。
 浜口組より悪じゃないですか、黒木ぃ!。喰いタンの女刑事みたいに呼びつけてやりたいですわ(笑)
 ほんとに猛烈な悪ですね浜口組も。人間あそこまで行ってしまったらいけません!
 金造さんだけでなく、標準語字幕スーパーつきの青森弁の刑事さんも勇猛果敢に一人でやってきて撃たれてしまうなんて!来週から標準語字幕スーパーもなくなるんだ!彼もなかなかかわいい刑事さんだったのにな。
 私の楽しみまで、一つ一つ奪ってしまった、ふとっちょよ!あと2話覚悟してなさいね!!
 目高組の残り5人(実はあたしも数に入ってるのね。この間東京行ったから^^)のとさかから噴き出る血をみせてやる!!
真夏の暑い盛りにこんな熱いドラマ作っちゃったTBSや役者の皆さんのために、もうちょっっと視聴率上がってくれないかなと思ってしまいます。
 とっても深いドラマに仕上がってますもん!!!DVDを早く出したい気持じゅうぶん伝わってます。
あと2話!!!




舞台「タンゴ・冬の終わりに」その2 ~堤真一さんが清村盛になった日~

2006-11-09 22:55:27 | 舞台・演劇
清村盛。
今回、堤さんが演じたのは、俳優として自信をなくし、やっていけなくなってしまい、その苦しみから精神を病んでしまって実家のさびれた映画館で暮らしているという男だ。自分の妻を姉さんと思い込んでしまい、かつて、恋人だった女優の顔も忘れてしまって、幻想の世界で自分の栄光の象徴であろう、孔雀を探し続ける悲しい男、怯える男。スターを降りてもスターに縛られているとても悲しい男。
それでも、弟の悩み相談につきあう、心優しい男。わかっているかのようで、わからなくなっている男。胸に手をあてたり頭を抱え込んで膝を丸めて苦悩している男。ボロボロのカーテンをもて遊んでいるほんの少ししだけおちゃめな男。
堤さんは、蜷川さんに言わせると、狂気を演じさせたら右に出るものがいないそうだ。
だからのキャスティング。蜷川さんに、お前はミスキャストだから気軽にやれと言わせるほどの信用度、期待度なのだ。
 数々の堤さんの演技を観てきた私もそう思っていたからこそ、前作の将門に続いてどんな演技をされるのか期待でいっぱい。ここ2作品、「吉原御免状」の松永誠一郎、「労働者M」の牧田君&ゼリグ、評判はすごくよかったけれども、私的には、物足りなくて今一つ感動しきれていなかった。
 私はとにかく堤さんには、これでもか!って言うくらいの人の苦悩を表現するような難役をやって欲しいといつも思っている。
 以前にやったような役。普段の堤さんに近い役。堤さんでなくてもできるんじゃないのかな・・・という役はもういいと思っている。
 堤さんは、難役を悩みながらも演じきったときにこそ、内面から美しさが溢れてくる。
だから、舞台での立ち姿はどの役者さんよりも美しい。私は堤さんをカッコイイとかセクシーとかいう言葉ではなく、「美」、の一言が一番似合う役者さんだと思っている。舞台上での演技は、生きた芸術品そのものだ。人の裏にある悲しさ、苦悩を演じきるからこそ美しい。
 昔からとことん、舞台を愛し、舞台に立ち続けてきた完全なる舞台人。この舞台継続によって、堤さんの才能があふれ出る域に達してしまっている。だから、テレビや映画では堤さんの「美」を感じとることはできにくい。一つだけ、「ピュア」の沢渡徹は、それに近いものがあるけれど。

