刃物を研ぐには砥石が必要です。
仕事用の刃物はダイヤモンド砥石1000番と用途に応じて人造仕上げ砥石5000番をかけま
す。
肥後守や、電工ナイフ、その他の普段使いの刃物の研ぎには、天然砥石を使っています。
群馬県南牧(なんもく)村産の砥石です。「道の駅オアシス南牧」で買いました。安かったので。
南牧の砥石はかつて徳川幕府の御用砥石だったそうで(あの辺は天領だったしね)、沼田砥、
虎砥と言う名で流通していたそうです。
富岡(富岡製糸場があったところ)はその砥石の流通のための中継地として開発されたといい
ます。
日本の刃物は、切れ味重視で現在も国際的に高く評価されています。
その製法ばかりが取り上げられますが、その鋼材に適した砥石があってこその刃物です。
日本刀も刀鍛冶がトンカンやって出来るのは黒い鋼材の板で、それを研師が砥石とヤスリで研
ぎあげて初めてあの姿形になるわけです。
もし日本の砥石が違っていたら、刃物そのものが違っていたかも知れないのです。
僕の砥石はかなり柔らか目で、面がすぐに減るのですが、逆に言えば簡単に面直しが出来る
わけです。砥石の研ぐ面の平面度は重要で、出来れば平面をずっと維持して欲しいのですが、
砥石が削れて出る砥糞(とくそ、良い言葉じゃないよね)あるいは研ぎ汁は優れた研磨ペースト
でもあるので有用なのです。
この減って欲しくないけど、減らなきゃいけない、相反する要求をどう折り合いを付けているかが
砥石の良し悪しのひとつの基準となります。
ダイヤモンド砥石なんかは一種のヤスリで、それ自体が減ることを最大限に避けるという古くか
らの日本の砥石の特徴とは異なる思想のものです。
南牧村は砥石という特産品と上州、信州、甲州を結ぶ街道として往時はかなり栄えたそうです。
今はほとんど限界集落状態ですけど。
僕の行動範囲の山の懐には廃村となった集落もよくあります。
それら集落も多くは昭和30年代頃まではそれなりにやってきていたのです。
地方の自立というのは僕にとってのひとつの研究テーマです。
かつて出来ていたものがなぜ出来なくなったのか?
再び自立することは出来ないのか?
高速移動手段(鉄道や自動車)があれば、地方が活性化するといういう考え方があります。
ある程度は正しいと思います。山梨でも上野原あたりは東京で働く人のベッドタウン化してい
て、人口(夜間人口?)は増えているようです。
しかし、高速移動手段の普及こそが地方社会を壊したとも言えます。
人の歩行速度を前提に出来た宿場町の多くは寂れています。
宿場街はサービス業関連の第3次産業中心なので、人が滞在しなくなればおしまいなのです。
特産品を持つところは強かったのですが、それとても時代のニーズの変化や鉱物資源ならば
枯渇したりと不変の条件ではありません。
どうすれば、地方の山間部の村は存続出来るのか?
などということを考えながらシュッ、シュッと研いでいます。
研ぎ心地がとても良いのです。……また買おうかな。
ひろにゃん様こんばんわ 毎日Romしてます。
こちらでも山の上の集落がありますが、・・今日もそこから、通っていた人が、諸事情で町に降りてきたという話を聞きました。住む人が極端に少なくなると、・・・その集落にはポンプで水を揚げているのですが、採算を度がえししたとしても、水質的に水を送れなくなる問題が生じてきます。
例えば、タンクが上下あわせて40トン、パイプの中の水が2トンとしても、10軒の家で水をフルに使っても、(麓から)その家に水が届くまで4日かかる計算になります。
実際は、この計算は年1~2回位の頻度(計画するときの計算はおおよそ1トン/日・・実績値がその位)でしかないので、普段は半分から1/4程度しか使わないので、蛇口まで届くのに2倍~4倍の時間(1週間とか10日以上)がかかって、・・・採算度返しでも、衛生的に問題が生じてきます。さりとて、今更井戸や湧水に戻れない・・・・表にはでないし、関係者も一部しか気づいてないのかもしれませんが、・・・・限界集落に潜む、「お金をかけても解決できない」問題のひとつです。
これは本当に大きな問題です! 今まで考えが及びませんでした!
電気、ガス、水道、電話、ライフラインの中で水道には鮮度が要求されるので
すね。
確かにそのとおりです。盲点でした。
僕の仕事場と同じ旧村内の知人の集落はすでに10戸を切っていますし(現住民はほ
とんど移住者)、時々通る峠道の集落は既に廃止となっているのですが、そこにま
た新たに移住者が入っています。
そういうところの水道の維持は、経費的にも質的にも問題ですね。
古くから集落のあった土地は水の自給が出来たはずなのですが、長野県でも水源涵
養林にヒノキを植えたりとどうもやっていることが変です。
エネルギー問題も大事ですが、水資源問題も重要です。
日本の水源地を外国人が購入しているという話も耳にします。
水資源の問題も逼迫していない今のうちに真剣に考えなければなりませんね。