「ごきげんよう!これより死におもむくぼく、そしてぼくら仲間から最期の別れを言います。・・・・。舞台上でかつての栄光の日々を捨て切れないように、自分が演じた役のせりふを言い続ける盛。
かと思えば幼い頃の幻想にさいなまれて、自分が盗んだ孔雀の剥製を探す盛。最後には、自分のことをボクちゃんと呼び、ボロボロになった座布団を美しい孔雀だと思い込む。座布団をいとおしく撫で付ける姿さえも美しい。
そして女優水尾と踊ったタンゴ。ボロ座布団を孔雀ではないのよ!と言った水尾を悲しみと怒りのあまり、首をしめて殺したあと、幻のパートナーと桜ふぶきの中でタンゴを踊る盛。技術ではなく、心と体で感じて踊っていた堤さんの盛。
 堤さんに一番よく似合う、白いシャツと黒のスーツが一段と美しさを増し、盛の悲しさがまた美しくみせる。また、堤さんの美が溢れ出た。感動で、ジーンとなってしまったクライマックス。水尾の夫、連にナイフで刺されて倒れるときも美しく倒れていった。盛が孔雀のような人生をつかみ切れずに死んだというストーリーよりも、堤さんの美しい演技にジーンとするのだ。繊細で神経質な演技は圧巻なのだ。
 一体この人はどんな役をすれば、つまずくのだろう。変な言葉で言えば、呆れてしまう。
難役を必ず演じきってしまうのだ・・・。かつて、なんて美しいんだ、と思った「キルのテムジン」は、「アテルイの坂上田村麻呂」になり、「幻の平将門」になり、今、「タンゴの清村盛」へと進化を遂げている。
 パンフレットにはかつての盛を演じた平幹次郎さんの盛くんへというメッセージがあった。平さんにとっても盛くんは心にずっと残る役だったそうだ。「今回野心的で、才能あふれる役者に宿るという。その人に美しく悲しい花を咲かせてくれ。・・・・・だからごきげんよう!盛くん、君に最期の別れを言います。」
 盛くんは、このたび、平さんから堤さんへと、乗り移ったようだ。いつか新しい盛くんが現われるまで、盛くんは堤さんの兄弟になった。盛くんは堤さんの代表作になるのだ!
堤さんは見事に、呆れるほど、清村盛で。
 清村盛として踊ったタンゴは素晴しかった!堤さんの胸にも美しい孔雀がいるような気がする。悲しく美しいタンゴに客席は酔いしれた。
 最期に、妻ぎんが言った、「あのボロ切れを孔雀だとは言えなかった。そこまで一緒には狂えなかったと」というせりふ。妻も姉も女も盛のために演じることができなくなったぎん。
 水尾は、盛にボロ切れをボロ切れだと教えてあげようとした。ぎんも、ボロ切れを孔雀だとは言えなかった・・・・。それは盛君の人生はボロそのものなのよ、と言うことなのだ・・・。
あたしは、きれいな孔雀だって言うだろう。一生いっしょに狂ってあげれるだろう。
 盛くんは孔雀をみつけたのだから。ボロ切れも孔雀に見えるなら、もう孔雀なのだ。
  一人、孤独の闇に消えていった盛くんだからこそ、美しい。
盛くん、盛くん、盛くんの孔雀はちゃんといる・・・。
 盛くんは、もう怖がらなくてもいい、もう怯えなくてもいい・・・。
 今から、堤さんが盛くんの孔雀を探してくれる・・・。

 私はカーテンコールで堤さんの笑顔をあまり見たことがない。なのに、今回は2回、3回目のカーテンコールでは笑顔になって手まで振っていた。カーテンが下りているのに。
堤さんも上機嫌になるほど、盛くんは堤さんと結びついたに違いない。



舞台「タンゴ・冬の終わりに」 その1 大好きな、蜷川幸雄さんの演出

2006-11-09 20:30:27 | 舞台・演劇
11月8日(水)
待ちに待ったシアターコクーン。
清水邦夫さんの台本を図書館で借り寄せて、しっかり予習をし、蜷川さんがどんな演出をされ、主演の堤真一さんが、どんな表現をされるのか、とにかく楽しみでしかたがなかった。台本を読んでいたおかげで、内容は分りやすかった。
自分の頭の中での演出はとても単純なものでしかない。照明の色なんて思いつかないし。
オープニングは若者たちが古い古い映画館で「イージーライダー」を見ながら感動の表現をするというもの。80人の男女だそうだ!その様子は清水さんと蜷川さんの若き頃の学生運動を彷彿とさせていた。この時点ですでに拍手喝采したい気持だった。凄過ぎる!心で完全に拍手をしていた。
セットはさびれてしまった映画館に歯抜けのようにお客さん用の椅子がおいてある。周囲の黒カーテンはビリビリに破れてしまっている。日本海から吹いてくると思われる風にカーテンが舞ってている。
そこで、元俳優の男、妻、弟、かつての不倫の恋人だった女優、その女優の夫がおもにからんでくるという内容だ(あらすじは省略)。
まず、役者さんの立ち位置からして、全部私の想像とは反対の位置になっていた。
堤さん演じる元俳優、清村盛が、子どもの頃の幻想で幼馴染みのタマミとトウタに盛くん、盛くんと呼ばれるときには、タマミとトウタは、高いところで、ブランコに乗って揺れていた。そこにブルーの証明が・・・。なんとも言えずにキレイだった。その下で堤さんの盛くんが赤い椅子の間で苦悩したりしている。
親戚のおじさんがたも思った以上に明るい歌で登場してきたし、段田さんの女優の夫は食べてばかりの表現が面白かったし、弟役の高橋洋さんの演技も見事だった。高い声で映画女優の役を真似する姿はとてもおかしかった。
おかしかったけれど、それぞれにみんな悩んでいる。
盛と妻のぎんと女優水尾がシリアスな部分を演じて他がその対象。せりふはほぼ台本のせりふどおり。そのせりふが笑える。今回の舞台は、アドリブなんか必要ないのだ。
 ちょっとした会話で、お客さんはウケていた。
あとは、堤さんの繊細で神経細かな精神がおかしくなっていく様がこの作品を盛り上げる。
 蜷川さんと清水さんが、正統派で真っ向勝負をかけて来られた感じ。
期待の何十倍も素晴しくて、震えて鳥肌がたった。
堤さんの繊細で丁寧な狂った演技。秋山奈津子さんの文句なしの夫を再起させようとする演技。
常盤貴子さんの演技は一生懸命さがものすごく伝わってきた。これから頑張って舞台を踏んでいけば必ずよくなる女優さんだと思った。千秋楽は常盤ちゃん絶対に泣くだろうな・・・。頑張れ、常盤ちゃん!!
 堤さんと、常盤ちゃんのタンゴ。堤さんがラスト、バックに現われた巨大な桜と大量の桜ふぶきの中で一人で踊ったタンゴ。技術ではなく、心で踊ったタンゴ。言葉が出ない!!カノンのひびきとともにジーンときたシーンだった。
ラスト、盛が連(段田さん)に刺されて倒れ、舞台前面に転がった・・・。
ものすごく凝ったセットではないからこそ、皆さんの衣装も特別に凝っていないからこそ、雰囲気と照明に圧倒されてしまった。
これでおしまいとは。もう一回立ち見でもいいから観たい!!!と思った!!
ここ数年で観た舞台の中でベスト1の作品になった。
 蜷川さんが選んだ役者さんたちも高いレベルのかたたちばかり。
 蜷川さんは昨年、「走るじじぃ」で行くとおっしゃっていたが、今年もこのじじぃ様は走り続けていらっしゃる!!蜷川さんはしっかりと舞台で自己主張もされている。
 今回はラウンジで蜷川さんのお姿を拝見できなくて残念だったけれど、蜷川さんのファンはやめられない。
 世界の蜷川さんだけど、日本の演劇界をこそ背負って立つ蜷川さん。
 清水さんの台本は、ぶあつくて何篇もあり。そのほとんどが、セッティングが違うだけで、似たようなせりふ。なのに蜷川さんが演出されるとまったく違った作品になる。借りた本を全て読みこむことはできなかったけれど、清水さんと蜷川さんコンビの作品は、人間の心情そのものを描いた、素晴しい名作になるのだ。
 感想を書く、なんてことは、ほんとはできない名作、というのがこの作品に対する感想だ。
オープニングだけが、にぎやかで、あとは最後まで、どちらかといえば静かな、観てるだけで、タンゴのように感じてしまい、震えてしまい、ジーンとしてしまう。それ以外にあれこれ言葉なんていらない作品だったような気がする。
この作品のテーマでもある、盛くんが子供の頃、理科実験室から盗んで隠した孔雀は、パンフでも皆さんがおっしゃっていたように、人生の輝きの象徴のようだ。
 孔雀は言葉だけでしか登場していない。
 でも、蜷川さんの舞台には、清村盛の人生とは逆に孔雀が飛んでいると思ってしまった。
 ほんとうに久しぶりに心に染み渡ってきた極上の作品だった。
 カーテンコールは3回。最後は、みんなスタンディングの大拍手。
堤さんも笑顔で手を振ってくださっていた。役者さんも、お客さんも手ごたえがあった証拠だ!!
 蜷川さん、美しい作品をありがとう!!
 これからもっと走りまくってください。